Laub🍃

Laub🍃

2017.12.05
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カテゴリ: 🌾7種2次表
 →1 

→2  『わけがわからない』
→3  『話せない』
→4  『置いておけない』
→5  『収拾がつかない』
→6  『違えない』
→7  『手段を選ばない』
→8  『知らない』
→9  『受け止めきれない』
→10 『溶けない』

→11
→12 『救われない』
→13 『そつがない』
→14 『聞き捨てならない』
→15 『要らない』
→16 『蒔かない種は生えない』
→17 『夜はまだ明けない』




あらすじ:
・外伝後安居・涼・まつりが海で嵐に巻き込まれたと思ったら乾季直前の混合村にタイムスリップしてた
・混合村:未来安居・未来まつり・過去涼達が暮らす
・夏B村:過去要・未来涼・過去安居達が暮らす
・皆に父の仕事が判明した後大きなトラブルなく村を一時離脱する花
・花と距離を置く為の取引をし、代わりに嵐に会わせる約束をする涼
・一人でさっさと行ってしまう涼の後を追いかけた花だったが……

******************



******************



「……」

 あったかい。

 何かに包まれてる。





 目を覚ますと、あたしは一面犬の群れに囲まれていた。

「花さん、おはようございます」
「新巻さん!?」

 村に残った筈じゃ、と言うと、新巻さんは少し笑って、「追いかけて来ちゃいました」と言う。

「一人の旅は危ないですよ」
「で…でも、新巻さんだって、源五郎さんやあゆさん達とまだ一緒に居たかったんじゃ」
「花さんの方が大事です。……もし花さんを追わずに、花さんが危ない目に遭ったら、後悔してもしきれませんから」


 涙がまたこぼれる。今度はそれは、くーん、とあたしを覗き込む、新巻さんの犬達の毛皮に落ちる。

「美鶴さんが先に気付いたんですよ」
「…ありがとう、美鶴さん。…吹雪さんも、他の子達も」

 起きてる子も、まだ眠ってる子も、ふかふかと撫でると気持ちよさそうに喉を鳴らす。

「……起きたの、花」

「お邪魔虫で悪かったね」

 拗ねたような顔で言うハル。
 振り返ると、後ろであたしと同じようにふかふかに埋もれてるハル。
 気付かなかった。

「何がお邪魔虫よ……というかあんた、小瑠璃さんは、一緒じゃなくていいの?」
「ちょっと花見送ってくる、って言って出てきたよ。どこだか知らないけど、花は涼が見付けたシェルターだか村だかに行くんだろ?無事に到着するまで見届ける」
「……ありがとう」
「あいつが嘘言ってるって可能性もあるしね」
「……うーん……」

 正直その可能性は薄い気もする。

 ちょっと前だったらあり得たのかもしれない。
 ……でも、なんとなくだけど今は、そうする意味を涼は持ってないような気がする。

「常に村のある方角も確認してるし、簡単な地図も描いてる。迷ったり変な所に出る危険は低い。
 花も描いてるよね」
「うん。……植生や、動物の生息状況とかはメモしきれなかったけどね」
「仕方ないよ。何度もここを通ればいいじゃん」
「……うん」

 そうだ。あたしは、こうやってずっと冒険して、新しい所を探索するのが楽しかった。

 めーちゃんに教わっていた時も。
 父の背中を追っていた時も。
 一人で探索してた時も。
 嵐に秘密基地を教えた時も。

 未来にやってきた時も。




 そうだ。
 それが、あたしの役目なんだ。

「まだ泣いてんの?仕方がないな花は」

 あったかいと、なんだか泣けてきて。

「僕が火の番してますから、まだゆっくりしてて大丈夫ですよ、花さん」
「……すみません、もう少しだけ、…ゆっくりさせてください」

 目の前のもふもふの隣に、静かに倒れこんだ。


【続】





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最終更新日  2018.12.02 02:57:26
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