まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.06.28
XML
カテゴリ: NHK大河ドラマ
NHK大河どうする家康。第24回「築山へ集え!」。

案の定、
瀬名のぶちあげた 「慈愛の国」構想 に対して、
自称歴史通の視聴者から嵐のような批判が飛び交っています。

↓とくにFLASHの記事には数百件のコメントが。
築山事件 “新解釈” 脚本に違和感の嵐「ファンタジーすぎて興醒め」「歴史に敬意がない」
…まあ、制作側としては「想定内」の批判でしょうけれど(笑)。



わたしは、

かといって、
瀬名の構想がちっともファンタジーだとは思わない。

資料的な反証ができないのなら、
そういう構想が存在した可能性も否定できないと思う。
実際、ヤフコメを見ても、なにひとつ「資料的な反証」は見当たりません。

前の記事にも書きましたが、
「瀬名が悪女で夫婦仲が悪かったから夫を裏切ったのだ」
みたいな従来説のほうが、
はるかにアホっぽくてナイーブな解釈だと思います。


残虐な殺戮などを行ったならともかくも、
夫や主君に従わなかっただけで「悪女」呼ばわりするのは、
悪しき男性主義にもとづく不当な歴史観というべきです。





ここで、あらためて、
瀬名の構想をふりかえってみましょう。

瀬名、信康、千代、穴山の4名は、

我らのもとに集う者は、どんどん増えるに違いありません。
なぜなら、その大きな国は、
武力で制したのではなく「慈愛の心」で結びついた国なのですから。
いずれは織田様も我らのもとへ集うことになりましょう。
武田、徳川、織田、北条、上杉、伊達らが、
あらゆる事柄を話し合いで決めてゆくのです。
さすれば、戦のない世が出来まする。
日本国がひとつの「慈愛の国」となるのです。

…たしかに、ここだけを見ると、
まったく現実味のない理想主義的なファンタジーに思えます。

しかし!

じつはその前に、
瀬名と信康はこう述べています。
それらの国々が同じ銭を使い、商売を自在にし、
人と物の往来を盛んにする。
さすれば、
この東国に新たなる「巨大な国」が出来あがるも同じ。
そのような「巨大な国」に信長様は戦を仕掛けてくるでしょうか?
強き獣は弱き獣を襲います。
されど、強き獣と強き獣はただにらみ合うのみ。
にらみ合っている間にも、
我らのもとに集う者はどんどん増えるに違いありません。

たとえば徳川が天下を統一したように、

内戦状態を終結させるためには 勝ち切らなければなりません。
そして、勝ち切るためには圧倒的に強くなければならない。

ここで瀬名が主張しているのは、
そのために軍事同盟と経済協定を結び、
織田を上回る 「巨大な国」 を構築しよう、ということ。
そうすれば力の均衡が生まれ、さらに圧倒的な力で上回れば、
やがては織田も同盟に加わるほかなくなる、という話です。



一方、穴山は、
武田勝頼にこう語っていました。
率直に申し上げて、
戦い続ければ、先に力尽きるのは我らかと。
この策に賭けるほかに我らの生き残る道はありません。

つまり、
前線に立たされて分裂しかかっていた徳川だけでなく、
武田もまた、厳しい苦境に立たされていたわけです。

そこで、瀬名は、
そんな武田の苦境につけこんで、
対等な軍事同盟と経済協定をもちかけたのです。



苦境を強いられた国どうしが、同盟によって状況を打開し、
強大な敵に対抗しようとするのは、
きわめて現実的な選択であって、すこしもファンタジーではない。

そして、
その同盟が巨大になればなるほど、
必然的に戦争は躊躇されるようになり、
やがて圧倒的な支配による平和状態へ移行するのです。
そのために必要なのは、怨恨をのりこえた和合と経済的な安定です。

これこそが平和を達成するための現実的な道筋であり、
それはすでに世界各地の歴史において証明されていることです。





瀬名と武田方の密約が史実だと仮定した場合、
その動機についての合理的な説明は過去になされていません。

たんに「悪女で夫婦仲が悪かったから」みたいな理由だけで、
命を懸けてまで夫を裏切るとは考えられません。

むしろ「武田方との同盟を仲介した」という仮説のほうが、
よほど動機としては合理性があるように思えます。


▶ 瀬名発案「慈愛の国」「戦のない国」という戦国ユートピア構想をどう受け止めるべきなのか?(サライ.jp)





にほんブログ村 テレビブログへ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2024.06.17 19:27:02


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: