まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2020.12.17
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芸術一筋だったはずの桜子と冬吾は、ブレまくってる。




笛子が、教師を辞め、
家族を犠牲にまでして冬吾の画業を支えたのとは裏腹に、

冬吾は、岡崎で結婚して以降、
画家としての先鋭的な感覚を失っていったし、
桜子も、味噌屋の若女将になると言い出して、
音楽への情熱をほとんど放棄してしまいました。


冬吾は、悲惨な現実に打ち砕かれて、
絵を描く意味すら見失ってしまったし、
桜子も、達彦とかねを亡くした喪失感のなかで、
なりゆきで教員を目指しはじめたりする。

ついでにいうと、
出戻り娘だった杏子も、
妻子を失った男と、両親を失った少女に、
まるで拾い物のような人生の意味を見出します。

和之は、育ての母でなく、産みの母のほうを選びます。



なんだか、とってもグチャグチャしてる。


「エール」みたいな凄惨な戦場シーンこそないものの、
人の心が壊れて、夢や希望がなくなっていくような、
深い闇の世界が感じられます。

戦争のなかで、
ただ生き延びることで精いっぱい。

テーマは定まらず、伏線も回収されず、
もはや誰ひとり「純情」でなどいられない。



そういえば、
第21週のサブタイトルは「生きる歓び」だったのですが…

空襲下の東京を舞台にした、
いちばん悲惨で悲劇的な内容だったのに、
この期に及んで 「生きる歓び」 とは、
なんという皮肉! ものすごいアイロニー!

この「歓び」とは、
目の不自由な亨ちゃんが、
無心になって世界を生きようとするときの、
根源的な生命力のことを指していたのだけど、

逆にいえば、
そういう刹那的な衝動以外に、
生きるための拠り所がなくなってしまった、
ということでもある。



教師は教職を失い、
画家は絵画を失い、音楽家は音楽を失い、
妻は夫を失い、母は息子を失う。
夢も希望も壊れてしまった後の世界。

そんななかで、
ムクムクと湧き上がる、
桜子と冬吾がたがいを求めあう道ならぬ感情。

なにもかもグチャグチャになった戦時下のなかで、
親子も、夫婦も、職業も、
すべてガラガラポンになっていく世界の、
善悪をこえた生への衝動?
理性をこえた暗い性への欲望?


笛子は、それに気づいています。






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最終更新日  2020.12.19 01:56:48


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