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2022.11.14
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『「スパコン富岳」後の日本』という本を、手にしたのです。




小林雅一著、中央公論新社、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
世界一に輝いた国産スーパーコンピュータ「富岳」。新型コロナウイルス対応で注目の的だが、真の実力は如何に?「電子立国・日本」は復活するのか?新技術はどんな未来社会をもたらすのか?莫大な国費投入に見合う成果を出せるのか?開発責任者や、最前線の研究者(創薬、がんゲノム医療、宇宙など)、注目AI企業などに取材を重ね、米中ハイテク覇権競争下における日本の戦略や、スパコンをしのぐ量子コンピュータ開発のゆくえを展望する。

<読む前の大使寸評>
追って記入

rakuten 「スパコン富岳」後の日本

富岳


日本の技術的基盤について、バブル崩壊と今後の希望が語られているので、見てみましょう。
p14~17
<第1章 富岳 世界№1の衝撃>
 2020年6月、スーパーコンピュータの計算速度などを競う世界ランキングで、日本を8年半振りの首位に導いた富岳。コロナ禍に沈む暗い世相の中で、久し振りの明るいニュースとなった。毎年2回発表されるランキングで、富岳は同年11月にも2期連続となる世界一に認定された。

 スパコンはそれを開発した国の技術・経済力など「国力」を反映すると言われる。1993年に米独の研究者らが世界ランキングを発表し始めてから15年余りの間は、日本と米国のスパコンがほぼ交代で首位を占めてきた。しかし2010年以降は中国がそこに割り込み、近年は米中の二強体制となっていた。

 今回、理研と富士通が共同開発した富岳によって、日本が逆にその二強体制に割って入った形だ。確かに米中両国は今、計算速度において「エクサ(10の18乗)」級と呼ばれる次世代スパコンを開発中で、これら超高速ましん富岳はいずれ追い抜かれるだろう。

 しかし、この種のスピード競争は将来に渡って続き、さらにその先、日本のマシンが逆に米中を追い抜くことも十分考えられる。重要なのは一時の順位ではなく、日本が今でもスパコンに代表される世界的なハイテク開発競争の最前線にあると立証された点にある。それによって日本の技術者やビジネスパーソン、ひいては産業界全体が少なからず自信を取り戻せたことには大きな意味があるだろう。

 富岳が持つ、もう一つの重要な意味はおそらく、これからの日本が厳しい国際社会の中で生き抜いていくために、何を頼りにすべきかをあらためて示したことにある。

 かつて80年代の日本は便利で高品質のエレクトロニクス製品や、その部品となるDRAMなど半導体で世界市場を席巻し、欧米諸国との激しい貿易摩擦を引き起こす一方で、「ハイテク・ジャパン」「電子立国」などと世界から称賛された。

 しかし80年代バブルの崩壊、そして90年代の世界的インターネット・ブームを経て、これら日本の基幹産業は徐々に存在感を失っていった。今世紀に入るとGAFAに代表される米国の巨大IT企業が世界に何十億人ものユーザーを抱え、産業界でも支配的な地位を占めるようになった。

 一方、日本は深刻な少子高齢化と国内需要の低迷、巨額の累積債務などを前に、これら難局を打開する新たな成長産業をなかなか育成することができない。近年では唯一、希望の光と見られた観光業界のインバウンド需要もコロナ禍で蒸発し、日本の産業界には先行きの見えない深い霧が立ち込めていた。

 そうした中でスパコン富岳が世界ナンバーワンに輝いたのである。それは日本画疲弊した経済を立て直し、新たな成長軌道に乗るためには、どれほど厳しい国際競争に身を置こうとも、結局は科学技術立国をめざすしかないこと、そしてそれがおそらく今も可能であることを示唆していた。

 だが、そこには富岳の一つ前の国策スパコンとして、11年に同じく世界1位にランクされた「京」が微妙な影を落としている。
 同じく理研と富士通が共同開発した京は、科学技術計算の基盤として研究者の間では活用が進んだものの、企業による利用は約100社に止まり、日本の産業競争力の強化につながったとは言いがたい。「富岳もその二の舞になるのではないか」という懸念は当然ある。

 華々しいデビューを遂げた富岳は、本当に「ハイテク・ジャパン」や「電子立国」復活の期待を担うほどの実力があるのか。それを検証するため、以下では、その基本性能や技術的特徴、産業的な用途、さらには国際的評価なども含めて見ていくことにしよう。

■日本勢のスパコンが世界タイトルを独占
 富岳が他を寄せ付けない圧倒的性能を見せつけたのは、2020年6月に発表された第55回の世界スパコン・ランキングだ。これは世界各国が開発・稼働している多数のスパコンを、各種のベンチマーク・テストで計測した実測性能で順位付けしたもの。ベンチマークの種類に対応して全部で5部門からなり、年に2回順位が更新される。

 これら最新のランキングは毎年、ドイツで6月、米国で11月に開催されるスパコン関連の国際会議で発表される。
 5部門の中でも、世界的に最も注目されるのは「TOP500」だ。これはスパコンの「基本的な計算速度」にもとづくランキングで、1993年に始まった最も由緒ある部門でもある。「LINPACK」と呼ばれるベンチマーク・テストでスパコンの計算速度が計測され、世界における上位500のマシンが発表される。

 ここで富岳は416ペタ・フロップス(ペタは10の15乗)を記録して第1位にランクされた。これは毎秒41.6京回(京は兆の1万倍)の浮動小数点演算を実行できる計算能力を意味する。
 ちなみに第2位にランクされたスパコンは米オークリッジ国立研究所で使われている「サミット(Summit)」で、その速度は149ペタ・フロップス。つまり富岳は2位の約2.8倍となるスコアを記録して断トツ1位にランクされたことになる。

 日本製スパコンが世界のTOP500で1位になるのは、11年11月の第38回ランキングで首位に認定された京以来、8年半振りとなる。





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Last updated  2022.11.14 00:44:07
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