【前週備忘】
26日のFOMC結論は「政策金利を2.25%に利上げ」「過去の声明文では政策運営姿勢を”緩和的”としていたが、その文言が今回削除されたこと」「ドットチャートでは2020年末の金利予想中心値は3.375%(3.5%を意味する)」でした。市場では今年12月利上げ実施が織込済で、来年2019年の利上げ回数が2〜3回で予想が分かれているようです(直後は株安・USD高反応)。
なお、平均的な住宅ローン(20万USD)を抱える世帯では、政策金利が0.25%上昇する度に毎月のローン金利負担が100USD前後増えるという試算があります。納税を(給与天引きでなく自分で行う米国では、家計支出への関心が高いことが知られています。中間選挙を控えた米大統領がFRBの利上げ政策を非難を繰り返す理由は、この点にあると推察されます。
米国貿易問題は、24日に米国が対中制裁関税第3弾を発動し、中国は直ちに報復を発表しました(USD高・JPY高・AUD安材料)。年内に米中で何らかの合意が行わなければ、米国の対中制裁関税は自動的に更に引き上げられます(前記同)。中国では内儒振興のため5兆円規模の減税を行うことが発表されました(AUD高材料)。
日米協議では、交渉中の自動車関税発動こそないことが合意と27日に報道されたものの(JPY安反応)、11月6日の中間選挙まで今後1か月のため、暫く米側の過激な要求が報道されることが増えると見込まれます(JPY高材料)。
米加NAFTA交渉は難航しており、合意期限は30日に設定されていました(初期はUSD高材料)。
欧州では、伊国が今後3年間毎年対GDP比2.4%分の赤字予算を閣議決定したことで、EUとの対立・格付け会社の格下げが不安視され、28日はEUR売が進みました(GBPは連れ安)。同国は公的債務残高が対GDP130%でギリシャに次いで悪いことが知られています。前政権で債務削減努力が続いた結果、かつてのギリシャ同様、3月の伊国総選挙ではポピュリズム政党が躍進し、連立内閣に入りしています。高い失業率(10%強)が続く同国が、EUの要求を受け入れる可能性は少ないと見られています(EUR安材料)。
対照的に、独国では去る18日に新移民法が成立しています。好景気・高齢化で労働人口が不足する独国では、新法で100万人以上の難民を受け入れます。この新法に関する世論調査では、過半数が「移民を巡る国民の懸念に真剣に取り組んでいない」と評価しています。ポピュリズムの対局に位置した新法です。独政権が持続的経済に必要な新法との説明は続いていますが、10月にはバイエルン・ヘッセン両州で地方選挙が行わる予定です。選挙結果はEUR材料に繋がる可能性があります。
その他、前週の主な出来事は以下の通りでした。
- 24日、米大統領は「かなり近く米朝首脳会談を実施」を公表しました。朝鮮戦争の終戦宣言には時期尚早との見方もありますが、政治的成果としてのインパクトがかなり大きいので、選挙前の突然の発表が心配です。それには先に選挙前に首脳会談が行われるか否かです。
- 24日、イラン欠席で開催されたOPECで増産見送りが決定しました。この決定はサウジとロシアが主導したと報道されています。直後の報道では、OPECは原油価格を80USD以下に保ちたい意向、と解説されていました。
- 25日、IMFとアルゼンチンは同国への追加支援に大筋合意しました。米利上げの影響による同国通貨下落を一因とする支援は6月に行われたばかりです。他にIMFのこうした動きがないかの報道は、まだ見当たりません。
- 25日、チャートへの影響こそ小さかったものの、CB消費者信頼感指数は18年ぶりの高い数値に更新されました。
- 26日、RBNZ(NZ中銀)金融政策発表は現状維持で、利上げ予想は2020年3Qで変化なしでした。
- 26日、米議会は2019会計年度(18年10月〜19年9月)の連邦予算法案可決しました。米大統領は「政府機関を閉鎖してもかまわない」とこれまで語っていましたが、「(今は)そのつもりはない」旨を語ったそうです。
- 28日、中国商務省は、2017年対外投資(約18兆円)が前年より減少(△19%)したことを発表しました。対米投資は前年比△62%と、かなり大きな減少です。
- 28日、日株価は年初来高値を更新し(26年10か月ぶり株価)、USDJPYは年初来上値を更新しました。
また、前週は4-6月期英国GDPの発表が、改定値か確定値を調べきれていませんでした。
7月23日報道に依れば、英国は月次GDPの公表を7月から開始していたそうです。見逃していたようです。
月次GDPは当該月最終日から約40日後に公表され、従来の四半期速報値は当該期から約1.5か月後に公表されるようになったようです。併せて、従来は生産面だけのデータで作成されていた速報値は、今後、支出面や所得面も踏まえて推計されるそうです。
従来の分析結果が今後も活用できるのかは、まだ不明です。
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前週9月24日〜28日の指標発表前後取引の成績を纏めておきます。
前週の事前分析成績は12勝5敗、前提を満たさなかったことが5回、判定不可が3回、取引不可が0回でした。オカルトは含めていません。判定は、リンク先の詳細分析記事の結論が、今回の発表でも通用したかを判定しています。
前週の取引成績は4勝3敗、それとは別に事前方針にない取引で7勝、取引中止が3回でした。取引時間は78分45秒で、損益は+47.12pipsでした。
月次では、米国雇用統計翌週から次の米国雇用統計週で集計することにします。毎月、米国雇用統計がある週は他の経済指標発表も多いため、です。
昨年続けていた取引結果の月次採点結果に加え、事前分析結果の月次採点結果がどの程度に保たれているのか、これから注視していきます。
【今週予定】
今週は米国雇用統計の週です。とは言え、最近の雇用統計はあまり反応しません。ただ、雇用統計の週は、他にも多くの経済指標が発表されます。
先に、経済指標以外で予め日程が判っているイベントを以下に並べます。
- ボラティリティ低下因子として、1日〜7日の中国市場休場と3日の独国祝日があります。
- 1日の予定は、米加NAFTA再交渉結果(USD材料)が判明した状況で市場が始まります。
- 2日の予定は、内閣改造人事が行われ、対米交渉難航が予想されるなか、甘利氏の要職復帰有無に関心が集まっています(JPY材料)。また、英与党保守党の年次大会で、先に首相と離脱方針で対立した前外相が支持者の前で何か話すようです(GBP安材料)。いずれも、2日の日本市場が始まる前に為替への影響は判明しています。
- 3日は、01:00にFRB議長講演(USD材料)が行われます。また、英与党保守党の年次大会最終日の英首相コメント(GBP材料)が判明した状況で市場が始まります。
次に、前週から継続する市場関心事を並べます。
- 前週USDJPY高値は113.68円、安値は112.44円でした。次の直近高値は2017年11月6日週の113.73円、下は週足転換線が111.73円にあります。
- 週前半は、米国債金利と米株価(日経平均)のひとまず下落懸念があります(USD安・JPY安材料)があります。週後半は翌週が米企業の7-9月期決算が集まる週で、企業業績は好調との評価が多いようです(USD高・JPY高材料)。
- 11月6日米中間選挙での共和党苦戦報道(USD売?材料)が、そろそろ増え始めると予想されます。
米大統領のツイッターネタは、NAFTA交渉・トルコとの対立・前週にトルコと関係改善に合意した対独姿勢・
次回米朝首脳会談の実施時期や実施目標、といったことが考えられます。 - 欧州では、EU・伊国間の財政問題対立(EUR安、連動GBP安)と英国・EU間の離脱交渉の期限延期(EUR・GBP材料)の可能性があります。
こうした動きや動かないことが続くなか、次の予定で経済指標が発表されます。太字は、その指標の詳細分析記事にリンクしています。
10月1日(月)
- 17:30 9月集計分 英国製造業PMI
- 23:00 9月集計分 米国ISM製造業景況指数
10月2日(火)
- 13:30 豪州RBA金融政策
10月3日(水)
- 17:30 9月集計分 英国サービス業PMI
- 21:15 9月集計分米国ADP雇用統計
- 23:00 9月集計分 米国ISM非製造業景況指数
10月4日(木)注目指標なし
10月5日(金)
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上