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2021.10.12
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カテゴリ: アート
『村上春樹(BRUTUS 21年10/15号)』という雑誌が最寄の本屋で売り切れだったので、三宮に出かけた際に購入したのです。
買った後で中を見たのだが「翻訳家として何がすごいのか?」とか「私的読書案内 51 BOOK GUIDE」とか色んな切り口があって・・・楽しめそうでおます。


【村上春樹(BRUTUS 21年10/15号)】


雑誌、マガジンハウス、2021年刊

<商品説明>より
1979年に『風の歌を聴け』でデビュー後、文芸の本流を担ってきた村上春樹。
同時代を生きるブルータスが、ついにこの稀代の作家に向き合います。
村上春樹と読み、村上春樹を読む。
村上さんが手放せない51冊の本について28ページにわたって書き下ろし。
著作から時代を読み解く年表や、早稲田大学<村上春樹ライブラリー>案内も。
【目次】より
・村上春樹の私的読書案内。51 BOOK GUIDE
・特集「ドイツの『いま』を誰も知らない!」
・年表で探る。文芸・社会学・カルチャーで振り返る、村上春樹の時代。
・翻訳家として何がすごいのか?

<読む前の大使寸評>
買った後で中を見たのだが「翻訳家として何がすごいのか?」とか「51 BOOK GUIDE」とか色んな切り口があって・・・楽しめそうでおます。

rakuten 村上春樹(BRUTUS 21年10/15号)



辛島デイヴィッド×小野正嗣お二人による対談で、翻訳分析が語られているので、見てみましょう。
p88~91
 村上春樹が小説創作と並行して翻訳を手がけているのはよく知られたところ。キャリアのごく初期から翻訳作品を発表し続け、これまでに出版された翻訳書は90冊を超える。“翻訳家としての村上春樹”には、どんな個性があるのだろう?

 芥川賞をはじめとする数多くの文学賞を受賞した作家で、フランス語圏の書籍の翻訳も手がける小野正嗣と、日英翻訳家として日本文学を欧米へ紹介する傍ら、村上文学の世界での広がりをまとめたインタビュー集『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』(A)も著した辛島デイヴィッドに、英語の原書と村上春樹の翻訳を突き合わせながら読んでもらった。

<同時代のアメリカ文学の優れた目利き>
辛島: 村上さんが訳している作家の筆頭格としてまず挙がるのは、レイモンド・チャンドラー(B)、レイモンド・カーヴァー(C)、J・D・サリンジャー(D)、スコット・フィッツジェラルド(E)といったあたりでしょうか。白人男性作家の作品を多く訳しているイメージが強いかもしれませんが、実は村上さんはご自身で短編集なども編んでいて、そこにはかなりの数の、日本ではあまり知られていない作家や、女性作家の作品なども含まれています。

 それらは、いくつかの例外を除けばアメリカ文学が圧倒的に多いですね。村上さんが翻訳を手掛けてきた70年代以降の同時代文学が大半で、それも“準古典”とでも言うべき作品を多く訳しているのは興味深い点です。

 アメリカの大学でアメリカ文学の授業をとると必ず読まされるような、“作家志望の学生なら読むべきリスト”に入っているような作品。例えばティム・オブライエン(F)の『兵士たちの荷物』やグレイス・ベイリー(G)の『父親との会話』、ジョン・チーバー(H)の『再会』とか・・・。それぞれ、英語圏でも多くのアンソロジーに収録される佳作です。

小野: それも当然ながら“読むべきリスト”に入っているから読んだわけではないんですよね。『The New Yorker』(I)に発表された時点で読んでいたり、それで気に入れば知られていない作家でも短編集を買って読んだりと同時代の文学シーンにも常に目を光らせているのでしょう。

 そうやって訳してきた作品を振り返ると、結果的にはアメリカ文学のまさに“読むべきリスト”に値する作品をたくさん訳しているわけで。村上さんの翻訳をつぶさに読めば、優れたアメリカ文学に触れることができる。

辛島: カーヴァーやグレイス・ベイリーはほぼすべて訳していますね。

小野: 圧倒されちゃいますよね。

<一人の作家の全作を訳す強い責任感>
辛島: 特にカーヴァーの作品は相当数。それを最初から最後まで訳すと決めて訳している。強い責任感を感じます。

小野: すると、なかには訳していてイマイチだなと思う作品もあるわけでしょう? 村上さんは、あとがきでその感想も率直に書くんですよね。

 優れた作品はその素晴らしさについて、作品として弱い部分があると思ったときにはそれをきちんと指摘する。翻訳者として誠実な仕事ぶりだと感じます。

辛島: そうそう、あとがきがとても面白い訳書が多いですね!そこを読むと村上さんの「声」が聞けるし、作品の理解を深めてくれるのがおすすめです。村上訳はあとがきまで飛ばさず読むべし(笑)。

小野: あとがきまで手を抜かない。いや、もちろん翻訳者は誰しも手は抜きませんが、村上さんの場合、あとがきも作品であり、単語や表現の選択など隅々に至るまで、まさに全方位的に意識が行き届いていると感じます。そしてそれはむろん訳文そのものにもいえます。

<全方位的に意識を張り巡らせた訳文>
訳文の話が出てきたので、具体的に村上訳がすぐれていると感じたポイントを拾っていきましょうか。

辛島: 「ここがうまい」「この部分がいい」と挙げていったらキリがない。本当の意味で村上訳の魅力を伝えるならば、やはり作品全体を読まないと、とは思います。ここではあくまで理解の補助線として、いくつかえらびました。

小野: 確かにどの訳書も、どこを抜き出しても、「うまいなあ!」と発見がありますよね。僕はまず、去年でたカーソン・マッカラーズ(J)の『心は孤独な狩人』の翻訳に感動したので、そこからごくわずかだけ拾いました。
【原文】
always with love unchecked by criticism, freed of will.

【村上訳】
そこには常に愛があった。
批判による検証を排し、意志と関わりを持たぬ愛だ。



辛島さんの著書 『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』7 をつけておきます。

【Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち】


辛島デイヴィッド著、みすず書房、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
村上春樹と英米出版界のスペシャリストたちの冒険。A・バーンバウム、E・ルーク、L・アッシャー、J・ルービン、G・フィスケットジョン、チップ・キッド…、そして村上春樹。Haruki Murakamiの世界への飛翔までの道のりを、30余名へのインタビューをもとにたどる、異色の文芸ドキュメント。

<読む前の大使寸評>
内容を覗いてみると、翻訳がテーマとなっているようで・・・
これが太子のミニブームにいたく響くわけでおます♪

rakuten Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち





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Last updated  2021.10.12 07:22:00
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