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私:社説はほとんど読まないのだが、27日のMXテレビの「淳と隆の週刊リテラシー」を見ていたら、福島の原発事故の「炉心溶融」(メルトダウン)について、実は社内マニュアルに判定基準があり、津波から3日後には判定できていたと5年経った今月26日に東電自ら発表したことにふれていた。 A氏:あぁ、例の高市総務相の電波停止発言があったが、このMXテレビの「淳と隆の週刊リテラシー」の番組が真っ先に電波停止になるのではと、自分で言っている番組だね。 隆というのはジャーナリストの上杉隆だが、福島原発事故が起きた直後から専門家に聞いて「炉心溶融」があるのではないかと取材していたが、デマを報じていたと相手にされず、外国記者でも「炉心溶融」を疑った人は、デマを報じていたといわれていたという。 私:東電は事故当初、核燃料が傷ついた状態を指す「炉心損傷」と説明し、2カ月以上経った5月末になって、燃料が溶け落ちた「炉心溶融」と認め、それを認めるのに時間がかかったのは「判断する根拠がなかった」と説明していたが、この説明は虚偽だったわけだ。 それが5年たった今頃になって、実は社内マニュアルに判定基準があり、津波から3日後には判定できていたと番組内で話していたので、この社説の見出しを思い出して、よく読んで見たという次第だ。 A氏:記者会見した東電原子力・立地本部長代理は「(マニュアルは)今月に入って初めて発見した」と語ったが、社説ではこの経緯と説明には、全く納得できないとしているね。 当時も「『炉心溶融』を隠し、事故を小さく見せようとした」と疑われたが、そうした疑念を再燃させる経過だと社説は指摘する。 柏崎刈羽原発がある新潟県の泉田裕彦知事は「隠蔽した背景や、誰の指示であったか、真実を明らかにしてほしい」と求めており、社説は当然の要求だという。 私:さらに不可解なのが、マニュアルの「発見」で、小さなトラブルでも国に通報すべき事態かどうか気にかけているのに、この基準に思い至らなかったとは考えにくいと社説はいう。 私:過酷事故の最中に炉心溶融の有無を直接確認できるわけがない。 だからこそ、東電は「炉心損傷が5%を超えたら『炉心溶融』と判定する」と明確な基準を作っていたのだろう。 東電は今後、第三者も交えて経緯を調べるという。 納得できる説明を国民にしなければ、東電の信頼回復の努力は実を結ばないと社説は指摘しているね。
2016.02.29
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私:21日の新聞で、関西電力は20日、今月中の再稼働をめざす高浜原発4号機(福井県高浜町、出力87万キロワット)の原子炉補助建屋で、放射性物質を含む水たまりが見つかったと発表したと報じている。 A氏:再稼働が26日だというのにね。 私:この日の報道では合計約34リットルの水が漏れたが、外部への放射能の影響はないという。 26日にも再稼働するとみられていたが、当時、遅れる可能性もあるとした。 翌22日の新聞報道では、関電は21日も水漏れの場所や原因を調べたが、特定できないと報じていた。 A氏:それが、23日の新聞では、原因が特定されたと報じているね。 関電は22日、汚染水漏れは、配管の弁のボルトが緩んでいたことが原因と発表した。同様の弁を点検し、同日夜、「起動試験」を始めた。 起動試験は水漏れで予定より1日遅れたが、再稼働は当初の想定通り26日にも始める方針だとなったね。 私:関電が原因を調べた結果の詳細は、浄化設備につながる配管に弁を取りつけている4本のボルトのうち、1本が緩んでいたという。 試験では原子炉を動かしているときよりも高い水圧をかけていたことも、水漏れにつながったとみている。 ボルトの締めつけは工具を使った手作業で、規定通り作業したとの記録も残っていたが、狭い場所での作業のため、きちんと締めつけていなかった可能性があるという。 高浜4号機には同じような弁が約80あり、22日にすべて点検して起動試験を始めた。 A氏:そして予定通り26日に再稼働だね。 私:俺は、この「ボルト緩み」のエラーの原因と対策はマスコミ報道によると、甘くて、高浜原発の管理体制のレベルを示していて危険だと思うね。 ボルトが緩んでいたから、締め直したで終りとはね。 どうして作業が不十分だったのか、深い追及がない。 狭い場所での作業のため、きちんと締めつけていなかった可能性があるというが、それなら、なおさら、その場所は、事前にきちんとした確認をするシステムができていないといけないが、その予防対策はどうやっていたのか。 規定通り作業したとの記録も残っていたというが、緩んで脱落したのでウソの記録ではないか。 どういう記録でどのように記録していたのか。 規定通り作業したのにボルトが緩んだら、その作業を緩まないように変更したのか。 そういうヒューマンエラーの徹底追及をしないで再稼働とはね。 しかも、プルサーマル式だ。怖い管理レベルの原発だが、マスコミも関心がないのか、これらの点を詳細に報じていないね。この無関心も怖いね。
2016.02.28
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私:今月は、新聞ななめ読みというより、高市氏の電波停止発言に対する池上氏の厳しい批判が中心だね。 A氏:「総務省から停波命令が出ないように気をつけないね」と、テレビの現場では、こんな自虐的な言い方をする人が出てきたり、「なんだか上から無言のプレッシャーがかかってくるんですよね」という放送局の人もいたりしているという。 高市早苗総務相の発言は、見事に効力を発揮しているようだと池上氏は皮肉っているね。 私:国が放送局に電波停止を命じることができる。 まるで中国政府がやるようなことを平然と言ってのける大臣がいる。 驚くべきことで、欧米の民主主義国なら、政権がひっくり返ってしまいかねない発言だと池上氏は痛烈に批判している。 新聞の話に移ると、高市発言をいち早く大きく報じたのは朝日新聞で、これは好判断で、この後、各紙も次第に高市発言に注目するようになる。 A氏:高市発言の放送法第4条の引用による「不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく番組全体としてバランスのとれたものであること」というのを池上氏は取り上げ、「『特定の政治的見解に偏ることなく』『バランスのとれたもの』ということを判断するのは、誰か。総務相が判断するのです。総務相は政治家ですから、特定の政治的見解や信念を持っています。その人から見て『偏っている』と判断されたものは、本当に偏ったものなのか。疑義が出ます」と指摘している。 私:放送法は、権力からの干渉を排し、放送局の自由な活動を保障したものであり、第4条は、その際の努力目標を示したものに過ぎないというのが学界の定説。 番組編集の基本方針を定めた第4条を、権力が放送局に対して命令する根拠として使うとは、まことに権力とは油断も隙もない、だからこそ、放送法が作られたのにと池上氏は言う。 A氏:ここで、池上氏は、朝日新聞が2007年の福田政権での増田寛也総務相の権力の行使は抑制的でなければならないという国会答弁を紹介しているのをとりあげているね。 しかし、政権が変わると、こういう方針が守られなくなってしまうということを、今回の高市発言は示していると指摘。 私:この際、米国の連邦通信委員会(FCC)のような独立した委員会が、国民の代表として監督するような仕組みが必要かも知れないと池上氏は最後に提言している。
2016.02.27
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私:昨日、このブログでピケティ氏の「米大統領選 サンダース氏は新時代を開くか」で、米国の大統領選の変化にふれたが、今日のこのコラムでは、サンダース氏を支えるミレニアム世代について詳しく報じているね。 サンダース氏を支持する若者のうねりは、クリントン氏が圧倒的優位とされた民主党候補者選びの構図を変えているね。 これまで3州で行われた予備選挙はクリントン氏が2勝1敗で優位を保つが、米メディアの出口調査によると、いずれの州でも30歳未満の8割超がサンダース氏を支持したという。 A氏:「ミレニアル(千年紀)」世代は、1980~2000年ごろに生まれた世代をいうのだね。 格差の広がりとともに成長し、親のような経済的安定を手に入れにくい世代と言われているね。 学費ローンの重荷と就職難に苦しむ一方で、親世代とは異なる価値観を持つデジタル世代だね。 私:この世代の苦境の象徴が、高額の学費ローンで、FRBによると残高は10年で約3倍に増え、約1・3兆ドル(約146兆円)を超え、昨年は7割が大卒時にローンを抱え、平均残高は約3万5千ドル(約392万円)と過去最高に上ったという。 A氏:だが、学費にそれだけ費やしても見返りは乏しく、ニューヨーク連銀の昨年の調査では22~27歳の大卒者のうち44%が、大卒の学位が不要の仕事に就いており、ハーバード大などの調査では、18~29歳の半数が「アメリカンドリームは死んだ」と考えているという。 一方で親世代とはひと味違う考え方をし、「モノを持つ」ことへの関心も低いとされる。 車社会の米国だが、米金融大手ゴールドマン・サックスの調べでは、車の所有が「極めて重要」と答えたミレニアルはわずか15%。 自家用車による送迎サービスのウーバーなど、「シェアリング・エコノミー(共有型経済)」を志向する世代だね。 私:サンダース氏支持が若者たちの大きな流れで、公立大学無償化や医療保険改革の姿勢に共感しているという。 ネバダで5ポイント差まで迫れた。 選挙戦全体をひっくり返したいと支持者は言う。 ミレニアル世代は、幼い頃からパソコンやスマートフォンに接しているのも特徴で、「デジタルネイティブ(生まれつきのデジタル世代)」とも呼ばれ、選挙運動でも、ソーシャルメディアなどを駆使する。 さて、ミレニアルの活躍は最終的にどういう選挙結果を生むだろうか。
2016.02.26
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私:米国大統領選の候補者指名争いで、「社会主義者」バーニー・サンダース氏が信じられないほどの成功を収めている点にピケティ氏は注目している。 A氏:20日のネバダ州の指名争いでは、サンダース氏が直前に猛追したが、クリントン氏が勝利したね。 しかし、ピケティ氏は、「クリントン・マシン」と呼ばれる支持者や保守的な主要メディアに、サンダース氏の勝利は阻まれてしまうかもしれないが、近い将来、50歳以下の民主党支持層の指示の多いサンダース氏のような、でももっと若く、白人でもない候補者が大統領選で勝ち、国の「顔」をすっかり変えてしまう可能性があることが証明されたという。 1980年の大統領選でのレーガン氏(元大統領)の勝利で始まった政治イデオロギーが、様々な局面で終わりを迎えていて、私たちはその終焉に立ち会っているのだとピケティ氏は言う。 私:このコラムでピケティ氏は、米国の「社会主義」的な歴史をまず振り返っている。 30~70年代、米国は不平等の是正のため、野心的な政策を進めた。 実際、30~80年までの半世紀に、米国で年収100万ドルを超える層に課された最高税率は平均82%だった。 40~60年代、ルーズベルトからケネディ大統領までの時代は91%に達し、レーガン氏の大統領選があった80年時点でも70%を維持していた。 米国で、この政策が戦後の経済成長の勢いをそぐことは一切なく、相続税にも高い累進税率が課され、その税率は何十年もの間、巨額の財産に対しては約70~80%だった。 A氏:一方、ドイツやフランスで最高税率が30~40%を超えたことはほとんどない。米国は欧州と異なり、戦争や破壊を経ずに相続税で財産の集中を軽減した。 私:これがレーガン政権時代に、当時すでに神話と化していた原初の資本主義を復活させる綱領をかかげて当選し、最高税率は40%にとどまる。 以後、格差は拡大する。 A氏:レーガン氏とブッシュ氏に任命された判事たちが、政治献金の影響力を制限する法的規制をすべて取り払ってしまったため、特にサンダース氏のような候補が大統領選で戦うのは難しいが、新しい動員のスタイルと参加型の資金調達達によって勝利することで、政治を新しい時代へと向かわせるかもしれない。 私:我々は、いま、歴史の終わりにまつわる陰鬱な予言とは、かけ離れたところにいるのだとピケティ氏は言う。 大統領選でのサンダース氏の活躍と彼への支持の動きには、目が離せないね。
2016.02.25
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私:ユーチューブで「360度動画 いきもの目線」と検索すると、朝日新聞が投稿した動物たちの動画が多数表示され、アヒルのひなやライオンの赤ちゃんを至近距離から撮影しており、かつ、360度方向の映像が見えるという。 A氏:パソコンの場合、画面をマウスでぐるぐる移動させると映像の方向が変わる。 スマートフォンやタブレットのユーチューブアプリで同じ動画を映し、機器の方向をいろいろ変えると、そちらにいる動物が画面に次々映る。 私:だが360度動画が真価を発揮するのは、専用のゴーグルを使ったとき。 ユーチューブを運営するグーグルは「カードボード」という簡易ゴーグルを約1500円で売っていて、アンドロイドスマホを取り付け、画面上の眼鏡型アイコンをタップしてのぞき込めば、周囲一帯に映像が広がって見える(iPhoneでは未対応)という。 まるでその世界に入り込んだかのようで、「仮想現実(VR)」と呼ばれる体験ができるという。 A氏:昨秋、文章や写真、平面的な動画では伝わらない「その場に自分がいる感覚」を体験してもらうために、米ニューヨーク・タイムズは購読者にカードボードを配布し、シリアなどの難民の映像を配信したという。 私:今年は「VR元年」と言われ、精細でリアルな映像を再現できる機器が続々登場。 フエイスブック傘下のオキュラスVRは3月に高性能ゴーグル「オキュラス・リフト」を出荷予定。 ソニー・コンピュータエンターテインメントもゲーム機プレイステーション(PS)4用の「PS VR」を発売。 その世界に入り込むVRの感覚は、従来のどんな情報伝達方式も及ばないという。 A氏:画期的な技術は、どのように発展するか逆に予想が難しい。 VRの未来像も未知数な点が多いが、「今」でなければ記録できない実写映像は確実に必要とされ、報道を変える潜在力があるとみなされるだろう。 撮影機材も、リコーの「シータS」なら、フルハイビジョンの360度動画が撮れる。価格は4万円強。 私:360度映像とVRは映像の記録法や体験を変える。 その変化は「元年」の今年だけでなく、長期間かけてじわじわと、しかし確実に進んでいくはずと予想される。 後藤健二氏が生きていたら、シリアのVR映像を送ってくれたろうにね。
2016.02.24
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《送料無料》吉村昭昭和の戦争 2 私:第2巻は700頁の大著だが、戦艦武蔵には500頁ほど割いている。 残り200頁は戦艦陸奥のことで、特にこの戦艦の爆沈の原因を丹念に取材している。 俺は、推理小説のようなこのほうに興味を持ったのでまとめておきたい。 A氏:昭和18年6月8日正午頃、瀬戸内海西部の安芸灘に位置する柱島群島の島である柱島の泊地の旗艦ブイに繫留中の戦艦「陸奥」が大爆発を起こして船体を分断し、瞬く間に沈没。 乗艦者1474名中、生存者はわずか353名。 私:太平洋戦争中に事故で強力な戦艦を失ったことは日本海軍の大きな痛手だった。 早速、原因調査委員会が設置され、爆沈の原因調査が行われる。 A氏:考えられるのは、敵潜水艦がひそかに近づいて魚雷攻撃したことだね。 私:しかし、そういう形跡もなく後に潜水してしらべたら爆破口は内から外に向かっていた。 内部からの爆発とすると、疑われたのは爆発しやすい新型爆弾3式弾であった。 これは対空攻撃に効果的であったが、開発したばかりなので、爆発事故が発生することがあった。 普通の火薬庫は過去に爆発事故があったため、厳重に管理されているので考えにくかった。 ところが3式爆弾が爆発すると白煙が出るのに対し、普通の火薬は赤色であるというので爆発時に近くにいた生存者に爆発実験に立ち会わせたら赤色であったという。 A氏:普通の火薬爆発だね。 私:人為的な爆発が疑われ、犯人探しとなるが、爆発前に不審な行動をとっていたQ二等兵曹が疑われた。 しかし、生存者の中にいないし、兵員室の遺体にも見出せず、不明で調査委員会の調査は終わった。 27年経ったある日、爆沈した船体の潜水調査をした当時技術少尉が「もう名前をあかしてもいいでしょう」と著者にQの名前を言った。 その後、新聞社の社会部記者から電話があり、砲塔内部に遺骨が散乱しているかたわらに2個の印鑑が発見されたといい、著者のQではないかと言って、印鑑に刻まれている姓を口にした。 著者は新聞で報じられたら遺族の迷惑になると思い、曖昧な返事をした。 その後、著者は、引き上げられた主砲その他が収容された江田島を訪れ、遺品の中に2個の印鑑があったのを見た。 1個はQのフルネーム、1個はQの姓のみが刻まれた3文判であった。 これを眼にしたことで著者の長い「陸奥爆沈」の調査の旅は心の中で終わったと感じたという。
2016.02.23
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私:小林氏の専門は、ITやライフ・サイエンスなど先端技術の動向調査で、近著に「AIの衝撃 人工知能は人類の敵か」などがあるという。 インターネットという便利なツールが今、新たなフェーズに突入しようとしているという。 それが「Internet of Things(IoT)」で、IoTは、アイオーティーと読む。 A氏:われわれ世代にはなじまない言葉だね。 私:つまり全てのモノがインターネットにつながる時代だという。 たとえばペンや時計、あるいは衣服や眼鏡など見慣れた日用品が極小のコンピューター・プロセッサーを内蔵し、これらが通信ネットワークとつながることにより、互いに連係して私たちに奉仕するようになる。 グーグルの自動運転車はIoTの一例で、最新の地図や交通情報をネットから入手して走る。 A氏:また、IoTの一例として「外出先から帰りがけにスマホで自宅のエアコンをつける」状況が考えられるが、ユーザーがそれらの製品を同一ブランドで統一することは珍しい。 むしろ、よくあるのは「A社製のエアコンをB社製のスマホで操作する」ケースだが、そのためには技術の標準化が必要だが、メーカー各社の利害が衝突してなかなか実現できないので、標準化が1つの問題だね。 私:もう一つの難題はセキュリティで、IoTのように、全てのモノがインターネットにつながると、これらを通してハッカー攻撃や情報漏洩などの脅威が増す。 日本企業がそれらの脅威に対抗して安全なIoTビジネスを展開していくことが必要だ。 最後に、IoTはSFとの親和性も高く、2002年に映画化された「マイノリティ・リポート」(原作は56年)では、登場人物たちが街中のデジタル看板の前を通ると、その人によって広告の内容が変わるというIoTの先駆けが登場。 また同作品には、未来の犯罪者を予知して逮捕に結びつける「プレコグ」と呼ばれる超能力者も登場し、現実世界なら、IoTに集まるビッグデータを解析して未来を予想するAI(人工知能)とも言える。 SFでは「プレコグ」が悪用されて不気味な管理社会を招くが、現実のAIがそうならないことを願うと小林氏は言う。 最近、老人ホームに監視カメラを設置し、働く人を監視するというが、こういう方向にIoTが使われれば、管理社会の職場となるね。
2016.02.22
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吉村昭昭和の戦争 1/吉村昭【後払いOK】【1000円以上送料無料】 私:この600頁の本の前半300頁はゼロ戦の誕生から特攻機としての末路までを扱っている。 昨日はその一部のゼロ戦の世界を驚かせたデビューをとりあげたがこの300頁の半分は開発の苦労を詳細に描いている。 後半の300頁は、日米開戦に至るまでの日本陸軍の活動を詳細にのべている。 この方の話題の一つに移ろう。 A氏:日米開戦は日米交渉決裂の結果、東條内閣は12月1日の御前会議において、日本時間12月8日の開戦を最終決定するね。 私:すでに大本営陸海軍部は、綿密に作戦計画を立てていた。海軍は真珠湾攻撃、陸軍は南方作戦と史上稀な大作戦だね。 しかも、その作戦計画は全作戦とも奇襲作戦なので当然、厳重な情報機密秘匿の上に成り立っていた。 もし12月8日に一斉に奇襲決定という情報が相手に知られたら、緻密にできたこの大作戦は一挙に崩壊する。 電信は相手に傍受されているから、真珠湾に向かっている機動隊の電波輻射は完全に封鎖され、聯合艦隊は九州にいるように偽通信を交わしていた。 A氏:すでに海軍は密かにハワイに向け移動を開始している。 陸軍も南方向けの上陸用輸送船団に兵の乗船がはじまっている。 私:ここで起きたのが台湾から広東に向かった航空機「上海号」事件。 この機には、12月8日に作戦開戦の作戦指令書を持った杉坂少佐が搭乗している。 ところが12月1日に台湾空港から飛び立った「上海号」が広東に着かず、行方不明となる。 もし、敵地に不時着し、杉坂少佐が死亡し、書類が敵に渡れば、作戦開始日は漏れ、たちまち、奇襲計画は大失敗となる。 大本営は必死に「上海号」の行方を探す。 その後、中国軍の電信で不時着機の位置がわかるが、そこは強固な敵地内だ。 12月4日、日本軍は強行に不時着地に乗り込み残っていた重傷者1名を救い出して撤退する。 結局、杉坂少佐は不時着時には無事で、秘密書類を破棄し、もう一人の曹長と逃げた。 しかし、少佐は途中、中国兵に殺害され、曹長は逃げのびて帰り、彼の報告で秘密書類の破棄を知り、大本営は安堵の胸をおろしたというわけだ。 こうして計画通り、太平洋戦争は12月8日に奇襲攻撃で開始された。
2016.02.21
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《送料無料》吉村昭昭和の戦争 1 私:600頁を超える大著だね。 登場する人は全部実名で、実に丹念に取材したことがわかる。 前半は、ゼロ戦の開発と最後までを扱ったもの。 後半は開戦前の主として陸軍の状況を扱ったものだね。 A氏:昭和16年3月24日、中国成都上空でゼロ戦8機は中国戦闘機30数機と交戦。 しかし、10分後、成都上空を飛んでいるのはゼロ戦8機だけとなる。 私:ゼロ戦の戦闘力は、中国空軍を戦慄させただけでなかった。 中国空軍の軍用機はアメリカ、ソ連、イギリス等から購入された外国機ばかりで、これに軍事顧問団まで派遣され、これらの国の外人飛行部まで編成されていた。 特に、アメリカのシェンノートという元陸軍航空大尉は中国空軍の強力な指導者で蒋介石の信頼も厚かった。 そこに現れたのがゼロ戦だ。 彼が多くの外国機を購入した中国空軍の一流戦闘機を容赦なく撃墜するのを目前にして、直ちにアメリカ本国やイギリスにゼロ戦のデータを急送した。 A氏:しかし、アメリカ空軍は、日本の航空機産業は小規模で設計技術も外国の模倣であり、操縦技術も拙劣だという先入観で、シェンノート報告は彼自身の錯覚か捏造とされ、無視されるね。 私:実際のゼロ戦とアメリカ機との空中戦は真珠湾攻撃の時だね。 まず、迎撃のため舞い上がってきたアメリカ戦闘機4機と空中戦を展開し、一瞬のうちに全機撃墜。 オアフ島上空でも舞い上がってきた数機のアメリカ戦闘機を全機撃墜。 A氏:同時に、フィリピンの空軍基地の攻撃が行われる。 最初、戦闘機の航続距離の性能から、空母からの離陸を計画したが、ゼロ戦の航続距離が驚異的に改善されたので、ゼロ戦84機が台湾の空港から直接フィリピンに向かった。 最初、アメリカ機5機が撃墜され、次に別の空港で十数機と空中戦をしこれも撃墜。 私:翌日、アメリカ軍機は海上の哨戒活動を活発化する。 ゼロ戦の航続距離の性能を知らず、空母から離陸してきたものと思い空母をさがしだしたわけだ。 ゼロ戦のアメリカ機に対する優秀さは、1日おいた12月10日に一層顕著なものになる。 34機のゼロ戦は2倍近い優勢なアメリカ機と空中戦をする。 45分間たって、アメリカ戦闘機は3分の2に相当する44機が撃墜され、その他の機は恐れて姿を消した。ゼロ戦が撃墜されたのは1機のみ。 さらにシンガポールではイギリスの誇る戦闘機ハリケーンも歯が立たず、米英両国にゼロ戦の存在は神秘的なものにすらなってきた。
2016.02.20
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私:貧しい農園労働者のためグローバル企業を訴える弁護士。 その訴訟を映画に撮り企業から訴えられたスウェーデンのフレドリック・ゲルテン監督。 両者の奮闘を追った2話構成のドキュメンタリー「バナナの逆襲」が、27日から公開されるという。 A氏:米の弁護士ドミンゲスとミラーが、ニカラグアのバナナ農園で禁止農薬が使われ健康被害が出たと訴えた。 ドールの大物弁護士は農民の証言に「原因は農薬以外」「ウソつき」と激しく反論する。 私:新聞記事では、この農園労働者の裁判の結果はネタばらしになるのか、書いてないが、ネット情報では「原告6名への損害賠償とドールへの懲罰的賠償の判決を勝ち取る」と農民側の勝訴だね。 A氏:ところがこれでドールは引っ込まなかったんだね。 裁判の決着をまとめたこの映画は、09年にロサンゼルス映画祭のコンペティションに選ばれたが、ドールが「映画は不正確で中傷的」と上映中止を求め、映画祭側はドール寄りのメッセージを上映前に読み上げる対応を取り、ドールは圧力を強め、監督らを名誉毀損で告訴。 PR会社を使いメディアも操作しだした。 私:ネット情報では、映画祭主催者を含めて、ドールに丸め込まれるジャーナリストも、容赦なくその醜悪な姿をさらけ出しているのが映画に描かれているという。 A氏:この映画は、第1話「ゲルテン監督、訴えられる」(2011年、87分)と第2話「敏腕?弁護士ドミンゲス、現る」(09年、87分)の2話構成で、順序が逆で、第2話が、ニカラグアのバナナ農園で禁止農薬が使われ健康被害が出たと訴えた裁判を扱ったもので、第1話がこの映画の上映禁止を求めるドールと監督の争いのドキュメンタリー映画だね。 私:第1話の結末は、これも新聞記事にはないがネット情報によると、監督の本拠であるスウェーデンでは議員や市民の支持を背景に、問題は「言論の自由」とその圧殺だとする声が高くなり、ドール商品のボイコットも一部で始まり、形勢不利を見たドールは訴えを取り下げた。 さらに和解を蹴って、監督は20万ドルの賠償判決を得たという。 監督は、強大な力を持つ相手に個人が対抗する手段として、大切なのは三つで、 1.権力を監視する自由で独立したメディアを維持すること。 2.フェアトレード商品を選ぶなど、消費者としての力を最大限に生かすこと。 3.圧力を受けている人たちに寄り添い、連帯を示すこと。だという。
2016.02.19
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私:盤上の頭脳戦でコンピューターが人間を破って大きな衝撃を与えたのは、IBMの「ディープブルー」が1997年に世界王者を破ったチェスが最初だそうだ。 A氏:将棋では2013年に初めて現役棋士を破ったね。 私:ところが、今度は人工知能が難しいという囲碁で、英グーグル・ディープマインド社の「アルファ碁」が、昨年10月に中国の囲碁団体所属のプロ二段の欧州チャンピオンと5戦し、全勝。 1月28日付の英科学誌ネイチャーで結果と論文が発表されたという。 A氏:碁ではプロに勝つのに10年はかかるといわれていたのにね。 棋譜を見た井山裕大名人は「これほどのレベルとは衝撃的」と語り、コンピューターとの対戦経験が多い大橋拓文六段は「打つ手がより人間ぽくなった」と驚いたという。 私:囲碁は開発者たちの高い壁だったのだね。 終局までの手順は、チェスが10の120乗、将棋が10の220乗、囲碁は10の360乗通りあるといわれる。 変化の数が桁違いなのに、その上、チェスや将棋は駒の役割が明確で、飛車10点、歩1点など駒を点数化して局面の評価に役立てることができるのに、碁石は石それ自体に役割の差はなく、状況によって石の価値が変動するという難しさがあるね。 A氏:近年「モンテカルロ法」とよばれる手法が有効であることが発見され、乱数を用いた確率的な立場から打つ手を決めることで、碁のアマ高段者のレベルまでにはなっていたという。 「アルファ碁」はさらに「ディープラーニング(深層学習)」という手法を採り入れ、人間の脳のように、過去の棋譜から学習したり、自分自身で対戦を繰り返したりして進化し続けているという。 私:3月、「アルファ碁」は、いきなり世界最強の一人、韓国の李世ドル(イセドル)九段と賞金100万ドル(約1億1千万円)をかけて勝負(全5戦)するという。 「アルファ碁」の棋譜を見ると最善手を逃す場面が散見されるほか、昨年10月に「アルファ碁」に負けた欧州覇者の実力を疑問視する声もあり、日本タイトル保持者、伊田篤史十段は「僕でも受けて立つ。負けることはないと思う」。 王九段は「『アルファ碁』が勝てないとまでは言い切れない」と話しているという。 3月の勝負が見ものだね。
2016.02.18
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私:加藤氏は、東短リサーチ社長・チーフエコノミスト。著書に「日銀、『出口』なし! 異次元緩和の次に来る危機」などがあり、日銀ウォッチャーとして知られるエコノミスト。 一方、植田氏は、専門はマクロ経済学、金融論。98年4月から7年間、日銀の最高意思決定機関の政策委員会審議委員。著書に「ゼロ金利との闘い」がある。 A氏:植田氏は、今回、日銀が導入したマイナス金利政策は、すでにデンマークやスイス、そしてユーロ圏で採用された手法で、金融の世界では緩和のためのあり得べき選択肢であって、「賭け」ではないという。 マイナス金利の採用は、中央銀行としての政策の余地を拡大した、ということだというに尽きるという。 私:加藤氏のほうは、マイナス金利をやったことで、日銀の手詰まり感が目に見えてしまったことだという。 マイナス金利を始めたことで、日銀が銀行から国債を大量に買い入れて市中にお金を流す量的緩和の追加が、より難しくなってしまったという。 銀行の収益が悪化していくと、中小企業への貸し出しの余力がなくなり、かえって融資が減る恐れもある。 黒田さんの過去2回の緩和にくらべると、反応が明らかに違い、市場の不安を払拭するためにやったはずのマイナス金利が、別の不安を引き起こしてしまったように見えるという。 A氏;植田氏は、今回の日銀のマイナス金利は、世界的な株安と急速な円高が進み、現時点では、政策の効果が変動に追いつかない結果になっているが、これは日銀にとって想定外の事態。 むしろ世界で強まるリスク回避のなかで、マイナス金利の決定が市場変動の引き金をいくぶん引いた面は否定できないが、株安、円高が続くなら、予定される消費税の増税も、延期に追い込まれるかもしれないという。 私;加藤氏は、結局、金融政策だけの「一本足打法」に頼ってきたアベノミクスの限界が露呈したということで、実物経済に大きく効いたわけではなく、社会に成長期待があれば、金融政策がもっと効いてくるが、そこに不安があると、どんなに中央銀行が頑張っても限界があるという。 アベノミクスの原点に戻り、民間のイノベーションを促す構造改革や人口減少への対策など、成長期待につながる政策を進め、将来への見通しを示すことが何よりも必要だと加藤氏は指摘する。 どうも両氏とも先行き悲観的だね。
2016.02.17
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私:2016年の世界では、アメリカの影響力が後退していると、氏はまず、世界を見渡して、各地で影響力の後退を展望しているね。 ロシア、中東、東アジアと北朝鮮と混乱状態だね。 A氏:イランとの国際合意はイスラエルばかりかサウジアラビアからも反発を受け、両国のアメリカ離れを加速したね。 私:権力とは相手を操作する力であると考える限り、どこを見てもアメリカ政府が各国を操作する力が後退している。 この状況はなぜ生まれたのだろうか。 氏は、アメリカの凋落だというが、その軍事力と経済力の衰えによって失われたのだ、という見方には反対だね。 アメリカの軍事力と経済力は衰えてはいないという。 A氏:精密誘導兵器や兵士の戦闘経験を見ればわかるように、米軍に対抗できる軍は今日の世界に存在しないし、経済についても景気後退に直面しているのは中国、ロシア、欧州諸国であって、アメリカ経済は持ちこたえているというべきだという。 軍隊と経済という力の源に関する限り、アメリカが凋落したとは言えないと氏は言う。 私:しかし、俺はちょっと不安だね。 無人爆撃機など、機械化された、武器は優秀でも、結局、戦いを制するのは地上戦力だ。 しかし、映画「アメリカン・スナイパー:米軍史上最多160人を射殺したひとりの優しい父親」に見るように地上戦のアメリカ軍の兵士のPSTDは深刻だね。 経済も製造業はよくないし、雇用が増えているというが、全体の数字ばかりで、どの産業で増えたのか、その理由はとか、技術革新はあったのかなど具体的な情報に乏しいね。 A氏:氏は、アメリカが力を持ちながらなぜ各国を操作できなくなったのかというと、それは、長期的には中国、ロシアなどによる地域覇権の模索であり、短期的にはアメリカが軍事介入に消極的になったためであると考えるという。 私:アフガニスタン・イラクという二つの介入が大きな代償を強いたため、オバマ政権の下のアメリカは海外への派兵を渋り、軍事介入する場合でも空爆に頼り、地上軍投入を避け続けた。 アメリカは軍隊が弱いからではなく、戦わないから影響力が後退したのだと氏は言う。 しかし、この状況が長く続かず、選挙に向けた共和党の大統領各候補の発言を見ればわかるように、弱いアメリカとはアメリカ国内で不人気な政策だから、そこから生まれるのが、戦わないアメリカから戦うアメリカへの転換であると指摘し、2016年の世界は不安定だが、戦わないアメリカが戦うアメリカに転じたなら、その不安定はさらに加速するとしている。 さて、大統領選はどうなるか。
2016.02.16
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私:株価が少し値を戻したね。 上昇の背景の一つには、大幅な赤字を計上した独最大手のドイツ銀行が、業績悪化から「過去に発行した社債の利払いができなくなるのではないか」との臆測が出て、年明け以降に株価が4割超も下がっていたが、過去に発行した約6千億円規模の債券の買い戻しを発表し、財務の健全性をアピール。 独大手コメルツ銀行も好決算を発表し、投資家の間に安心感が広がったことにあるという。 ところでもう一つのEU問題には、熊谷氏によると欧州連合(EU)の基本理念を体現する制度である「シェンゲン協定」が、難民急増によって崩壊の危機にさらされ、EU域内での移動の自由を保障していたこの制度が、風前の灯火となっているということだ。 A氏:熊谷氏についてはこのブログで、氏の著書「ドイツ病に学べ」、「あっぱれ技術大国ドイツ」でとりあげているようにドイツ通だね。 私:「シェンゲン協定」は、欧州大陸に位置するEUの主要国は、1990年に批准し、1995年以降、人や物の移動を促進するために、国境検査を廃止した。 この協定に加盟する26カ国の間で、陸路、空路によって他の国に入る時に、パスポートや荷物の検査が全く行われなくなった。 A氏:それが、去年の夏以来、シリアやアフガニスタン、北アフリカなどからEU圏内に流入する難民の数が激増していることから、国境を一方的に閉鎖したり、国境でのパスポート検査を実施したりする国が増えている。 私:現在ヨーロッパでは、「シェンゲン協定」が崩壊した場合、EUに甚大な経済的損害が生じるという意見が強まっているという。 国の間の流通コストが上昇するからだ。 例えば、ドイツの自動車メーカーは、オーストリア、チェコ、スロバキア、ハンガリー、イタリアなどの部品供給会社との間に、精緻な物流ネットワークを作り上げている。 「カンバン・システム」だね。 ドイツなどの自動車組み立て工場は、大量の在庫を抱えずに済むのが、「シェンゲン協定」が崩壊して、国境でのトラックの待ち時間が長くなった場合、各国の工場は再び部品のストックを増やす必要が生じる。 これは自動車メーカーの価格競争力に悪影響を与えるだろうという。 「シェンゲン協定」崩壊の経済損害は、1000億ユーロ(13兆円)にのぼるという悲観的な試算があるという。 難民問題は、移民問題だけでなく「シェンゲン協定」崩壊によるEUの莫大な経済損害ももたらすという可能性もあるんだね。
2016.02.15
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私:中東はシリア問題を中心に、アラブとイランの対立に米国、ロシアがからみ、複雑だが、この記事でエジプトもイランとの関係で重要な位置にいることがわかるね。 A氏:エジプトとイランの関係は歴史的に断絶したり、回復したりしているね。 1979年のイラン革命以前、共に親米政策をとっていたイランとエジプトの関係は悪くなかったが、同年1月、イランで反国王運動が激しくなると、パーレビはイランを出て、最後に落ち着いたのがエジプトだ。 パーレビの最初の妻はエジプト国王ファルークの妹だったという縁だね。 カイロ郊外にイラン最後の国王パーレビの墓がひっそりとあるという。 私:しかしこの間、エジプトがイスラエルと平和条約を調印すると、イランはエジプトと国交を断絶し、イラン・イラク戦争でエジプトはイラクを支援した。 今年の新年早々には、サウジアラビアがイランと国交を断絶したね。 両国の対立は、宗派争いというより域内での影響力を競う覇権争いの面が強く、1988年にも両国は国交を断絶したことがあるが、91年に国交回復している。 A氏:「アラブの春」後、エジプトのムルシ大統領は12年にイランを訪問。 翌年、当時のイランのアフマディネジャド大統領もエジプトを訪問し、両国が関係回復を模索した動きがあったが、その後、ムルシ氏は失脚し、復交の機運は消えた。 エジプトの現シーシ政権はムルシ氏の出身母体「ムスリム同胞団」をテロ組織に指定しているからか、イラン政府はシーシ大統領の就任時に歓迎を表明。 私:しかし、経済回復が重要課題であるエジプトにとってサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)からの支援は生命線ともいえるため、エジプトはイランには関係改善の意思があっっても、湾岸諸国などとの関係から慎重にならねばならないという。 A氏:核合意に達してイランは制裁が解除されたので、エジプトにとってイランとの経済交流は魅力的だね。 私:一方、シリア内戦でイランとともにアサド政権を支持するロシアとエジプトは親密だね。 過激派組織「イスラム国」(IS)という共通の敵もいる。 利害が複雑に絡み合う中東で先を読むのは難しいが、活発な外交を展開するエジプト・シーシ政権がイラン関係で動く可能性はあると翁長氏は指摘する。 中東問題はエジプト政権の動きにも留意すべきだね。
2016.02.14
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私:悪い方へ悪い方へと回り続ける歯車をだれも止められない気分が世界に広がる。 現代の世界の閉塞状況の読み解きに挑んだフランスの知識人、エマニュエル・トッド氏にインタビューした記事だ。 A氏:前半の見出しは「薄れる宗教的信仰」「壊される国家」「夢失われた社会」で、後半は「自由や平等、偽るのはやめ、真の危機を見よ」とあるね。 私:中東のシーア派とスンニ派の戦争は新たな宗教戦争でなく、イスラム圏でも宗教的信仰は薄れつつあり、人々がその代わりになるものを探している中で起きているという。 「イスラム国」(IS)もイスラムではなく、彼らはニヒリストで、あらゆる価値の否定、死の美化、破壊の意思で、宗教的な信仰が解体する中で起きているニヒリズムの現象だという。 中東で起きているのは、家族制度により、国家より縁戚関係の方が重みを持つアラブ圏で国家を築いていく難しさと、米国などの新自由主義経済に起因する国家への中東の敵対的な考え方の相互作用の結果とみる。 A氏:昨年1月のテロ直後に数百万のフランス人がデモに繰り出し、抵抗の決意表明として内外で称賛されたが、デモに繰り出した人の割合が高かった階層は中間層で、それは第2次大戦中のビシー対独協力政権を支持した地域、階層でもあると、トッド氏は指摘して非難の的になった。 氏は「リベラルな価値の表明というが、実際はイスラムの預言者ムハンマドを『コケにすべし』と呼びかけるデモでもあった」という。 私:宗教的信仰だけではない。 未来への夢も含み、人々がみんなで信じていて、各人の存在にも意味を与える、そんな展望が社会になくなったという。 そのあげく先進国で支配的になったのは経済的合理性。 利益率でものを考えるような世界で、経済は手段の合理性をもたらしても、何がよい生き方かを定義しない。 A氏:フランスでは移民の差別をしておいて、自由や平等などを叫んで、偽るのはやめようというわけか。 私:この段階で取り組まなければならないのは、虚偽からの脱却。 お互いにうそをつく人々、自分が何をしようとしているかについてうそをつく社会。 自分を依然として自由、平等、友愛の国と嘘をいう社会。 これは知的な危機だとトッド氏は指摘する。 この点、ピケティ氏の「政教分離と不平等 フランスの壮大な『偽善』」と似た見方だね。 トッド氏は言う「フランスはおかしくなっている。ドイツ人ほどきまじめではないことが救いか」と。
2016.02.13
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私:このインタビュー欄では戦後70年を過ぎてなお、日本と中国の関係は時にぎくしゃくする。 和解の日は来るのかということで「必ずしも和解を急ぐ必要はない」と提言する、ベルギーの国際関係学者バレリー・ロズ女史にインタビューしている。 女史は仏独や旧ユーゴなどを例に戦争後の関係修復を研究しているという。 しかし、俺はこれに関連して寄稿している北海道大学教授・遠藤乾氏の「ドイツの等身大の姿を見よ」の記事のほうに興味があった。 A氏:戦後の和解への取り組みについて、日本はしばしばドイツと比較されるとして、ドイツの戦後の動きを「ドイツ」という単一モデルが存在するわけではないとして、分かりやすくまとめているね。 私:ドイツは確かにフランスと良好な関係を築いたが、例えばギリシャとは和解が全然できていない。 逆に日本も、中韓との関係は難しいが、東南アジア諸国とはうまくやっている。 様々な国との様々な関係があるという。 日中に似ているのは独仏よりも独ソ、独ロ関係だという。 体制の違いもあって、ドイツは冷戦時代、ソ連との和解を進められず、それは共産主義からロシアに移行した後に持ち越された。 その点、体制が異なる中国との関係改善をめざす日本の対応は、過剰に評価する必要はないものの、それなりに意味があることだという。 A氏:日韓関係は、帝国的な侵略・植民地支配を伴った点で、独仏関係より独ポーランド関係に近いという。 ドイツは冷戦下、長らくポーランドに対して強制労働への補償もせず、「記憶・責任・未来財団」をつくって強制労働への補償を始めたのは冷戦後、左派連立のシュレーダー政権で、日本が村山連立政権の下で「アジア女性基金」を創立したのと似た状況だという。 私:ユダヤ人大量虐殺に手を染めたドイツは確かに、イスラエルに誠実に謝罪し、関係を懸命に構築した。 一方で、虐殺や略奪を行ったギリシャとの和解には目を向けなかった。 ユーロ圏のギリシャ危機の際に戦争責任の問題が蒸し返されたのは、そのためだという。 戦後ドイツの一部を過度に理想化しても、日中や日韓の和解の参考にはならないと遠藤教授はいう。 ドイツの等身大の姿を見つつ、その和解の努力から学ぶ姿勢が重要と指摘しているね。 ドイツの和解の多様性を理解すべきだね。
2016.02.12
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私:急に長渕剛の「とんぼ」の歌を聞きたいと思い、YouTubeで検索したら、清原の引退式にグランドで「とんぼ」を歌うシーンが出てきた。 観客を巻き込んでの熱唱だね。 清原はこの歌が好きだったようだ。 A氏:俺もこのシーンは知っているが、清原は終始涙をハンカチで拭いていたね。 私:そしたら、「さんまのまんま」に清原が出演しているのも出ていた。 そのさんまとの会話では長渕剛は友達だが、彼の前では緊張しているのだという。 清原は大の煙草好きだが長渕剛は煙草は吸わないので、あるとき長渕剛と食事をしている時に、こっそりトイレに行って吸ったら、これがバレて、長渕剛はえらく怒り、禁煙を命じたという。 それで清原は禁煙ができたという。 A氏:覚醒剤使用の時に長渕剛がいたらね。 随分前に、長渕剛が主演で、いじめられっ子を鍛えるテレビドラマがあったが、長渕剛はこの子に空手を徹底的に教える。 そして、あるとき、2、3人のいじめっ子が囲んでいじめようとしたら、その子は教えられた空手で、倒してしまう。 長渕剛らしいドラマだと思ったね。 私:覚醒剤使用の頃は、清原は長渕剛と疎遠になっていたようだね。 同じYouTubeで、坂上忍とダウンタウンの3人が清原と飲みながら質問するのがあった。 3人は遠慮なくズバズバ聞いていた。 刺青をしているのは本当か、という質問にはイエスと答え、動機は、子どものときからしたいというあこがれがあったからで、現役引退のときにしたという。 当時週刊誌で報じられていた覚醒剤の使用の疑いは否定していたが、これでテレビ関係の仕事は減ったという。 覚醒剤使用のうわさは清原をよく思わない者の仕業だと言っていた。 A氏:野球界にもどる意志はあったのかね。 私:それも3人は聞いていたが、監督など一度はやりたいといっていた。 但し、ジャイアンツの監督はノーだという。 高校野球の監督としては人気があるらしいが、坂上が刺青をしていたら、高校のほうで嫌がるのではと聞いたら、そういう高校なら断るという。 さらに、指導する高校生に刺青をどのように説明するのかというと、自己責任を持てて自分でしたいならすればいいと返事していた。 体力は優れて強かったが、精神力に問題があったようだね。 心技一体ではなかったようだ。
2016.02.11
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私:インド経済が好調だね。 昨日の日経によるとインド統計局が8日発表した2015年10~12月期の国内総生産(GDP)は、前年同期比の成長率が7.3%だった。 同期の中国の成長率は6.8%で、GDP統計上、インドは中国以上の高成長が続いているという。 朝日にはこの記事が載っていないようで、最近の朝日は広告ばかり目につくね。 A氏:インド経済については、ピケティ氏が1週間前に、中国とその金融システムに対する不信感が募るなか、今後数十年にわたる世界経済の牽引役として、インドがますます注目を集めているとして朝日のピケティコラムで扱っているね。 私:人口ボーナスも期待できそうだね。 国連によると、すでに高齢化が始まり人口減に向かっている中国を、インドの人口は25年までに完全に上回り、インドは人口において、21世紀最大の国となる定めだし、掛け値なしで世界最大の大国となる可能性も秘めているという。 確固とした民主的体制と選挙制度を備え、報道の自由や法治国家を基盤に持つだけに、より現実味がある。 だがピケティ氏はインドが取り組まなくてはならない課題は極めて重大なものばかりだという。 A氏:まずは不平等の解消があり、インドにおける教育と保健衛生への公的投資は明らかに不十分で、それがインドの発展をむしばんでいるという。 中国モデルは、開かれた体制にならない限り、その不透明性と独裁性のため、おそらくは終わりを迎えざるをえないだろう。 一方で、インドの民主的モデルも、今なおその真価を示すに至っていない。 西洋のエリートは20世紀、危機や衝突を経てようやく必要不可欠な社会改革と税制改革を受け入れたが、インドではこうした危機や衝突を経験せずに済むなら、それにこしたことはない。 私:最大の難問は、西洋ではなかなか理解されにくいが、カースト制という負の遺産に関する問題だ。 これに加え、多数派のヒンドゥー教徒と少数派のイスラム教徒との間のアイデンティティーをめぐる対立がある。 インドはただ、法治国家に可能な手段を使って、真の平等の実現へと挑もうとしている。 現状では、過去の差別がうみだし、古い社会に根ざす身分上の不平等があまりに極端で、今にも暴力沙汰の対立へと堕ちていく恐れがあるとピケティ氏は指摘している。 日経と違いインド経済も楽観視できないようだね。
2016.02.10
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【送料無料】 アメリカの真の支配者 コーク一族 / ダニエル・シュルマン 【単行本】 私:いよいよ、アメリカの大統領選が始まったね。 今週の書評で気になったのはこの本だけだが、これが大統領選と関係している。 この本は、共和党の影の支配者である大富豪「コーク兄弟」の実態を描いているという。 兄弟は、父から引き継いだ事業を巨大ビジネス帝国に育てた。 アメリカの非上場企業で、カーギルに次ぐ第2位の規模、彼ら自身も世界で第6位の大富豪。 しかし、彼らの存在を際立たせているのは、単なる富豪でなく、豊富な資金にもとづくアメリカ政治への深い浸透だ。 A氏:評者が、「コーク兄弟」の名を知ったのは、アメリカで気候変動対策としての「排出量取引制度」導入が挫折した背景に、彼らの巨大な影響力があったと知った時だという。 ティーパーティー運動の急速な台頭、債務上限引き上げへの徹底した抵抗、共和党内で生じている深刻な路線対立、すべて「コーク兄弟」の存在なしには理解不能で、彼らは何者か、それを解明するのが本書の目的であるという。 私:父から受け継いだ反共産主義に基づき、「自由の敵」である政府の膨張を阻止しつつ、市場に基づく徹底した自由主義社会を実現するのが、彼らの目標。 だが、彼らは狂信的ではなく、知的だ。 次男で、会社の実質的支配者のチャールズは、寸暇を惜しむ大変な読書家であり、ハイエクやミーゼスといったオーストリア学派経済学に造詣が深いという。 A氏:彼らは、きわめて戦略的で、大学を支援して自由市場経済の理論を「製造」し、シンクタンクを通じて、生み出されたアイデアを、現実の問題を解決できる知見に鋳なおして、理論を「梱包」し、「マーケティング」により、その実現のための運動体を組織し、政治家に働きかける。 私:これが奏功して共和党内で大きな発言力を獲得した兄弟は、「建国以来最も急進的な」オバマ政権に危機感を覚え、2012年大統領選で、総力を挙げた「全面戦争」に突入する。 A氏:しかし、オバマ大統領が勝利するね。 私:だが、敗れたチャールズだが、年頭にフォックス・ニュースのインタビューに登場し、相変わらず頭脳明晰、意気軒高な姿を見せていたという。 今年の大統領選で、彼らにとっても死闘の季節が再び訪れているね。 さて、「コーク兄弟」の動きはどうなるか、そういう視点でみると興味が湧くね。
2016.02.09
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天に遊ぶ 15.芸術家 芳恵は結婚が遅れ、スナックを経営して繁盛していた。客の中には結婚を申し込む男もいたが勝ち気な芳恵は相手にしなかった。3年前の夏、近くの温泉旅館に逗留している小説家を自称する峰村という五十年配の男がよく店に姿を見せるようになった。そのうち、峰村はアパートに移った。その頃から芳恵がそのアパートに出入りするようになる。ところが、三ヵ月ほどして、芳恵の店は閉ざされ、二人はいなくなった。芳恵の姉が調べたら家と店の権利を処分し銀行預金もすべて引き出してあった。失踪事件として警察が動いたが峰村は偽名であった。それから三年経った。近所の旅館の支配人が出張先の別の温泉にある料理店で働いている芳恵を発見する。その知らせで芳恵の従兄の耕介はその温泉地まで芳恵に会いに行く。峰村は芳恵にカネをもらい、小説を出版社に渡すため東京に行ったといって一緒にいない。小説が出版されたら金はかえしてくれるという。芳恵は峰村が迎えに来てくれるまでここで働いて待っているという。芳恵には、男を疑っている風情は微塵もない。耕介は仕方なく無言でコップを傾けた。 16.カフエー→煙管屋 この話の出だしは、敷島という昔の煙草を吸った事で、少年時代の近所の煙草屋の家族の話に移るのだが、今回はこの話に「俺の父の煙草」に想像をかきたてられ、以下、俺が「天に遊ぶ」ことにする。 俺の父は煙管の先に刻み煙草を詰め、煙草盆にある炭火で火をつけていたように思う。仕事が終わるとうまそうに吸っていた。煙管はある程度吸うとつまるらしく、煙管を掃除する専門の煙管屋があった。親父に頼まれ、少年の俺は煙管をもって、煙管屋によく行った。そこはたしか、長屋の隅で入口に小さな窓があり、そこで煙管屋の親父に煙管を渡し、修理が終わるとまた、そこで受け取った。煙管屋の親父の息子は俺と小学校同級で、一緒に遊んだことがある。アダ名はキセルヤだったと思う。煙管屋の親父も近所の俺の家族のことを知っていて、子どもたち見る眼は息子を見る時のように優しかったという記憶がある。煙管の掃除だけではあまり稼ぎにはならなかったと思うが、煙管屋の親父には貧乏臭さはなかった。 「煙管屋」で、昭和はじめの平和な地方都市の庶民の「天に遊んだ」。 「天に遊ぶ」には、後、五作品あるが、あまり俺にとって「天に遊ぶ」ほどでないので、これで終りとする。
2016.02.08
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天に遊ぶ 12.自殺ー獣医(その一) 獣医である磯貝の近く住む保坂が愛犬のヨークシャーテリヤを連れて病院に来た。犬は呼吸音に異常があった。X線を撮り結果はあとから知らせるとした。X線の結果は珍しい肺の原発癌だった。保坂が犬を連れてまた来院したので、「肺癌です。今直ぐと言うわけではありませんが、いずれ死ぬと覚悟して下さい。いずれ見ているのが辛くなったら安楽死も考えましょう」と告げた。 その夕方、保坂がまた来院して、「犬が死にました」という。話を聞くと、座敷犬で戸が開いていても外には出ようとしない犬だったのが、犬を連れて家に戻って10分ほどすると突然犬が外に走り出て、疾走して来た車に飛び込んで即死したという。犬の前でも重病であることを口にしたのを表情や言葉の調子から犬は不吉なことを感じたのだろうか。「やはり自殺なのでしょうかね」と保坂が弱々しい口調で言った。磯貝は黙って椅子に座っていた。 13.心中―獣医(その二) パトカーのサイレンの音が獣医の磯貝の医院の前でやんで、ドアをあけると警察官が現れて心中事件が起きたので直ぐ診察してくれと言う。ここは犬猫病院だというと、警官は心中の一方が犬で出刃包丁で胸をひと突きされているので治療していただきたいと言う。 聞くと飼い犬の異様な泣き声で隣人が家に立ち入ると一人暮らしの52歳の老女が頚部を刃物で切って死亡、かたわらに血まみれになったダックスフンド横たわっていたという。 あきらかに女が犬を刺した後、自殺をはかったと推定された。磯貝は手際よく手術をし犬は一命をとりとめた。女に息子がいるのに、犬をなかなか引き取りにこない。半月ほどたってその息子が犬を引き取りにきて費用を払い犬にほほずりして連れて帰った。そのとき磯貝は母親の自殺の理由を聞いたら、彼女は検診で精密検査を言い渡され、勝手に癌と思い込んで犬を道ずれに心中をはかったものだと分った。その後、息子は犬が風邪をひいたなどといって連れてくるようになった。磯貝は、息子は犬を愛して飼っているのを感じた。 14.鯉のぼり 「私」は新幹線に乗り、車窓から見える鯉のぼりを見て子どもの頃を思い出した。「私」の学生時代、紺屋という染物屋があり、子供の父親は出征し、母親は病死していたから孫と祖父の二人で暮らしであった。親のいない孫を哀れに思い、祖父は孫に自転車を買ってやったら孫はトラックにはねられて死んでしまう。それでも祖父はその季節になると鯉のぼりを揚げ続けた。戦争になり敵機が来襲するようになったら目につく鯉のぼりは問題になるのではないかと思ったが、4月に町は空襲で家々は焼き払われた。鯉のぼりはそれで終わった。
2016.02.07
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天に遊ぶ 9.サーベル 明治24年来日したロシアの皇太子ニコライが巡査津田三蔵のサーベルに斬り付けられ傷を負った大津事件があった。著者は、この事件を素材にして連載小説を書くため、津田のただ一人の末裔である人に会う。津田の妹夫婦はその末裔の祖父母であるが、事件について沈黙を守った。父母も同様だった。津田は当時国賊扱いでその一家は血族であることを知られまいとして身をひそめて過ごした。それは日がたっても変わらなかった。 帰りに津田三蔵の墓所を尋ねたが墓石を見て立ちすくんだ。大きさは周りの墓の三分の一ほどの小ささで石も粗末で銘も消えており、生まれて間もなく逝った幼児の墓のようだった。津田は北海道の刑務所で死亡して、その罪を十分に償っているのに、身をすくめるように墓所の片隅に立っていた。著者は生花を持参しなかったことを悔いた。 10.居間にて 浦川は定年で自由な時間を楽しんでいた。突然、八十九歳の妻の伯父が心筋梗塞で病院で亡くなった。そのつれあいである三歳年下の伯母は脳卒中で倒れ寝たり起きたりの生活をしていた。恋愛結婚で、夫婦円満だったので、伯父の死の報告は伯母のショックになると思い、皆、知らせるのをとまどった。結局、伯母の息子が伯父の死を告げる。浦川の妻もその場にいた。ところが、伯母は伯父の死を聞いて「伯父より一日でも長く生きていたかった。これまで伯父の身勝手なわがままに勘えに勘えてきたけれど、これでようやくのびのびと生きてゆける」と言って最初は笑っていたが、今度は長々と泣いたという。 浦川は、妻は自分が死んだら短い間でも悲しみにひたってくれるに違いないと思った。 11. 刑事部屋 「私」が出張から帰ると刑事がきてある事件で聞きたい事が有るので出頭しろと妻に言って帰ったと言う。一昨夜、友人宅に押入った強盗事件があった。警察に行くと一昨夜のアリバイを聞かれた。そのころ家族の一人が強盗を装って自分の家の金品を奪うという事件が頻発していた。そこで友人とはかって強盗を企てたのではないかという嫌疑で数人の友人達が取り調べの対象になったのだ。 最後に「帰っていいよ」と刑事に言われた時、「あんないいかあちゃんがいるんじゃあ、悪い事はしないよな」と「私」に言った。その話を妻にしたら、「いやあねえ」と笑った。妻がみごもったと言ったのは数日前の夜のことだった。
2016.02.06
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天に遊ぶ 6.梅毒 最近、聞かない病気だが、江戸時代には多かったようだ。この超短編は大老井伊直弼暗殺の首謀者、水戸脱藩浪士、関鉄之介が幕末史の研究論文などでは、梅毒にかかっていたというのが定説であったことから始まる。吉田氏は関の日記により、梅毒の治療の内容を調べたが書いてある漢方薬や食事療法が理解できず順天堂大学に行き、漢方の蔵方氏見せたら、糖尿病の治療だという。関の孫はすでに死亡しその妻が生存していたが、梅毒説でずっと気を落としていたのが、糖尿病だと吉田氏が知らせたので、眼を輝かせて喜んだ。 7.西瓜 川瀬は妻君枝と18年間一緒に暮らし半年前離婚した。離婚の原因はは川瀬の浮気だった。それが突然君枝から呼出しをうけて指定の喫茶店に出かけて行った。話と言うのは女にきた再婚話しだった。ところがその相手が川瀬の会社の春山という若い男で、君枝が離婚したと聞いて執拗に結婚を申し込んで来ていると言う。「それで寝たのか」と聞くと君枝は「考えただけでも気味が悪い」と言った。今日の洒落た身なりから、川瀬とよりをもどしたいと思っているのではないかと思い、それに素直にしたがってみようかと思った。「この喫茶店では西瓜を出すのね。注文してみます」と君枝が言った。川瀬は君枝がこのまま自分のマンションについてくるにちがいないと思いながら、西瓜を注文するためウエイトレスに手をあげた。 8.読経 「私」は亡き父の従弟の葬儀に出たら、出席者の中で「あなたの家に一月ほどお世話になったことがありますが憶えていますか」と声をかけた男がいた。その男は30数年前商家であった彼の家の荷馬車の荷台に彼は幼い弟を乗せて暴走させ、転落した弟は首を荷車の車輪に轢かれ頸骨が砕けて死んだ。自責の念で命を断つ事をおそれた彼の両親が他家に託したようだ。彼は「私」より2、3歳年上で、遊び相手に適していたが、口数は少なく、いつも虚ろな表情をしていて扱いかねた思い出がある。 読経が始まると親族の中からひときは高い錆の利いた声が湧いた。見ると彼であった。彼は配られた経文を眼にすることもせず、一心に記憶で読経している。読経なれしたその声に彼が家でも連日のように経文を唱えているのを感じた。
2016.02.05
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天に遊ぶ 2.同居 妻をなくした46歳のやもめ暮らしの男が、美人ではあるが嫁き遅れた37歳の一人住まいの独身女性と親しくなり、結婚するまでとなる。あるとき初めて女の家に行ったら体長1、5mもあろうかというピレーネという種類の犬が出て来た。この犬は人間なみに水洗便所で用を足す躾が出来ていて、人間のようだったという。結局、女には「同居人」がいたことになる。 3.「頭蓋骨」 ソ連が樺太に侵攻し、住民が船で北海道に逃れる途中、ソ連の潜水艦に攻撃され、乗船者の大半が死亡した事件があった。これを取材していた「私」は40年もたつのに幼児の頭蓋骨が漁師の網にかかったという話しを聞いて、これをネタに短編を書こうと取材旅行にでかけた。 漁師の家に行くのに行きは村役場の吏員の車で行ったが、帰りは人家のほとんどない田舎道を歩いた。漁師は、頭蓋骨は「大きな毬藻のようだった」と言っていた。漁師の家を出て雨の夜道を歩いていると車が止まって土地の女が駅まで送ってくれた。侘びしい駅舎で汽車を待つことにになった。大きな毬藻を思い浮かべながら。 4.「香奠袋」 有名な文壇人の葬儀に、10年前から、上質な喪服をつけた気品がある老女が受付に来るようになった。挨拶を受けた世話役も故人の縁者と信じ込み、老女が記帳する会葬者に頭を下げたり、香奠袋を受け取ったりするのを手伝ってもらっていた。ところが老女が現れる葬儀に限って香典袋がいくつか不足することがわかり、次第に関係者の知ることになり、老女は「香奠婆さん」と呼ばれるようになった。 編集者の君塚はその日の葬儀の世話人であったが、「香奠婆さん」が来たことに気が付き、若い世話役をつけさせ、葬儀が終わったら、老女に手土産のお茶の箱を渡し、帰るのを見送った。 5.「お妾さん」 昭和初期に筆者の生まれ育った町にはお妾さんの住む家が多くあったという。 しかし、時代は移り戦争となり、東京は激しい空襲にあう。空襲で火の手が上がると町の人たちは近くの谷中の墓地に避難した。その中に墓石の傍らにリュックサックと三味線を入れた長い袋をかかえた「お妾さん」の母娘三人の姿を見た。男の姿はなかった。それ以後、彼女らを眼にしたことはなかった。墓石の傍らで見を寄せあってしゃがんでいた彼女たちの姿が、今でも筆者の眼に焼き付いているという。
2016.02.04
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天に遊ぶ 私:「今こそ吉村昭・戦前の土木支えた過酷な労働」で、最相葉月氏は「吉村作品を初めて読むなら」と、珠玉の短編集『天に遊ぶ』(新潮文庫)を薦めていたので、図書館に予約したら、古本なんですぐ借りられた。 驚いたね。まさに名人芸の短編だね。 小説を読むというのは映画と違い、場面を読みながら想像するのだが、まさにこの短編集は本の題名通り「天に遊ぶ」だね。 長くても文庫本数ページの短編が21あるが、いずれも天に遊んだね。 村上春樹の作品にはないものだね。 A氏:吉村氏は長編作家と思ったが、短編でも優れた作家なのだね。 私:文庫本の解説に「一篇、一篇を読むのに要する時間は短いけれども、その後に残る余韻、感慨は、長く、そして強いものがある。人間の生と死、愛と憎しみといったものについて深い興趣が湧き上がってくる鋭さがある。この作者の作品群の中でも特別の位置に据えても、珠玉の超短編集を、じっくりと味わっていただきたい」とあるが、その通りだね。 一篇ずつ簡単に遊んだ記録を残したいと思う。 1.「鰭紙」 大学で経済学を講義する市原は天明年間にあった大飢饉を記した古文書を東北地方のある村に調査にいく。古文書は単なる記録だけでなく、それを書いた庄屋が見聞したことを具体的に書いてあった。飢饉のときは人減らしのため老人や子供を殺して川に流すのが習わしになり、牛馬もすべて食い尽くす。人肉を食った挿話も出てくる。餓死者の墓地を掘り返すものまであらわれる。 あるとき、庄屋の長男が川のほとりで、若い女が子供の死体を食べていたのを目撃する。 見られた女は恥ずかしいのか顔をおおって逃げた。 長男はその女の顔を知っていた。隣村のふくという女であった。古文書のその部分は細く切った鰭紙が貼られていた。ふくは後に村の油屋に嫁ぎ7人の子を生み今は安穏に暮らしていると古文書は書いていた。 市原は昨夜泊まった旅館が屋号から約二百年昔の油屋であったことを知る。 古文書を紹介した知人は「狭い土地ですから、このことは誰にもはなしていない。鰭紙部分は写真撮影はできません」という。 市原は泊まった宿のフロントで挨拶した女主人の顔を思い浮かべた。(注)「鰭紙」というのは書類のあるページに貼る付箋のことである
2016.02.03
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私:この映画の最後に主人公の死が下記の「1行の文章」で報じられている。 Chris Kyle was killed that day by a veteran he was trying to help. 日本訳では「クリス・カイル(主人公)は、その日、力になろうとした元兵士に殺された」 主人公はPSTDにかかった元兵士が元気を出すために奉仕活動をしていたので、このときも元兵士の母親に頼まれ、気晴らしに元兵士と射撃に車で行く。それを玄関のドアから見送る妻の顔で画面は暗転し、この1行の文字になる。 A氏:ウィキペディアで調べたら、「実在するクリス・カイルの子供達への配慮のため」この殺害場面は直接描写せず文字で示されるとあったね。 最後の軍の壮大な葬儀シーンは記録映画だそうだ。 私:イーストウッド監督は、この映画で、戦争をどのように描こうとしているのかね。 以前、太平戦争末期の硫黄島の戦いをテーマにした映画「父親たちの星条旗」の公開前に、フランスの新聞に彼の戦争観を語った記事が載っていたね。 この新聞の囲み記事では、イーストウッド監督は意外にも「政治家、人々を殺し続ける」とすごい発言をしているね。 イラクの戦争も批判的だね。 当時、イーストウッド監督がそのような厳しい考えを持っていたのには驚いたね。 もっとも、そのくらいの考えでないと、硫黄島の戦いの映画は作れないね。 A氏:ネット情報で、主人公を殺害した元兵士の犯人の詳細を書いてあるのを見つけたよ。 「『アメリカン・スナイパー』を殺害した男の壮絶な半生に迫る」 http://www.qetic.jp/column/tomota-ikawa/usa-post5/128003/3/ 私:犯人の元兵士はひどいPSTDで、母親が主人公に相談するんだね。 PSTDに悩む退役軍人らは射撃練習をする事で少しずつ心を開き、いろいろな話をし始めるという傾向にあったから、主人公は射撃場を選んだのだという。 主人公と友人が射撃場に着いたら元兵士は至近距離から2人を射殺。 主人公は背中と脇腹に5発、頭部に1発の銃弾を浴び死亡。 自らの経験を生かし、退役軍人らのPSTD克服を手助けする活動をしていた主人公は、皮肉にもPSTDに苦しむ一人の男によって殺害されてしまったというわけだ。 戦争は勝利者にも残酷だね。
2016.02.02
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私:監督はクリント・イーストウッドで2014年の公開で、TV初放映だという。 早速、録画して観たよ。 原作はイラク戦争に4度従軍したクリス・カイルが著した自伝「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」で伝記映画だね。 A氏:俺も録画して観たよ。 録画でないとちょっとトイレに立ったときに重要なシーンを見逃すおそれがあるからね。 特に敵兵を一発でしとめたときは瞬間だからね。 私:主人公はイラク戦争で活躍するのだが、主人公の少年時代やカウボーイに憧れロデオに明け暮れていた時代、入隊してからのイジメに近い猛訓練、そして平和な家庭生活など、戦場からのキックバックの手法をふんだんに取り入れているね。 A氏:主人公が30歳になって、兵役に志願したのは、ニューヨークの同時多発テロで国のためだね。 海軍の特殊部隊ネイビー・シールズで、射撃の腕前を買われスナイパー(狙撃手)として活躍することになる。 軍内で「伝説(レジェンド)」と称賛されるようになるが、敵からは「悪魔」と呼ばれ懸賞金をかけられるようになる。 私:あるとき、街角に潜み、携帯ミサイルで打とうとするイラク兵を一発で仕留める。 ところが、これに子供が走り寄り、ミサイルを持とうとする。 主人公は子供を撃ちたくないので「やめろ、やめろ」とつぶやく。 子供はやっと手を離し、主人公はホットする。 A氏:しかし、海兵隊の進路上に不審な親子を発見した主人公は、母親が子供に対戦車手榴弾を手渡し、子供がこれを投げようとするのを母親とともに射殺する。 その他、イラク側にも元射撃オリンピック選手の敵スナイパーがいて、何度も死闘を繰り広げ、最後に倒す。 私:米軍には戦時中でも休暇があるんだね。 主人公は、3回、家庭にもどって、家族と平和な暮らしにもどる。 しかし、戦友が死んだり精神を病んだり両眼を失ったりするのを見ているうちに主人公も精神的におかしくなってくる。PSTDだね。 これを帰ってくるたびに、妻がその変化に気づくのだね。 A氏:主人公は四度目のイラク派遣の後に海軍を除隊。 私:しかし、ある日、退役軍人の一人と射撃訓練に出かけた先でその男に殺害される。 この場面は直接描写せず簡単な文字で示されるので、なんで殺されたのか、観客にはわからない、あっけない最後だね。 最後は軍による壮大な葬儀のシーンで終り。
2016.02.01
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