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A氏:終末期の医療については、このブログで1つの知的街道としてとりあげてきたね。 「終末期の医療」、新聞広告「欧米に寝たきり老人はいない・自分で決める最後の医療」、「欧米に寝たきり老人はいない・自分で決める人生最後の医療」 私:今日の新聞のフォーラム欄では、2月から4回連載した「最期の医療」についてまとめていて、2つの例を紹介しているね。 まず、最初の例はカメラマンだった夫(当時68歳)が、仲間と食事中、気管に肉を詰まらせ窒息。 30分以上、脳に酸素が供給されず、自発呼吸は回復しなかった。 1週間後、担当医から治療方針を問われ、「治療を整理し緩やかな死を迎える」「薬の投与など少し積極的に延命する」「気管切開をして気道を確保し積極的に延命する」の3通りが示され「家族でよく話し合って決めて下さい」とゆだねられたという。 A氏:常々、夫婦でいざという場合は「延命はしない」「葬式も墓も不要」と話し合っていたが、「管はつながっているものの眠っているだけに見える。温かな肉体がなくなってしまう恐ろしさ、生死をゆだねられた重さ、苦しさで、とても悩みました」と妻はいう。 娘夫婦とも繰り返し話し、妻が「肉体を傷つけてまでの延命はしない」と最終決断したという。 夫は1カ月後、家族に見守られながら静かに旅立ったという。 しかし、妻はその決断がよかったのか、今でも悩まない日はないという。 最期のあり方は人それぞれ、正解のない問いの繰り返しだから、事前に意思を示すことが大切なのだと感じるという。 私:もう一つの例は老人ホームに住む100歳の老人からのメールで、そこには、思い切った提言があったという。 老人は、心臓弁膜症を患い、要支援2で「腎機能が悪化した」とも診断されたが、人工透析を受けるつもりはないという。 あと10年で年間に亡くなる人の総数は170万に激増するから、これまでと同じように延命措置を施していれば医療費はいくらあっても足りない。 国民全体の経済、医療を考えれば、延命のための延命はやめるべきで、浮いたお金は「がんの緩和ケアや介護保険の充実、若年層の貧困対策などに回すべきだ」という。 この老人の「延命の一律制限」という、人生の若輩者にはとても言い出せない思い切った提案に驚くばかりだという。 「欧米に寝たきり老人はいない・自分で決める人生最後の医療」にあるように、2013年、病院のベッド数は158万。 このうち療養ベッド数は33万。 このほとんどが無意味な人間の尊厳を無視した延命治療を何年も受けている病床だというが、真剣に考えるべき問題だね。
2016.04.30
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私:軽自動車では、燃費試験データの偽装だけでなく、データを実測していたのが一部にとどまり、残りは机上の計算による架空のデータを使っていたことが新たにわかったね。 ところで、不思議なのは、原因追及になんで三菱自は、社外の弁護士に委嘱した第3者の特別調査委員会で調べるのかね。 自分の会社の業務は、自社の者が一番よく知っているはずだがね。 A氏:公平性を考えたのではないの。 私:過去のリコール隠しにせよ、原因があいまいだから、体質が変わらず、再発したのだから、自分自身徹底的に調べるべきだね。 社長は他人事のように言っているが、自分で架空データを調べたのかね。 架空データと言っても、実際に試験をやったように書いてあるはずだ。 試験担当者が複数いるはずで、それらの氏名は記録されているはずだ。 架空のデータでも、きちんと数字は書いてあるはずだ。 その数値はどこから転記してきたのか、データ記入者の氏名も書いてあるはずだ。 A氏:データ記入を終わったら、管理者の氏名のサインや印もあるだろう。 私:品質保証部担当者名で確認のサインもあるかもしれない。 そういう、何人か氏名が明らかな者に、社長は直接、会って、説明を求めたのだろうか。 その上で第3者委員会に調査を依頼すべきだね。 どうもそのへんがスッキリしないね。 A氏:調査まで、机上になっているのかね。 私:トラブったら、3現主義と言って、「現場」にとんで、「現物」を見て、「現実的」に考えるべきだね。 「現場」にとぶというのは、「現場」の空気(雰囲気)を6感で感じるためだね。 この場合、「現物」とは机上で書いた偽データだね。 「現実的」とはそこから、問題点を体系的に把握することだね。 名前の上がった現場担当者に直接、聴くということは、担当者の受け答えから現場の感触を正確に、直感的に把握することだね。 A氏:社長が直接聞いたら、緊張するのでないかね。 私:それは聴き方で、社長が問題を真剣に理解しようとする姿勢が、問われるだけだね。 町工場の社長になるべきだね。 ところで、新車の受注が不正発覚後に半減したという。 買い取りなら数千億円規模の損失だという。 水島製作所は三菱自の社員が3577人、構内協力会社の従業員が1118人。 主な取引企業34社の工場で、計9445人が働いているというから、この人たちの雇用の問題もからんでいるね。
2016.04.29
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私:小熊氏が「うさぎ跳び」を例にとりあげたのは、効果が薄いうえ、関節や筋肉を傷める可能性が高いトレーニングだからだ。 そして、非効率で長い日本の労働時間にふれている。 日本の中学教員の労働時間は、OECD諸国で最も長いが、授業時間は長くないから、教員が時間をとられているのは、部活動や行事で、そのため、長時間働いても、教育効果が上がらない。 まさに、「うさぎ跳び」に類する、見当違いの努力であると小熊氏は指摘する。 A氏:日本の社会保障は「きわめて非効率」だというね。 これらは、日本の国際競争力や、経済成長率の低下につながり、教育程度の低下や格差拡大は、国の人的資源を劣化させ、ポテンシャルを下げる。 世界競争力ランキングでは、日本は1992年に1位だったが、2015年は27位。 「生産性と効率性」は、14年から15年に、24位から43位に落ちているという。 日本の労働生産性は、米国に比べて低く、その比は製造業で7割、サービス業で5割だで、飲食・宿泊では4分の1。 私:ブラックバイトやブラック企業での労働は「うさぎ跳び」労働の典型だね。 小熊氏は、昔なら、国民が黙々と働いていれば、経済は伸びたが、現代は、知的産業や高付加価値化がものをいうというが、俺は違う見方だね。 高度成長時代は、「黙々と働いた」わけではない。 仕事の無駄を省いて、残業をなくし、週6日制を週5日制の時短に成功している。 その現場の改善力が次第になくなったのが原因だね。 A氏:このブログでは「好調なドイツ・その2」で当時のドイツの生産性と労働時間との関係にふれているね。 私:ドイツ人は労働時間の短さと効率的な働きをしているという。 ドイツ政府は「休暇法」で有給休暇を完全に消化することを義務付けているという。 完全週休2日制で、日曜と祝日の労働は禁止。 労働基準監督署の検査も厳しい。 日本のような長時間労働や過労死はほとんどない。 サービス残業などは論外。 ドイツ人の1日の労働時間は7時間25分で、OECD加盟国で最も短い。 日本は9時間でOECD加盟国でメキシコに次いで2番目に長いという。 それなのに、当時、国民1人当たりのGDPはドイツが日本を3%上回っていた。 1970年代、ムダを徹底的に省いて、安くて品質のいい製品で、世界を征した効率のよい日本の現場力はどうして消えたのだろう。
2016.04.28
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私:また、三菱自動車が問題を起こしたね。 2000年以降、不祥事を重ねては、その対応に追われることを繰り返してきたね。 00年には、ユーザーからのクレーム情報を隠蔽し、内密に改修・修理する大規模な「リコール隠し」をしていたことが発覚。 02年には横浜市と山口県で大型車の死傷事故が相次ぎ、欠陥を組織的に隠したり、国に虚偽の説明をしたりしたとして最終的に元社長らが有罪判決を受けている。 私:これらは、技術的な問題よりも管理(マネジメント)の問題だね。 A氏:そこで、君は、先にあったマンションの杭打ち問題でも偽の杭打ちデータの問題をマネジメントの問題として扱っていたね。 私:三菱自動車のホームページを見たら、次のようにISO9001が載っていたよ。 「当社グループは、2003年に開発・製造・販売・サービスを含む全社でISO9001を取得しました。 この中には、全国に配置されているテクニカルセンターや部品センターも含み、全社員が品質マネジメントの改善に取り組んでいます。 2005年から品質工学(田口メソッド)を使った教育を、開発・生産の技術者へ展開し、ロバスト設計を使い、お客様に安全・安心な車をお届けできるよう取り組んでいます。 A氏:ロバスト設計とは、使い方のばらつきがあっても影響を受けにくい、安定した機能を発揮するための設計方法だが、今度の燃費改善には効果がなかったようだね。 しかも君が指摘するようにISO9001のマネジメントシステムを頼った対策だね。 私:ところが、04年には乗用車の幅広い車種で再びリコール隠しが発覚しているし、今度の燃費の偽装データも1991年から不正は続き、07年には社内マニュアルで国の定める方法を使うと決めたが、その後も異なる方法を継続していたという。 異なる測定方法が長期間に及んでいたことに加え、すでに不正が判明していた4車種の多くのタイプで実測をせずに机上でデータを算出していたことが明らかになった。 「2003年に開発・製造・販売・サービスを含む全社でISO9001を取得しました」というのは嘘だね。 ISO9001には、「内部監査」という自浄装置もあるが、形骸化していたようだ。 品質保証の主管部門である、品質保証部門の怠慢だね。 杭打ち同様、例によって、マスコミ報道はISO9001に無関心だね。
2016.04.27
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私:北朝鮮については、マスコミによるイメージで想像してしまうが、このインタビューは、冷静な見方をしていて参考になるね。 A氏:北朝鮮研究で著名な平岩俊司・関西大学院教授が、その情報分析の手腕を高く評価する元公安調査庁調査第2部長の坂井隆氏にインタビューしている。 インテリジェンス(情報活動)のプロが見る北朝鮮や最高指導者、金正恩(キムジョンウン)・第1書記はどう見るか。 私:坂井氏は、正恩氏は、めちゃくちゃな思いつきでなく、合理的な判断で国家運営をしているという。 国内的には科学教育の充実や植林の督励などもやっており、内政を無視した冒険主義とみるのは誤りだという。 ただ明らかに権力継承までの準備期間が短かったので、強引に、速いテンポでやらざるをえない。 日本の報道では北朝鮮だけが行動をエスカレートさせているかのようだが、北朝鮮の視点から見れば、「米国の脅威を受けている」ということが大前提。 そのなかで、米韓が大規模軍事演習を始めたり、正恩氏を狙う「斬首作戦」がささやかれたりすることに北朝鮮は対応しているつもりであり、お互い様という面があるという。 A氏:正恩氏は核とミサイル開発を進めるだけで国防はもういいと考えていると思うと坂井氏はいう。 彼らは(他国からの攻撃を)抑止するために核を持とうとしていて、安心を手に入れた上で経済政策に力を注ぐつもりだという。 このような考え方を3年前、核・ミサイルで緊張を高めたうえで、党中央委員総会で核開発と経済建設を同時に進めるという「並進路線」と称して打ち出している。 私:正恩氏は過激な性格だという声があるが、父は自信があっただけに、周囲に対して「俺のことを馬鹿にしているのか」とは絶対思わなかっただろうが、正恩氏は周辺にまだ懐疑心を抱く可能性があるから、周囲は、あなたが最高指導者です、とあがめ、過剰な忠誠心を示す必要があるのだという。 正恩体制は恐怖政治で、居眠りしただけで処刑される、といった言説まで飛び交っているが、事実だとしても祖父の金日成(キムイルソン)氏の権力確立時(の粛清規模)に比べると極めて限定的だという。 A氏:正恩氏は昨年来、「人民」重視や「官僚主義」批判の主張を強めており、党大会を機に幹部の不正腐敗対策を進める可能性があり、その本格的な実行には権威や求心力の一層の強化が不可欠だから、最近、対外的な緊張を高めているのは、そのためかもしれないと坂井氏はみているね。 私:北朝鮮に関して絶対正確な情報を持つ人などいない。 常に、北朝鮮については、危うい仮説の上に立ってやっているんだという自覚が欠かせないと坂井氏は指摘しているね。 北朝鮮については、マスコミ情報には乗せられないように要注意だね。
2016.04.26
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私:「中学校の部活動」は毎週掲載されていて、今週は2回目。 5回連載の予定らしく、主にアンケートを掲載しているね。 俺がこの問題に興味を持ったのは、実は近所に住む俺の孫が昨年中学生になったら、部活でものすごく多忙になったからだ。 部活はテニス部だが、下級生は走るだけらしい。 そして、その後、塾に行くので家に帰るのは夜の9時くらいだという。 土日も部活があるから、俺の家に遊びにあまり来なくなったね。 A氏:部活の顧問をやっている教師は大変らしいね。 私:今回は「『楽しむ力』伸ばす場に」と題して、早稲田大学スポーツ科学学術院准教授・中澤篤史氏が、興味あるコメントをしているね。 部活動は教育課程外の活動なのに日本中の中学、高校にあり、大勢の生徒が参加し、多くの教師も顧問としてかかわっているが、ただ、好きで参加している生徒ばかりではなく、顧問をやめたい教師もいて、やらなければいけないものではないのに、成立しているね。 A氏:その歴史は戦前にさかのぼるという。 教師が教育の一環としてかかわるようになったのは戦後からで、自分たちがしたいことを追求したり、仲間と協力したりすることで子どもは成長するんじゃないか、そんな自主性を重視する戦後教育の考え方に、部活動はピッタリはまったのだという。 私:それが、1970~80年代に、部活動の意味は大きく変わり、「学校の荒れ」が問題になり、管理や非行防止の手段として利用されてきたという。 生徒のしたいことを教師が支えるのではなく、部活動を通して生徒を管理する実践が広まり、部活動は生徒指導の手段として学校に不可欠なシステムになったという。 「生徒はみんな入るべきで、教師もみんな従事すべきだ」と、部活動は強制的で抑圧的になってきたという。 A氏:現在の部活動は、待ったなしの課題に直面していて、最優先に考えるべきは事故や暴力などから子どもの生命を守ることで、そして、教師の生活を守ること。 そんな深刻な状況を踏まえると、現状はやり過ぎのように映ると中澤氏は指摘する。 そもそも、自主性が大事だといいながら、本当のところ全く自主的ではないことも多い。 私:箱根駅伝で2年連続優勝した青山学院大学の原監督は、選手の自主性による練習方法をとっているという。 選手は皆、明るい。 決められたことをこなすだけでは自主性は育たない。 やりたいことを追求し、力がつくよう工夫することが、人生を豊かにする可能性を生むはずだという。 俺の孫に目的を持ってやっているか聞いてみたいね。
2016.04.25
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【ゆうメール送料無料】【中古-良】宮本武蔵(七) (吉川英治歴史時代文庫) N406196520 【中古】 【ゆうメール 送料無料】 【代引不可】[02P23Apr16] 私:今週は、本命の書評欄に興味が湧くものはなかったね。 しかし、同じ読書欄で「ひもとく」欄で、待機児童を扱った本が3冊紹介があったが、その紹介記事が参考になったね。 A氏:所得や労働生産性の向上、生活保護費費の低減などで測った就学前教育の社会全体の投資収益率は、15~17%と通常の公共投資ではありえないほど高いのだというね。 ノーベル経済学賞を受賞したヘックマン教授の「就学後の教育の効率性を決めるのは、就学前の教育にある」との研究結果は、各国の保育政策の充実に大きな影響を及ぼしているという。 私:海外では保育への公的補助を増やし、親の就労の有無に関わらず、すべての子どもに質の高い保育を保障する方向にかじを切る国が増えているという。 単に保育園の数や保育士の賃金だけでなく、視野を広く持ち必要があるね。 もう一つ、同じ読書欄の「本郷和人が聴く文豪の朗読」欄で今週は吉川英治の「宮本武蔵」をとりあげていた。 A氏:吉川英治の「宮本武蔵」は、われわれ世代にとっては、座右の書だね。 私:朝日新聞が1960年に発表した文豪たちの自作の朗読が所蔵してあるのを識者が聴き、この欄で感想を書いているのだね。 しかし、「宮本武蔵」の朗読とあっては、徳川夢声を抜きにしては語れないだろう。 残念ながら、朝日新聞のこの欄では徳川無声のことは出てこないね。 テレビのないわれわれの子供時代はラジオが娯楽の中心だったが、連続番組の無声のラジオ放送の「宮本武蔵」は迫力があったね。 その声は映画でも見ているように想像力が働いたね。 無声は、無声映画時代の弁士だったという経歴だから朗読のプロだね。 A氏:「波騒は世の常である。波にまかせて、泳ぎ上手に、雑魚は歌い雑魚は躍る。けれど、誰か知ろう、百尺下の水の心を。水のふかさを」。 というのが、長編「宮本武蔵」の最後の文章で無声の声もここで終わる。 私:武蔵が巌流島で佐々木小次郎と決闘し、勝って島を船で去るところだね。 吉川英治の「宮本武蔵」はその後のことはふれていないね。
2016.04.24
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私:オバマ米大統領が、被爆地・広島を訪れる可能性が現実味を増しているということで、このコラムでは、ジャーナリスト・松尾文夫氏と、米ダートマス大学准教授ジェニファー・リンド女史の両氏にインタビューしている。 A氏:松尾氏は、「『献花外交』で日米の和解を」をということで、1995年の2月にドイツのドレスデンで第2次大戦を戦った米英とドイツが、共同で鎮魂の儀式を行っている例を上げ、ここで、敵国同士だった政府と軍の代表者が並んで戦没者を追悼し和解の成立を宣言する姿を見て、強い衝撃を受け、「日本はまだやっていないぞ、と」思ったという。 そして、米国大統領には広島の慰霊に献花してもらい、日本の首相には、ハワイの真珠湾を訪れ、献花してほしいという。 私:しかし、日本とドイツとは違うし、現実的な効果は疑問に思うね。 その点、ジェニファー・リンド女史の「謝罪か核廃絶か、枠組み問題」と題した意見は、全体を現実的に捉えているように思う。 女史は「大統領の広島訪問は非常に複雑で議論を呼ぶ話題で、オバマ氏にとってもリスクがある」という。 保守派は「オバマが広島を訪問すればそれは謝罪だ」と言うが、女史自身は、どこかを訪問し、静かに立っていることが謝罪だとは考えないという。 訪問を「謝罪」の枠組みにはめると、本来必要のない議論が起きるね。 A氏:ホワイトハウスは、核兵器による破壊や戦争の悲劇に焦点を当て、訪問を「核不拡散」などの「枠組み」にはめ込もうとしている。 女史によれば、今起こっているのは、どちらの「枠組み」が国民に受け入れられるかの争いだという。 共和党は広島訪問を選挙キャンペーンに使い、トランプ氏は「アメリカを再び偉大にする。私は誰にも絶対に謝らない」と言い、もし、オバマ氏の訪問は「謝罪だ」というイメージ作りに成功したら、保守派だけでなく、穏健派も怒りを覚え、平均的な米国人、女史の周囲の人たちも「謝罪」という考えに激怒するという。 私:「核不拡散」「核廃絶」という考えだと、行く場所は広島、長崎になるが、日米の関係強化で考えれば、訪問場所は違うと思うと女史は言う。 「真珠湾と広島に日米の首脳が相互に訪問すればよい」という議論もあるが、女史は自身の研究を踏まえ、いい考えではないと思うという。 松尾氏と違うね。 相手の殺害に可能な限りの力を尽くした場所を首脳が訪問し、暗黒時代の関係に話を戻すより、互いが誇りを持てる場所に行くべきだと女史はいう。 女史は、松尾氏のあげたドレスデンの式典は成功と見るのかね。 結局、「核不拡散」「核廃絶」という枠組みでの広島訪問になるのではないかね。
2016.04.23
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私:先日、現場の改善について、本を出そうとした時、編集の人が俺の原稿のなかに「改善の会議では改善案については、目で見えるようにして、提案することが望ましい」という文章があり、これは「視覚障害者への差別と受け取られる」とコメントされた。 そこで、「目で見える」を「可視化して」に訂正して了解を得たよ。 A氏:あまり変わらないが配慮はされたようだね。 しかし、現場改善で有名なトヨタ生産方式では「目で見える管理」というのがあるね。 例えば、職場を囲んでいるパーティションなどをなくし、職場の状態をどこからもすぐに見られる状態にすることだね。 あるいは、流れ作業の各工程の上には「アンドン」という表示板があり、工程に異常があると、その工程の上の「アンドン」に異常ランプが付き、これを職長が「目で見て」その工程にとんで来るというのもあるね。 これは視覚障害者にとっては差別のある生産方式なのかね。 私:朝日新聞のこの欄の筆者である松井氏は「4月1日に障害者差別解消法が施行され、これは日本が2014年1月に批准した国連の障害者権利条約にあわせて整備された国内法で、従来型の差別禁止に加え、『合理的配慮の提供』を公的機関の義務(民間は努力義務)とした点が大きな変化である」としている。 A氏:内閣府は、「合理的配慮の提供」をつぎのように説明しているという。 公的機関や民間事業者に対して「障害のある人から、社会の中にあるバリアを取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに、負担が重すぎない範囲で対応すること(事業者に対しては、対応に努めること)」。 「視覚障害者がいるとき、発言の前に『○○です』と自分の名前を付ける、聴覚障害者と話すとき、ボードを用いて筆談に努める、といった配慮が第一歩となる」という。 私:19世紀、遺伝性のろう者が多かった米国マサチューセッツ州沖合のマーサズ・ヴィンヤード島では、手話が主要言語であった。 言語は、みんなが使うものを自分も使う。 この島では聾唖者は言葉が話せない「障害者」ではなく、「ふつう」の人であり、耳が聴こえないことは単に個人の個性の一部に過ぎなかったという。 この場合、非障害者は「配慮が必要ない人」ではなく、「配慮されてきた人」であるということであり、同様に、障害者は「配慮が必要な人」ではなく、「配慮の格差」に直面してきた人なのだという。 権利条約の理念は「私たち(障害者)抜きに私たちのことを決めないで!」であり、対話を通じてお互いのニーズを探ることの大切さは全ての人間関係に共通したものであり、まずはそこから始めることで、みなが配慮される社会に近づいていくのではないだろうかと松井氏は最後に提言する。 そういう意識をもって、障害者に配慮することがポイントかね。
2016.04.22
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私:「タクスヘイブン知的街道」ができ、その分岐路として「パナマ文書」街道ができたね。「腐ったビジネスをやめさせたい」という匿名の人物の内部告発のおかげで、「パナマ文書」の内容が、「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)の活動により公表されつつある。 奥山氏は、4年前から朝日新聞記者として「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)のメンバーで活動してきたという。 A氏:今回の「パナマ文書」報道は様々に解説することができるが、奥山氏は、次のように、指摘したい3項目をあげているね。 「第1項目」と指摘したいことは、これは「過去最大の内部告発」発端の報道だということ。 1971年、当時のニクソン大統領が「米国の歴史上、最も大規模な極秘文書の漏洩だ」と怒り狂った「ペンタゴン文書」事件では、その文書量は、PDFファイルのデータ量で全部で6ギガバイト余だった。 私:それに対して、「パナマ文書」の電子ファイルはその400倍余に及ぶ2・6テラバイト。 「第2項目」として指摘したいことは、これはおそらく「史上最大の調査報道」だということだ。 76カ国の100余の報道機関、400人近くの記者が取材にあたっていて、すでに10カ国の現旧指導者12人を含む公職者140人と租税回避地との関わりを報じたが、疑惑の対象とされた政治家の数としては過去最多にのぼるのではないかという。 A氏:「第3項目」として指摘したいことは、ここ10年余り盛んになってきた非営利組織、ネットメディアによる報道のなかで「最良の成功例」だという。 従来は困難だった取材・報道が、インターネットやデータベースなど情報技術の進歩で容易になっていて、今回の報道はそのメリットを最大限に生かしたといえるという。 私:内部告発と調査報道は、社会をよりましに変える、その力になりうる。 問題があっても、多くの人の目の前に明らかにされなければ、その問題は認識されず、解決されることもない。 だから、内部告発と調査報道は「公に奉仕する営み」だと言える。 「これを機に、その公的な意義を多くの人に知ってほしい」と奥山氏は最後に言っているね。 大量の「パナマ文書」の内容のより焦点を絞った報道が期待されるね。しかし、中立的な報道で知識層に人気がある香港紙「明報」が「パナマ文書」をめぐる特集を組んだ直後に編集幹部を突然解雇し、社員らが抗議する騒動になっている。 そういう反対の動きもあるようだ。
2016.04.21
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戦国大名の兵粮事情 私:3月第3週の朝日新聞・日曜書評でこの本がとりあげられ、本郷和人東大教授が書評を書いている。 それによると、戦国の合戦を語るとき、つい戦術に目を奪われるが、「戦争のプロは兵站を語り、戦争の素人は戦略を語る」だとあるが、確たる兵站の理論など、戦国時代にはなく、それが十分に成熟していないことこそが戦国の合戦、さらには戦国という社会の特色なのだとこの書は述べているという。 A氏:たいへんな労作で、戦国の軍隊はいかに食べ、戦ったか。 「イメージとしての戦国」に飽き足りぬ方々に、おすすめの一冊であると評者は言っていたね。 私:そこで、図書館から借りて読んだ。 文中に古文書の引用が多く、労作ではあるが、読みにくかった。 評者は「戦争のプロは兵站を語り、戦争の素人は戦略を語る」とあったが、この本には「兵站」という単語は登場しなかった。 代わりに「兵粮」が中心だった。 むしろ、現代の「兵站(ロジスティクス)」という観点からまとめたほうが読む方は分かりやすかったと思うね。 A氏:このブログで「検証・長篠合戦」平山優著・吉川弘文館があるが、長篠合戦は戦術革命、軍事的革命の画期的事件と評価され、新戦法=織田信長、旧戦法=武田勝頼という「通説」に対し、この著では、多くの歴史資料をもとに武田軍にもかなり銃はあり、馬防柵も当時は一般的にやられており、織田軍の戦法は特に新しいものではないという。 火縄銃は、消耗品である火薬、火縄、銃弾を大量に必要だ。 基本的に織田軍と武田軍の違いは、銃弾の兵站(ロジスティクス)にあったとしている。 私:戦争は、武器を発達させ、その武器は「兵站」がしっかりしないと使いこなせない。 「ヨーロッパ覇権史」玉木俊明著・ちくま新書によると、戦争の多かったヨーロッパ大陸では日本の戦国時代と同じ頃、「軍事革命」が起きているね。 その意味で、このヨーロッパ時代の戦争経済と、日本の戦国時代の経済を比較するのも興味ある一つの方向ではないかと思ったね。 この本では、秀吉の朝鮮出兵で兵粮は現地調達で失敗したことあげている。 そこで遅れて兵粮を釜山港に送るが、今度は朝鮮内部の流通経路で輸送がうまくいかず、 前線に届かないという問題を起こす。 A氏:太平洋戦争で日本軍のフィリピン攻撃でコメは現地調達だという。 しかし、コメはフィリピンは輸入国で、現地調達はムリだった。 このため、フィリピンを占領した日本軍はフィリピン人の持っているコメを奪うことになり、対日感情を悪化させる一因となるね。 私:日本軍の「兵站」の弱さは、太平洋戦争でも見られるね。
2016.04.20
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私:このコラムはもう一人、「認められても、条文化は不要」と題して橋爪大三郎氏(社会学者)のオピニオンが掲載されているが、弁護士の中野明安氏の「災害対策、理由にする危うさ」というオピニオンがわかりやすいのでこれをまとめておきたい。 A氏:現実に熊本地震で緊急事態が起きているね。 私:中野氏は、憲法に国家緊急権を創設することには反対で、災害対策に必要という意見があるが、不要などころか有害ですらあるという。 大災害時に内閣に権限を集中させる措置は、現行法にすでに盛り込まれていて、災害対策基本法では首相は災害緊急事態を布告し、物資の流通制限や、価格統制をできる。 大規模地震対策特別措置法では地方公共団体への指示、警察法では警察の一時的な統制、自衛隊法では部隊などの派遣を要請できる。 A氏:現に自衛隊は自衛隊法で熊本に派遣されているね。 私:立ち入り禁止区域の設定や、建物の除去のも現行法ですでに都道府県知事ができることになっており、日本弁護士連合会が行った被災自治体への調査では、むしろ国から自治体に権限を委譲してもらいたいという声が圧倒的に多かったという。 A氏:こうした法律には、災害時とはいえ、憲法が保障する国民の権利を制約する性格があり、憲法違反にならないよう整備されてきた。 医療や建設の関係者が災害対応にあたる「従事命令」も、憲法の禁ずる「苦役」とならないよう検討された上で定められているという。 私:そもそも国家緊急権とは、国家の存立を維持するために憲法秩序を一時停止するもので、これは国家権力の乱用を防ぐ立憲主義と、憲法が保障する国民の自由や権利の観点から大きな問題があると中野氏はいう。 多くの国の憲法に国家緊急権が明示されているのに、日本国憲法にないのはおかしいと主張する人もいるが、日本は戦前に憲法上の非常措置が乱用された反省からあえて外したのだという憲法制定の経緯を忘れるべきではないと中野氏はいう。 A氏:戦前のドイツで、民主的なワイマール憲法に国家緊急権が盛り込まれた末、ヒトラーの独裁が進んだ重い教訓もあるね。 私:テロ対策も、災害対策も、感染症対策も、現在の法律で対応できる。 特別法が必要になるかもしれないが、国家緊急権がなければ対応できないという話ではないと中野氏は指摘する。 国家緊急権があれば大丈夫だと思うこと、そう思わせてしまうことは、危険で、熊本地震への対応でもその必要性は見当たらないばかりか、内閣からの指示が現地の状況とそぐわない弊害すら出ている。 災害対策を口実に持ち出されることには、怒りすら覚えると中野氏は厳しく批判しているね。
2016.04.19
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私:今週の書評は読みたい本が3千円以上のものが多く諦めかけたが、唯一、2千円以下で、興味があったのが1冊あった。 それが、伊東潤〈著〉「吹けよ風 呼べよ嵐」で、著者は、60年生まれ、「国を蹴った男」で吉川英治文学新人賞を受賞している。 この本の評者は、文芸評論家の末國善己氏。 この本の物語は、川中島合戦で、デビュー当初から戦国時代の関東にこだわっている伊東潤が、ついに描いたもので、ほぼ全編が戦闘や謀略という硬派な物語は、原点回帰といえると評している。 A氏;川中島合戦と言えば、有名な武田信玄と上杉謙信が信州川中島での合戦だね。 私:ところが、この小説の主人公は北信濃の国人・須田満親だという。 この設定だけで、どれほど斬新かが分かるだろうと末國氏は言う。 著者は、領土的野心が強い信玄に故郷を追われた国人が、領国を奪い返そうとしたのが川中島合戦だとし、国人の動きを追うことで、5回の合戦が行われた理由を明らかにしていく。 さらに、実際に合戦を指揮したのは信玄と謙信だが、作戦案を作ったのは、川中島周辺を熟知する国人だったとしているという。 A氏:頼山陽の詩句「鞭声粛粛、夜河を渡わたる」とあるのが有名で、これは川中島の戦いで上杉謙信が武田信玄の機先を制すべく、夜に妻女山を下って、敵に気づかれないように馬にあてる鞭の音も静かに、千曲川を渡ったことを詠んだものというね。 私:川中島合戦は第1次から第5次まであり、この頼山陽の詩句に出てくるシーンは第4次の合戦だね。 上杉軍が妻女山に陣をひき、目の下の海津城に武田軍が入って、対峙する。 睨み合いが続き、士気の低下を恐れた武田軍は兵を二手に分け、大規模な別働隊の編成をし、この別働隊に妻女山の上杉軍を攻撃させ、上杉軍が勝っても負けても山を下るから、これを平野部に布陣した武田の本隊が待ち伏せし、別働隊と挟撃して殲滅する作戦を立てた。 A氏:これは啄木鳥(きつつき)が嘴(くちばし)で虫の潜む木を叩き、驚いて飛び出した虫を喰らうことに似ていることから、「啄木鳥戦法」と名づけられたものだね。 私:謙信は海津城からの炊煙がいつになく多いことから、この動きを察知し、一切の物音を立てることを禁じて、夜陰に乗じて密かに妻女山を下り、千曲川を対岸に渡った。 このシーンが頼山陽の詩句にうたわれたんだね。 妻女山に登った別働隊は誰もいないことを知る。 この合戦は、前半は先を制した謙信優勢で、後半は追いついた別働隊で信玄優勢で終わっているね。 小説ではどう料理するのか楽しみだね。
2016.04.18
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私:「保育園落ちた日本死ね」。 一人の母親の書いたブログ記事が、日本の政治とメディアを激しく揺さぶった。 この記事がネットの匿名サイトに掲載されたのは2月中旬。 その直後から、さまざまなネットメディアに転載、引用され、大きな反響を呼び、共感する声が圧倒的。 このブログを民主党(当時)の山尾議員が国会で取り上げたのが2月29日。 A氏:これを取り上げた朝日新聞の最初の記事は3月4日付夕刊社会面の「待機児童問題 広がる共感」だった。 ブログの紹介やネットの反響を含め、報道の内容も的確でだが、ただ正直なところ「今頃になって?」という感想を否めなかったと宇野氏は問題を提起しているね。 私:政治の反応はさらに遅く、山尾議員の質問に対し、安倍首相は「匿名であるので確かめられない」、議場からは「誰が書いたんだよ」とやじが飛んだね。 また、これに対する反発が広がり、「1億総活躍」を掲げる安倍政権は一転、待機児童の改善を必死にアピールせざるをえなくなったね。 A氏:「大したことはない」という政治の思惑を、ネット世論がひっくり返したという意味で画期的な出来事であったと宇野氏は言う。 私:「保育園落ちた」事件で本当に重要なのは、文体の問題ではなく、より重要かつ深刻なのは、知や情報の世界における権威の変化であり、それに対する政治やメディアの反応の遅れだ。 この問題については、これまでも多くの報道がなされ、指摘がなされてきた。 にもかかわらず、今回のブログ記事ほどの反響を呼んだものはまれである。 誰が書いたのかもわからないブログ記事の方が世論に影響を与え、政治やメディアがそれを後追いした今回の出来事は、ネット社会のあり方を考える上で示唆的であるという。 A氏:新聞は無力だということか。 私:その意味で、単に現象を後追いするだけではなく、問題をじっくり考える材料を提供することは新聞の重要な役割で、例えば3月10日付朝刊3面「保育制度充実を2万7千署名」は「保育園落ちた」を切り口に、背景となる要因を考察していて読み応えがあると宇野氏は評価している。 新聞記事に対しては、そのネットでできない役割を十分に果たすことが今後は問われるね。
2016.04.17
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私:余震と思ったのが本震であったり、大分県にとんだり、奇妙な断層の動きが続いているね。 16日の朝日新聞「耕論」欄で磯田道史氏(歴史学者、国際日本文化研究センター准教授)が「歴史の例に学び警戒必要」と熊本市と周辺には東西方向に断層が走っていて、これが動いてM6前後の震源の浅い地震が起きたとみられる記録がこれまでに3、4回あると指摘している。 A氏:最古の記録は1619年に八代にあり、城下町が一瞬で消滅したという。 それからわずか6年後の1625年には、熊本で大地震が起き、熊本城は、天守はもちろん、城内の家は瓦や建具が「ことごとく、おちくずれ、城中に人、五十人程死し、塩硝蔵火薬庫が地震後の火災で爆発し、城の瓦が『五里六里の外』まで吹き飛んだ」とされているという。 熊本では、明治22年(1889年)にもM6・3の大地震が起きている。 私:2000年にも今回と同様に益城町を中心とした震度5弱の地震が発生。 熊本城は加藤清正が築いた名城で、今回の地震で崩れ落ちた石垣は「武者返し」と言われる、上に向かって反り返った構造。 敵には強いが、大地震には弱く、上から崩れるという。 清正が生きていた時は地震がなかったので、築城の時、地震のことまで配慮しなかったのだろうね。 A氏:ところで新聞では「新幹線脱線、防止ガードなし 大きな揺れ想定外区間 熊本地震」という見出しで、事故が起きた現場の線路には、近年整備が進む「脱線防止ガード」がなかったと報じている。 九州新幹線では上下線計514キロのうち、設置計画があるのは55キロで、48キロは設置済みだが、設置する場所は「非常に大きな揺れが予想され、活断層であることが確実なもの」を選んだというが、今回の区域は「想定外」だったのかね。 私:地震対策としては、さらに、脱線時にレールから大きく逸脱するのを防ぐ「逸脱防止ストッパー」もあり、台車に設置したストッパーが脱線防止ガードなどに引っかかる仕組みだが、今回脱線した車両には装着されていなかったという。 JR九州は、800系を9編成保有しているが、装着済みは2編成だったという。 脱線対策の抜けが、脱線事故につながったようだね。 強い余震が続いているが、被害が拡大しないことを祈りたいね。
2016.04.16
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A氏:「タックスヘイブン知的街道」が続くね。高橋篤史著「粉飾の論理」、門倉貴史著「マネーロンダリング」、イグナシオ・ラモネ著杉村等訳「グローバリゼーション新自由主義批判事典」、「南アの人種間格差 『略奪』防ぐ国際的枠組みを」、「世界の権力者が寵愛した銀行・タックスヘイブンの秘密を暴露した行員の告白」、「『パナマ文書』米司法省が調査 各国首脳ら、租税回避か」 私:13日、「パナマ文書」について、パナマ検察当局は流出元の法律事務所「モサック・フォンセカ」を捜索し、大量の電子データを押収したと報じられているね。 「パナマ文書」と同様の顧客情報が含まれていると見られ、検事は「内容を分析し、(違法性の有無について)結論を出す」と説明したが、分析には時間がかかる見通しだという。 A氏:「パナマ文書」の報道を主導している非営利の報道機関ICIJと提携先の報道機関に、英国、ベルギー、カナダ、インドネシア、ブルガリア、ラトビアなどの各国の税務当局が文書の提供や閲覧を求めている要請が相次いでいるが、ICIJは「我々は政府の代理人ではなく、公に奉仕する独立した報道機関」とし、要請を拒否している。 私:ICIJの日本の提携先である朝日新聞や共同通信には今のところ、そうした要請はないが、日本の一部の富裕層にも動揺が広がっている。 ICIJが公益目的で5月に公表を予定する法人や個人の情報をもとに、日本の国税当局も調査するとみられるからだ。 A氏:日本の国税局OBの税理士は「公開された文書に自分の名前が載っているのがわかり、修正申告する動きも出てくるのではないか」という。 私:日本に近い香港やシンガポールには、日本の富裕層を相手にするコンサルティング会社があり、多くは日本人スタッフが常駐し、現地で伝統的に富裕層向けサービスに強い欧州系金融機関の支店で、口座を開いているが、コンサル会社の多くは各国の税務や法律に精通しておらず、自ら法人の設立はできない。 それで、モサック社のような法律事務所などに直接または間接的に丸投げしているために、日本人の節税策にも、モサック社のような法律事務所が関わるという。 A氏:日本では海外に5千万円超の財産を持つ人に、それらをリストアップする「国外財産調書」の提出義務があるが、国税庁によると14年分は約8千人が提出し、財産総額は3兆円を超えたが、提出していない人がおり、タックスヘイブンを利用する富裕層が含まれるとみられるという。 私:「パナマ文書」には具体的な人名や会社名が記されているので、ICIJが公表すれば、日本の国税当局も申告漏れの有無など必要な調査に乗り出すとみられる。 国際税務に詳しい国税局OBの税理士は「文書に名前が載っている人物にはそれを根拠に調査ができ、会社が判明すれば預金や資産の動きから申告漏れの有無もわかる」と話しているという。 これで、最低1兆円くらいの税金が徴収できないかね。
2016.04.15
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私:この本は日曜書評を読んで図書館に予約したがやはり、予約待ちが殺到して諦めたね。 A氏:松本清張の名作「砂の器」を思い起こさせる、社会派ミステリーの系譜を受け継いだ力作だとあるね。 私:日本の労働現場に広がる底知れない闇をのぞき込み、背筋が凍る思いがした社会派ミステリーだったと評者・市田隆氏(本社編集委員)はいう。 警視庁継続捜査班の刑事田川信一の捜査が中心で、田川が出張を繰り返し、地道な捜査を進めて事件構図を明らかにしていくという社会派ミステリー。 その捜査が進むに従い、家電、自動車などの工場で働く派遣など非正規雇用労働者の実態が明らかに描かれていくという。 A氏:募集時とは異なる低賃金、長時間労働でぎりぎりの生活を強いられた末、企業側の都合で突然雇い止めされる理不尽さ。一緒に働いていた労働者がのたれ死にしても構わないという態度の大企業、人材派遣会社の冷酷さ。 読んでいて息が詰まるほどひどいという。 労働者は孤立しガラパゴス化していくわけだ。 私:評者は小説上の誇張はないかと思い、雇用労働問題を長年取材している同僚記者に本書を読んでもらったが、彼は読後、「1990年代末から2000年代半ばの使い捨てられた労働者の姿を的確に捉えていると思う。今もその問題はなくなっていない」と話したという。 刑事田川は、著者のベストセラー小説「震える牛」(12年)でも主人公を務め、食肉偽装問題に絡む大手スーパーの暗部を暴く。 両作品に共通するのは、利益追求のためには平然と人をないがしろにする大企業に向けた著者の怒りだという。 この「震える牛」は待ちが少ないので図書館に予約した。 A氏:このブログでは、2008年頃、アメリカの下流社会を描いた本のまとめが集中的にあったが、中でも、著者が、自ら、実際に下流生活を体験して書いた「ニッケル・アンド・ダイムド・アメリカ下流社会の現実」は興味深かったね。 私:日本もアメリカも下流社会は同じだね。
2016.04.14
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私:今、マスコミは「パナマ文書」で世界中の有名人のカネの影の部分をあばいているね。 イギリスのキャメロン首相も危ないね。 イギリスはEU離脱かの国民投票が6月にあるから、それに影響するかもね。 一方、今、CMで、田原総一朗氏が顔を出して推薦している映画が、米アカデミー賞作品賞「スポットライト 世紀のスクープ」だね。 A氏:カトリック教会の神父たちによる広範囲な性虐待とその隠蔽を暴いた、実話に基づく作品だという。 米国の地元紙、ボストン・グローブの記者たちが真実を暴いていく。 「スポットライト」はグローブ紙に設けられた、調査報道の専門チームの名前で、「焦点をあてる」「暗闇の中から照らし出す」といった意味を持ち、隠された事実を掘り起こす調査報道の意義も込められているという。 私:映画に登場する場面は、記者たちが関係者に会い、電話をかけ、資料をめくる地道な作業が中心。 マッカーシー監督は「事実の追及に徹した記者たちの仕事に触発された映画で、その姿勢に敬意を表したい」という。 組織力の大切さも重要なポイントとして描かれる。 取材の指示を出し、大きな権力を持つ教会に挑む判断をした編集局長が「取材が十分でない」と記事の掲載を止める場面もある。 マッカーシー監督は「最近のジャーナリズムはスピードを重視するあまりに見落とすことが多いが、ニュースの核心に迫るために、優秀な編集者がいかに必要であるかも示したかった」と話す。 実際、神父による性虐待事件は過去にも報じられていたが、教会の組織的な関与という核心を暴いたのはスポットライトチームが初めてだったという。 A氏:米大統領の辞任へとつながったウォーターゲート事件も、民主党本部への侵入事件というローカルニュースが報道のきっかけだった。 監督は「腐敗は思わぬ場所に潜んでいる。 だからこそ、地元に密着したジャーナリズムが大切」という。 私:また、監督は、この映画が調査報道への関心を呼び起こす期待もあるという。 「ジャーナリストだけでなく、起業家らが、報道が力を取り戻すための方策を生み出すことを願っている。なぜなら、それは私たち市民にとっては不可欠なことだから」との思いからだという。 「ジャーナリストによる監視がなければ、権力者は好き勝手なことを言い、ウソをつく。政治家に限らず、大企業、大銀行、大学などすべてに共通する」と監督は最後に指摘している。
2016.04.13
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私:新国立競技場は、トラブル続きだね。 2520億円が過大な金額ということで昨年、安倍首相は白紙撤回した。 A氏:撤回後の新国立競技場の建設をめぐっては昨年12月、国と東京都が整備費の負担割合で合意し、その内容は、最大1581億円を対象に、国が半額の791億円、東京都とtotoがそれぞれ395億円を賄うというものだね。 私:ただ、国が出す791億円の財源には「国庫に入る予定だったtotoの売り上げ」が432億円含まれ、実質1581億円のうちの827億円をtotoが担う構造になっている。 売り上げの10%を新国立整備に回すこの仕組みを8年続ければ財源を確保できると国は試算するが、それには売り上げを維持する必要があるというわけだ。 A氏:博打のテラ銭をアテにするような構造だね。 私:totoは元々、主に草の根のスポーツ環境を整備したり、競技力を向上させたりするための財源確保として売り出されたが、13年4月、新国立競技場の整備費に充てられるよう法を改正。 繰り越し発生時に最高10億2円となる高額当選金のBIGを売ったほか、対象を海外サッカーにも広げて、売り上げを1千億円台に伸ばした。 A氏:しかし、昨年度の売り上げは、前年度比23億円減の1084億円。 日本スポーツ振興センター(JSC)が危機感を募らせているという。 競技場整備は1100億円の売り上げを想定しており、JSCは4月から新商品を投入して売り上げ増を目指すという。 JSCが4月から投入した新くじは、1口100円の「100円BIG」で、最高当選金は1億円(繰り越しがあれば2億円)。 さらに「BIG」で年2回程度行う「特別回」では、繰り越しがない場合の最高当選金を6億円から7億2円に引き上げる。 私;博打の賭けをそそるような手だね。 大阪商業大アミューズメント産業研究所の美原融所長は「JSCは新国立の整備費を早く確保したいと躍起なのだろうが、そのために射幸心をあおるのは問題だ」と指摘しているというが、その通りだね。神聖なるオリンピック競技のセンターをギャンブルのカネで賄いたくないね。 どうも国立競技場は点火台問題など、トラブルのタネがつきないね。 関連して神宮球場の問題も出ている。 オリンピック開催準備のマネジメント力の問題が背景にあるね。
2016.04.12
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私:グレアム・アリソン氏は、米ハーバード大ケネディ行政大学院ベルファーセンター所長で、ウィリアム・トビー氏は、元米エネルギー省国家核安全保障局副局長。 ブリュッセルで先月起こったテロでは、テロリストたちが元々狙っていたのは原子力発電所だった可能性があるという見方があり、昨年11月のパリのテロに関連して捜索されたアパートからは、ベルギーの原発幹部を監視していたビデオが見つかったという。 A氏:ベルギーの核関連施設のセキュリティーの甘さは悪名が高く、2012年には、同国の原発作業員2人が、シリアに渡り、その後、過激派組織「イスラム国」(IS)に参加したと報じられており、1人はシリアで死亡したとみられているが、もう1人はベルギーに戻り、テロ関連の罪で有罪判決を受けている。 私:ベルギーに限ったことではなく、世界中の核関連施設は脆弱なままだと、両氏は指摘する。 先週ワシントンで開かれた核セキュリティーサミットでも、兵器になりうる核物質を守る警備員の武装について求めることはなかったという。 福島での大惨事のあと、世界中の原発で安全対策が強化されたが、セキュリティーのすき間は日本、インド、パキスタン、ロシア、そして米国にもはっきりと残ったまま。 A氏:11月のパリのテロ後にやっと、ベルギーは原発警備員を武装させるようになり、先月のブリュッセルの攻撃後やっと、ベルギー当局は核施設の従業員の個人情報を調べ、10人ほどの従業員の作業員資格は無効にすべきだったと結論づけたという。 私:最低限の対策として、兵器転用できる核物質もしくは、大規模な放射能漏れを引き起こす恐れがある低濃縮核燃料を保有するすべての施設は、武装した警備員が守るべきで、そして原発の全従業員の経歴は、雇用前に徹底的に調査すべきだという。 A氏:核テロを巡る議論は、テロリストが兵器級の核物質を盗んだり、「汚い爆弾」を作ったりすることに焦点を当てがちだが、テロリストが原発を攻撃し、チェルノブイリやフクシマのような惨事を起こす危険についても十分対策すべきと両氏は強調している。 私:「フクシマ」だけでなく、日本には多くの原子炉がある。 再稼働にはテロ対策の十分な警備体制の審査が行われているのだろうかね。 再稼働しなくても原子炉内や六ケ所村にある放射性廃棄物の警備も重要だね。
2016.04.11
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私:囲碁の世界で、米グーグル傘下の人工知能(AI)「アルファ碁」が世界のトッププロを4勝1敗で下したというのは、ビッグニュースだね。 これで人工知能(AI)についての展望が大きく変わったね。 A氏:「深層学習」(ディープラーニング)という機械学習と、勝利する確率が高い手筋を候補として残す「強化学習」の二つの方法を組み合わせたことが急速に強くなった秘密だという。 私:今後AIの進化としては、ゲームが完全情報問題とすると、たとえば車の運転の際は、ほかの車も走行し、歩行者もいる、それぞれが意図を持ち、必ずしも合理的に動かない、陰から飛び出してくることもある、雨や雪もある、そういう不完全情報問題がAIにとって今後の挑戦相手だという。 自動運転をめぐり、米国のAIやIT企業は今自ら主導権を握って自動車産業を再編し新たなサービス体系を作ることにすごいエネルギーを注いでいる。 医療・生命科学分野も同様。 A氏:AIが勝手に知識を拡大していくと、人類の知識の拡大はこれまでになく加速し、そして今、AIのように知識を生み出す機械が登場しつつありその延長上では、機械が機械をつくるかもしれないという。 そうなると、これまでとは完全に一線を画すと北野氏はいう。 人間を上回る能力を示し始めた人工知能については、物理学者のスティーブン・ホーキング博士らが危険性を指摘していると、塚越氏は言う。 私:1968年の映画「2001年宇宙の旅」の原作では、コンピューターが暴走する原因は一種のバグだったが、人間も人工知能も想定できないバグが、思いもよらぬ事態を引き起こすことはあり得るという。 A氏:ヒトラーほめる人工知能が出たというね。 私:人工知能が自ら考え始めているいま、近い将来、命令に対し人間の裏の意図を読むようになれば、意図せざるメッセージに従って行動をとり、暴走しかねない。 人工知能が何を考えているか、人間は把握できなくなり、ここに人工知能のすごみと怖さを感じると塚越氏は言う。 人間にとっての人工知能の位置づけについて、「便利だから使う」「いずれ牙をむく」という楽観論と悲観論があるが、ともに、人工知能を自らの道具ととらえた人間中心主義の考えだ。 これからは人工知能の存在を認めたうえで、人間とより近しい関係になる社会になることが求められるという。 いずれにせよ、人工知能は新しい怪物だね。
2016.04.10
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私:岩村氏は日銀出身だが、今の日銀の異次元緩和には批判的だね。 黒田東彦総裁率いる日本銀行は、金融政策で人々にインフレ期待を抱かせることにこだわり、いまも緩和を続けているが、氏は、日銀が人の心の中まで操縦できるわけがないし、やるべきでないし、中央銀行が自在に人々の心を操れると思うのは不遜だという。 人々の心と物価水準とがどう影響し合っているのかだって、仮説を述べることはできても実証はできておらず、経済学ではまだ解明できていない課題だという。 A氏:金融政策では必ずしも物価は引き上げられない。 物価の値上がりが予想されれば、所得が実質的に下がるのを警戒する人々が買い控えに動く。 2%の消費税引き上げをためらっている政府が、2%のインフレ目標で景気拡大をめざすのは何ともチグハグだと氏は指摘する。 私:異次元の金融政策で得られたのは、株高など資産価格の上昇ぐらい。 米国ではもともと上位0・1%の金持ちの資産は下位6割のそれに匹敵するといわれる。 そうした格差の問題に目をつぶって景気に気を取られているから大衆の不満が爆発し、大統領選でトランプ現象やサンダース旋風が起こったのだと氏は言う。 A氏:実はその米国より、バブル崩壊後の日本の方がはるかに厳しい問題に直面していて、それは中産階級の所得下落だという。 日本では景気が悪かったからそれを『間違った金融政策』のせいにしてこられたが、いくら日銀総裁のクビをすげ替えても事態が良くならないということになったら、金融政策なんかいらないという声が広がってくるのは時間の問題。 私:金融緩和の限界説に対し、日銀は「まだまだやれることがある」と、マイナス金利政策まで打ち出したが、氏は、日銀のやり方は失敗で、黒田総裁は、マネーの供給さえ増やせば人々がインフレを予想して消費に動くはずだと、3年間、量的緩和を続けてきたが、これに対しマイナス金利は、インフレ期待が簡単には起きないことを前提にして、何とか金融政策の有効性を維持しようとする政策手段。 矛盾していて、日銀がいったい何をやりたいのかさっぱり分からないと氏は厳しく批判する。 マイナス金利政策は自国の通貨安を促す政策なのに、日銀の導入後むしろ円高が進んだ。世界経済悪化の影響で円が「安全通貨」と見なされ、日本は先進国で最悪の財政状態なのに、不思議な現象だという。 こないだ来日したスティグリッツ教授が言うように、「2015年は(08年ごろの)金融危機以降、最悪の状況だったが、16年はさらに弱体化し、世界的な需要不足が加速している」と指摘していたのを思い出すね。 後、ビットコインの話題が出ていたが興味はなかった。
2016.04.09
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私:クルーグマン教授のオバマ大統領に対する評価は好意的だね。 世論調査が実施されているのは、米大統領選の予備選挙だけではなく、オバマ大統領の支持率の調査もまだ続いていて、そこでは目を見張るようなことが起きているという。 A氏:2015年末、オバマ氏を支持しないと答える米国人のほうが、支持するという人を大幅に上回っていたが、それ以降、支持率は急上昇し、支持しないとする人は急減し、まだ控えめな人気でしかないものの、世論調査平均で支持率と不支持率の差が約11ポイント改善しており、これは大きな数字だと教授は言う。 私:オバマ政権が米国の抱える問題にいかにうまく対処してきたかということも、国民は実感し始めているのではないかと教授はそう考えたいという。 その成功から学びたいという人のための教訓があるとしている。 景気は良くなり、オバマ大統領が就任してから民間部門の雇用は1千万人増えた。 まだ期待外れの分野があるのも事実で、労働力率も賃金上昇率も低いが、もし共和党が政権をとっていたら一体どんな自慢話を聞けただろうかと教授は皮肉で指摘する。 A氏:医療保険制度改革は成功しているという。 2016年の保険加入率を非高齢者人口の89%と予測していたが、これが現実には90%になっている。 重要なのは、当初約束した加入率の大幅な改善を実際に達成したこと。 そしてそれを予想よりも低コストで成し遂げたことだ。 私:金融制度改革では、大手銀行が解体されることなく、金融の安定に真の脅威となる過剰なレバレッジ(テコの原理)が大幅に削減され、多くの雇用が創出された。 ウォール街、医療産業複合体、化石燃料ロビイストは今も健在で、お金で影響力を買っているが、このような団体は後退し、米国人がより良い、そしてより安心できる生活を送れるようになっていると教授は言う。 オバマ政権の教訓は、言い換えると、完全な成功ではなくても極めて現実的な影響をもたらしうるということだと教授は指摘している。 しかし、俺は雇用増の詳細が知りたいところだね。 マクロの統計数字だけで、具体的な産業の名前が出てこないのが気になるね。
2016.04.08
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私:人気コンサートのチケットがネット上で高額転売される事例が後を絶たず、音楽業界は、入場時の「顔認証」による本人確認を導入し、対策に乗り出しているという。 A氏:背景にライブ市場の急速な拡大があるのだね。 15年前には年間1千万人の市場が、今は4千万人という。 私:「嵐」のチケットは「日本一入手困難」とも言われ、ファンらによると、申し込めるのは基本的にはファンクラブ会員のみで、抽選で購入できる人が決まるので、当選確率を上げようと、家族や友達の名義で何口も入会する人もいるという。 入手できなかった人が頼るのが、「チケットキャンプ」などのネット上の売買サイト。 「嵐」が所属するジャニーズ事務所側は「営利目的で転売されたチケットでの入場を認めない」と明記。 ただ、数万人が訪れる会場での本人確認は難しく、1枚1万円弱のチケットが数十万円で売買される事例も常態化していたようだ。 A氏:1万円のチケットが、数十万円とはね。 そこで、ジャニーズ事務所は申込時にメールで顔写真を送信することを求め、当日の入場時に顔認証を行うと公表。 私:実は、音楽ライブの顔認証の先駆けは、2014年に導入した人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」で、チケット申し込みの際にサイト上に顔写真を登録し、公演当日は会場の入り口に設置されたタブレットの前に立つと、本人の顔と写真が照合される仕組みだ。 NECが開発したシステムを使っており、6年前の段階で誤判定の可能性は「1千人に3人」というレベルだったが、今はさらに向上しているという。 A氏:顔認証が広がる背景には過剰な高額転売がある。 ファンがチケットを入手しにくくなり、転売者が利益を得ることは問題だ。 ライブ市場の拡大とともに、転売市場も伸びており、チケットキャンプを運営するフンザ社は「行けなくなったチケットを紙切れにせず、欲しい人に渡る仕組み」だという。 ただ、転売目的でチケットを買う「ネットダフ屋」も横行している。 私:転売問題に詳しい谷原誠弁護士によると、ダフ屋行為は多くの都道府県が迷惑防止条例で禁止しているが、「駅やチケット売り場などの公共の場」での転売を禁じていケるースが多く、ネットで買ってネットで転売した場合は対象外と解釈されるという。 顔認証システム導入で、その効果はどう出るかね。
2016.04.07
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A氏:このブログで「世界の権力者が寵愛した銀行・タックスヘイブンの秘密を暴露した行員の告白」エルヴェ・ファイルチャーニほか著でとりあげた権力者のタックスヘイブンの秘密がまた暴露されたね。 私:「パナマ文書」だね。 タックスヘイブンの会社設立などを手がけるパナマの法律事務所の内部文書を、南ドイツ新聞と朝日新聞が提携する非営利の報道機関「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が入手し、これが「パナマ文書」と呼ばれ、各国の報道機関が伝えた。 1977年から2015年にかけて作られ、会社の株主や役員などの情報が含まれる。 A氏:「パナマ文書」で、タックスヘイブンの英領バージン諸島に妻が会社を保有していたことが明らかになったアイスランドのグンロイグソン首相が5日、辞任の意向を示したという。 私:ICIJや提携先の各国の記者が「パナマ文書」を分析したところ、10カ国の現旧指導者12人を含む公職者140人の関係会社が見つかったという。 日本国内を住所とする約400の人や企業の情報が含まれているが政治家はいないという。 有名人としては関連して名前があがっているのは、ウクライナのポロシェンコ大統領、アイスランドのグンロイグソン首相、アルゼンチンのマクリ大統領、ロシアのプーチン大統領、英国のキャメロン首相、アゼルバイジャンのアリエフ大統領、中国の習近平国家主席。 また、香港出身の俳優、ジャッキー・チェンさんやサッカーのメッシ選手ら著名人の関係企業もあった。 国際サッカー連盟(FIFA)の倫理委員会のメンバーである法律事務所が、汚職事件で起訴されたフィゲレド元FIFA副会長の関係する会社を顧客としていたことも判明。 A氏:「パナマ文書」で米国の政治家に関係する内容は今のところ見つかっていないが、事前に「パナマ文書」の提供を受けた米メディアのフュージョンが引用した専門家は「米国民は国内でダミー会社を作ることができ、違法な活動のためにパナマに行く必要はない」と話したという。 私:オバマ大統領は5日の記者会見で「税逃れは世界的に大きな問題だということを改めて思い起こさせた。多くの取引が合法で、それがまさに問題だ」と述べ、抜け道を防ぐ取り組みが必要との考えを示したという。
2016.04.06
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私:多賀谷氏のこの記事は貴重な企業経営の視点を提供しているね。 米ハーバード大のマイケル・ポーター教授が2006年に提唱した考え方で、企業と社会の共通価値の創出(CSV=Creating Shared Value)と呼ばれるものがある。 CSVは、短期的な利益を重視する企業経営ではなく、社会のニーズに応え、長期的な視点から利益を生む活動を続けるべきだ、という考えに通じるという。 A氏:そして、最近の日本の3社の例をあげているね。 キリンの「復興応援 キリン絆プロジェクト」の一つとして、福島産の梨と桃を使った缶チューハイ「氷結」の限定販売。 ネスレ日本の神戸市とともに「介護予防カフェ」を約60カ所で開いて、集会所にコーヒーマシンを提供し、高齢者が集会所まで歩く、会話する機会をつくっている活動。 伊藤園は、「お~いお茶」の茶葉を得るために、耕作放棄地を茶畑に造成し、茶葉の全量買い取り契約を、農家と結んでいる活動。 私:これらはまったく別の事業だが、自社の生産、営業活動が社会的な課題の解決につながっているという共通点がある。 キリンは、旬の原料を確保して、「放射能汚染」という風評被害に悩む農家への信頼を高めようとしているし、ネスレは、介護予防への支援が、「ネスカフェ」を継続的に購入してもらう機会になっているし、伊藤園は、農業の振興と安定的な原料確保が両立している。 A氏:しかし、日本では「企業は公器。もうけのためだけにあるのではない。社員も給料のためだけに働いているのではない」という価値観が伝統的にあるね。 私:日本資本主義の父と言われた渋沢栄一はその著「論語と算盤」で有名で、「道徳経済合一説」という理念を打ち出し、経済を発展させ、利益を独占するのではなく、国全体を豊かにする為に、富は全体で共有するものとして社会に還元することを説いた。 近江商人には、売り手、買い手、世間のためになる商いを「三方よし」と呼ぶ言葉があり、稲盛和夫氏は、「人のため、世のために役立つことをなすことが、人間として最高の行為である」と語り、日本には現在もこうした考えに賛同する経営者も多いと多賀谷氏は指摘する。 一橋大学大学院の名和高司教授(国際企業戦略)は「日本は課題先進国と言われ、企業の視点から、この国の社会的課題の解決策を見いだせば、それはイノベーションにつながる」と言う。 目の前にある製品、商品の改良も必要だが、それだけに追われていては、社会や市民生活を変えるようなイノベーションは難しいということだと多賀谷氏は指摘する。。 アベノミクスの3本目の矢はそこにあるべきだろう。
2016.04.05
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私:朝日は3日間連載で現場取材をしている。 「上」のメインテーマは「中小・零細、果実が落ちてこない 下請け、利益なき繁忙」ということで、中小企業の現場を取材しているね。 「仕事は増えたが、利益が残らない」という中小は少なくない。 理由のひとつはライバルの多さで、政府はリーマン・ショック後の緊急対策として、信用力が乏しい中小企業でも金融機関からお金を借りやすくする「信用保証制度」を強化したので、中小企業庁は、この制度で約1万6千社が倒産の危機を免れたと分析している。 「危機対応」として一定の効果はあったが、当時から経営改革が進まない会社が残り、産業全体の競争力を低下させるとの指摘はあった。 金融庁が金融機関に中小企業の支援を求めていることに金融緩和も手伝い、そんな会社でも資金繰りがどうにかついていることが、元請け側の「買いたたき」に拍車をかけているという。 A氏:トヨタの下請けに対するコストダウンは、最高益となった昨年はなかったが、その再開を、春の到来とともに再開を告げられたという。 トヨタのコストダウン、いわゆる「カイゼン」の意味合いが変わった、という。 かつては、トヨタが下請けの町工場まで下りてきて、いっしょにコストダウンを達成し、その効果の一部をトヨタへ、協力という形で還元する、だった。 いまは、多くの場合、一方的にコスト協力の要請は、やってくるという。 この春闘で、トヨタの豊田章男社長はこんな発言をしている。 「経営環境は、率直に言って潮目が変わった」。 私:「中」のメインテーマは「非正規、求人増えたけど給料は…」ということで非正規の賃金の安さが問題になっているね。 同一労働同一賃金は、同一労働「同一低賃金」で高賃金の労働は、非正規に回ってこないだろうね 消費増税や社会保険料の引き上げなど負担増は続く。 国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費も、実質では政権交代前より低い水準だという。 A氏:「下」は「『ふるさと返礼』地道じゃダメ?」として、「ふるさと納税」効果の取材だが、これは、お金に余裕がある高所得者ほどもうけも大きい仕組みだという。 「早く、『ふるさと納税』に頼らないで地元産を全国に売る仕組みを考えたい」と地方現場は言っているという。 私:元総務相の片山善博・慶大教授は「待機児童問題などに使うべき財源が、高所得者への豪華な返礼品に化けていいのか。富の再分配に逆行している」と話しているという。 6月末までには、収入が少ない年金生活者に3万円の給付金が配られ、早くも商品券や給付金のたぐいが候補として浮上するが、国と地方を合わせた借金は1千兆円を超え、効果のないばらまきを繰り返す余裕は、もはやない。
2016.04.04
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今週は、下記の3冊に興味を持った。 1.『プラハの墓地』 ウンベルト・エーコ〈著〉・評者・末國善己(文芸評論家) この本は、ユダヤ人が社会を裏側から動かしているという荒唐無稽な陰謀論が、歴史の中に紛れ込み、事実として広まるメカニズムに迫っており、しかもユダヤ人への憎悪と偏見が根強い当時のヨーロッパでは、陰謀論の嘘に気付くのが難しかったことを示しているという。 現代の日本でも、太平洋戦争はコミンテルンの工作で引き起こされたので、日本に責任はないとする陰謀論が語られ、特定の人種、国籍、宗教を排斥するヘイトスピーチの嵐が吹き荒れており、本書は、いつの時代も跋扈するこのような陰謀と、どのように向き合うべきかを問い掛けているのであると評者は言う。 2.『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』 ジリアン・テット〈著〉・評者加藤出(東短リサーチチーフエコノミスト) サイロとは、牧場で見かける牧草や穀物の貯蔵庫のこと。 組織が大きくなると、専門化した部署同士の交流が乏しくなり、サイロのような孤立した部署が多数できやすくなる。 それは問題を多々発生させてきたとして、典型例として、真っ先にソニーが紹介されている。 同社はデジタル音楽プレーヤーの開発に必要な人材、技術、関連組織を全て持っていたがアップルに大敗し、サイロ化により、「かつては創造力にあふれていたソニーの技術者たちは、際限のない縄張り争いに巻き込まれ、協力する意思や能力を失ってしまった」という。 3.『君がいる場所、そこがソニーだ』立石泰則〈著〉(ビジネス書コーナー)・評者・梶山寿子(ジャーナリスト) ここでもソニー問題をとりあげている。 『さよなら! 僕らのソニー』で、著者がソニーの凋落を描いてから5年たつが、直近の業績は回復しても、胸ときめくような製品を次々に生み出した、ソニーの輝きは戻らない。 しかし、今のソニーが失ったものを探すため、著者は同社を去った“異端たち”を訪ね、そこにソニーの魂が生きているのを見出す。 登場するのはSuicaなどに使われる非接触ICカード技術を開発した日下部進(クアドラック)、高画質技術を生んだ近藤哲二郎(アイキューブド研究所)、指静脈認証事業の先駆、天貝佐登史(モフィリア)など。 大物OBが中心で新味に欠けるが、巨大企業では成し得なかったことに挑戦する姿はやはり示唆に富み、組織より個人の時代と言われる今、彼らから学べることは少なくないという。 彼らのように創業者・井深大と盛田昭夫の志を受け継ぐ人間をソニーの魂とするのなら、その精神を次世代に継承し、新たなる“僕らのソニー”の礎とすることも急務だと感じたと評者は言う。 俺は、アベノミクスの3本目の矢はそこから生まれるのだが、と思うがね。
2016.04.03
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私:安倍首相の世界経済について有識者と意見を交わす「国際金融経済分析会合」が16日、始まったが、これにアメリカの経済学者が登場するね。 A氏:このブログでも「消費増税延期の布石か?ノーベル賞学者『今は不適切』」、と「クルーグマン教授も消費増税先送り進言 安倍首相に対し」でとりあげているが、日本の経済学者はどうなっているのか、疑問に思ったね。 私:その疑念は、佐伯氏も持っていて今月の「異論のススメ」は、アメリカの経済学者たちが首相官邸に招かれたニュースに感じた居心地の悪さを出発点に考えているね。 どうせ日本の経済学者の大半はアメリカ経済学の受け売りなのだから、それなら本場のアメリカ経済学者を連れてきたほうが手っ取り早いではないか、という意見と、どうせアベノミクスの正しさを証言してもらい、また、いずれ議論になる消費税増税において、アメリカ経済学者の権威を拝借して、マスコミや財務省を封じ込めたいのだろうという人もいるとして、佐伯氏も皮肉まじりにいえば、私もそんな気がするという。 概括的にいえば、日本の経済政策はこの30年ほどずっとアメリカ経済学の圧倒的な影響下にあったが、それでよかったのかと問えば、簡単にうなずくことはできないという。 A氏:敗戦直後の日本の経済学者と言えば、ほとんどマスクス経済学者だったね。 それが次第にアメリカ経済学に変わっていく。 1980年代から日本の経済政策にアメリカの意向が強く反映されるようになり、90年代には、アメリカ発の構造改革要求によって日本経済はアメリカ型の市場中心主義へと向かい、アメリカ経済学が後押しとなって、世界を巻き込む金融グローバリズムが出現し、日本もこのグローバル経済路線へと突入。 私:アメリカ経済学には、大規模な自由競争こそが経済を成長させるとする「市場中心主義」と、不況時には政府が積極的な財政・金融政策を導入すべきだとする「ケインズ主義」がある。 80年代以降、レーガノミックスによる「市場中心主義」が経済政策を圧倒したが、その結果、グローバル市場が世界経済を不安定化し、格差を生み出すや、今度はケインズ派が息を吹き返してきた。 日本では、小泉政権時代に竹中平蔵氏を中心に「市場中心主義」が推進されたね。 A氏:今回、首相官邸に招かれた3名はケインズ主義に近い人たちだから、経済政策の流れが変わったともいえようと佐伯氏は指摘する。 私:佐伯氏は、日本経済のおかれた状況では、アメリカ経済学よって、日本を先へ持ってゆくことは難しく、その価値観こそが問われているからであり、日本には日本の状況にみあった経済思想が求められているという。 アメリカ経済学の「権威」を借りて何とかなるという時代ではないと鋭く指摘している。 保守の論客の佐伯氏にとっては当然の指摘だね。
2016.04.02
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私:インドが近年、世界の医薬市場で目を見張る存在となっているというのには驚いたね。 製薬企業は3千社を超え、200カ国以上にも輸出し、世界のジェネリック薬の5分の1がインドで生産されているという。 HIVの例があげられているが、世界のHIV感染者の60%以上がアフリカ大陸南部に集中し、人口5300万人の南アは、感染率が最も高い国の一つで、感染者数は約640万人にも上ると言われる。 インド製のジェネリック薬が、南アで本格的に普及し始めたのは2000年以降。 特許を持つ欧米の製薬会社は「新薬が売れなくなる」と反発したが、インドのジェネリック薬大手シプラ社は「1人1日1ドルでエイズ治療薬を販売する」と表明。 年間約1万2千ドルかかった薬代に価格破壊をもたらし、南アでは約220万人のエイズ患者が新たに治療を受けられるようになり、南アのモツァレディ保健相は「インドは私たちのヒーローだ」と持ち上げているという。 A氏;昨年11月には約400種類のジェネリック薬の供給基地をケープタウンに建設し、攻勢を強め、インドの同業他社にとっても、南アは成長市場。 私:1970年に定めた特許法では、医薬品の成分に与える「物質特許」を認めず、医薬品の作り方についての「製法特許」だけを保護対象にしてきた。 このため、インドの製薬企業は、他国では物質特許で守られた新薬でも、成分を調べて違う作り方をすれば、合法的に同じ効能の薬を製造、販売できた A氏:そんな動きを途上国はとりわけ歓迎する。エイズだけでなく、結核やマラリアなどの患者を多く抱える一方で、高価な薬に手が届く国民は少なく、医薬は国家の将来にもかかわる。 ジェネリック薬の世界展開は、インドに経済面だけでなく、外交上の利益にもつながるとの見方もある。 私:昨年10月、ニューデリーで開かれた「インド・アフリカサミット」で、アフリカから40カ国以上の首脳が参加した会議で、大きな関心事の一つは医薬だった。 インドのモディ首相は「インドとアフリカの医薬の発展に協力する」と明言し、医療や教育、農業分野の開発支援を官民一体で進めるため、今後5年間で総額100億ドルを融資すると申し出た。 インドのNGO「CUTSインターナショナル」のプラディープ事務局長は「国連安全保障理事会で常任理事国入りを目指すインドにとって、ジェネリック薬は、途上国や新興国の支持を取りつける外交ツールになり得る」と指摘しているという。
2016.04.01
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