まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2018.11.22
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テーマ: 新垣結衣(29)
けもなれ第7話。

このドラマのことが、
ちょっと分からなくなってきたかも…。

京谷の実家で、千春に加勢して、
息子たちに在宅介護を説得した流れも、

海岸で京谷に別れを告げた流れも、

5tapで、
タクラマカンから映画の話を聞き出して、
恒星の粉飾決済の事実を暴き出した流れも、


あまり丁寧な展開とは思えなかった。

とくに気になるのは、
話の全体的な流れが、
まるで 女が男に勝利する みたいになっていたこと。
もっといえば、
晶が《女の気持ちの分からない京谷》に決別する みたいな、
やや勧善懲悪的な展開になっていたこと。

もちろん、
これで京谷との関係が終わりになるとは、まだ思わないし、
京谷の実家のエピソードでさえ、まだ完結したようには見えない。


このドラマが、
たんに 京谷だけを悪者にして済む話 だとは思ってないし、
「獣になる」ということが、
たんに ジェンダー差別に打ち勝つこと

野木亜紀子が、そんな短絡的な物語を書こうとしてるでしょうか??



ここで、あえて前回の第6話をふり返ってみたい。

第6話では、
松任谷夢子が言い放った次のセリフに、
視聴者の共感が集まりました。

 どうして女の浮気は「だらしない」と言われて、
 男の浮気は「甲斐性」みたいに言われんの?!


これに多くの視聴者は「そーだそーだ!大笑い」と共感し、
反対に、京谷が口にした次のセリフには、視聴者の怒りが集中。

 いまの晶、可愛くない

これにはすかさず、
「ふざけんな京谷!怒ってる
「女はただ可愛くしてればいいのか!?
との反感が沸き起こり、

ネットのフェイクニュースも、
これらの共感と反感をとりあげて、拡散させていました。

でも、これは、
かなり反射的で、感情的で、一方的な反応にすぎないと思う。

たしかに、
「女の浮気はだらしない/男の浮気は甲斐性」
「可愛くて従順な女だけが愛される」
みたいな世間の風潮は腹立たしいものだけれど、

それがそのまま登場人物への批判になるとは思わない。



たしかに、一面では、
ニコニコ笑ってるガッキーを「気持ち悪い」という龍平と、
笑わなくなったガッキーを「可愛くない」という田中圭とを、
対比する意図もあるだろうし、

もしかすると、そこには、
「可愛いガッキー」というパブリックイメージに対する、
メタ批評的な意図さえあるのかもしれない。

男女が対等に扱われずに、
「イーブンか、女のほうが悪い、みたいになるのは納得いかない」
みたいなセリフを、あえてガッキーに言わせるのも、そのためかもしれない。

でも、
だからといって、
わたしは、このドラマが、
たんに 《女を見下している京谷=田中圭》 を悪者にする作品だとは思えない。







わたしはむしろ、
晶が言った次のセリフが重要だったと思います。

 呉羽さんにも 、ひとつ分かってなかったことがある。
 呉羽さんが思うよりずっと、恒星さんは呉羽さんが好き。


なぜ晶は、こんなふうに思ったのでしょうか?

呉羽は、
橘カイジに病気のことを打ち明けていたのに、
恒星には、そのことを話していませんでした。

呉羽のこの判断は、
恒星のことを理解すればこそのものだったけれど、
札束を準備して呉羽を助けようとした恒星にしてみれば、
自分が頼られずに、他の男が頼られていたことは、
とても腹立たしかったようです。

そして、晶から見れば、
その怒りこそ「恒星が呉羽のことを愛している証」だというわけです。

好きだからこそ、腹を立てる。

それは京谷も同じでした。
晶のことが好きだからこそ、京谷は晶に腹を立てていた。

べつに他の男と寝たことやキスしたことを、
世間的な基準で「だらしない女だ」と責めてるわけじゃない。
ただ好きだからこそ、嫉妬で耐えられないのだと思います。

ちなみに筧=吉村界人は一般論として「路チュウ」を非難していましたが、
京谷の場合は、そうではありません。そこを混同してはいけません。
むしろ京谷と晶は、かつて雨の夜に「路チュウ」していた当事者なのです。


そして、晶だって、
その京谷の嫉妬の気持ちは、痛いほど分かっていると思います。

だからこそ、
極限まで葛藤に追い込まれて、
まるで八つ当たりするように、
呉羽のことをなじりに行くしかなかったのですね。

そして、ただ呉羽に抱かれて泣くしかなかったのです。



京谷は言いました。

 相手の気持ちなんか分かんないよな。
 晶に俺の気持ちなんか分かんないよな。


恒星は言いました。

 分かってるも何も、知らないことだらけだよ。

でも、じつは、
晶も、京谷も、呉羽も、恒星も、
けっこう相手のことを分かっていると思う。

でも、
分かっていても、すれ違うのですね。
むしろ分かっているからこそ、
相手を思うがゆえに遠ざかってしまう。

かえって知らないほうが、意外と気楽に付き合えるのかもしれません。

恒星: 晶さんって、他人のことだとホント好きに言いますよね。
晶 : ハハ。 …まぁ、他人のことなんで。


もしもバカになれるのならば、
相手のことなど考えずに済むのかもしれません。

もしも獣になれるのならば、
相手のことを一方的に責めれば済む話かもしれません。

でも、
このドラマの登場人物たちは、
相手を分かりすぎるがゆえに、責めることができない人たちです。

その苦しさを全面的に描いたのが、第6話だったと思います。

だから、
たんに京谷ひとりを悪者にして済ますのではなく、
彼らの全員に、
何らかの展望を与えてほしいというのが、わたしの希望です。










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最終更新日  2018.12.06 00:56:47


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