まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.07.15
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夏暁の鴻の湯鴻の白冴えて 能登は虹一棟貸しの露天風呂 雪渓のピザ屋品川ナンバー来 向日葵を抜けると海や走り出す 黴臭いホテルだけど海がデカい 油照り影が溶け出す中田島 渡月橋の騒き干からびた蜥蜴 スキットルの固き四角や片陰り 夏を追う叡電の影チャリの影 USJセットファサードの片陰 カタカナの魚ばかりや市薄暑

夏の炎帝戦2024。お題は「好きな観光地」。


つづきの「その2」です。



清水アナ(兵庫・鴻の湯)。
夏暁の鴻 こう の湯 鴻の白冴えて


豊岡市城崎 きのさき の「鴻の湯」は、
コウノトリ伝説のある温泉だそうです。
浜田も清水アナも兵庫出身だから地元ですね。


固有名詞の「鴻の湯」は、
コウノトリ伝説にちなんだ名称だと思うけど、
一般名詞の「鴻」というのは、
むしろオオハクチョウのことを指すようです。
もし「白鳥」なら冬の季語になってしまう。

芭蕉の句には、
こう の巣に嵐の外の桜かな

があるのですが…

コウノトリを漢字で書くなら、
本来は「鴻」ではなく「鸛」なのですね。

ただし、清水アナの句は、
あくまで「鴻の湯」の「鴻」なのだから、

…という解釈も成り立つかもしれません。

とはいえ、
そもそも「鴻の湯」の伝説を知らない人が読めば、
やはりオオハクチョウの句と誤読する惧れがある。

また、

そこでも季重なりと見なされる惧れはあるかも。

絶滅したコウノトリを幻視するなら、
夏暁の鴻の湯 鸛 こう の白き羽

のように詠んでもいいと思うけど、
あくまで実景を詠むなら、
城崎の夏や オブジェの鸛 こうのとり

みたいな感じでしょうかね。

自然の生命についての句と見れば、
志賀直哉の小説へのオマージュっぽくもなる?





キスマイ横尾(石川・能登)。
能登は虹 一棟貸しの露天風呂


通常なら「能登の虹」と書くべきだけど、
被災地への希望を込めて、
あえて助詞「は」を使ったともいえます。



キスマイ横尾(長野)。
雪渓 せっけい のピザ屋 品川ナンバー来


犬山紙子が言ったように、
都会から雪山へ行くまでの物語が見える。

横尾は山が好きだよね。
函嶺のスイッチバック 朝燕

という句もありました。

雪山にピザ屋はミスマッチな気もするけど、
長野にそういう店が実在するのかしら??
そういえば村上にも冬のピザ屋の句があったね。



立川志らく(静岡・中田島砂丘)。
油照り 影が溶け出す中田島


二句一章ですが、
「油照り」と「影が溶ける」は因果関係なので、
二物衝撃になっていません。

形式的にいえば、
炎天に影の溶け出す中田島

のような一句一章にするほうが整う。



立川志らく(京都・渡月橋)。
渡月橋の騒 ぞめ き 干からびた蜥蜴 とかげ


遠景と近景の対比。
季語の蜥蜴は死んでいる。

しかし、
「生」と「死」の対比というよりは、
渡月橋を往来する人々のにぎわいと、
蜥蜴も干からびるほどの強い日差しが、
むしろ「生」と「生」で協奏してる感じ。
面白い二物衝撃だと思います。

なお、作者は「騒き」について、
「吉原を冷やかして歩く客」と言ったけど、
それって島原のことなのかしら?



森口瑤子(伊豆下田)。
向日葵を抜けると海や 走り出す


中七で切って下五に動詞を置いてるので、
ジュニアの「一礼す」と似た形ですが、

口語的な文体に誤魔化されるからか、
さほど形式上の違和感はおぼえませんね…。



森口瑤子(中部地方)。
かび 臭いホテルだけど海がデカい


こちらも同じ海でしょうか?
さびれた観光地の穴場スポットですね!

完全なる口語の散文なので、
形式上の型破りもその勢いでかき消される。

季語は「黴」で夏です。
その子季語に「黴の宿」もあります。



瀧川鯉斗(沖縄・公設市場)。
カタカナの魚ばかりや 市 いち 薄暑


中七を「や」で切って下五に季語を置く形。

森口瑤子の句が、
下五に動詞を置いてるのはイレギュラーだけど、
こちらはお手本みたいにセオリーどおりですね。



森迫永依(沖縄・西表島)。
スキットルの固き四角や 片陰り
スキットルの固き四角や 花梯梧
はなでいご (添削後)

これまた、
中七を「や」で切って下五に季語を置く形。

カッコいい句ですね!
アルコール度数の強い酒と、
強い日差しゆえの影の濃さを感じさせる。

沖縄というよりも、
個人的にはアメリカ南部とか、
キューバあたりのカリブ海を思わせます。

正直、兼題に寄せた添削句よりも、
兼題を意識させない原句のほうがカッコいい。



安藤和津(京都・叡山電鉄)。
夏を追う叡電 えいでん の影 チャリの影


チャリで電車を追いかける若さ!
それは同時に夏をも追ってるのですね。

青春を急がなければ、
輝かしい夏は過ぎ去ってしまうのだな…。



河野純喜(大阪・USJ)。
USJセットファサードの片陰 かたかげ


遊園地の華やかな建物も、
午後になれば影を作る…という気づき。
なかなか素敵な視点だと思います。

作者は上五で切ったつもりかもしれないけど、
それだと状況説明に見えてしまうので、
わたしは上五が切れてないものと判断します。


▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12



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最終更新日  2024.07.15 09:19:03


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