まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.12.04
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便座冷たし世界地図睨む夜 万国旗小春の影を落としけり 冬虹のかけらとなった万国旗 万国旗隠し持つ手の如き鵠

お題は「万国旗」。




清水アナ。
便座冷たし 世界地図睨む夜


なかなか面白い句材です。
トイレの壁に世界地図が貼ってあるのね。

先生は「世界地図」から始める語順にせよ、とのこと。

たとえば、
a. 世界地図にらむ便座の冷えし夜
b. 世界地図にらみ冷たき夜 の便座
c. 世界地図にらむ寒夜の便座かな

などの案がありえます。


通常なら連体形になるはずですが、
連用形で「にらみ」とすれば、
そのあとに「座る」「いきむ」などの省略を仄めかせる。

でも、
動詞を使わずに句またがりで、
世界地図の壁 夜の便座つめたし

と写生するほうが面白いんじゃないかな。



森迫永依。
万国旗小春の影を落としけり


作者自身は、
《万国旗の影が小春の暖かさをもたらす》
とポジティブな印象を詠んだらしいけど、


「影を落とす」という慣用句のニュアンスが、
不穏な世界情勢のネガティブな印象を抱かせる。

平和への願いを込めてることには違いないけど、
作者の意図とは逆の解釈で高評価となりました。

追記:たとえば《万国旗小春の影を地に揺らす》のようにすれば、ネガティブな読みは避けられるかもしれません。




冬虹のかけらとなった万国旗
冬虹に溶けて万国旗の残像
(添削後)

ある種の幻想句ですが、
やや散文的という気がしなくはない。

より韻文らしくするために、
a. 冬虹の欠片となりて万国旗
b. 冬虹の散りたるごとき万国旗
c. 冬虹の弧のほどければ万国旗

などの案もあるかと思います。

なお、原句は、
《虹が消えて万国旗になった》という話だけど、
なぜか添削句のほうは、
《万国旗が消えて虹になった》という話に変わってる。

追記:Tverで作者の話を聞き直すと「褪せている万国旗が冬の虹にリンクして…。吸い取られてしまったのかな」と言ってるので、「万国旗」の色彩が「冬虹」に吸い取られたという意味かもしれません。そう考えれば、添削はそれなりに意図を汲んでるし、たとえば《万国旗色あせ冬の虹と化す》のような案もありえます。



フルポン村上。
万国旗隠し持つ手の如き鵠 くぐい
万国旗抱くか 白鳥の羽撃 はたたき
(添削後)

これも一種の幻想句ですが、

白鳥のくちばしをマジシャンの手に見立て、
そこからカラフルな万国旗まで想像させるのは、
かなり唐突な比喩じゃないかなと思う。

しかも、わたし個人の感覚でいえば、

万国旗の手品は、
手よりも口から繰り出すイメージが強いので、
そもそも「万国旗隠し持つ手」の意味が分かりにくい。
せめて「万国旗を繰り出す手」のほうが平易かも。

17音で表現するには困難な内容の幻想でした。
添削句も、完全な改作になってます。

追記:Tverで作者の話を聞き直したら、白鳥の「くちばし」ではなく「飛び立つときの華やかさ」をマジシャンの手に見立てたとのこと。だとすれば、先生の添削はその意図を汲んでますね。


▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12




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最終更新日  2023.12.06 08:51:41


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