“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

< 新しい記事

新着記事一覧(全17152件)

過去の記事 >

2012.01.19

わかりやすさの落とし穴

テーマ：演出家大久保一彦のよもやま情報(262)

カテゴリ：経営者のための連続コラム

　繁盛の第一歩は、お店にお客さんを定着させることです。

リピーターとなり、口コミであなたのお店を宣伝してくれる。友人たちも来店するようになった。
しかし、問題はその後です。そんな大切なお客さんを、手放さないためにはどうしたらいいのでしょうか。

　私は、いつもセミナーでこんな質問をするのです。
　「あなたが、一年以内に行き始めた飲食店で、三度以上来店した店は何軒ありますか？」
　「その店の中で、自宅や職場や定期的に訪れる場所から１０分以上移動する店は何軒ありますか？」
　ほとんどの人は、一軒から三軒に収まると思います。
意外と少ないとお思いになりますか？

実は、一軒から三軒で十分なほど、たくさんのお店が他にある、それほど多くの選択肢がそろっているということを知っていただきたいのです。
　１０年ほど前までは、三度来店すればあとは大丈夫――常連客になってくれる――なんて言われていたものでした。
私も素直にそう思っていましたが、今はまったくそうではありません。

　選択肢がいっぱいですから、「一度行けば十分」だし、仮に気に入ったとしても、１０分くらいの移動時間で行ける便利な場所にないかぎり、訪問する頻度は経過した時間に比例して下がっていくだけなのです。

　お客さんはほっておけば減っていきます。
もしお客さんをつなぎとめたいなら、なにが必要なのでしょうか。

　お客さんは来店回数がふえるにしたがって、店のルールやしかけを理解するようになります。
何回か来店しているうちに、「この店は、こういう店だ」とわかるわけです。

　市場が成長しているときは、ビギナーのお客さんを取り込めばいい。
目の前に、無限にお客さんがいるわけですから。
それに、「わかりやすさ」は成長の起爆剤になります。

しかし、立地に恵まれていないとしたら……
商材もそんなに爆発的に売れるものでないとしたら……

　お客さんは、自分が理解した内容の範囲で、必要な時だけに訪れるようになってしまうのです。