午前中は本を読んで過ごした.
・ 木村敏『精神医学から臨床哲学へ』
・ Susan Cain『Quiet』
・ Allyn Jackson『Comme Apelé du Néant ── As If Summoned from the Void: The Life of Alexandre Grothendieck』
『精神医学から臨床哲学へ』は精神科医の木村敏の自伝. 友人がブログで紹介していたのがきっかけで図書館から借りた.
木村敏は現象学の手法を精神分析に取り入れた現存在分析でも知られる. 同氏の著書は以前鬱でずっと寝込んでいたときに『臨床哲学講義』を読んだことがある. そこでは鬱病 (躁鬱病) についても一章を割かれていたが, 内容が理解できなかった. 本書を読んだらもう一度読み直してみたい.
スーザン・ケインの『Quiet』は最後の章だけ読み残していたのを読んでしまおうと思って開いた. 内向的な子どもへの接し方が書いてある.
子どもは一人ひとり違った気質を持っている. 内向的な子どもに対しては, 決して内向的なことが悪いことではないという意識を持たせるようにする.
尊敬の念を持って接すること. 子どもの考えを尊重すること, 必要なときには背中を押してやること.
これはとても重要なことのように感じる. 自分自身の経験にも照らして.
最後の『The Life of Alexandre Grothendieck』は本ではないがネットに上がっている文章でグロタンディークの生涯をまとめたものである. 著者の Allyn Jackson は主に数学系のライターで, 調べたら以前ネットで読んだ Karen Uhlenbeck へのインタビューも彼女が行っていたものだった.
この文章は 2004 年に発表され, part 1 と part 2 に分かれている. ネットに NISHINO Taro 氏の part 1 の 日本語訳 が上がっていたのを読んで興味を持った.
part 1 は彼の幼少期から数学者として精力的に活動していた 1960 年代頃までをカバーし, part 2 はそれ以降のことが書いてある.
part 1 は面白く一気に読める. part 2 はとりあえずグロタンディークが徐々に政治活動に転じていくところまで読んだ.
リーマン・ロッホの定理 (Riemann-Roch theorem) に関するエピソードが印象的である.
彼はリーマン・ロッホの定理の本質は, 多様体に関する性質を述べたところではなく多様体間の射の性質を述べたところにあると見抜いて証明を与えた. しかしその証明は一部に技巧的な「トリック」を使っていたために自身ではすぐには発表しなかった.
小さくて自然な命題を積み重ねていった結果が数学なのだというのが彼の考えであり, リーマン・ロッホの定理の証明は彼の哲学に反するものだったのである.
グロタンディークは全てを自分で考えて構成することを好み, 常に深く集中して考えた. 理論の展開や証明の明晰さ・美しさにも徹底的にこだわった. その結果として彼の数学者としての超人的な活動があった.
一方で政治運動家としての彼はナイーヴで過激なだけの素人であり, 歯牙にもかけられなかった. だがその根底には幼少期の彼自身の不幸な記憶があり, 彼の活動には弱い者・虐げられた者を救うという側面もあった.
part 2 の残りの部分では隠遁生活に入る過程が書かれるのだろうか. グロタンディークが数学から離れていく後半も退屈ではない. 興味を持って読める文章である.
こういう風に本が普通に読めるようになってきたのは嬉しい.
昼過ぎに買い物に行く. 野菜や魚, 豆腐などを買う.
帰宅して食事をとる. 帆立と小松菜とバジルのパスタ.
早い時間に休む.
タグ: 帆立と小松菜とバジルのパスタ
Allyn Jackson『Comme Apelé du Néant ── As If Summoned from the Void: The Life of Alexandre Grothendieck』
Susan Cain『Quiet』
木村敏『精神医学から臨床哲学へ』
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