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「ブーリン家の姉妹」を見てから、ヘンリー8世の周辺人物について興味が湧いてきていろいろ本を読んでいます。といって映画を見てヘンリー8世が好きになったというわけでは絶対にありません。いくらヘクトルのエリック・バナが演じていたって、きらいなものは嫌いです(きっぱり)。でもこの人物の周辺を調べると、いままで同じ名前の王様と政略結婚で複雑になりすぎた家系図で本当に分かりにくかったこの時代のヨーロッパの王室について、1人中心となる人物ができたおかげで芋蔓式にたどってすっきり理解できました。ヘンリー8世、イギリスだけでなくヨーロッパの歴史を知る上で要となる人物です。さて、ヘンリー8世の父はヘンリー7世でこの2人は親子ですが、ヘンリー6世と7世の間には直接血のつながりはなく、かなりはずれています。ヘンリー7世はヘンリー5世の王妃キャサリン(フランス王女)とウェールズ出身のオーウェンという衣裳係の間にできた子の子供でした。キャサリン王妃がヘンリー6世を産んですぐヘンリー5世は亡くなり、王妃はひそかに身分違いのオーウェンと結婚して子供を作っていました。ヘンリー6世が発狂し、その後ランカスター家とヨーク家で王位を争い(バラ戦争)、争いの中共倒れのような形の時うまく王位についたのがヘンリー8世の父ヘンリー7世でした。フランス王女キャサリンと衣裳係オーウェンの孫になるヘンリー7世は、本当なら王位継承権は低いはずでした。(禁断の恋を貫いた王妃の子孫なので物語としてはロマンチックですが)そこでウェールズ出身ということで、自分の祖先はアーサー王だといい、長男にもアーサーという名前をつけます。さらに当時カスティーリャ女王イザベルとアラゴン王フェルナンドが結婚して強国となったスペインの王女を息子アーサーの妻にしようと考えました。婚約した時、アーサー王子は2歳、スペイン王女のキャサリンは1歳でした。このキャサリンが後にヘンリー8世の最初の妻となるキャサリン・オブ・アラゴンです。実際に結婚したのはアーサー王子14歳、キャサリン王女13歳の時でした。キャサリンの父フェルナンドはイギリスなど遅れた蛮国だと軽蔑していましたが、それでもイギリス王子アーサーは肖像画で見る限りかなりの美男子で(笑)キャサリンも悪い気はしなかったと思います。そしてこの婚約が整うまでおそらくヘンリー8世の関心は長男アーサーに集中し、二男ヘンリーはあんまり注目されてなかったのではないかと思われます。ところがアーサー王子はその後すぐ15歳の若さで突然病死してしまいます。ヘンリー7世は長い交渉の末に手に入れたキャサリンを手放そうとはせず、今度は二男ヘンリーと婚約させます。そして父ヘンリー7世が死んだ後、ヘンリー8世は即位し、6歳年上だった兄嫁のキャサリンと正式に結婚します。ヘンリー8世とキャサリンの関係は最初はそれほど悪くはありませんでした。彼はがっしりとした体格で若い時はかなりのハンサム、文武両道芸術方面にも才能を見せるかなり立派な王様でした。もしキャサリンから生まれた男の子が後継ぎとして立派に育ったなら、そのまま立派な王様として何の問題もなく生涯を終えていたでしょう。多少浮気をして愛人を作ったって、キャサリン王妃が後継ぎを産んでいれば気にすることはない、全然平気だったはずです。でもキャサリン王妃の子の中で無事に育ったのがメアリー王女ただ1人というのが不幸の始まりでした。ヘンリー8世はキャサリンの侍女アン・ブーリンに心を魅かれ、彼女が正式に結婚してくれなければと拒むと、今度はキャサリンとの離婚を真剣に考えます。これは拒まれて余計に恋心がつのったということもあるでしょうけど、若いアンならば後継ぎを産んでくれるかもしれないという期待が大きかったと思います。何もかも手に入れた王であっても後継ぎに恵まれなければ完璧ではない、前の世代のような王位継承争いを起こしてしまう、彼自身何が何でも後継者をという切羽詰まった気持ちがあったのでしょう。そしてキャサリンと離婚するために聖書の言葉を持ち出して、兄嫁と結婚するという罪を犯したのだから子供に恵まれなかった、この結婚は無効にすべきだと言います。何を都合のいいことをと腹も立ちますが、もしヘンリー8世が心底聖書の言葉を信じて自分の犯した罪を気にしていたとしたら・・・国中の期待を集めた兄が突然亡くなり、その後を継いで王になり兄嫁と結婚したということをずっと後悔しているなら、この言葉は自分の都合のいいことばかり言っているだけとも思えなくなります。自分の最大の望み、後継者の男の子を得るためには罪多い最初の結婚を解消しなければいけない、それを許さないカトリックなどとは縁を切ってやる、と極端ですが神の教えを守ろうとしているという点では本人の中でつじつまがあっていて納得できます。そこまで犠牲を払ったのだから、アンには男の子が生まれて当然と思ったヘンリー8世、でも生まれたのは女の子でした。1度カトリック教会と別れて大きなことをやっているので、彼女がだめならまた次をと気持ちは大きくなっているでしょう。アンの侍女ジェーン・シーモアに目をつけ、アンに不倫の噂が出ればさっさと処刑しています。スペイン王女のキャサリンと離婚してカトリックと決別した大変さに比べれば、その後何人の王妃と離婚や結婚を繰り返し処刑してもヘンリー8世の心はそれほど傷つかなかったでしょう。それにジェーンは男の子を生んでいるので、望みはここでかなってしまい、自分のしたことは間違っていない、神に愛されているとここで自信を持ってしまったかもしれません。兄へのコンプレックスを持ち、罪を犯していると不安だった彼が男の子が生まれたことでその後の自分の行動をすべて肯定していたら、暴君になるのもよくわかります。最初は罪に脅え、よき王になろうとしていた人間が結果として神の教えからずいぶん離れたことをしている(本人はそうは思っていないだろうけど)歴史は皮肉です。
2008年11月26日
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世界史が好きなのでこういう番組はついつい見てしまいます。大発見といっても、それほど感動的なものがテレビでは見られないだろうとわかっていても、再現ドラマとかがおもしろくて3時間飽きずに見ることができました。印象的だったのは、ポンペイの遺跡で人々が死んだ時そのままの形が石膏でかたどって残っているということです。噴火の後火山灰が降り積もり人や動物の体はなくなって空洞になりそこへ石膏を流しして死んだ時そのままの姿を再現する、いろいろな偶然が重なって二千年後の今日まで1つの街の最後の日がそのまま保存されていたということ、それを石膏で再現したというアイディアに感動しました。ただ何人の人が死んだという数字だけではぴんとこないのですが、石膏像で残っているとその恐怖が強く感じられます。再現ドラマも感動的で、思わず涙ぐんでしまいました。ポンペイの人の多くは熱い煙を吸って気管支をやけどし息ができなくなって死んだということ、火山の噴火は直接溶岩が流れてくる近くだけでなく、少し離れた場所でもこれだけ多くの命を奪うということがよくわかって、その恐ろしさを実感しました。 そのほかにも皇帝ネロの黄金宮殿の話、カエサルやクレオパトラの最後、神になろうとしたカリギュラ帝の贅沢な宮殿船、スパルタクスの反乱などよく知っている話がドラマやCGで再現されていて楽しめました。盛りだくさん過ぎて1つ1つのエピソードが物足りないとも感じ、剣闘士の戦いや反乱後の奴隷たちがどうなったか残酷な部分はあっさりと紹介されていてあまり胸に迫ってこなかったのですが、子どもも一緒に見る時間帯のテレビ放映なので、エンターテーメントに力を入れてこのくらいの表現でいいのかなと思いました。
2008年11月25日
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今日11月22日はいい夫婦の日だそうです。最近見た映画でいい夫婦と思えるのは「P.Sアイラブユー」でしょうか?「ブーリン家の姉妹」ヘンリー8世はどう考えてもいい夫ではありません(笑) 我が家は、長男が高校生なので結婚して15年以上過ぎています。ダーリンは外国人、見た目は日本人とそれほど変わらないし、日常会話は日本語でなりたっていますが、それでもやっぱり外国人なんだと思うことがあります。最近の事件としては1、私のダイエットクッキーを食べられた!ダイエット用に買っていたクッキーをいない時に何袋も食べられてしまいました。あれは1袋が1食分、少なそうに見えてもそれでちゃんと栄養がとれるよう計算されて作られ、けっこう高いのです。それを「こんなマズイクッキー買っておくな」とバリバリ食べてしまうなんて!ダイエットクッキー、子供はもちろん袋を見てわかるから間違って食べるなんてこと絶対しないけど、夫が食べてしまうとは計算外でした。自営業を始めたので私が家にいなく夫と子供だけという日も多い、これからは食べられて困るものは隠しておくことにします。2、1週間分のデーターを消された!こちらはダイエットクッキーよりもっと怒りました。自営業をやっているので、毎日の売り上げなどをエクセルで記録して、週1度くらいの割合で会計ソフトにきちんと記録していたのですが、メモ用に使っていたエクセルの記録を1週間分消されてしまいました。日々の売り上げは夫も記入できるようにやり方を説明したのですが、何をどう間違えたのか私が寝ている時に記録した夫、その日の分はつけてあったけどその前の分がすっかり消えていたのです。新しいデーターだけ保存したのでそのページの1週間分はすべてなくなり・・・ああ・・・領収書とレシートを見て入れ直すしかありません。こんなことなら何もしてくれない方がよっぽどましです。とまあこんな状況でとてもいい夫婦とは言えません(笑)でも本や映画などでこれぞ究極の愛と涙するような物語の時、もしこれほど自分のことを大切に思ってくれる相手と毎日一緒に暮らしていたらそれはそれで重く息苦しいだろうとも感じました。無神経にダイエットクッキーを食べてしまったり、データーを消して人の苦労を水の泡にするような相手で一緒に暮らすにはちょうどいいのかもしれません。
2008年11月22日
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「ブーリン家の姉妹」を見て、ヘンリー8世のことを好きになったわけではありませんが、やっぱり実際のところどうだったのか気になって本を読んでみました。このタイプの本は気になる人物のページだけなら短時間で読めるしじっくり読めば世界史の勉強にも役立ちそうです。映画でもメアリーとの会話で二番目に生まれた者はいつも誰かと比較され影になってしまう、というようなことを言っていましたが、実際にヘンリー8世は次男でアーサーという名前の兄がいました。8世の父ヘンリー7世はバラ戦争を両家の血筋をうまく合流させることで終わらせて新しくテューダー朝を開きますが、その時自分達の祖先はイギリスで最も有名な伝説の英雄アーサー王だと言っています。スパルタのレオニダスやマケドニアのアレクサンドロス(1世)が自分達の祖先はヘラクレスと言っているのと似たような話、王様はみんな英雄を自分達の祖先にするのが好きなのねと微笑ましく思ったのですが、ヘンリー7世は自分の長男にもしっかりアーサーという名前をつけています。伝説の英雄と同じ名前を持ち父と国民の期待を一身に集めた兄、これでは弟は最初から勝ち目はありません。つけられた名前もヘンリーで父と同じ、8世というからには前に7人同じ名前の王がいたということで、悪い名前じゃないですけど、どうも長男に比べて次男は適当に名前をつけられているような気がします。兄に負けまいと必死になったためなのか、弟のヘンリーは学問、武芸、芸術といろいろな分野で才能を示します。でも次の王になる皇太子はやっぱり兄で彼はスペインの王女キャサリンと結婚します。ところが兄のアーサーは15歳の若さで突然病死してしまい、王位と王妃キャサリンは弟ヘンリーがそのまま受け継ぐこととなり、やがてヘンリー8世として即位します。皇太子アーサーはかなりの美男子で繊細な心の持ち主だったようです。喜んでイギリス王家に嫁いできたキャサリンが、弟ヘンリーを見てこんな大男と結婚するの!と思ったかどうかはわかりませんが(笑)それでも最初のうちはまあうまくいっていたようです。もしキャサリンが男の子を産んでいればヘンリー8世は愛人を作って多少浮気をしても王妃はスペイン王女、りっぱな跡継ぎもいるということでイギリス王家は平穏無事、才能溢れる立派な王様ということで後世に語り継がれたでしょう。でも王妃が死産と流産を繰り返し、結局無事に育ったのが女の子1人だけだったというのが悲劇の始まりでした。ヘンリー8世王位につき、兄アーサーに負けない立派な王になる資質を備えていました。でも後継者となる男の子が生まれない限り前の時代と同じ抗争を繰り返してしまう、後継者を残さずに死んだ兄と比べても男の子さえ生まれれば望むもの全てを手に入れたことになる、その思い込みがものすごく強かったのでしょう。王という最高権力者になっても後継者がいなければすべて水の泡、どんな手段を使っってもという強迫観念が、最初の王妃と離婚し、カトリック教会と絶縁してイギリス国教会を作り、2番目の王妃となったアンに男の子ができないとすぐ気持ちがさめ、不義密通の汚名を着せて処刑・・・映画で描かれたヘンリー8世の残酷な行いはすべて後継者を欲しがったため、さらには栄光をすべて手に入れていたかのように見えた兄へのコンプレックスだったのかもしれないと思うと複雑な気持ちです。ヘンリー8世、絶対に好きにはなれない歴史上の人物ですが、そういう屈折した性格になってしまう背景を考えるとわかる気もします。そしてヘンリー8世とキャサリンの娘メアリーが女王になった時、これももう母の仕打ちに対する父への恨みがプロテスタント弾圧と結びついてものすごく残酷なことをしています。恨みを持って死んだ本人は母キャサリンのはずなのにメアリーはそれを百倍くらい増幅させて復讐している、権力者が恨みや復讐の心に一度取り付かれたらどれほど恐ろしいかの見本を見るようです。ヘンリー8世もメアリーも、背景を知ると気持ちはわからなくもないが、でもやっていることの残酷さを考えると絶対に好きにはなれない歴史上の人物です。兄アーサーが長生きしていたらヘンリー8世の人生はまったく違ったものになっていたかもしれませんが・・・
2008年11月17日
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「ブーリン家の姉妹」を見てきました。出演者も衣装や舞台背景の建物などもみなゴージャスで2時間ほどの映画とは思えないほど見ごたえがありました。終わった後しばらく頭がクラクラして立ち上がれなかったほどです。でもあまりにも遠くかけ離れた世界という感じで登場人物に感情移入するということはあまりなく冷静に見ていました。ヘンリー8世、世界史で習った知識では私の中でかなりイメージの悪い王様それがヘクトルのエリック・バナが演じることでどう変わるかと期待したのですが、やっぱり最終的に嫌いになりました(笑)でもその時々のヘンリー8世の感情の変化などはかなり納得できましたので、丁寧ないい演技だったと思います。後からパンフレットを見て知ったのですが、ヘンリー8世の最初の王妃キャサリンはスペインの王女でした。最初に結婚したのはヘンリーの兄アーサーの方で、兄王が後継者を残さないまま病死したので王座と王妃がそのまま弟のヘンリーにまわってきたという感じで、なるほどこれなら最初の王妃キャサリンにはあんまり愛情を感じられないだろうし、かなりのインテリで武芸にも優れていたというヘンリー8世が屈折した性格になったのも納得できました。ブーリン家の姉妹の父と叔父(この2人が本当に野心と欲望の塊のようないやなヤツ)は最初美しく再起旱魃なアンを宮廷に入れようとし、やさしい妹のメアリーは裕福な商人と結婚させていました。でもメアリーの方が王様に気にいられて侍女として宮廷に上がるよう命じられたので作戦変更、彼女を差し出すことにしました。姉のアンやメアリーの夫も宮廷での地位を与えるからと一緒に、今の感覚ではメチャクチャなことやっているように思えますが、それが当時の王様としてはごく普通のことだったのでしょう。エリック・バナ演じるヘンリー8世、メアリーと話をする場面なんかはとてもやさしそうで、けっこういい人だったのかもしれないと一瞬思ってしまいました。彼が本当に愛したのはメアリーだけだったのかもしれない、でも彼女が妊娠して安静のため寝込むようになると王の心は急速に離れてしまいます。キャサリン王妃が私産と流産を繰り返していたので、子供が無事生まれない、健康でない女性をうとましく思うようになったと気持ちはわかるのですが、やっぱりこういう男は嫌いです。いくらゴージャスな衣装を着て誠実そうなエリック・バナが演じていても(笑)さらに愛するメアリーの一大事に姉のアンに興味を持つなんて、とヘンリー8世のこと加速度的に嫌いになるのですが、ブーリン家の父と叔父は今度はアンに白羽の矢を立て、王の心をつかむよう言います。アンもそれこそが自分の天職とばかり恋愛テクニックを駆使して王の心を引き付け、ついにはキャサリン王妃と離婚して自分を王妃にしてくれとまで言い出します。今までいくら愛情がさめていてもスペイン王女の王妃がいる限り他の貴族たちは娘に王妃の地位など望まず愛人で満足していたのでしょう。いくら王が浮気っぽくても最初の王妃との離婚さえなければイギリス王室は安泰だった気がします。それが拒絶されて頭に血が上った王様、後先のことを考えずに無理やり離婚し、反対したカトリック教会から離れて聖職者を殺してと、権力のある立場だけにメチャクチャなことをして歴史を大きく変えてしまいます。それほどの事件を起こしたアンとの恋愛ですが、この映画で見る限りどうも心の底からアンを愛して前の王妃と離婚したというよりも、拒絶されて王としてのプライドが傷つけられたから無理にでも結婚して手に入れたという感じなのです。だからようやくアンを手に入れた時のヘンリー8世の表情は苦労して手に入れた獲物を食い尽くそうとする獣のようで、メアリーに見せた穏やかな表情とはまるで違ったいました。そしてそんなにまで苦労して手に入れたアンから生まれたのは女の子でヘンリー8世の愛情は急に冷めてしまいます。いや、元々愛情というよりプライドを優先する人なので、世継ぎの男の子が産めない女には興味がないということになってしまうのでしょう。そしてアンは、妊娠、出産を通して精神的に不安定になります。出産前後は何の問題もない普通の人でも感情的になったり落ち込みやすくなるもの、ましてプライドが高く王妃の座にまで登りつめたアンが追い詰められてエキセントリックになるのはよくわかります。そして流産、不安定な気持ちの中つい弟や周りにいる男の人と話したくなるのも仕方がないと、それが彼女をよく思っていない人にちょうどよいスキャンダルのネタを与えてしまって、最後の方は本当にかわいそうになりました。ヘンリー8世にとっては、手に入れて王妃にした時から恋愛感情は冷め、世継ぎを産めないなら役にも立たず、プライドをかけて多くのことを犠牲にして王妃にまでしたアンに不義密通の噂があれば、プライドはさらに傷つけられいっそうのこと殺してしまえと思うのも無理ないことなのかなと思いました。メアリーへのかすかな愛や思い出よりも王である自分のプライドを傷つけ将来を台無しにしたアンへの憎しみの方がはるかに強くなり、疑わしき者はまとめて処刑、王様が絶対的な権力を持つ時代の恐ろしさです。権力者にとってはプライドこそが何よりも大事なのかなあと思いました。そのまきぞえをくった姉妹の弟ジョージは本当に気の毒です。この映画ではヘンリー8世を始め姉妹の父や叔父などプライドや権力欲にとりつかれたおぞましい亡霊のような男ばかり出ているのですが、ただ2人メアリーと結婚した2人の夫は人間として一番まともだなあと思いました。妻が王の愛人になって自分も宮廷に行き出世する、男としてはさぞかしおもしろくない立場で、王様と妻が話をするたびに辛そうな顔で見ている姿が痛々しく見えたのですが、それでも最後までメアリーを愛し守ろうとしている姿に感動しました。私は最初この夫役は1人だと思ってずっと見ていたのでどこで2人目に入れ替わったかわからず、パンフレットを見て最後に結婚したのはそんなに金持ちの男ではなかったのかと驚いたのですが、この地位もお金もなく、見た目も地味でぱっとしないメアリーの夫こそ、人間として一番大事なものを持っていると感じ、最後のシーンで涙ぐんでしまいました。
2008年11月12日
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漫画全16巻を読んだ勢いで、外伝も読んでみました。漫画と同じ作者が書いた小説で、美しい挿絵もたくさん入っているので楽に読むことができます。物語はヒッタイト帝国の2人の皇子、カイル皇子とザナンザ皇子がそれぞれ14歳と13歳の時の話です。漫画でおなじみのキックリとイル・バーニも登場してキックリ13歳、イル・バーニ16歳となっていました。キックリなどはカイル皇子より1歳年下とだいたいイメージどおりでしたが、イル・バーニは5歳くらい年上と思ってずっと漫画は読んでいたので、意外と若いのね(笑)とちょっとびっくりしました。その年、カイル皇子の母ヒンティ皇妃を始めとして何人もの王の側室が暗殺されるという事件が起き、2人の皇子がその犯人さがしをするというストーリーになっています。漫画を読んでいればすぐに犯人はわかってしまうし、小説だけでも早いうちに誰が怪しいとはっきり書いてあるので、誰が犯人かと推理するよりも2人の兄弟の成長や周りの側近の少年達との関わりを楽しむ物語でしょう。特にザナンザ皇子については母の身分が低いため皇子として生きるよりも兄の側近になろうとしていたことがわかり、ぐっときました。カイル皇子は14歳のこの小説の時点ですでに何人もの女性のところに通うプレイボーイですが、ザナンザ皇子はひたすら兄の役に立てるようまじめに武芸や勉強に励んでいて、なかなかいい感じです。そしてこのザナンザ皇子に対して、側近なら自分達がいくらでもできるからあなたは人の上に立ちカイル皇子と肩を並べる人間になりなさいと進言する側近の少年がまたとてもよいです。それにしても、小説や漫画では13,4歳の少年というのは本当に美しく書かれています。実際にこの年齢の男の子というものは、親には反抗的で怠慢で、運動系クラブに入っていればいつも泥だらけになって帰って来て、髪の毛なんて丁寧に洗ってないからサラサラで風になびくということは絶対になくて、弟はいじわるするかこき使う存在と考えていたりと、およそ美しいトコないのですが(笑)小説では正反対に書かれていてもうっとり夢にひたれるから不思議です。
2008年11月08日
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15巻と16巻、最終巻まで読み終わりました。友人が15巻がいいと言っていたのですが、本当に15巻はかなりショックを受け、そして泣きました。でも読んでない方は最後の方だけというのではなく、ぜひ1巻から順に読んでください。前の方の伏線を知っていてこそ泣ける15巻ですから、そして今回少しネタバレっぽいことを書いているので、これから読もうという方はあまりじっくり読まないで下さい。14巻後半から始まった美形の神官ウルヒと書記官イル・バーニの対決はこの15巻でクライマックスを迎えます。この漫画、他の人の感想を読むと主人公のユーリに共感し、カイル皇子、ザナンザ皇子、ラムセス、ルサファなどの人気が圧倒的に高いのですが、ヒネクレ者の私は途中から悪役ナキア皇太后様に共感し、その手助けをするウルヒと対するイル・バーニに注目してしまいました。14巻でイル・バーニはこれが最後のチャンスとばかりに陰謀をめぐらせてウルヒを捕え、ナキア皇太后の悪事を暴こうとします。もちろんイル・バーニにとっては帝国のため、皇帝のためという大義名分があるのですが、やり方はかなり卑怯です。ナキア皇太后に仕えるウルヒは彼女の息子ジュダ皇子をとてもかわいがっていました。血の繋がりがなく、自分自身が絶対に望めぬとわかっている人の子に対する愛情、これはもう普通に血の繋がった親子よりはるかに強く純粋だと思いました。皇太后のためなら人を殺し悪事を働くことなどなんとも思ってないウルヒの、だからこそ彼のもっとも美しい部分であった皇子への愛情をイル・バーニは利用し、彼はそれにひっかかってしまいます。そして15巻で明かされるウルヒの壮絶な過去、敵役をここまで印象的に書いてしまっていいのだろうかと思いました。私の予想は外れてましたが、だからこそ彼はあんなにもジュダ皇子を愛したのだとものすごく納得できて泣きました。人は決して手に入らぬとわかっているものを時に強く求めてしまい、その求める飢えや渇きの激しさの前では普通の価値観や倫理観などは吹き飛んでしまうと感じました。自分が求めて止まないものを持つ相手を深く愛し、その相手の理想のためには自分の命を差し出してしまう、ウルヒとシュダ皇子の間にそんな関係をみつけました。愛というのは純粋で一途であるほど他のものの命などどうでもよくなるようです。歴史の中でそういう一途な心を持ち、かつ歪んだ環境の中で育てられた者が最高権力者になってどれだけ残酷なことをしてきたか、でも主人公の側にいて正義の名でウルヒを捕えたイル・バーニの方も見かたを変えればかなり残酷です。一途な愛情を利用してウルヒを捕え、必要なら嘘の噂を撒き散らして皇子の皇位継承権を奪おうとします。そうはさせまいとするウルヒの行動、15巻は映画かドラマを見ているような迫力と緊張感がありました。まあそれでどっと疲れて16巻は軽く読み流してしまいましたが・・・最後の方は本当にこの2人が主人公という感じで読んでしまいました。ウルヒと並んでイル・バーニも最も注目する登場人物になってしまったわけですが、これはヘファイスティオンの影響もかなりあると思います。王のためには自分の手を汚し悪魔に魂を売ったかのような残酷なことをする側近というポジションはさんざん悩んでその心理状態を考えてきたので、そうした人物につい注目してしまうわけです。同じようにウルヒについても、自分が書こうと一生懸命調べたある人物との共通点があるからこれほど感情移入して泣いたわけで、この漫画を若い時に読んでいたら普通に王子様達に憧れていたと思います。16巻の最後の方は外伝で孫の世代について別の話が書かれていたのですが、名前や顔でこの人はこの人の孫、あるいは子供で名前の由来はここからきているのだろうとあれこれ考えるのが楽しかったです。それから名前といえばアレキサンドラ姫の弟、この国はギリシャ風の名前をみんなつけているのでしょうけど、ぽっちゃりとしたかわいらしい王子様の名前がレオニダスだったこと、この名前はもう聞いただけでジェラルド・バトラー様のあの顔が浮かんでしまって思わず笑ってしまいました。
2008年11月04日
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12巻から14巻までを読み終わりました。後半はエジプトとの戦いでラムセス、ネフェルティティなど知っている名前も多く出るのでかなりの勢いで読みました。主人公の命を狙う悪役ナキア皇太后様が、同じように外国から嫁いで絶大な権力をふるうようになったネフェルティティ(この漫画では彼女も悪役)と手を組んでしまいます。敵であるはずのエジプトの将軍ラムセス(後のラムセス1世)と手を組んだり、カイル・ムルシリ皇帝のすぐ側にスパイがいたりと敵味方がかなり入り乱れて複雑になります。大きな戦いや複雑な陰謀の多い中、とってもほのぼのとしたエピソードもありました。側近の1人、誰よりも真面目で純朴そうなキックリが恋をして、皇帝や年上のイル・バーニ、たくましくハンサムぞろいの隊長達をさしおいて一番先にパパになるのです。しかもとんでもないドジを踏んで(笑)・・・こんな間違い、現代社会なら絶対許されないでしょうがそれは古代の話、うまいぐあいにまとまって、戦いや陰謀の中で一息いれるいい場面を作っています。しかし14巻の後半、それまでのヒッタイトとエジプトの戦いや、キックリほのぼのエピソードなどがすっぽり忘れられてしまうほどの衝撃的な展開がありました。ナキア皇太后の手下となってそれまで散々悪事を働いてきた美形の神官ウルヒを捕えるため、書記官のイル・バーニが大きなかけにでるのです。美形の神官ウルヒと同じく美形で頭のよいイル・バーニは最初の方から私はかなり注目してきた登場人物でしたが、ここにきて剣を使った戦場とは別のすさまじい戦いをこの2人の美形が始めます。もともとイル・バーニは理想のためには多少の犠牲は仕方がないと考える人でしたが、ここではさらに国の安定のために自分の良心すら捨てているのではないかというような行動をとります。ナキア皇太后の1人息子ジュダ皇子に対して、彼自身は純粋で兄カイルを慕う14歳のとてもいい子なのですが、母に操られている魔力から解き放つために拷問まがいのことをし、さらに彼を利用してウルヒを捕え、皇太后の悪事をすべて暴こうとします。罪のない皇子を利用し、さらに彼にとっては自分を愛し慈しんでくれた母とその側近を追い詰める片棒を担がせる、いくら正義のためとはいえ、1人の少年の心をズタズタに引き裂くようなことをするのです。それまでこのイル・バーニという人物がけっこうお気に入りだったので、これはかなりショックでした。歴史の登場人物が、映画で見て憧れていたのとは違うひどいことをやっていたと知ってショックを受けたことは以前にも何度かあります。映画「アレキサンダー」でのヘファイスティオンとカッサンドロス、美形俳優の演じたこの2人には主人公以上に夢中になって見ていたのですが、それだけに後でヘファイスティオンがフィロタスに対して自分が率先して拷問を行ったこと(幼馴染の彼に助けてくれと懇願されたにもかかわらず)カッサンドロスがアレキサンダーとロクサネの間に生まれた少年を12、3歳で殺したという事実を知った時にはショックで寝込むほどでした。ほどほどの人が演じていたらそれほど夢中にはならなかったと思うのですが、2人ともかなり美形で自分好み、夢中になっていろいろ調べている時に、自分として絶対にやって欲しくないこと、無抵抗の人間や子供を拷問したり殺しているわけなので、その理由を自分なりに見つけて納得するまでにかなり時間がかかりました。まあそれでもヘファイスティオンやカッサンドロス、そしてフィロタスは歴史上の人物で一番好きな、というか共感できる人になりましたけど。同じことをイル・バーニもやっているわけで、これはまあかなりショックです。でも歴史の中で似たようなことはいくらでも行われているし、特に王位継承の争いがあれば幼い王子であっても情け容赦なく殺すというのが現実です。だからこういう場面が出てきたことで逆に漫画の世界にリアリティを感じて、ぐっと魅かれました。弟思いで優しい性格のカイル皇子には絶対できない闇の部分(それに漫画でのヒーローが読者を戸惑わせ反感を買うようなことをするわけにはいかない)その行為をあえて行ったイル・バーニ、献身とはこういうことではないかと強く感じました。この漫画で一番好きな登場人物はイル・バーニになるかもしれません。貸してくれた友人から「どーしてそっちにいってしまうの?他にもっといい登場人物いるでしょう」と言われそうですが、やっぱり私、王のためには自分の命だけでなく良心や価値観まで捨てる覚悟で仕えている側近という立場の人が好きです。
2008年11月02日
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