まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.05.06
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渋滞の柩車に妣と春深し 静寂の官公庁や落椿 二時間を惜しむくちびる桜色 パレードかファンキャップ飛ばす春疾風 青嵐海の上での人違い 色も無き渋滞にふと桜雨 黄金週間の原宿四つ折りの紙幣 潮干狩父の背中が見当たらぬ
5月3日のプレバト俳句。
お題は「連休の混雑」。



関水渚。
青嵐 海の上での人違い
連休の水着とりどり 人違い
(添削後)

彼女のWikipediaによれば、
>「渚」という名前は
> 父がウインドサーフィンをしていた逗子の海にちなむ

とのこと。

芸名みたいな本名!苗字もふくめて。

そんな地元民らしいユニークな句材ですが、
字面からは状況がまったく見えない。


ちなみに、
季語「青嵐」を選んだ理由がすごく謎だけど…

そういえば石原良純が、
「逗子の風は山から海へ吹き下ろす」

みたいに言ってたような気がするし、
それを地元で「青嵐」と呼ぶのかしら??

もしかして裕次郎は、
その意味で「嵐を呼ぶ男」だったとか??
※慎太郎は自民党で「青嵐会」を結成してるよね…。

知らんけど。


…まあ、それはともかくとして、
先生の添削は例によってまったくいただけません。

海上じゃなく浜辺の場面に見えるので、

句材のオリジナリティが消失しています。

さらに、
中七で切って下五をオチする形式は、
俳句というよりも、ほとんど川柳に近い。

作者の意図に沿うならば、
人混みの海 サーフィンの父いずこ
ヨットひしめく海に父を探せり





キスマイ宮田。
パレードか ファンキャップ飛ばす春疾風 はるはやて
パレードみたい 春風飛ばすファンキャップ
(添削後)

作者いわく、
> ディズニーランドのファンキャップが
> いっせいに飛ばされたらパレードみたいだろう…

とのことですが、

その発想自体が分かりにくく、
たくさんの帽子とも明示されてないので、
字面だけじゃ何も見えてきません。

そもそも比喩で幻想を書くところに無理がある。

実景を比喩で書くにとどめれば、
ファンキャップのパレード春風に舞う

のように書けるし、
比喩そのものを諦めるなら、
春風に舞うファンキャップの絢爛

のように写生できます。



呂布カルマ。
二時間を惜しむくちびる桜色
二時間を惜しむくちびる桜時
(添削後a)
二時間を待ってむくれる子と桜 (添削後b)

無季の句。
これも字面だけじゃ状況が見えない。

桜色の唇に《春》を見出したのなら、
作者にとってはそれが季語なのでしょうが、
桜色をしてるのは我が子の唇だそうで、
女性の口紅ではないらしい。

なので、
作者の意図に近いのは (添削後b) ですが、

語順や季語については、
花の雨 二時間待ちを愚痴たる子

のようなやり方もありえます。

なお「愚痴たる」は日本語として間違いかもしれないので、
その場合は「不平の子」か「不満の子」に置き換えます…。




とろサーモン村田。
渋滞の柩車 きゅうしゃ に妣 はは と 春深し
渋滞や 柩 ひつぎ の母とゐる深春
(添削後)

これが今週の1位。

原句は中七で意味が切れるけど、
助詞で繋がるように見えるのは難点だし、
季語に映像がともなわないのも難点です。

添削句は、
「棺」でなく「柩」と書くことで、
渋滞の情報に重ねれば霊柩車を想像できる、
…ということなのでしょう。



長野智子。
静寂の官公庁や 落椿
祝日の官公庁や 落椿
(添削後)

シンプルな佳作でしたが、
上五の「静寂」は説明くさいわりに情報量が足りない。
そこは「祝日」「連休」のように書くのが正解だと思います。



清水アナ。
潮干狩 父の背中が見当たらぬ


これもシンプルな出来。
小学生みたいな可愛い内容ですが、
とくに形式上の瑕疵はないと思います。




立川志らく。
色も無き渋滞にふと桜雨
桜雨走れり 色の無き渋滞
(添削後)

原句が動画的なのに対して、
添削句のほうは対比的な取り合わせ。
そこは好みの問題ともいえますが、
個人的には添削句のほうがいいかなと思う。

とはいえ、
色のなき渋滞にふと桜雨
色のなき渋滞に桜雨舞う

のように直しても悪くはありません。

助詞「も」を使ったのは安易だけれど、
副詞「ふと」を使った効果はちゃんとあって、
渋滞に苦しんだ時間経過を感じさせます。

なので、
つねに「ふと」を否定するのが正しいとは言えない。



フルポン村上。
黄金週間の原宿 四つ折りの紙幣
黄金週間来 四つ折りの紙幣
(添削後a)
春休 はるやすみ の原宿 四つ折りの紙幣 (添削後b)

句材は面白いのだけど、
さすがに字余りが過ぎるかな。

わたしは地名の「原宿」が不可欠だと思うし、
上五を「連休の」にすれば17音なのですが、
いかんせん季語が「黄金週間」だから替えられない。

落としどころは (添削後b) でしょうが、
春休を「しゅんきゅう」とは読めないので、
これで字余りが解消されるわけではなく、
そもそも「黄金週間」を「春休み」にしたら改作ですね。

…ってことで、
いまいち解決策は見当たりません。

なお、個人的な印象ですが、
ゴールデンウイークの直訳とはいえ、
「黄金週間」って季語自体が大袈裟すぎて好きじゃない。
字面がクリスマスっぽく見えるし、
五月の季節感に不釣り合いな気がします。


▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12




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最終更新日  2024.05.06 07:30:09


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