まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2007.12.04
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カテゴリ: NHK朝ドラ
以前の『ギャルサー』がまさにそうだったけど、

女の子の≪自我(エゴ)≫の描き方がとてもリアルです。

今回の『ちりとてちん』にも、その面は出てる。

このドラマには、
「A子」と「B子」というふたりの女の子が出てきますが、
当初、この「A子」/「B子」ってネーミングは、
いくらなんでも露骨すぎなんじゃなかと思ってました。
でも、じつは(ちょっと深読みかもしれないけど)、

過去の「NHK朝ドラ」に対する批判が入ってるのかもしれません。

そこにこそ、この脚本家の描こうとする、
リアルな女の子像ってものが意図的に設定されてると思う。

過去の朝ドラヒロインは、みんな「A子」だった。
いつも潔白で、偽りがなく、芯が強くて、めげない。
決して他人を疑うこともなく、思いやりを失うこともない、
そういう正しい女の子像。

そういう女の子が、色んな困難にぶつかっても、
意地悪な人達に囲まれても、決してめげずに、困難を乗り越えていく。
そして周囲の人たちの心までも変えていく。
そういう物語。

その子を勇気づけるだけじゃなく、
代わりになってでも乗り越えてあげるような、
優しくて、健気で、ひたむきなヒロイン。

そういう女の子像を通して、
人間本来の信じるべき正しさとか真心とかを描くのが、


ところが、今回のヒロインは「A子」じゃない。

B子。

むしろ、周りに勇気づけてもらったり、
慰めてもらったりしながら、やっと生きていく側の女の子。
しかも、
他人に勇気づけてもらったところで、
かならずしもその困難を乗り越えられるとも限らない。
場合によっては、いつまでもダメなままの子。
たいした困難があるわけでもないし、
これといって意地悪な人間が周囲にいるわけでもないのに、
周りはみんな良い人ばかりで、
環境だってそれほど悪いわけじゃないのに、

悪いのは本人だけ。
ダメなのも本人だけ。
弱くて卑怯なのも、まったく本人自身。

いろんな下心がある割に、
まったくもって意志が弱くて、
上手くいかないと、すぐネガティブになって、
何もかも周りのせいにする。
いわば、裏ヒロイン。

歴代の朝ドラを全部見てきたわけではないけど、
そういう女の子の≪自我≫のあり方を露骨に描いてみせたのは、
朝ドラ史上はじめてのことじゃないかと思います。

そのこと自体が、この作品のひとつのねらいであるように思えてきた。

そして、
そういう女の子像を描くのにもっとも適していたのが、
この、かつて『ギャルサー』を書いた脚本家だったんだなー、と、
今になって思えます。



今日の展開。

そんな「B子」の成長のために、
必要なのは、はたして「優しさ」か、それとも「厳しさ」なのか。

無限の愛情で包み込んでしまう母親。
「厳しさ」と「優しさ」との狭間で迷い悩む師匠。
「裏切られてこそ強くなるのだ」と力説する若い女性。
あれやこれやと「B子」を気遣う周囲の人々。
そして、4人4様のやりかたで立ち直らせようとする兄弟子たち。

けっきょく、
それらのすべての恩恵に贅沢にあずかりながら、
やっとこさっとこ、
しかも少しずつ少しずつ成長していくことしかできない、

それが、このドラマのヒロインなのでした。





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最終更新日  2024.06.20 17:41:21


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