18世紀末から19世紀初頭のイギリスの片田舎を舞台に、女性の結婚事情と、誤解と偏見から起こる恋のすれ違いを描いた恋愛小説で、昔も今もベストセラー。じつは昔からの少女漫画の王道パターンは、この小説が元祖です。日本でいえば江戸時代に、すでにラブコメのプロトタイプにして完成形が出来ていたのです。
この小説は何度も映像化されています。管理人が観ているのは「プライドと偏見」(2005年)だけですが、主演のキーラ・ナイトレイのアヒル口にやられちゃいました。
その「高慢と偏見」に、何を思ったのか「ゾンビ設定」を詰め込んだ小説が「高慢と偏見とゾンビ」
作者はセス・グレアム=スミス。2009年に出版され、気が付いたら2016年に映画化されていました。
以前から気になっていましたが、公開時には結局観に行かず、つい先日、宿直部屋でヒマをつぶすためにキャビネットの中を漁っていたら大量のDVDが出土し、その中の1枚がこれでした。
たぶん神様が安息日でも働いている人間を憐れに思い、無聊の慰めに「高慢と偏見とゾンビ」を与えてくださったのでしょう(そんな神様はイヤだ)。
ということで、日曜の午後に、ひとりで静かにご鑑賞してみました。
この映画、B級のパロディ映画だと思われそうですが、実は製作費が2800万ドルもかかっています。
日本円だとざっくり30億円。すげえ。あの「復活の日」や「男たちの大和」より高いぞ。
邦画で30億なんて、基本的にありえない。ハリウッド映画ならアリですが、決して安いわけではない。
それぐらいお金がかかっているので、美術や衣装がゴージャスです。「プライドと偏見」と遜色ない。というか、ゾンビが出てこなければ、見分けがつかない!主演がキーラ・ナイトレイだったらよかったのに!
ストーリーは、「高慢と偏見」の史実?に忠実で、その世界観にゾンビがちゃっかり加わっています。
ベネット家の5姉妹は、中国で武術(少林寺)を学んでいて、ゾンビを退治しながら婚活もしています。
ヒロインは次女のエリザベス(リリー・ジェームズ)です。リリーは、キーラ・ナイトレイほどではないにせよ、19世紀初頭の英国風ツンデレを見事に演じており、ダーシー大佐への愛を打ち明けるシーンでは、胸がきゅんときてしまうのですよ。
書き忘れていましたが、この映画、興行収入は1640万ドルです。日本円だとざっくり17億円。
うわ、13億円も赤字だっ! 大失敗じゃん。何がいけなかったのだろう。いろいろ思い当たるところが多すぎてうまく言えない。
個人的には興行的失敗も含めて愛しい映画。英国貴族とかツンデレとかゾンビとか、好きなものがいっぱい入っていてお得感満載。
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