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2024.01.15
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カテゴリ: 気になる本
図書館で「エマニュル・トッドで読み解く世界史の深層」という新書を手にしたのです。
家族人類学者エマニュル・トッド?・・・知らんなあ。でも著者・鹿島茂がわかり易く説き明かしているようなので、チョイスしたのです。






鹿島茂著、ベストセラーズ、2017年刊

<「BOOK」データベース>より
英国のEU離脱、トランプ当選など予言を次々と的中させ、世界中で注目を集めているフランス人類学者エマニュエル・トッド。なぜ、トッドの予言は的中するのでしょうか?大胆な彼の発言を支える理論を、鹿島茂教授がわかりやすく解説します。明治大学で人気の「トッド入門」講義を一冊にまとめました。初の解説書。「あらゆる問題は、彼の家族システムという概念で説明ができる」と、世界史の有名な出来事や混迷する社会の問題、さらには現代人の悩みや未来の切り開き方まで、トッド理論で紐解いていきます。

<読む前の大使寸評>
家族人類学者エマニュル・トッド?・・・知らんなあ。でも著者・鹿島茂がわかり易く説き明かしているようなので、チョイスしたのです。

rakuten エマニュル・トッドで読み解く世界史の深層


「序章 人類史のルール」の冒頭から、見てみましょう。
p10~13
<エマニュル・トッドとは何者か>
 エマニュル・トッドという名前が近年ジャーナリズムをにぎわせて、新書のいくつかがベストセラーに名を連ねています。
 昨年のアメリカ大統領選前後、今年1月のトランプ新大統領就任に際しても、大統領選直前まで大方の識者がヒラリーと予測する中で、「トランプ当選」を予見していた数少ないうちの一人がトッドでした。

 これ以前にも、彼は
・ソ連の崩壊
・アメリカの金融危機(リーマン・ショック)
・アラブの春
・イギリスのEU離脱

 などを、予言して、ことごとく当てていたように見えます。
 しかし、トッドにしてみれば、21世紀の予言者などと呼ばれても、ありがた迷惑なだけでしょう。
 なぜかと言えば、別に予言者を気取っているわけではなく、専門としている家族人類学と人口動態学から割り出した数値にもとづいて、蓋然的な予想を述べているにすぎないからです。

■予言者誕生
 ところが、目先の派手さにしか興味のないジャーナリストたちがトッドの著作もまったく読まずに(というよりも専門性が高いので読めずに)、結論だけを聞きたがるので、結果として、「予言者誕生」ということにあいなったのです。

 トッドにインタビューした記事をまとめてつくられた新書というものをいくつか読んでみましたが、ひどいのになると、トッドの本など1冊も読んだことのない人がインタビューしてることが歴然としているものさえあります。トッドの著作を少しでも紐解いていれば、こんなことは聞かないはずだとわかる愚かな問いを連発しているからです。

 トッドはそうした愚問にも誠実に答えているようですが、しかし、バッド・クエスチョンはいくら数を放ってもグッド・アンサーを引き出さないのが定理ですから、トッドにすればかなり迷惑なジャーナリズム人気だと思います。

 私は、このジャーナリズムに特徴的な「結論だけでいい。過程はいらない」という姿勢がどうにも我慢できなくなったので、「トッドの言っていることはそうじゃないぞ」と抗議のためにペンを取りたくなりました。

 では、トッドが言っていることとはなんなのでしょうか?

■数字にすべてを語らせよう
 それは、数字がすべてだから、数字に語らせようよ、ということです。いかにも人口統計から出発した学者らしい態度です。データを調べ上げ、読み込み、試行錯誤しながら、緻密に分析し、仮説を立てて論証し、その後もさらに再検証を重ねていくというルールから逸脱しない誠実な「家族人類学者」なのです。

 その意見や論評、さらにいえば「予言」に見えるようなものすべてに確たる論拠があります。データの裏づけがあります。原則的には、誰もがアクセス可能な数値にもとづいています。理科系の学問のように、ほかの人が同じデータから出発してその人なりの研究を進めていくことができるのです。

 ただし、そうしたデータの読み込み方、比較のしかた、変数の導入のしかた、チャート化・グラフ化する際のアイデア、術語の選択などは彼一流のものであり、その過程で「発見」をつかむセンスは、天才的と言ってもよいでしょう。

 ところで、いま「家族人類学」という言葉を使いましたが、日本では耳慣れない言葉なので、とりあえず、こうした言葉の定義から入りたいと思いますが、それには、トッドという学者の成り立ちから説明するのがよいかと思います。

 エマニュル・トッドは1951年にフランスのサンジェルマン・アン・レーに生まれました。父親のオリヴィエ・トッドがイギリス出身のジャーナリスト、母親は作家のポール・ニザンとアンリエットの娘トイウフランス・インテリ階級の出身です。
 『アデン・アラビア』で有名なポール・ニザンは、サルトルとアンリ四世校およびエコール・ノルマルで同級生。若くして共産党に入党し、共産党系のジャーナリストとして活躍しますが、独ソ不可侵条約に絶望して共産党を離れ、第二次大戦で戦死しています。これはトッド自身の経歴と似たところがありますが、トッドがこの母方の祖父について言及することはあまりありません。

 トッドにとって、英仏双方の血を引き、二つの文化的背景を持つことは他のフランス人学者にはない強みになっています。父親の友人だったアナール派の大立者ル・ロワ=ラデュリの勧めで、イギリスのケンブリッジ大学へ留学します。





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Last updated  2024.01.16 00:00:33
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