まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.11.06
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吾子眠る秋のドラマをミュートで観る 秋寒し家路につく朝千鳥足 秋のあさゲームしすぎて目が開かない 暗がりで骨の秋刀魚が睨んでる おはようの電話待つロンドンの夜長 夜食喰うもうない王朝を覚え 夜半の秋即席めんを鍋のまま
11月2日のプレバト俳句。
お題は「夜更かし」。




和牛水田。
暗がりで骨の秋刀魚が睨んでる
夜のシンク 骨の秋刀魚の目が白い
(添削後)
夜の皿や 骨の秋刀魚の目が白い (添削後)

先生は、
「才能アリor才能ナシの両極的な評価になる」
と言いましたが…

わたしも一読して面白い句材だと感じたし、
直すべきは助詞の「で」くらいだと思います。


擬人化を排して客観写生にしましたが、
個人的には擬人化もそのまま容認したい。

たとえば文語で、
暗がりに骨の秋刀魚の睨みけり

としても十分に面白い句です。

いくらなんでも才能ナシの20点は低すぎ。
欠点があるとしても60点台が妥当でしょ。



丸山桂里奈。
吾子眠る 秋のドラマをミュートで観る
夜泣き果てミュートでドラマ観る秋夜
(添削後)

むしろ、
これを「才能アリ」にした理由が分からない…(笑)
通常回なら凡人以下のレベルでしょ。


全体的なレベルが低すぎたので、
番組の都合上、無理やり「才能アリ」にしたのでは?



一般に「秋ドラマ」ってのは、
テレビ局の編成上の分類であって、

「秋ドラマ」が秋に制作されるとは限らないし、
「秋ドラマ」が秋の物語を描くとも限らないからです。

上五の「吾子眠る」も、
連体形で繋がるのか、終止形の切れなのかを読み迷う。

いずれの点でも、添削が妥当だと思います。



清水アナ。
すさ まじや 二次会終わりの靴擦れ


慣れない靴を履いて出掛けたところから察するに、
同窓会とか結婚式とかの場面ですよね。

先生は凡人との評価でしたが、
わたしは才能アリでもいいと思う。

まあ、中七については、
「二次会終わり」より「二次会帰り」のほうが、
描写として正確な気はしますが。

追記:
そもそも「○○終わり」というのは、
近年の口語的な言い回しじゃないかと思います。
たとえば「仕事終わり」とも言ったりするのでしょうが、
本来なら「仕事上がり」「仕事帰り」「仕事のあと」が正しい。
かたや「仕事おさめ」といえば年末の仕事を指すわけで、
その対義語の「仕事はじめ」は、
仕事のやりはじめの意味ではなく、年始の仕事のことです。
そういう日本語の使い分けが崩れてきてるんでしょうね。


かりに議論すべき点があるとすれば、
後段が8・4の破調になっていることの是非と、
季語の「冷まじ」が靴擦れの「凄まじ」にも掛かる、
…と読めてしまうことの是非ですね。

どちらの点でも、わたしは悪くないと思います。




鈴木砂羽。
秋寒し 家路につく朝千鳥足
秋寒き朝よ 家路へ千鳥足
(添削後)

季語を映像化するためには、
添削のように「秋寒き朝」にするとか、
村上が言ったように「朝寒の家路」のようにするとか、
そういう選択肢を考えねばなりません。

なお、
添削の「家路 」というのは助詞の選択ミス。
「家路へ行く」と書いてしまったら、
まだ帰路にもついてないことになるわけで、
「家へ行く」もしくは「家路を行く」が正解です。

したがって後段は、
「家路を千鳥足」or「千鳥足の家路」とすべき。



高橋恭平。
秋のあさ ゲームしすぎて目が開かない
秋の朝眠し ゲームをしすぎた眼
(添削後)

よくいえば素直だけど、あまりに散文的でした。

初心者にはありがちですが、
描くべき対象をいったん自分の外側に置かないと、
こういう主観的な独白の句になってしまうよね。



岩永徹也。
おはようの電話待つロンドンの夜長
朝を待つ電話よ ロンドンは夜長
(添削後)

句材は面白いと思いますが、
破調のリズムがなんとなく間延びした印象で、
いまひとつパッとしない。

かといって、先生の添削がいいとも思えない。
原句のほうは「時差」を題材にしてるのが分かるけど、
添削句は、それがかえって伝わりにくくなっている。



フルポン村上。
夜食喰う もうない王朝を覚え


かりに「消えた王朝」と書けば、
歴史に関心のある大人の句と読めますが、

原句の「もうない」という口語的な書き方は、
《いまさらこんな勉強して何になるの??》
と、なかば疑問を抱く中高生の姿を想像させます。
そこらへんの言葉選びは正しい。

議論すべき点があるとすれば2つ。
第1に、動詞「喰う」の要不要について。
第2に、倒置法と破調の是非について。

動詞「喰う」については、
先生と梅沢で意見が割れましたが、
わたしは梅沢と同じで不要との立場。

…というより、
こういう季語を上五に使うのは適切でない。
丸山桂里奈の句もそうですが、
上五を動詞で切ると、
終止形なのか連体形なのかを読み迷うからです。

したがって「夜食喰う」のような季語は、
上五なら連体形で、
下五なら終止形で使うのが常道だろうと思う。

かりに上五の動詞と倒置法を避けるなら、
(別の形の破調になりますが)

もうない王朝を覚えつつ夜食

のようにも出来ます。



梅沢富美男。
夜半の秋 即席めんを鍋のまま
長き夜や 鍋のまま喰う即席麺
(添削後)

内容が陳腐なので、
どう直しても凡句にしかなりませんが、

まあ、
中七・下五を倒置法にするよりは、
添削のように名詞止めにする語順のほうがいい。

とはいえ、
動詞「喰う」はやはり不要だと思えるし、
むしろ「鍋から掬う」とするほうが映像的かな。




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最終更新日  2023.11.06 14:27:49


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