?T.事前投稿
本指標の反応分析は、こちらの「 英国雇用統計発表前後のGBPJPY反応分析(2018年改訂版) 」に詳述しています。以下に記す今回の取引方針は、この分析結果に基づきます。
そこで述べた通り、本指標には
- 前日発表されるCPI前年比と本指標平均所得(含ボーナス)の差が小さくなってきており、その差が拡大すればGBP売、縮小すればGBP買という圧力が働くはずですが、そんなことは起きていない
- 過去3年間の指標発表直後の反応程度は、直後1分足の過去平均跳幅が31pipsと大きいものの、直近ではせいぜい20pipsしか跳ねていない
- 指標発表直後の反応方向は、−1?申請件数増減の事後差異[万人]+30?平均所得の事後差異[%]ー30?失業率の事後差異[%]、という判別式の解の符号と、方向一致率が87%
という特徴があります。
2018年発表分の指標結果・取引結果は、まだ 2018年1月集計分(2月発表) の1回だけです。
このときは、再々追撃でタイミングを外し、利益を拡大できませんでした。指標発表後は、直後1分足も直後11分足も平均的なヒゲの長さが30%強あります。だから、上手く戻しを待って追撃ポジションを取らないと稼げません。
つい拙速なポジションオーダーをしてしまうのは、本指標発表後の直後11分足終値が直後1分足終値より反応を伸ばしていたことが50%を切っているからです。
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今回発表の要点は下表の通りです。
市場予想は3月18日21時頃の値を用いています。指標発表前に予想が修正されていないかは確認しておきましょう。現時点で事前差異はプラスとなっています。
平均所得は上昇、失業率は前回同値と予想されています。
もし失業率が予想より悪化して4.5%になった場合、平均所得は+2.7%以上に上昇しないと、陽線になりにくいでしょう。もし失業率が予想通りなら、平均所得は+2.6%を超えるか超えないかで、陽線となるか陰線となるかが決まります。もし失業率が予想より改善して4.3%になったら、平均所得が+2.5%以上で陽線です。
失業保険申請件数の予想とのズレは、失業率や平均所得の0.1%の市場予想に対するズレに対し、3万人のズレで等価です。そんなことは滅多に起きないので、失業率と平均所得の関係に注目しておきましょう。
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英国に限らず、物価上昇に対する所得の伸びが論じられることが多いものの、どの関係が短期的な反応に結び付くことはあまりないようです。
直近3か月の結果を見てみましょう。
平均所得が前年比なので、CPIも前年比で対比してみましょう。
CPI前年比 平均所得 差異 反応
11月 +3.1% +2.5% △0.6% 陰線
12月 +3.0% +2.5% △0.5% 陽線
1月 +3.0% +2.5% △0.5% 陰線
2月(+2.8%)(+2.6%)
どうも関係がはっきりしませんね。つまり、指標発表直後の短期的な関係は明確ではない、ということです。
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さて、前掲の詳細分析結果に基づくシナリオは以下の通りです。
- •直前10-1分足は、事前差異がプラスのときだけ ロングをオーダーし、利確/損切の目安を5pips
とします。今回の事前債はプラスなので、ロングをオーダーします。
- 直前1分足は、 陽線側に2pips跳ねたら逆張りでショートをオーダーし、利確/損切の目安は2・3pips
とします。
- 指標発表を跨ぐポジションは、 直前10-1分足が陽線で、直前1分足が陰線(で終わりそうな場合)のとき、指標発表直前にロングをオーダーし、指標発表直後の跳ねで利確/損切
することにします。
- 指標発表後の追撃は、直後1分足と直後11分足との方向一致率は80%で、その80%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは64%であることを参考にすると良いでしょう。
これでは、安易に追撃ポジションを取ることはできません。そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことが46%しかありません。
指標発表後の反応が伸びるか伸びないかはほぼ半々ですから、 それでも追撃ポジションを取るなら、長持ちを避けて、様子を見ながら短期取引の繰り返しで行うべき でしょう。 - もし直後1分足跳幅が40pips以上に達したら、なるべく早く追撃に参加しても、直後11分足の終値がつく頃まで更に反応を伸ばしがちです。
pips平均でなく回数を見てみると、直後1分足跳幅が40pips以上だったときに、直後1分足終値よりも直後11分足終値が伸びていたことは、11回のうち8回(73%)です。
この場合、追撃は徹底です。
以上
?U.事後検証
以下は、2018年3月21日22:00頃に追記しています。
指標結果と反応を纏めておきます。
指標結果は全面的に前回・予想を上回り、反応は跳幅40pipsを超える陽線でした。
注目すべき点は、平均所得(含ボーナス)が+2.8%と、前日発表されたCPI前年比+2.7%を上回りました。平均所得がCPIを上回ったのは、2017年1月集計分以来13か月ぶりのことです。
的外れかも知れませんが、英国では低賃金外国人労働者が英国で不足している、との報道が最近ありました。それを裏付ける結果は、今回の失業率の改善となってきたのかも知れません。これまで仕事のなかった低所得者層が就労し始めたことは、広く平均所得を押し上げます。
直後1分足跳幅が40pipsを超える反応を示したことも、2017年7月集計分以来7か月ぶりです。今夜のFOMCがなければ、もっと反応を伸ばしても良かったという気がします。
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さて、事前分析結果を検証しておきます。
- 直前10-1分足は、事前差異がプラスなので、ロングをオーダーするつもりでした。
結果は陽線で問題ありません。うまくやれば10pips、多少タイミングをずらしても5pipsは利確できたことでしょう。 - 直前1分足は、陽線側に2pips跳ねたら逆張りでショートをオーダーし、利確/損切の目安は2・3pipsとするつもりでした。
結果は陽線で、5pipsの跳ねがあったので、2pips跳ねた時点でオーダーしていた3pipsの損切となっていたはずです。分析は外しました。 - 指標発表を跨ぐポジションは、直前10-1分足が陽線で、直前1分足が陰線(で終わりそうな場合)のとき、指標発表直前にロングをオーダーし、指標発表直後の跳ねで利確/損切することにしていました。
結果は、直前1分足が陽線だったので、取引条件を満たしていません。 - 指標発表後の追撃は、ポジション長持ちを避けて、様子を見ながら短期取引の繰り返しで行うべき、としていました。
直後11分足は直後1分足を超えて反応を伸ばしました。高値掴みで損切することはあり得ても、通常なら数pipsの利確に繋がったでしょう。 - もし直後1分足跳幅が40pips以上に達したら、なるべく早く追撃に参加しても、直後11分足の終値がつく頃まで更に反応を伸ばしがちです。
結果はその通りになりました。追撃徹底が正解でした。
取引結果を下表に纏めておきます。
直前10-1分足・直前1分足の取引ができなかったのは、うっかりしていて時間に気づいたのが18:28頃だったためです。急いでチャートを見て、追撃から参加しました。
慌てて参加したものの、直後1分足跳幅が40pipsを超えており順張り追撃徹底で良かったことが幸いでした。
次回発表は4月17日に予定されています。
本指標での取引の過去成績を纏めておきます。
よしよし。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は 「1. FXは上達するのか」 をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
タグ: 英国,雇用統計