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ボントスは心の片隅で燃え立つ憤怒の炎を抑えていました。地底人の赤膚族メルトン・ブッチャーが人類を短期間で制圧した後、平和主義の兄、デルフミュームとヒスイ宮殿女王クリサーラ、それに一部の人間族と訳の分からない動物たちが策略を巡らし、ブッチャ―を第三地下層にある地下牢に閉じ込め、以前の地球に戻したのには驚嘆したのです。 すぐに緊急会議を開き、ブッチャ―とその一派を海底王国の単純労働者として雇う案を提出、僅差で可決すると大至急、彼らを地下牢から救出させました。 そして現在は、王国のドーム基地にあるゲストハウスで快適な生活を送ってます。落ち着いたころを見計らってブッチャーには、再度、地上に行って人類を統治させる計画をボントスは持っていますが、まだ誰にも打ち明けていません。 カスマヨル公国の王女バルバラ・チューズカミッテは314歳の高齢で、ほとんどの実務は皇女エリーゼが担っていました。遠い昔、コルビース王国の2代目コンゾーラ王は、それまで海底王国を統治する方法で争っていたカスマヨル公国の女王と会談を重ね、双方の国が対等に合併し運営することで決着させたのです。そんな歴史があるのでボントスもエリーゼの考えを無視して独裁に走るのは極力避けてきました。今回のブッチャー救出案に当初反対していた彼女を気長に説得して、とりあえず国王としての威厳を維持するのに成功し、安堵したのです。 今回、側近のベラマンテーノがつぶやいた人間の一部を改造、ペットにする案に、妙な高揚感を覚えたのは事実でした。地球全体を我が物顔で荒らしまくっている人類を苦々しく思っていたボントスに小さな復讐心が湧き出てきたのですから。実現不可能な短期間で海中にあるプラゴミを回収し処理する要求を人間に突きつけたのも、今まで溜まっていたフラストレーションの反動かもしれません。回答期限を区切り、その間に太平洋で水面を上昇させるデモンストレーションをやるのも、自分たち海底人の科学力を見せつけるきっかけにしようと、ボントスが提案したのでした。 彼ら海底人の科学が人類よりも遥かに進んでいるものの例を一つ上げましょう。 近海における海底火山の噴火や地殻変動による地震などの緊急事態は、約70年毎に1回程度発生し、その都度ドームがある海底を平衡に保つ地盤調整を短時間で行います。人間の科学力では地盤を変えるのは不可能ですが、海底人は粘土鉱物に化学薬品を注入、それをAIロボットに探査させ軟弱地盤や空白地層を見つけると、その周囲と同じ強度と材質にした鉱物にする技術を開発したのです。 地殻変動などで生じた海底の歪みは、これで解消できました。 つづく
2020/11/30
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海底王国の長い歴史の中で海上へ出て、知的生命体としてはかなり劣る人類を統治し、地球全体を海底人が治める考えがなかったといえば嘘になります。その都度、当時の王は地表に出て人間同士の争いごとや、海底にはない病原菌やウイルスに感染される恐怖を伝え、進出を諦めさせていました。 コルビース王国の王、ボントス・スミノエ・カナロアは191歳になるが、平均寿命280歳の海底人の中では、まさに脂が乗っている年令です。 先日、ボントスの側近がふと、つぶやいた一言が気になります。それは地上にいる人類がペットを飼う空前のブームになっていて、ほとんどの家庭で2匹以上の犬や猫を飼っているという。それが人間に安らぎと安心感をもたらし精神衛生上、大きな効果があるとの情報でした。 なお地上での様々な情報は、海上に漂わせた無数の小さなブイからリアル・タイムで電波をキャッチ、海底基地にある電波拡大装置から収集分析していますから人間社会の出来事は全て筒抜け状態です。 その側近、ベラマンテーノは海底人も種族同士の接触がなくなってから、母性本能や父性本能が希薄になり、殺伐で無機質な者が増えているので、下等生物である人間の脳の一部を手術して従順なペットにしたら楽しいでしょうねと、つぶやいたのが気になっていたのです。 ボントスがつね日ごろ思っていたのは、自分たちよりも劣る地底人に短期間とはいえ占領された人類なんかが、小動物を飼って自尊心をくすぐるなんて上から目線の生意気な生物だ。それに海底人のように科学的な裏づけの元で、適正人口のコントロールも出来ない劣等生物が、自分たちだけの経済発展のために地球温暖化を招き、それの防止策さえ早急に講じられないなんて許しがたい暴挙で、ましてやその生き物が地球を支配するなど耐えられなかったのです。 しかし現在いる政権中枢部4人は自分の意に賛同しても、カスマヨル公国の皇女エリーゼだけは頑として地上進出には反対の姿勢を崩さなかったのです。 王女バルバラ・チューズカミッテは314歳の高齢で公国の実権は、エリーゼが握っていました。 つづく
2020/11/26
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豪華なリクライニングチェアは自動的に9段階で倒れ、目の前に据え付けられたモニターと、直径80㎝の円柱形のものが足元30㎝に取り付けられているのがセットになっています。そのセットが各家庭に配布されたのが340年前でそれまで各地区ごとにあったミニシアターと多目的ホールは順次廃止されました。 チェアの上部には取り外し可能な大型ヘルメットがあり、低音から高音までクオリティーの高い音が脳を刺激します。使用者が椅子に座り、聴きたい音楽や観たい動画、周囲に誰もいなければ自分が喜び、興奮する話を内蔵されたマイクに吹き込みます。するとチェアに内蔵されたAIが約5秒足らずで動き出し、ヘルメット内に音楽や効果音、あるいはセリフなどが流れ、同時に軽い電磁波と電気が脳に直接流れます。使用者はすぐに催眠状態になって、音楽ならばモニターに演奏しているフル・オーケストラが映し出されます。動画や興奮するテーマを選んだ者には、円柱形から放射された3D~5Dの立体画面が3m上まで放映されました。視覚と聴覚が刺激されると、次はチェア全体に内蔵された強弱を使い分けるバイブレーターが体のツボを探り当て、夢心地と共に考えられないほどの快楽を与えます。 音楽や一般映画、アニメーションは、1日4時間、興奮を伴う快楽系は1時間の作動が条例で決められ、それを無視して電源を入れてもマザーが強制的にストップするから、この安楽椅子(?)で中毒になる者はいません。 海底人の都市を集中管理するホストコンピュータは、「マザー」といわれ人類が21世紀に使用しているAIの約4万倍の機能と能力を持っていました。 それは約700年前に開発され、エネルギーの供給、7Gの高速通信と空中タクシーなどの交通網とそのシステムを管理、運営し安全確保だけでなくドーム全体の空気循環、食料生産と配送センターから各家庭に直接配送するチューブ・ラインの調整など広範囲に行っていました。 コルビース王国の9代目ボントス・スミノエ・カナロアは自国人口2480人とカスマヨル公国4891人の実質的な王で、全海底王国を治めています。 つづく
2020/11/22
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巨大海底王国の物語に入る前へ、その歴史とどんな生物がいて、生活様式を送っているのかなどを簡単に説明しましょう。海底人の先祖は、人類のアトランティス伝説までさかのぼります。長期間に渡り優れた文明と繁栄を誇っていた地域が、一夜にして火山の大噴火とともに海へ沈み、大勢の人々が亡くなったことから始まります。その真意は定かではありませんが、ごく僅かな者が海底近くにある洞窟までたどり着き、生き残る生存バトルをスタートさせました。まず酸素の確保と食料の調達が最優先事項です。 海藻から発生する無数の泡が酸素であるのを発見した彼らは、それらを大量に栽培するかたわら養殖した貝や魚を増やすのが最初のステージでした。 それから数世紀に渡る海底人の歴史は、人類の歴史よりもはるかに辛苦な出来事の連続でした。その中で居住基地であるドーム破損は大きな悩みで、海底火山の爆発だけでなく、深海ザメが鋭い歯で突くから、しょっちゅうその修理におわれていたのです。現在は、ドームの周りに生き物が嫌がる電磁波を流すだけでなく刀や弾丸も通さない布の開発で、ここ200年以上、ドームの破損はありません。海底人の知能と科学水準は、人類よりもはるかに上回り地底人の赤膚族と白肌族の4倍以上もあります。 その姿形は人間のSF作家が描く究極の知的生命体、脳だけが成長、後頭部だけが大きくなり体は病的に細くなり手足が長く、ひょろっとした身体が主流ですが、それに近いのです。だから人間の小学3年生くらいでも海底人にぶつかれば簡単に倒せるほど軟弱でもありました。 身体機能が衰えると、当然、生殖器官は退化してオスとメスの交配は約400年前になくなりました。海底人の遺伝子を分析し科学的に創り出した精子と卵子を結合、試験管の中で培養育成した後、ベルトコンベア式の工場で生産されるようになります。これの最大メリットは、統計学に基づいた科学的な裏付けのある出生率の調整ができることです。そのため人口過剰や少子化現象は起こらず、海底王国では適正な人口バランスが維持されていました。 生命体の最大課題、種の保存をクリアすれば、生きる意味での快楽、異性(又は同性)との濃厚接触は意味がなくなり、それよりも数十倍の快楽をもたらすシステムに移行されます。 つづく
2020/11/18
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大西洋の深海820m、形状の異なるゴツゴツした岩盤が海底一面に敷き詰められ、所々に海綿とベニサンゴがかすかに揺れている水域があります。 太陽光が届かない暗黒の世界でも、自らの体を銀色に発色させて泳ぐずんぐりむっくりの深海魚が岩盤の裂け目に入り込みました。 その裂け目の入口はわずか1m足らずですが、下降するにつれ穴の直径は急速に広がり10m潜り続けると、眼下に巨大な空間が出現します。 約40m下に茶色の円形をしたものが、淡い光を発して薄ぼんやりと現れました。 その円盤状をしたものに近づくと、何か建築物の天井であるのが分かります。もっと下降すれば天井の下は、巨大なドームで真上から見ると全体が外側に大きく膨らんでいるのを発見するでしょう。 やや薄くした墨汁を垂らした色を持つその素材は、柔らかそうな厚手の生地でドーム全体を覆っています。もし1キロ先で横から見るのが可能ならば、そのドームは人類が目にしたことがないほど超巨大なものです。 参考までに東京ドームの大きさと比較しますと、東京ドーム56個分が楽々収まります。数字で表すと46,755平方m(約14168坪)×56=2618平方m(約79万坪)の大きさです。容積は東京ドームが約4ヘクタールなので約224ヘクタールもあります。その巨大さを想像出来ない人のために、東京ディズニーランドを思い浮かべてください。敷地面積は約51ヘクタールありますから、それの約4倍以上の広さです。 海の表面では気圧の変動や台風の影響で大波が生まれ、大型船が木の葉のように揺れても深海になればなるほど、その影響は少ないのです。海底近くでは、いつ でも一定の温度と穏やかな環境が保障されているので耐久性に優れたドームは、1000年以上も海底人の居住基地として使用されていました。そこがカスマヨル公国とコルビース王国、2大海底人の総合都市です。 つづく
2020/11/14
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「サユリさんは、もう準備万端、手ぐすね引いて病院で待っているのでしょう。隆一どのも同行した方がよろしいのでは」「いえ、私は別な研究室でカンタム砲と光線銃の改良を始めます」「分かり申した。拙者もここのスタッフと作戦を練りまする」 会議室から人間、地底人がいなくなると、その様子を別室のモニターで観ていたカメぱっぱとガマのビッグが2匹そろって、大あくびをします。「ボクたちの存在は忘れられたみたいパッパ」「それでいいのじゃ、能書きよりも実践が大事なときだゲロゲロ。ただひとつだけ作戦ミスがある」「それなら、すぐに伝えようパッパ、今なら間に合うよ」「いいのか、カメぱっぱ」「なによ、ボクに関係あるの」「おおありじゃ、赤膚族すなわち岩石人間は水圧に耐えられるからと、エラ呼吸を進化させた皮膚呼吸が可能な手術をするならば、それよりも水中に適している体を持つ、お前さんが最適なのじゃ。それも簡単な手術で済むゲロゲロゲーロ」「いやだ、手術はや~だ」「海中で身軽な動きができる上に、岩石人間よりも水圧に強い体を持っているのがカメぱっぱだ。体の前と後ろにある頑丈な甲羅へ深海での水圧に耐えられる強力な材料を注入すれば1000mの潜水も可能じゃグァアグァア。それよりも海の中にいる生物と自由に泳ぎ回れるのだ。イルカやクジラとも友達になって楽しい時を過ごせるなんて羨ましいぞゲロゲロ」「もーーう、さっきのデルフミュームがザビエスをたぶらかしたのと、同じ手口だよね。それを言えばボクが喜ぶと計算しているよねパッパ」「それは違う、ワシはカメぱっぱを信じているのじゃ、生田緑地の仲間だけでなく、友達になった多くの二本足、それにクリサーラさんと仲間の地底人を助けるために、お前なら・・・」「・・もう、いいパッパ、これから水中で長時間呼吸ができれば、たしかに別な世界が広がって、もっともっと楽しいことがあるかもしれないね。そうと決めたら、さっそくサユリさんに連絡しないと」 珍しくビッグはバツが悪そうな表情を浮かべました。「悪い、カメぱっぱ、ここの裏口に救急車がもう1台、待機しているから、すぐに向かってくれないかケロケロ」「ひどい、それも、さっきのデルさんがザビエスを引っかけたのと同じだパッパ。こっちの返事を聞く前に手術の準備をしているなんて。ビッグ、やい、このガマガエル・・」「もっと怒ってくれ、ののしってくれ、それでこの地球という星が平和になるならワシは、甘んじてお前の怒りを受け止めるグァアグァア」「いや、あなたは、やはりビッグだよ。これからもボクたちの知恵袋として生きてよねパッパ」 そのままスタスタと短い足を動かし出口方向に向かうカメぱっぱ、その後ろ姿を見送るビッグの大きな目ん玉には、なぜか水滴があふれていました。 つづく
2020/11/10
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ザビエスとデルフミュームの会話は、まだまだ続きます。「失敗した時の後遺症は、ありますか」「地底や地上に居れば口呼吸だけで充分です。3ヶ月も水中に入らないでいれば体は元に戻りますよ。後遺症はありません」「あなたとこうやって話をしていると、すでに手術が成功したかのように感じるから怖いです。ところで執刀者は」「私と助手には、澤登サユリさんを頼みますが」「あの人間族は、サド女だから嫌ですよ。前に臭いゴケの試薬を作るのに私の体をニヤニヤしながら切り刻みました」「ザビエス、それはオーバーです。あのときは私も切られましたよ。彼女の腕は超一流ですから、それに彼女の決めゼリフは・・・私、失敗しないので」「あなたたは、いつから人間社会に毒されたのですか、もう、覚悟を決めました。手術の日取りを教えてください」「すでに海軍の病院を抑えています。手術する道具に電動のこぎりやハンマー、強力なドリル、それに体中に埋め込む人口エラ、アンフィビアなども用意して待機してますよ」「そういえばサユリさんも見当たらないですね」「2時間前に耳打ちして病院に向かってもらいました。彼女に準備を任せれば安心ですから」「私の同意を得る前にすでに用意万端ととのっているなんて、あなたほど非道な生き物はいません」「その生き物が人類を救うことになるかもしれないのです。ザビエスは地球の救世主になるのです」「・・変な理屈だが・・・分かりました。手術を受けますよ」 巨人の赤膚族2人が軽妙な会話をしているのを聞いていた人間は、笑いをかみ殺しています。澤登隆一が桐山清十郎に小さな声で捕捉説明をしました。「さすがにデルフミュームさん、目の付け所がいいです。すでに様々な分野で生態模擬技術<バイオミメテックス>は生かされているのです。鳥やトンボの羽、昆虫の形態、サメやイルカの姿からそれを真似て道具や乗り物を作ります。進化の過程であらゆる生き物が、その姿形になったのには、それなりの理由があったはずです。人類がそれを活用するのは意味がありますよ。ザビエスさんには気の毒ですが、水中で酸素ボンベなしで行動できれば、活動範囲が広がります」 桐山清十郎もつぶやくように応えました。「地上に来てまだそれほど月日が経っていないのに、人間の科学文献を読み、貪欲に吸収するその姿勢に拙者、頭が下がりまする。彼ら地底人の科学水準と知能が人類よりも進んでいる訳は、なんにでも興味を示して知ろうとする知的好奇心かもしれませんな。それにあの2人の間柄は君主とその配下なのに会話している口調は、まさしく刎頸(ふんけい)の交わりのようです。身どもは羨ましく思いますぞ」「素敵なコンビといったら失礼だが、私も同じ気持ちです」 赤膚族2人はブツブツ話していましたが、ゆっくり立ち上がり室内にいる仲間に軽く手を挙げ挨拶すると、部屋を出て行きます。 つづく
2020/11/06
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デルフミュームとザビエスとの会話は続きます。「ザビエス、それよりも私たちの体を水中で呼吸できるように改造した方が早い気がしますよ」「ご冗談を」「いえ、本気です。エラ呼吸のしくみは比較的シンプルなので、それを応用します。それではザビエス、エラ呼吸を簡単に説明してください」「急になんですか、まさか我々の体をすぐに改造するなんて言い出さないでしょうね」「その、まさかです。深海の水圧は人間族に比べると、岩石人間である私たちの方が耐えられます。問題は素潜りで長時間、水中にいられるかどうかです」「そこでエラ呼吸が重要になるわけですね。水中の酸素を取り込み一酸化炭素を排出するという行為でエラは毛細血管が張り巡らせているのです。そこへ水を通過させるために口から水を吸い込み、目の後ろ側にある切込み、エラブタから排出して呼吸を行います。デルフミュームさま、あなたたはそれをどうやって応用するのですか」「ニューヨークに来て私は人間族の科学論文を片っ端からタブレットで読み漁りました。ほんの一部ですが赤膚族よりも優れている分野を発見したからです。その中に<バイオミミクリー>という言葉がありました。それは自然界や生物の仕組みを学びそのデザインやプロセスを学ぶことで、総合的な技術開発を行うことです。そのひとつに水中の酸素を取り入れる試作品を見つけたのです。水中に溶けている酸素を効率的に取り入れるためには、広大な表面積が必要になります。その面積を最大化できる形状をコンピュータで算出し3Dプリンターで人工のエラ、アンフィビオを作成しました。その実物は3時間前に国務長官のマーク・ボンベイに耳打ちしたので、あちらの部屋に届いているはずです」「なんと、手回しが良いこと、それを参考にして私たちの体を改造するのですね。しかし失敗すればおぼれ死にするはめになりますよ」「ザビエス、私たちではありません。あなただけがするのです。私と他の赤膚族はその手術が成功したならば、すぐに後を追いますから」「それは、ひどい。私は実験動物になるのですか」「もし失敗したら名誉の戦死として我が種族の墓地で一番高いところに放置して岩石になる千年以上の間、毎日祈りを捧げます」「デルフミュームさま、いや、デルフミューム、それは冗談ですよね」「半分はね、だが残り半分は本気ですよ、だって他にいませんから。私はそんなに難しい手術とは考えていません。体の小石をはがしてそこへアンフィビアに近い物質を埋め込みます。首筋に穴を開ける必要はないのです。透明の硬質プラスチックで顔面を覆い数ヶ所の管からアンフィビアを通して、そこから水中の酸素を取り込む予定です」「その手術がうまくいくとして、水中にはどの程度いられるのですか」「最初のステップでは、4時間を予定していますが、体の半分を手術すれば10時間も夢ではないでしょう」「手術した後の拒絶反応は考えていますか」「血管の白血球とヘモグロビンの減少で免疫反応の低下と意識障害が起こる可能性、それに二酸化炭素の排出が十分になされなければ脳が委縮します。その他は、呼吸困難と・・・・」「もう、いいですよ、手術の成功率は?」「AIの予想では78%、これは驚異的な精度です。失敗の22%は無視してください」「・・・・・」 つづく ※※※※※※※タイトル変更いたします。「カメぱっぱ」地球平和の構築・最終章は地底人、赤膚族メルトン・ブッチャー との闘いで勝利したクリサーラと地底人連合、人類たち、それに生田緑地の 仲間たちがニューヨークに集合し祝賀ムードで終了する予定でした。 それが海底人という予想しない強敵が出現したので「最終章」という言葉が インチキになりましたので本日、撤回します。 改めて「カメぱっぱ」海底人との闘い編をスタートしますので了承願います。 なお、急に連載を中止する場合もあるので、その時はゴメンね。 by PLUTO
2020/11/03
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