【4-4.(1) 特徴】
GBPがよく動く時刻は、多くの経済指標が発表される17:30(冬18:30)頃と、当日の両替レートが決定されるロンドンフィックスと呼ばれる00:00(冬01:00)頃です。
そして、もともと東京時間が終わって(15:00)、欧州時間(16:00、冬17:00)に移ると、EURGBPの取引量が多いので、その日のGBPのトレンドが反転することがよくあります。
現在、GBPJPYではGBP買で+スワップが得られ、GBPUSDではGBP売で+スワップが得られます。ちなみに、取引量が多いEURGBPではGBP買に+スワップ、GBPAUDはGBP売で+スワップです。よって、当ブログではポジション長持ちを否定しているので関係ありませんが、GBPが弱そうな今はGBPUSDでの取引に日本のアマチュア資金が流れているのではないでしょうか。GBPAUDはさすがに馴染みがないのでしょうから。
【4-4.(2) 概観】
ブリグジット騒ぎ以前は、EUにおいて独国に次ぐ経済好調な印象がありました。スコットランド独立騒動があったものの、一時はGBPJPYが200円近くまで上昇し、当時の解説記事では200円突破を確実視するような内容が多かったという記憶があります(2015年夏頃)。約1年後、2016年6月には国民投票でEU離脱が決まり、10月には安値122円までGBPは売られました。
ところが、2016年6月以降2017年7月頃まで、それ以前と比べてGDPはもとより実態指標・物価指標・国際収支・雇用指標のいずれも悪化したとは言えません。それにも関わらず、一時的な景気指標悪化をきっかけに景気指標が元の水準に戻っても、GBPが売られ続けました。データなんか関係なしに不安感がGBPを売る動きに結び付いたようです。
但し、株価(FTSE)だけは、凸凹こそあれ、この期間にも右上がりとなっています。
現在、GBPは取引量こそ4位です(国際決済銀行統計)が、金融商品の取引ではロンドン市場の規模が最も大きいのです。EU離脱によって、この地位が脅かされるという話があります。また、EU離脱後はEU域内との金融取引に、これまで免除されていた許認可を得る必要があるでしょう。金融への不安は、為替に最も影響を与えます。株価は単にGBP安での企業業績改善が良かったことに反応していたのでしょう。
おそらくこれが、もっともすっきりするGBPの動きへの説明だと思います。
11月2日、BOEは約10年ぶりの利上げを行いました。ただこれは、物価指標の高止まりと、中銀無策への批判に応えるためだったように思えます。
最新の経済指標では、物価がCPI前年比+3.0%と高止まりしており、平均所得も+2.1%で物価上昇に追いついていません。結果、小売売上高前年比はとうとうマイナス転換してしまいました。今後の見通しについて、確かCNNが、今後の企業業績悪化に伴う賃金上昇率の低迷が続くことによって、英国は経済回復に10年単位の時間を失う旨、解説記事を掲載しました。
BOE利上げ判断の是非が判明するにはあと1年かかるでしょうけど、現時点では「こんなときに利上げした」という趣旨の解説が出始めたのです。ECBはもったいつけてなかなか政策変更を決定しないので、今回のBOEの決定はやや拙速ないしは遅すぎたという感じがします。
11月MPCの議事要旨では、今後数回の利上げを行うにせよ、暫くは行わない旨、議事要旨に記してありました。関心は、本当にもっと利上げするのか、です。だから、期日はともあれ「やる」と言った利上げを止める・辞めざるを得ないと、GBPはどう反応するのかを考えておいた方が良いかも知れません。
そして、国民投票結果は誤りだったという世論の高まりが起きるのか、極端に離脱撤回への世論の高まりが起きたとき離脱撤回は可能なのか(そんなことが出来るかという政治家が現れるか)、離脱を前提にするときEUに代わってNAFTAへの参加が可能なのか、という解説を待ちましょう。
11月11日、与党議員40名が英首相不信任決議に署名する旨、現地マスコミで報道がありました。翌日月曜は40pips程度の下窓を開けました。対EU離脱交渉も進展なく、12月には目処を得るはずだった離脱協議進展は来年にまでずれ込みそうです。
以上