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「女系種族にはそれなりの良さがたくさんありますが、そのひとつに過度な競争心がないのです。技師で活動していたものがある時期、学者へ転身して貴重な論文を書いたり、宮女が庭にある彫刻を修復して、そのまま芸術家になったものもいますよ」「なんか理想的な教育ですね。人間社会は競争が人の成長や経済の活性化に繋がるので、小さい頃から受験戦争を経験し大人になれば安定した大企業と公務員への就職希望者が大勢います。資本主義社会では競争し一握りの成功者が社会をコントロールする位置に居座ります。過去においてそれらは当然のように考えられていましたが、最近ようやく、人生を勝ち負けで判断するのは間違っていると気が付いたのです。それぞれの価値観が違うのは当たり前で無理に合わせる必要もないのです。クリサーラさんの種族が行っている教育は、人類の理想かも知れません。これからは少しでも近づきたいですね」 桐山清十郎が小さな声をだしました。「拙者も同感でござる。いつまで経っても愛国心を植え付ける稚拙な教育で敵を作り自国のみの繁栄を目指す政治家は消えてほしい。各個人の心を磨き、豊かな精神を向上させる教育を取り入れねばならないと、思いまする」 クリサーラは透明感あふれる声を発します。「私たち白肌族の教育が正しいとは限りません。人間族には人間族のやり方があるので、それを追求するのが良いと思います。それよりも他の皆さんは夢の世界に入っているから、私たちも休みましょうか」 その言葉から2分後に部屋の中にいる動物たちは、めいめい勝手気ままなポーズで横になって眠りの世界に引きずり込まれました。 つづく
2020/09/27
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歴代の大統領、肖像画が壁面の上部へ右から左にずらっと並んでいる部屋に落ち着いた面々、そのまま床へ横になりました。桐山清十郎が誰ともなく話し始めます。「まだまだ人間は成長していない未熟な生き物でござるよ」 澤登沙祐里がつぶやきます。「人間同士の差別、民族闘争を繰り返し行う、愚かな生物よね。人種に関係なく環境と教育でどうにでもなるけれど、本来持っている本能や遺伝子がどこまで人類の成長に影響を与えるか、これからの研究課題ね。クリサーラさん、白肌族の教育とはどのようなものですか」「人間族でいう学校はありません。それぞれの家庭とコミュニティーがバランスをとって、しつけとマナーを教えています。年齢を重ねるにつれ疑問点や社会学を自然と学ぶ習慣があります。誰かに教わるのでなく自らが年長者に質問し覚えていくのです。言葉にしなくてもテレパシーで会話ができるので便利ですよ。7歳からは各自の個性や興味を照らし合わせ、自分で進路を決めます。芸術方面に進めば、それの専門家が面倒を見ますが、何かを押し付けることはないので、あくまで自主性を重んじるのです。各生命体に同じものはありません。だから考えや意見もバラバラで良いので、それを10歳までに覚え、各個性に重んじる空気になじむようになるのです」 遠い昔を懐かしむようにクリサーラは目を細めました。 つづく
2020/09/24
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あらすじ(392~424) 地下で生息していた地底人、赤膚族メルトン・ブッチャーの野望から人類を救った生田緑地動物連合と地下生物を率いるヒスイ宮殿女王クリサーラ、それらと協力して弟ブッチャーを地下牢に閉じ込めたデルフミューム。 トマソン大統領は一行をホワイトハウスに招待し感謝の意を表した。 それから数日後、生田緑地や地下宮殿に帰るための準備をしていると、大統領から緊急の連絡が入る。それはブッチャーが地下牢から脱獄し、それを企てた者から手紙があったのでホワイトハウスに来て欲しいとの要望があった。 クリサーラと人間3人、赤膚族2人、ガマのビッグとカメぱっぱがワシントンに到着する。するとさっそく手紙の内容を説明されるが、それは海底人と称する者から人類に対しての一方的な命令書でもあった。 人類が長年にわたって海洋汚染を行った結果、海底人の健康のみならず自然界のバランスを崩す悪循環に陥っているので、その責任を早急にとれという無理な命令書である。 1年後に海底人の設定した汚染基準値をクリアしないときには、地球上の海面を2m上げ、大災害をもたらすという脅迫でもあった。 命令書が本物である証拠は、10日後に指定した太平洋の海域で海面を1キロ四方に渡って3mだけ上昇させるデモンストレーションを行う予告もしている。 トマソン大統領は、海底人が人間よりも高度な知能と科学力を持っているとすれば逆らうことは出来ないので、汚染物質を除去する方法を教えてもらい、1年間の猶予期間を延ばすように説得するしかないと結論をだす。 クリサーラの発案で海底人の基地を探し出すために、無人の小型潜水艇の出動を要請。大統領は国防長官のロバート・マティオに出動を命令する。 国務長官のマーク・ボニベイはこれからの対策を練る会議にクリサーラや異生物を出席させのかどうか大統領に質問し答えを待つ。〇全体のあらすじは2019年1月11日と2020年4月20日に掲載ーーーー※※※ーーーー※※※ーーーー※※※ーーーー トマソンはマークの目をじっと見つめました。「マーク、ブッチャ―との闘いでこの方々が果たした結果は知ってのとおりです。多くの人たちもその功績を称えています。それでもごく一部の差別主義者にとっては、人類以外の生物が高度な科学と知能を持つのを認めようとしないのです。私は時間をかけ説得するつもりですが、急な事案には対処できません。結局、人類の存続と発展のためには、・・もし妨害工作や軍事行動があれば、力ずくで抑えつける手段を取らざるを得ません。マーク、これからのあらゆる緊急会議に、こちらの方々が許す限り、出席していただき発言してもらいます。すばらしい案を出した方を、ただ異生物だけの理由で排除するならば、その者を拘束し場合によっては幽閉も辞さない覚悟です。地球全体の非常時に通常のマニュアルは無視しますよ。マーク、これが私の答えです」「承知しました、それでは3時間後に召集をかけた全閣僚と先ほどの懸案を討議したいと思います。こちらの皆さんは別室で休んでいただき会議が始まったらご参加をお願い致します」 秘書官が奥のドアから入室し一同を80平米はある広い部屋に案内しました。 つづく
2020/09/21
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「ジェームス、それが正解でしょう。しかし他国の指導者は、それを弱腰外交と非難するでしょうね。まだ得体の知れない異生物からきた一方的な命令など、無視すればよいという意見が持ち上がります。例え太平洋で10日後に起きる海面上昇のデモを実施しても、それが自分たちの国にどのような影響を与えるなど予測がつかないのです。その人たちとの調整で時間がとられれば20日間の期限は、あっという間に切れてしまうでしょう。彼らから来る一方通行での連絡に指を咥えて待っている訳にはいきません。これからの交渉と人類や私たちの生存権に重大な脅威を与える海底人の基地がある場所は、事前に調べるのが筋です。そこを突き止める方法は、彼らがデモを行う太平洋の正確な位置を知らせているのが役に立ちます。海面を上昇させる技術的な手段は分かりませんが、前もっての準備は必要でしょう。海底人が自ら出てくる保障はありません。その代わりロボットが海底基地との間を何回か往復するだろうから、その後を追跡し彼らの居場所を突き止めます。たしかアメリカ海軍には、無人小型潜水艇があって地上から操縦出来るはずですよね。スクリュー音もほとんどしないので、レーザーに捕らえられない空のステルス戦闘機に例えられます。ジェームス、今はあなたの国の極秘情報を、私がなぜ知っているのかなんてヤボな質問はやめましょうね。その潜水艇は深度7千から8千キロまで潜れますから、海底人の基地がどの辺あたりにあるのかは、探知できます。彼らとの交信が可能になれば、逡巡して好機をのがすよりも積極的にアプローチできます」「あなたにかかっては人間社会の秘密情報など、何の意味もありませんね。その件は詮索しません。ロバート、至急潜水艇の発動を命令し準備態勢をとるように」 国防長官のロバート・マティオが椅子から立ち上がります。「大統領、海軍司令部との連絡で席を外しますが、よろしいですか」「そうしてください。もしこれから伝える事柄が生じれば、スマホで連絡します」 軽く一礼して機敏な動きで部屋を出るロバートの後ろ姿を見ながら国務長官のマーク・ボニベイが声を出しました。「大統領、今回の大事件を各国の指導者に発表するタイミングとその対応策を講じるオンライン会議の設定、会議が紛糾したときの対策、軍事力行使を叫ぶ者たちへの説得方法などを早急に練りたいと存じます。その人選と・・・ここにいる動物たちも会議に出席して顔をさらすデミリットなどをどうするのか? すぐに決めてください。クリサーラさん、デルフミュームさん、その他の動物のみなさん、それに人間の方々、これだけはお伝えしたい。私はあなた方の勇気と知能をリスペクトしているが、人間社会の中には同じ人間なのに肌の色だけで差別する馬鹿な奴が大勢います。そいつらを啓蒙する時間はないので、この方々の扱いをどうするのかこの場で決定していただきたい、大統領」 つづく
2020/09/18
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第49代目アメリカ大統領ジェームス・トマソンが直立不動の姿勢をとります。「まず地球温暖化で海水の温度が上昇すると、水温が高くなり水の体積は膨張します。その結果、水位は上がります。もうひとつはグリーンランドなどの巨大な氷柱やロシアの永久凍土が溶け海に流れれば当然、海面は上昇するのです」「ジェームス、南極と北極の氷が溶ければどうなりますか」 待ってましたとばかりに大統領は、笑顔になりました。「はい、南極点は2800mもの厚い氷の上にあるが、北極点は海に浮かぶ氷が積み重なったものです。いずれの氷が溶けても水位は上がりません。その理由は<アルキメデスの原理>で習いましたが、氷の全部、または一部を流体中に浸すと、それを排除した液体の重さに等しいだけの浮力を受けるというものです」「ジェームス、よくできました。もっとわかりやすく言えば北極は陸地に囲まれ氷でおおわれて海洋中にありますが、南極は海に囲まれ氷でおおわれた大陸上にあるのです。それではこれからが本題です。人工的に水位を上げる方法を答えてください」「・・・グリーンランドに小型核兵器を使用すれば急激に・・・いや、氷がすべて溶けない限り無理です。海水温度を上げる手段は、現代の人間科学で考えても短期間では無理です。指定された地域の温度を上げるとなると・・・海底のマグマを探し出し、噴き出し口にパイプを取り付け目的のところへ放出すれば・・・・」「やはり、あなたは頭脳明晰な大統領でした。私もマグマの利用を考えています。海底人ならば海底の地形地図を作成し、どこに熱水鉱床があってマグマが噴き出すのか解っているはずですから、それを利用する手もあります。問題は海面上まで圧力を維持して、周囲の海水を持ち上げるエネルギーが足りるかどうかです。いずれにしても私や人間族の科学で、それらの究明はむずかしいでしょう」「彼ら海底人の要求をのまないと、世界の大陸中央部を除いて沿岸部は大変な被害を被るのは間違いない。だが1年間で海底の廃棄物を取り除くのは不可能だ。それに工業廃水はともかく生活排水の完全濾過も困難で、可能なのはプラスチックゴミの大幅削減と海に流す排水から汚染物質を除去するだけです。しかしそれすらも各国の数値基準が違うから、海底人の汚染基準値をかなり上回る結果になるだろう。後進国からは先進国がバラ撒いたゴミのツケを払う必要はない、自分たちはゴミ処理よりも日々の食料確保を優先するといわれると、返す言葉がないのだ。まだ地球連邦制度は構想段階で各国の意見はまとまっていないのです。私が笛を吹いても踊ってくれる人は、まだまだ少ないのですよ。・・・いかん、クリサーラと話していると、なんでも正直になり、つい愚痴まででてしまった。本題に戻します。私のというよりも人類の答えはすでに決まっている。地底人、赤膚族をはるかに凌駕する科学力を持っているとすれば、人類は海底人に逆らうことはできません。彼らの命令に従うから、汚染物質除去のスピーディーな方法を教えてもらい、その猶予期間を延ばしてくれるようお願いするしかないのです。これが私の解答です、クリサーラ」 つづく
2020/09/15
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<なお、この命令書が本物である証拠に10日後9月13日、太平洋の海域、緯度北緯11度10分42秒、西経150度58分54秒の1キロ四方で海水を3m上げるデモを行う。地球時間7時から7時30分の30分間は、この海域に漁船や調査船、軍艦を近寄らせないほうが賢明である。この影響で津波が起こる可能性はない。この実験を行う技術と科学は、人類が解明できない方法なので、小型核兵器等での破壊活動や防止は不可能であることも通告する。 地球時間:2029年9月3日:海底公国カスマヨル・海底王国コルビース 連合政権代表:ポントス・スミノエ・カナロア>「これが私宛に送られてきた手紙の内容です。まず、これがいたずらなのか、海底人なるものが果たして存在するのか、仮に存在すると認めたとき、ここに書いてある内容が信用できるかどうか、それは10日後の太平洋で分かるが、それまで私たちは静観していていいものかどうか、皆さんの意見を訊きたい。まずデルフミュームさんから」「大統領、すでに我々地底人、赤膚族の存在は認めている訳ですよね。だったら海底人という、人類の知らない知的生命体がいたとしても不思議ではありません。この尊大な命令書に書かれている事柄は嘘ではないでしょう。10日後のデモンストレーションを待つまでもないので、今から可能な策を考えたらよいかと存じます」「こちらからの接触は今のところ無理なようです。彼らからの連絡があるまで待機するしかないかも知れません。クリサーラさん、いかがですか」「デルフミュームがいったように海底人の存在は事実でしょう。彼らが人間族に命令する内容は一見乱暴なようですが、地球汚染の結果、CO2の増大、温暖化現象に至るまで、取り返しのつかないほどまでに海を汚したのは、事実です。その事実を反省することなしに放置した責任も重いです。彼ら海底人がどんな環境で生活を営んでいるのか、海の汚染がどこまで影響しているのかは、調査しないと分かりません。魚雷も届かない深い海の中なら地上で使用する軍事兵器は役に立ちません。ブッチャーが開発した恐るべき兵器、電子パルス砲並みの武器を持っているなら、無用の手出しは危険です。海上の水位を上げる技術は、人間族だけでなく私も考えられないので、かなり高度な科学が必要となります。ジェームス、地球温暖化で毎年、水位が上がっているのは承知しているでしょうが、主な原因を2つ挙げてください」「学生時代に戻ったようだ。クリサーラ先生、お答えします。・・・・」 つづく
2020/09/12
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<人類誕生の有史以来、大気汚染と海洋汚染を繰り返し、特に海中、海底の自浄作用をはるかに超えるプラスチック廃棄物やセシウムなどの放射性物質は半永久的に分解されない。それによって各生命体の健康を悪化させるだけでなく、自然界のバランスを破壊する暴挙がいまだに行われている。我々海底人は今後1年間で人類が海中のプラスチックゴミを中心に、あらゆる廃棄物を回収し陸上で処理することを命令する。当然だが、これから廃棄物を投棄するのを禁止するだけでなく生活・工場排水も汚染物質を完全に取り除いて海へ流すこと。1年後に我々が設定した汚染基準値をクリアしないときには、人類に罰を与える。それは現在の平均水位を2mだけ上げて、大災害を起こし、修復不可能なほど人間社会を壊滅状態にすることを通知する。2m海抜が上がるとどうなるかは、学者や研究者に尋ねるがよい。なおこの命令を無視するか、我々を攻撃する場合を予測し次の内容を申し渡す。まず現在の人類と我々を比較すると、総合的な科学力・軍事力・知的能力、全てにわたり赤ん坊と大人以上の差がある。お前たち人間が長年、地球を汚染した責任を認め、海中汚染の浄化方法でこうべを垂れ、教えを乞う態度を示すなら、我々は水位を上げるなどの実力行使はしないであろう。我々の視察団を受け入れ、命令に従い、謙虚に応対するのが条件である。もう一度繰り返すが、人類よりも優れた科学力を持つ我々に反抗すれば、その結果はただ一つだけ、人間に未来はない。地底人・赤膚族・メルトン・ブッチャ―のような甘い統治はしないからそのつもりで。この地球を我が物顔で支配してきた、愚かな人類よ、それは地表のごく一部だけであるという現実を受け入れ、地底は地底人、海の中は海底人にその支配をゆだねるのが肝要だ。なお、この命令書(要望書ではない)の回答期限は、20日後の9月29日とする。我々の居住場所は人間の科学では到達不可能な深さにあるから、無用な手出しや調査をしない方が賢明と付け加える。これからの伝達方法は、我々海底人からの一方通行となるであろう・・・・> つづく
2020/09/09
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----最近のあらすじ(392~419)---- 全体のあらすじは2019年1月11日と2020年4月20日に掲載 あらすじ 地下にいる岩石人間・赤膚族メルトン・ブッチャーの野望から人類を救った 生田緑地動物連合と地下生物を率いるヒスイ宮殿女王クリサーラ、それらと 協力して弟ブッチャーを地下牢に閉じ込めたデルフミューム。 一行の労苦に報いるため、お礼方々ホワイトハウスに招いたトマソン大統領 は、単刀直入に相手のふところへ飛込み、ズバズバ解答をだす有言実行の 男だった。クリサーラや澤登夫婦、桐山清十郎が次々と地球平和のための 具体的プランを掲示すると、すぐに実行スケジュールを発表。 ホワイトハウスから引き揚げた一行は、4日後に生田緑地や地下宮殿に帰る ための準備とリラックスした時間を過ごしていた。 そんな矢先にトマソン大統領から緊急連絡が入る。それはブッチャーが地下牢 から脱獄し、それを実行したものから手紙が送られてきたので至急ホワイト ハウスに来て欲しい、との要望があった。 クリサーラと人間3人、赤膚族2人、ガマのビッグとカメぱっぱは、大型ヘリ に乗り込みホワイトハウスに向かう。~~~~※※※~~~~※※※~~~~※※※~~~~ 大型の特別ヘリがホワイトハウスの中庭に着陸しました。今回は堂々と正面玄関から入った一同、そのまま大きな会議室に案内されます。1分もかからないで第49代目アメリカ大統領ジェームス・トマソンが2人の中年男とあわただしく部屋に入ってきました。「休んでいる最中に呼び出して申し訳ない。これから話す内容は、私が許可しない限り他言無用にしてもらいたい。この緊急時に駆け付けた2人の閣僚を紹介する。私の右手にいるイカツイ顔をしたのが国務長官のマーク・ボニベイで、左にいるヤサ男が国防長官のロバート・マティオです。皆さんを順繰りに紹介したいが、次の機会にします。疲れているだろうからデルフミュームとザビエスは横になってほしい。人間たちも椅子に座って気楽にしてください。カメぱっぱとビッグは床でくつろいでいてほしい。それでは話を進める前にブッチャーを牢から連れ出し、どこかにかくまっている謎の生物からの手紙を読みあげる。手紙は私宛で今から5時間20分前に到着した。<地底人ブッチャーとグラシオラズは、本日、第三地下層の牢から逃がし、人間族が手出しできない場所にかくまっている。これまで我が種族、海底人は地表にいる人間と極力接触するのを避けてきたが、いつまで経っても人類が海中汚染を続ける現状にがまんできず、ついに実力行使にいたった。我ら海底生物、カスマヨル公国とコルビース王国の連合政府は人間族に次のことを命令する。・・・・・ つづく
2020/09/06
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「クリサーラ、そちらにも連絡はあると思うが、地上での通信網は、まだ人間のほうが早いのでお伝えする。ブッチャーたちを逃がしたものから、私あての手紙があったので読み上げたいが、電波盗聴で拡散すると困るから直接会ってお話したい。1時間後にトランプ・ワールド・タワーの屋上にあるヘリ・ポートに大型ヘリを迎えにやるから、乗って欲しい。ホワイトハウスまで41分で着く。ヘリに同乗できる数は人間ならば9人まで。その人選はクリサーラさんに一任します。よろしいですか」「了解しました。あとでお会いしましょう」 スマホを切ったクリサーラの表情は、先ほどまでの楽しいムードとはかけ離れ引き締まった顔になります。「聞いてのとおり、ブッチャ―が逃げ出したのは間違いないでしょう。私はこれからデルフミュームに伝えますが、ビッグとカメぱっぱは、起きている動物たちに知らせてください。人間と違ってパニックにはならないでしょうが、くれぐれも冷静な行動をするよう伝えましょう。寝ている者は起こす必要はありません。これからホワイトハウスに行くメンバーはあなたがたと、人間族、それに赤膚族の2人にします」 宙に浮いたクリサーラは、手を触れずにドアを開け室外に出て行きました。カメぱっぱがビッグに尋ねます。「これでまた以前の騒乱状態に戻るのパッパ」「いや、まだ分からんが、ブッチャ―の操り人形であるクローンロボットは、すべて人間族が抑えているから前のように支配するのは不可能だゲロゲロ」「するとどこかに隠れて、態勢が整うまで静かにしているのパッパ」「静かにしていればよいのじゃが、それよりも気になるのは救い出したものが、どんな生き物かだな。あんな地下深いところまで侵入し、見張りをしているデルフミューム側の赤膚族を蹴散らすだけの力があるという事実だ。それに4mもの岩石人間を隠す場所は限られているなゲロゲーロ」「赤膚族よりも知能と力がある生き物なんて、地球上にいるのかな、クリサーラさんの白肌族は能力が優れていても力では負けるパッパ」「いずれ分かるだろうが、赤膚族のほとんどは、兄者デルフミュームさん側についたからブッチャーが地下を統治し君臨するのは、不可能だグッアグッア。それを承知で逃亡させたものの真意が理解できない」 しばらく経つと屋上にヘリが到着した知らせが入ります。クリサーラと人間3人、赤膚族2人にカメぱっぱとビッグが乗り込み、ホワイトハウスに向けて出発しました。 つづく
2020/09/03
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