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♪ 黄道を南に渡る地球号船はまもなく北回帰線 久し振りの染色。手始め経糸がコットン、緯糸がウールのサンプル用のストールを染めた。酸性染料とスレン染料で染めるのに、経糸の綿糸がスレンで薄い色にしか染まらず何かおかしい。 試しに経緯糸共コットンのものを染めてみる。やっぱりうまく染まらない。糸を燃やして確認しているので綿100%なのは間違いないようだし、念のために織元に確認しても間違いなかった。湯通しして染めているし製錬まではしていないが、過去の経験でこれで大丈夫のはず。経糸がコットン、緯糸がウール絹もスレンで染められないこともないが、ここは敢えて二種類の染料を使って二度染めにした。 ふと気が付いた。ハイドロがいかれているんじゃないか? かなり古いのでその可能性大だ。新しいハイドロを使ったらちゃんと染まった。久し振りのことで、そんな基本的なことに気づくのが遅い。絹は染めていたが、綿素材の染色をしばらくしておらず、絞り染めそのものもずいぶん久し振りのこと。要領が掴めるまでちょっと時間が必要だった。 2色の染め分けと決めて配色も決めてあったが、加工方法と生地との相性が問題で、初めての生地は染めてみないと分からない。1色目で思い通りに染まらなかったので、2色目で加工方法をアレンジしてなんとか染め上げた。 フリンジを整えてようやく終了。継続してやっていないことと、年を取ったことでいろいろな不都合が現れて来る。先日、ウォーキングで転んだこともそうだ。情けないったらありゃしない。 80の峠を越えると、身体能力が転がり落ちるように低下していくらしい。80の半ばになればもう限界が近い。☆ きのうの夕方、アランがまた何かを捕まえて家に中に持ち込んだ。台所で、ドタバタと走り止りを繰り返している。見ると小ネズミの子ネズミで、いかにも小さな鼠を弄んでいる。小さいので一溜まりもないだろうすぐに死んでしまい、お釜の台の奥に入り込んだ(自分で放り込んだ)ままどこかに行ってしまった。可愛い顔してるのに・・。それにしても、掌のなんとしわしわなこと。 一体どこで捕まえて来るんだろう。以前はジムグリとか青大将とか、ヒバカリなんていう蛇がいたりした。造成されて環境は変わってしまったものの、まだ生息できているらしい。☆ 10月はあっという間に過ぎ去った感じ。もう間もなく11月。とてもそんな雰囲気じゃない。急に寒くなった北の国は別にして、この辺りは最高気温が20度を超えるひも多く、まだまだ暖かい。台風が発生するぐらいだから、海水温も高いのだろう。 車の後ろの扉が右開きなので開け閉めに邪魔になるとカミさんが言うし、この際部屋に取り込んでしまうことになった、パキラとドラセナ。 また部屋が狭くなった。来年はパキラに花を咲かせたいので、このまま剪定はせずにおくことにした。 * ウクライナ応援の思いを込めて、背景を国旗の色にしています。
2022.10.29
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♪ 難しき色を所望の賢婦人むらさき色の絹を好みて また白生地の染色を頼まれた。旧知の方の紹介でお二人でやって来るが、喫茶店が良いとのこと。パーキンソン病を患っていて、車の運転はできるものの補助具が無いと歩けないというので、椅子のある場所での打ち合わせを希望された。 一人の方の着尺2反だけかと思ったが、連れてきた本人も染めてほしいと2反差し出され、4反染めることになった。店内が薄暗く、照明も昼光色で赤みがあり、色見本が本来の色とは違って見えていたはず。どんな色目を望んでいるのかどういう使い方をするのか、詳しく伺っておいたのでイメージは掴めたので大丈夫だろう。 色の打ち合わせには結構時間をかけた。市会議員を20年も務めた女性で、絹の洋服ばかり着ている人らしく、この着尺を使って洋服を仕立てるつもりらしい。臙脂と紫を希望されている。70歳を超えているので派手な色は無理だが、かといって濃ければいいというものでもない。特に紫は難しい色だ。下手をすると下品になる。派手になると浮いてしまうし、赤味に寄せるか青味に寄せるかで雰囲気は大きく変わってしまう。 お金持ちなので手間はいくらかけても構わない。時間をかけて微調整しながらじっくりと納得するまで染めることになる。着尺は昨年も染めているので要領は分かっている。料理の味付けと同じで感覚がものを言うが、色合わせは得意だし、楽しんでやれそうだ。 嬉しかったのは好物の夏ミカンを頂いたこと。朝採ったばかりの新鮮なやつらしい。“まだちょっと早い” とのコメント付きだが、どうだろう。 いつものところからはまだ連絡がないが、今年はたくさん生っているのを確認してあるので、近いうちに連絡があるだろう。若い頃は、食後に1個をペロリと平らげて「食った~!」と、その醍醐味を楽しんだものだ。しかし、73歳にもなるとさすがにそれは無理。半分ずつ食べることになりそうだ。 * ウクライナ応援の思いを込めて、背景を国旗の色にしています。
2022.03.29
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♪ 身に沿わぬ服に手を入れ副わせれば価値やいや増す風船かずら‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 膝丈ハーフパンツ(カーゴパンツ風)があったので穿いてみたらあまり心地良くない。生地が薄くサイズが大きいので、腰回りも緩いし裾がヒラヒラぶかぶかして締まりがない。色が中途半端なブルーで、染料が悪いので変色しかかっていて如何にも安っぽい。そのままではジジイが穿くには気がひける。それで、普通はやらない方法でアレンジしてみた。 先ずは、スレン染料で全体を色替えし、裾を濃くぼかし染めにする。 本題はこの後だ。綿素材なので強アルカリに浸けると著しく縮む、「縮絨」というのを利用するわけだが、既成のパンツにやるとどうなるかは分からない。生地にもよるしアルカリの濃度や浸ける時間によっても変わってくる。アルカリに浸けた部分は色が濃くなるのを見越して染めるておく。それを絞り染めの技法を使って部分的に縮まないところを作るという寸法だ。 以前、Tシャツにやったことがり、その歪んだ形のTシャツを面白がって買ってくれた人がいる。テーブルランナーに応用してオブジェにしたこもある。それで、大体の予測は出来ているので、ぶっつけ本番でやっちまうことに。夏椿(沙羅双樹) アルカリは苛性ソーダを使う。スレンを染める時に使う、30g/ℓのかなり濃い水溶液に一気に全体を浸けこんでやる。瞬間に生地は縮絨し始めるので、絞り染めの2か所の間にも液が回るように揉み込んでやる。時間にして1分ぐらいかな。 引き上げると、ギューッと縮んだパンツは2/3ぐらいになっている。それを熱湯につけて苛性ソーダを洗い落とすこと3度。水洗では取れない。絞り部分の中にも入り込んでいるので、解いてから再び熱湯に入れて完全に落とす。 安物のパンツにわざわざこんな面倒なことをする人はいないでしょう。面白がっている方が大きいけど、上手くいけば他にも応用できる。やってみる価値はあるのだ。リメイクの出来上がり ヒップとウェストの一部分と腿全体を縮絨させるのが目的だった。2か所の番号(ボーダー部分)が防染して縮絨させていないところで、元の生地がそのまま残っている。裾のぶかぶかが直っていい具合になっているし、色もいい。穿いてみるとピッタリで、予想通り “穿けるパンツ” になった。 縮絨させない部分を作ってあるのがミソで、普通とはちょっと違った味を出して見たかった。なので、全体にやってしまっては意味がない。腿の部分にも作ろうと思ったがカッコ悪くなりそうな気がしたので止めた。 写真を撮っていると、アランが足元にまとわりついてきた。爪を立ててしがみ付き、嚙みついたりもする。遊びたい一心で、反撃してくるのを期待して・・・痛いイタイ。 痛い!イタイって。こらーッ、止めろ~! 止めろって。
2021.07.08
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♪ チェーンソーの音響き来る庭先に野鳥は何を察知するらん‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ いよいよ今朝から隣家の解体工事が始まった。まずは通り道を確保するため、庭木の伐採を始めたらしい。人の声に反応して外を覗いていたピピだったが、何かを察知したのかチェーンソーの音には反応せず、布団で朝寝を決め込んでいる。 餌台に来ていた野鳥もチェーンソーの音に驚いてどこかへ行ってしまったが、そのすきを狙ってヒヨドリが蜜柑を食べに来ている。 これから毎日、何らかの音が3月の末ごろまで響き続けることになるが、こんな音にも慣れてしまうのかも知れない。 手ぬぐいの追加注文があり、11疋×26枚 4柄で計286枚を染色中。スレン染料のブラックが無くなったので、新しく手に入れた「ブラック2B 」を初めて使った。何とこれがグリーンがかった色になって黒に発色していない。どうやら酸で発色させないといけない染料だったらしい。 このまま納品してしまおうかとも思ったが、どうも気が進まない。 次亜塩素酸ソーダで酸化させることが出来るというので、さっそく手に入れてテストしてみる。解いてソーピングも済ましてあるものは短時間で発色した。 それで、別の柄を染め、加工したままの状態でやってみると表面は発色しているのでソーピングも済まして、解いてみると中の方が発色してない。改めて酸化発色のやり直しと、二重手間になった。 酸化発色という手間が余分に掛かるこのブラック染料。酸化せずに済むものを使っていたが、それらは濃度を上げるには必要量が多いため高くつくので、工場では使わないらしい。それを知らずに以前のデータのまま染めたのでチャコールグレーのつもりがブラックになってしまった。 まあ、薄いよりはいいのかも知れないが、プロパーで納めているものなのでどうかなとも思う。在庫が切れていての追加注文なので、売り方で何とか誤魔化してもらう事にする。
2021.02.12
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♪ 好きなこと無い人もいて快晴の空を飛びゆく人工衛星‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 爺さまはずっと染色作品を創作してきたので染めに関してはけっこううるさい。先日、婆さまが、トレーナーが赤系の中途半端な色なので着られないから、濃い色に染め直ししてほしいと頼んでいた。時々そういうことをしているらしい。 普段着として安物を着ている婆さんのものは、当然ポリエステルとの混紡だ。化繊は染められないので、商品表示のタグを確認すると案の定、ポリエステル65%、綿35%ととなっている。綿が35%あれば全体のトーンを落とすことは出来るし、色目を少し変えることも可能と判断。染めの事なら進んでやりたいばかりの爺さまは、二つ返事で引き受けたようです。 綿35%分を染めるわけなので、染料も全体の重さの35%でいいわけだ。黒を掛けることにして染料を計算し、ぶっつけで染めてみると、まあまあ落ち着いた色になった様で、婆さまに見せるとOKが出たみたい。反対色を使ってくすませる手もあるけれど、微妙な加減が分からないので下手をすると汚い色になる。黒なら想像がつくので問題ないという判断は正しかったわけだ。 そんな事があって数日後、爺さまは続けざまにシルクの服の染め直しを頼まれていた。 極たまに、シルクと綿の混紡素材があったりするけれど、たいがいは金銭的な余裕のある方が高級品と知って買い求めるものなので、素材を疑う必要はほとんど無いので安心して染められる。 シルクは発色が良いので染めていても楽しいし、色出しには自信を持っている爺さまが最も得意とする素材らしい。染め直しでも何でも、その得意技が活かせるならやってやろうと思うらしい。 ただ問題は縫製の糸が染まらない恐れがあるので、依頼者にはそのことを伝えて了解してもらっているらしい。 最初のそれは、依頼者自身が「かぎ針で手編みした」というベストで、きれいに目が揃っている立派なもの。途中で一度業者に染めに出したこともあるらしい。ネックの部分の色が退色したものの捨てるのは惜しいのでと、持参して来たらしい。 以前、シルクの洋服の染め直しを頼まれて気に入って頂いたことがあって、その話を聞いて私に依頼してきたという。 濃い色か、黒で染めてほしいとのことだったけれど、黒はきつい色なので私の判断で、同系色で濃度を上げて染める方法を取った。 いい具合に染まって、今まで以上に絹の光沢が出ている。高級品にグレードアップしたようで、大いに気に入られたようで、爺さまも鼻を高くしていた。 もう一つは、着物を洋服に仕立て直したもので、明る目の色が合わなくなったので濃い色に染め直したいとのこと。色見本帳を出して相談する。色はそれぞれが頭に描いているものが違うので、言葉口だけで決めるわけにはいかない。例えば、濃い青といっても鉄紺も有れば群青もあるし、紫紺や那須紺ともなれば赤みが加わる。その濃度だって幅があるからね。 地紋の入ったしっかりした綸子の生地で、「本当にシルクかどうか分かりませんけど」というので、「それはないと思いますよ」と。頂いた大島が思ったより派手だったので云々、と話していたし、お金持ちの、一種のカモフラージュ的な謙遜発言だということは直ぐに分かったからね。 洗濯して色落ちがしても困るので、時間を掛けてしっかりと染めていた。スレも心配なので途中で裏返しにして染めたりもしていた。色出しは少し薄い目の色から染めていくわけだけれど、多めに溶いて余っても勿体ないので、やや控えめの色を作って先ずは染めてみる。それで足りない色目があれば、改めてその分だけ溶いて染め重ねていくという手順のようだね。 それで、最初に染めたもの色が、一発でだいたい思い通りの色に染まったみたい。爺さまはさすが、良い勘してるわ。 完全に乾燥させないと全体の雰囲気が分からない。もう少しくすませた方が良いかなあという思いも少しあって、乾いた段階で見てもらう事にしたらしい。 電話をしたらすぐにやって来て、「いいんじゃないですか」というのであっさりOKとなった。実はこの方は、2018年に洋服を染め直しして差し上げた方で、やや派手好みの人だとは分かっていた。あんまりくすませない方が良いのかなぁという気持ちも同時に持っていたので、案の定、このぐらいの色目で良かったというわけです。 やはり、縫製のミシン糸はエステルが使ってあって染まっていない。でも細い糸なので全く苦にはならない。その辺りの事も含めて、十分に満足していただけたようです。 染色で、色を思い通りに操るのはなかなか難しい。全体を染めるとなれば、一部分の色とは違って面積が大きくなる分、色の訴え方が違って来る。 先日、孫ちゃんに描かされたミニトマトの絵を本人に見せたら「すごーい」と一言いったっきり、それ以上はなんにも言わなかった。自分が絵が苦手なので、その話に深入りしたくなかったのだろうなぁ。 絵も染色も、色合わせは料理の味付けにも似てセンスが悪ければどうしようもない。持って生まれたセンスを経験で磨いていって、やっと才能が云々という事になるんだって、爺さまがいつも言ってる。 どんな分野だって経験がものをいうと言うんですから、孫ちゃんにはねぇ、遠い話だよなぁ。猫なんかには到底わからない、ややこしい世界ですわ。 このブログは8月22日より、飼い猫ピピの目線で書いています。タイトルの頭に ◇ が付いてますが一部例外があります。 日によって文体が違ったりしますが、そのうち一つの形に収斂していくと思いますのでそれまでは、未熟さを面白がりつつやり過ごして頂けるとありがたいです。
2020.11.24
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♪ 古蚊帳の染め色かさねや針の技 里にひかりの満ちし風景‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 布と針で素晴らしい作品を作る女性が久し振りに電話を掛けてきた。以前出品して大賞を取った「原田泰治の世界をキルトで遊ぶ絵画キルト展」に、今年も出品することになったので、また蚊帳を染めてほしいとの事。蚊帳を使うのは彼女独特のもので、そのユニークな作品には定評がある。 “友人に勧めているのに自分が出さないのも何だし、かと言って大賞を取っているのに落選するのもみっともないし” なんていろいろ考えてしまって逡巡していたが、もうそんな事も考えなくても良い年になったとも思えてきて、出品する決心をしたらしい。 “けっこう難しそうな作品を選んだような気もするが、貴女の染め次第でなんとかなるんじゃないか” と思っていると・・。 かなり部妙な色の諧調があって、単純に蚊帳を色に分けて染めるだけでは済まない。コピーには細かい注文が書き込んであるものの、実際にはどういう表現になるかはまだ分からないという。年も年だしあまり大きなものは作れないとのことなので、逆に彼女のテクニックが活かせるようにも思う。 2m四方の白い蚊帳を四等分して、取りあえず3枚染めて様子を見ることに。青みと赤みがある色が必要のようでもあるし、あと1枚は吟味して染める必要がある。 色合わせはバッチリできる自信があるし、色には絶対の自負を持っていて「わたし、失敗しないので!」と言って憚らない。何とか期待に応えられると思う。 手前のススキの部分は、白ではない黄土色の蚊帳があるのでそれも4等分し、微妙なむら染めにしてやろう。実物よりも良いものになっても構わないんでしょう?と、期待が膨らんで口が滑る。作品の出来上がりが楽しみだ。他人事ながらワクワクする。昨年の14回展で最優秀賞を取られた方の次回作とか絵本から題材とする絵をスキャンして拡大印刷。「花と野鳥と蝶との出逢い」より 印刷にA4用紙36枚、貼り合わせて型紙(制作用見本)にするらしい。大作をモノにするのは大変だ。[作品の受付期間] 2020年9月1日(火)~9月10日(木) 郵送または持参にて受付。[審査結果] 2020年10月末(予定)に通知。
2020.03.05
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♪ のびやかに生き延びている天然の素材は自分自身と思う‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 今日は、太陽が春分点(太陽が赤道を南から北へ横切る点)を通過する日なんだね。太陽は真東から出て真西に入り,理論上昼夜の長さが等しい。 ストールを染めるに当たって、春分にちなんでタテの染め分けもしてみたりした。 今回は、竹のレーヨンを織り込んだものを選んだ。初めて使うものだ。 「タテ糸」には、超高級エジプト綿 140/2を使用してある。(140番手双糸のこの糸は、超高級のドレスシャツや超高級羽毛布団の生地を織る熨斗使用される高級糸) 「ヨコ糸」に、中国四川省で育てられた慈竹、雑甲竹を原料をビスコース製法で作られたバンブーレーヨンを使用している。クラボウが開発し、「凛竹」という名称で提供されているもの。竹は成長が早く、2~3年でバンブーパルプの原料として使える上、土に還るエコロジー素材として世界でも注目の素材。 出来栄えを見るために広げて干したが、実際の完成形は楊柳の様に皺を寄せてある。最初からそうしておいた方が使いやすいだろう。どうせ使っているうちにこうなってくる。 バンブーレーヨンは、吸放湿性に優れ、汗や水分を吸っては放出してくれるので、ムレにくくべとつかない。ストールには最適な爽やかで着け心地のいい理想的素材。試験方法:自社基準による吸放湿性試験 風合いもソフトで、柔らかい肌触りによるしなやかさがあるソフトドレープ素材。バンブーショールの製織工程で、タテ糸に糊剤を使わないため環境にもやさしいものになっている。 「今治タオル」でも、「竹フェイスタオル【竹織物語 凛竹】」として、吸水性と抗菌性を活かしたものが作られている。パイル部分にバンブーレーヨンが100%使われている。 竹そのものの繊維の流行が04年だとすると、バンブーレーヨンの流行は一足早かった。03年7月に野村産業(愛知県一宮市)が竹を原料にしたセルロースレーヨン繊維を含む糸と、その糸を用いた布帛(織・編み物)の国内製造特許を取得。同社と東レ、クラボウ、日本毛織の4社が、12月にバンブーレーヨン素材の品質を保証する「竹マーク」を新たに設定したことで一気にバンブーレーヨンの知名度が高まった。 今回はこの素材の他に、「タテ糸にスーピマコットン 50/2、ヨコ糸にバンブースラブ1/20(国産糸)使用の、少し厚手の房付きショール」も染める。 これもタテ糸に高級綿糸を使用しているので発色の良いものになるだろうが、全体の混率がバンブー55%、綿45%なので、今までずっと染めて来たコットン100%のものとはまた違う感じの仕上がりになるだろうと思う。 面倒なんて思っては身もふたもない幾つかの作業を重ね、色を染め重ねていくのはとても楽しい。絞り染めは場所を取らないというのもいいが、最後に糸を解いて見るまで結果が分からないというところも気に入っている。 たまに失敗もするが、それがまた次に繋がっていく。様々な感性を総動員して作り上げる工芸の魅力は、いくらやっても尽きることはないね。
2019.03.21
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♪ 木の実にも化粧してやる色恋の失せゆく日々に春のささやき‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 先日拾ってきたモミジバフウ(アメリカフウ)。そのままでは当たり前すぎるので、得意の染色技法を活かして色気のある姿に変えてやった。 地肌が茶色なのでビビッドな色にはならないが、黒、赤、緑、青、ピンクそれぞれに個性は出たようだ。 スッピンそのままではいかにも愛想がない感じ。馬子にも衣裳、木の実に化粧。煮染めなので、殺菌の煮沸消毒をしたのと同じ効果があり、顔料系の染料被膜も手伝って、腐食による経年劣化も押さえられている。 最初はこんな風にアクリル絵の具を塗ってみた。複雑な形をしているのでとても手間がかかることに塗って気づき、即やる気をなくした。 ユニークな形をしているモミジバフウの実。とげとげしくてとても固い。何ゆえにこんな姿を選んだのだろうか。動物の毛などにくっ付いて運ばれるのを想定? ちょっと納得がいかない。 姿が、今年大流行中の麻疹(はしか)ウィルスによく似ているが、こっちは決して悪さなどしない。麻疹ウィルスのイメージ図 手に入る実はすでに、中の種が落ちて空洞になっているが、この種をマヒワ、カワラヒワなどの小鳥が好んで食べるらしい。 実を啄んでいるマヒワ。 木に生っている間にも食べるし、下に落ちて散らばっている実も格好の餌になるようだ。
2019.03.07
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♪ いつしらに二月となりしこころはやさやに逃げゆくきさらぎの日々‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 京都の友禅作家「玉村 咏」氏が、名古屋で初個展を開いているので観に行って来た。いつだったか、友人のつづれ織り作家の紹介で訪れた、京都文化博物館での個展の折に一度会ったことがある。それ以後、毎回DMを送って頂いている。DMは、裏にコメントを認めた12枚の写真が同封され封書で送られてきた。 右は裏面に書かれている文章(拡大します) 会場は、センチュリーホールのある国際会議場。第一回国際絞り会議のレセプション会場になったところで、もう16年ほど前になるがとても懐かしい。2号館1Fの会場に行き、受付で記帳を済ませて観覧。 少しして、私の名を告げながら玉村さんが近づいてきたので驚いた。会ったのはずいぶん前で、それも一度切りなのに顔と名前を覚えているなんて、信じられない。 それを言うと、「芳名帳に記帳されたのを見たので、分かりました。」という。「でも、顔は覚えてないんじゃないですか?」と言うと、「その都度パソコンに入力してますから。」「吉田さんと一緒に来られたんですよね。」その時のことを入力してあるので分かったというのです。「そうだとしても、私だったら先ず無理ですね。」「顧客名簿には9,000人からの登録がありますが、入力のお蔭で分かるんですよ。」 私の友人の吉田さんとの付き合いがどの程度なのか、よくは知らないが一緒に行った時の印象が深かったのかも知れない。 来客との冗談を混ぜながらの気楽な雰囲気の接待、商売っ気を出さないフレンドリーな対応に好感を持ち、ファンも多いらしい。写真を撮っても良いかと聞けば、「どうぞどうぞご自由に。変なことやっている人がいると、警察に通報しても構いません。」なんて冗談も返って来る。「男の方は珍しいですね。」と、夫婦連れのご婦人に声を掛けられた。「私も染色をやってるもんですから。」「絞り染めですけど、色にはとても興味があるんです。」「有松絞りですか?」なんて、必ず聞かれるのをサラッと交わしながら、口から出て来る言葉をいつもの様に自由に泳がせて、しばしの立ち話。 長年にわたる友禅技法はさすがに洗練されていて、その表現の幅も広い。ぼかし染が得意なだけあって随所に見られ、色への思い入れと配色も相俟って美しい。名古屋友禅とは違う、京都の底深い伝統文化のかおりが会場に満ちていた。「いよいよ名古屋友禅へ殴り込み、ですね。」というと、「皆さんそうおっしゃいますが、そんなこともないんです。」と、意外に自然体で気負ったところがない。1号、2号館の前広場のベンチにはカップルなどが、祭日の午後をのんびり楽しんでいる。神宮前駅からの経路は、熱田神宮を横切り、堀川を越えていく形になる。向こうに見えるのが国際会議場。 せっかくなので、帰りは熱田さんの神殿に立ち寄って参拝。 ずいぶんの人出で驚いたが、思えばまだ睦月の半ば。年が明けてから二週間しか経っていないなんて、とても信じられない。何故だか、気分はもう2月に入っている感覚で、時間よりもかなり先を行っている感じ。 名古屋ではこの日が成人式だったのか、振袖姿もちらほら。剃り込みを入れた金髪で派手な袴姿の、蓮っ葉な連中もうろついていた。あんな輩でも神様は気になるらしい。
2019.01.15
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♪ 女色には発揮できざる色覚の才を自負して染めに生ききぬ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 昨夜、面白い電話があった。ベテランのパッチワーク作家の知人が、回顧展に近い様な作品展を地元・付知の「熊谷榧つけちギャラリー」でやっている。その作品を見に来た人が、口々に「布の色がいい」といって作品よりも布を褒めるので困ったと。「自分で染めたんですか?」と聞かれるので、「知多に住む染色家に染めていただいたんですよ。」と、何度も説明させられていると、電話口で大笑いしている。「自分そっちのけで、孫ばかり褒められているって感じかな」と私。 ずいぶん前の作品なので創った本人には新鮮味がなく、その目の前で起こっていることに微妙な心持で対応しているらしい。 それらの作品は古い蚊帳を使ったもので、彼女が当時、かなり入れ込んで集めて大量に所蔵していた。しかし、そのままでは使えない。それで、染められないものかと私に相談してきたのだった。素材は「麻」なので発色も良いし、良い色に染まるのは間違いない。「色」には自負を持っているし、良い色に染める自信もあった。グループ展も一緒にした仲でもあるし、二つ返事で引き受けた。 古い蚊帳は糸が傷んでいて、いじれば細かい糸くずが止めどなく出る。それを染めてソーピングする段になって、大量に遊離してくるので困った。洗濯機で回して排水すると底に大量に溜まる。二三度それを繰り返すが、留まるところを知らないので適当に切りを付けるしかない。 そんな難儀なことをしながらだったが、何色にも色を分けて染めては送る。使い切ると次の蚊帳が送られてきて、“今度はこんな色が欲しい”と、当然のごとく新たな注文も付いてくる。一体どれだけ染めただろうか。鳥のねぐら「第一回原田泰治の世界をキルトで遊ぶ絵画キルト展」 大賞受賞作品「とうちゃんのトンネル」 その甲斐あってか、次々に作品を発表して公募展にも入選入賞を重ねて行った。「ミセス暮らしを綴るキルト展」では優秀賞を受賞し、審査員の山本容子にも「染めがいいですね、自分で染めるんですか?」と、ここでも蚊帳の色を褒められている。 半具象表現は、数あるキルト作家作品の中でもユニークなもの。蚊帳だけを使って仕上げているというのも彼女独自のもので、類似の作品は見当たらない。最近は全く違う手法の作品が主流になっていて、その造形的なセンスに磨きがかかってきて、作品展を見るたびに驚かされる。 2012年10月にはニードルワークで似顔絵を表現。これがまた精緻な技術とセンスで、同級生の顔を見事に表現して見せた。 去年の3月には名古屋「ノリタケの森」で個展をやったので観に行って来た。雑誌・新聞の上にミシンでニードルワークを試みたりしている。最近は鬼をテーマに制作することが多いらしい。クリックで、2017.03.19のブログへ 彼女は、今はもう71歳になるおばあちゃんだ。私の年を聞いて「えーっ!私よりも若いんだっけ」と驚いて見せたりする。聡明さを懐深くしまい込んで、中津弁だかを丸出しでしゃべり屈託がないところが何とも心地いい。 久し振りに私の話題で持ちきりだったことを大いに喜んでくれ、今や中津川の特産品となっている「サラダコスモ」のモヤシを送って呉れるという。以前にも何度も送って頂いている、チコリとか各種モヤシの詰め合わせ。栄養の面からも注目されている「もやし」を楽しみに待つとしよう。 案内を貰っていてまだ行ってない今回の展覧会にも、是非行かねばと思っているところ。
2018.12.18
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綿のブルゾンの染め替えを依頼される。アメリカ製のビッグな防寒用。知人の画家が屋外で制作する時に着用している物。余りに派手で何とかならないかと言うので、染めてみることに。ちょっとボケた中途半端なショッキングピンクで、日本人にはなかなか着こなせないシロモノ。 なんでも娘むこのお下がりで、暫らく使っていたがどうにも落ち着かないということだった。 縫製の糸は染まらないことを承知してもらう。他にどの部分に化繊が使ってあるか分からないので、染めて見てのお楽しみと言うことで納得してもらう。 スレン染料で染色。何と、地色の赤が抜けてしまった。ハイドロで抜けるということは、直接染料か反応性染料で染めてあったらしい。堅牢度を考えるとチョット疑問が残るが、まあ良くあることなので納得する。 赤が染め色と混色されて予定の色に染まるはずだったが、赤味の無い色になった。 鹿の角(プラスチック)形のボタンとそれを止めるループも化繊のため染まらないし、幾つか付いている丸く赤いボタンもそのままで残った。ピンクの濃い色のループ・ボタンにエンジの配色では気持ち悪い。急遽、配色を濃い茶系でほんの少し緑がかった色に変更。 更に染色を重ねることで深みが出て、なかなか渋いいい色に染まった。縫製の赤い糸、ループとボタンの赤が絶妙なアクセントにいる。 元のものより数段オシャレな高級感のあるブルゾンになった。配色の勝利だな。 市販の縫製品を染めるのはなかなか勇気がいる。しかし配色を上手くコントロールしてツボに嵌ると、元のものよりいい物になるといういい事例。 本人も大喜びで、「着易かったので捨てるのは勿体ないと思っていた」と大満足の様子。 良かった!お駄賃は3,000円。安いもんだ。買えば1万はするんだから。
2006.02.13
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色彩の秋です。秋の色をもっとカラフルにして楽しんじゃいましょう。ドングリや松ボックリを染めてみませんか?詳しくはこちらをご覧下さい。特殊な染料で煮染めするだけです。以前体験教室で木の額縁を絞り染めしたのと同じ染料です。良く乾燥した天然の繊維質のものなら何でも染められます。濃い色に染めれば、クリのイガでもシイタケでも流木でもOKです。
2005.10.19
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ポリエステルのシャツの染め替えを頼まれた。通常では100度に近いほどいいという特殊な染料で染めなければならない。是がまた物凄く臭い。とても家庭で出来る染められる代物ではないのです。しかし最近では顔料で染めることが出来るようになり、楽になりました。先ず染める物を下処理をして、顔料が染着するようにしておく。顔料を溶解した常温の染液を用意し、それに染め物を数分間浸けるだけ。最後に顔料を固着させる為に後処理をします。濃度が薄い場合は是を繰り返します。あまり強い撚りの掛かった糸で織られた布は染まりにくいのですが、大概の物は良く染まります。この方法を使えば大概の布は染めることが出来ます。
2005.09.15
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