宙に参る(by肋骨凹介)


最近あまりマンガのレビュウを書いていなかったので、久しぶりにやってみます。
今回はややマイナーな作品をご紹介です。管理人が好きな「SF」テイストのマンガです。
「宙に参る」(そらにまいる)は肋骨凹介氏がリイド社の運営するwebサイト「トーチ」で連載しているマンガです。紙媒体のコミックス第1巻が2020年2月にリイド社から発刊されています。

作品のご紹介はこんな感じ。
「宇宙船が今で言うセスナ機ぐらい身近になった世界のお話。機械やプログラミングに妙に長けている主婦・鵯(ひよどり)ソラは、病気で亡くなった夫の遺骨を義母に届けるため宇宙へと旅立った。道中のお供は人工知能を搭載したロボットである息子の宙二郎(ちゅうじろう)。長期渡航を目的として作られた巨大宇宙船、経由するコロニーやテラフォーミングされた星、いつか訪れそうな宇宙時代への期待が膨らむ、近未来サイエンス・フィクション。」

絵柄はすっきりとしていて、あさりよしとお氏を連想させます。「サイエンス」志向の部分もあさり氏と似ています。
ご本人も言っているように、謎の異星人や宇宙艦隊などは出てこない「近未来・地球に帰省するマンガ」です。正直、地味です。「次にくるマンガ〇〇」には、近未来になっても選ばれないと思いますが、「SF」の薫陶を受けた人たちには静かに愛される作品だと思います。
コロニーから発着する大型連絡船や、小型ポッド、ロボットやAIなどの考証が丁寧で、あまりくどく説明がされない点も好感が持てます。読者は設定を読みたいのではなくて、物語を楽しみたいのです。
近未来SFで面倒なのは、大道具(コロニーや宇宙船、家屋、インフラ全般まで)から小道具(衣装や家電、日用品などの様々な小物すべて)まで、全部デザインしないといけない点です。異世界や遠未来ならば、現在のデザインからどれだけ離れていても特に気にする必要はないのですが、50〜100年先の世界となると、現在のデザインが残っているものもあれば、大胆に変わっているものもあるかと思います。
とくに正解はないのですが、そういったデザインをどうまとめるかが作家のセンスの見せ所なので、この作品を読むにあたっては、そういう点も含めて味わっていただければと思います。

2020年08月30日

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