まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2023.12.11
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席替えは窓側蜜柑お裾分け 弁当の輪ゴムで鉄砲冬の空 顔見せや贔屓出る前幕の内 パプリカを子ども包丁冬の朝 浅漬と三歩先では米硬き 白息や弁当運ぶ吊足場 セット裏鯛焼を選るホシとデカ 放課後のコンビニおでん爪の土
12月7日のプレバト俳句。
お題は「お弁当」。




こがけん。
白息や 弁当運ぶ吊足場


これまでになく模範的な出来。
文句のつけどころはないですね。



村山輝星。
席替えは窓側 蜜柑お裾分け


これも文句のつけようがない出来ですが、



子供らしからぬところが彼女の売りとはいえ、
13才の子供が、句またがりを用いて、
「蜜柑」や「お裾分け」を漢字で書くかしら?
ちなみに、わたしなら書けませんw

字面だけ見ると、
教室での小学生の席替えでなく、
職場でのOLの異動の句かと思ってしまう。

…まあねえ。
小学生でも仲邑菫ちゃんみたいな天才がいるし、
ほんとうに輝星ちゃんが自分で作ったのなら、
凡庸な大人ごときに文句のつけようもないですが。




セット裏 鯛焼を選 るホシとデカ


作者は、
「様々な差し入れの中から鯛焼きを選ぶ」
という場面を詠んだらしい。
かたや先生は、
「様々な鯛焼き (カスタードとか餡子とか)
と解釈したようです。

辞書的には「選ぶ」も「選る」も同義なのだけど、
「鯛焼きを 選ぶ 」と書けば前者の意味になって、
「鯛焼きを 選る 」と書けば後者の意味になる気がする。
これは現代日本語の感覚かもしれませんが。



鈴木梨央。
弁当の輪ゴムで鉄砲 冬の空
弁当の輪ゴム鉄砲 冬うらら
(添削後)

この添削はやや疑問。

たしかに、
助詞の「で」は避けたほうがいいし、
中八もできれば7音に収めるべきだけど、
機械的に「で」を除けばいいってものでもない。

弁当に「輪ゴム」は付いてるけど、
弁当に「輪ゴム鉄砲」は付いてません。

しかし、添削句の「弁当の輪ゴム鉄砲」は、
《弁当に付属の輪ゴム鉄砲》とか、
《弁当を使った輪ゴム鉄砲》のように読める。

以前、梅沢が、
「一段飛ばし 来る」と書くべきところを、
「一段飛ばし来る」と書いてましたが、
助詞を除いて合成語や複合動詞を作れるとしても、
それによって意味が変わってしまう惧れがある。
※ちなみに梅沢の場合は「一段飛ばしに来」と書くべきでした。


この添削も同様の過ちじゃないかと思います。



尾上右近。
顔見せや 贔屓出る前 幕の内
顔見世や 贔屓待つ間の幕の内
(添削後)

季語は「顔見世」で冬。

原句は、
(内容的には二句一章だろうけど)
形のうえで三段切れになってます。

なお、下五の「幕ノ内」について、
"幕の内側"という場所の意味になるのでは?
と疑ったのですが、
一般的な意味としては、
《幕間》の時間か《幕の内弁当》の略かどちらかなので、
誤読の惧れはなさそうです。

添削句は、言葉遊び的な「ma」の押韻。



清水アナ。
放課後のコンビニおでん 爪の土


基本型に則れば、
二句一章を中七で切る場合は、
季語を下五に置くのが常道です。

そうしないと、
取り合わせのバランスが悪い。
前段に対して後段が弱くなるから。

この句の場合は、
下五「爪の土」の印象がわりと強いので、
取り合わせのバランスはさほど悪くないけど、

主役はあくまで季語の「おでん」なので、
無理やり最後に脇役を取って付けた感が否めない。

先生が言うように、
「放課後」を「部活後」に置き換えて、
あえて因果関係をもたせたほうが、
その"取って付けた感"が解消できるのかもしれません。 

でも、
句材は面白くてリアリティがありますね。



住田萌乃。
パプリカを子ども包丁 冬の朝
冬の朝 パプリカを切るおてつだい
(添削後)

上五の助詞は「を」でなく「に」にすべきですね。

「パプリカ 包丁で」と書くのは、
やや説明的だし、最後の「で」も省略不可です。
「パプリカ 包丁を」と書くほうが、
より描写的だし、最後の「を」を省くこともできる。

語順的にいうと、
中七で切って季語を下五に置いた二句一章なので、
清水アナとはちがって、基本型に則っています。

ただ、先生も言ったとおり、
「パプリカ」のあとに「冬の朝」が来ると、
どことなく季重なりっぽい印象を与えるので、
添削の語順にするほうが違和感は少ないのかも。



小林星蘭。
浅漬と三歩先では米硬き
浅漬や 弁当の飯ひえびえと
(添削後)
浅漬や 冷たきものに飯と妻 (添削後)

季語は「浅漬」で晩秋~初冬。

作者の説明によれば、
《妻たる浅漬の三歩先を行く夫たる米が冷えて硬い》
…みたいな擬人化の句。

原句は日本語の体をなしてないので、

とりあえず、
浅漬と三歩先行く硬き米
浅漬の三歩先には硬き米
浅漬の三歩先なる米硬し

ぐらいにしないといけませんが、

たとえ日本語らしくしてみても、
浅漬と米の擬人化だとは分からないし、
そもそも何を言わんとしてるかが謎です。

一方、
添削句は季重なりの疑いがあるのだけど、
一般的な「冷や飯」なら季語にはならないと思う。

力づくで作者の意図を推し量り、
冷や飯に浅漬添える夫婦 めおと
との写生句に改めてみました。


▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12




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最終更新日  2023.12.11 10:00:24


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