チェコで、特にチェコのレストランや飲み屋でメニューに「Budweiser」と書かれているのを発見したからといって、アメリカのバドワイザーが飲めると思ってはいけない。アメリカのバドワイザーはチェコでは販売できない、販売するなら別の商標で販売しなければならないことになっているのである。そのいわれについては この記事 参照。
「Budweiser」というのは、チェスケー・ブデヨビツェのドイツ語名ブドバイス(Budweis)から作られた名詞で、プルゼニュのドイツ語名ピルゼン(Pilsen)から作られた「Pilsner(ドイツ語風にピルズネルと読むことが多い)」が、本来プルゼニュで生産されたビールを意味していたのと同様、ブデヨビツェで生産されたビールを表わすものだったのである。
現在のチェコ、もしくはEU内で「Budweiser」という名称のビールを販売する権利を持っているのは、チェスケー・ブデヨビツェのブドバル社だけである。この会社は、ビロード革命から三十年、90年代の国営企業の民営化から20年以上の時を経てなお、100パーセントの国営企業であり続けている。それは恐らくアメリカのバドワイザーとの商標の使用権をめぐる裁判が延々と続いているからであろう。
共産主義体制下のブデヨビツキー・ブドバル、もしくは「Budweiser(ブドバイゼル)」は、西ヨーロッパでも人気で、外貨を確実に稼げる数少ない商品の一つだったこともあって、生産量の大半がオーストリアなどの西側に輸出され、チェコスロバキア国内ではあまり飲めないビールだったらしい。現在でもその輸出が多いという傾向は残っていて、ブランドのイメージとしてはピルスナー・ウルクエルに次ぐのに、飲める店は圧倒的に少ない。
最近、ブドバルをどこで飲んだかと考えて、思い出したのが、NHホテルのレストランである。なかなか高級そうなホテルの、高そうなレストランだったのでピルスナーが出てくるものだと思っていたら、ブドバル、いやホテルのメニューだと「Budweiser」が出てきて驚いた。度数は書いてないけど、レジャークの12度だろう。
それからブドバルのHPでオロモウツで飲めるところを探してみたら、駅前のホテル、クラリオン・コングレスホテルだったかな、が出てきた。ただし、ホテル内のレストランではなくて、ホテルのサービスの一環で、ビール風呂、語呂が悪いからビール浴にしておこうか、があって、そこで使われているビールがブドバルのものらしい。サービスとしてはビールの代わりに牛乳を選ぶこともできるようだ。チェコだからビールを選ぶべきだし、どうせなら自前のビールを使っている聖バーツラフの醸造所のほうがいいとは思うけど。
それで、どこかブドバルが飲めるホテルのレストランではない普通の店はないかと探したら、旧市街にもテレジア門の近くの城壁の中に入っている「ラスプーチン」とかいう名前のミュージック・バーとか、いくつか「ホスポダ」ではなく、バーを名乗るお店が見つかったのだけど、はやりのフェイスブックを使っていて、どんなビールが飲めるかの情報がない。
改めてブドバルのHPで探して出てきたのか以下の二軒である。
?ブルース・ロック・カフェ
Adresa: Lazce
Web: https://bluesrockcafe.cz/
Piva: Budweiser Budvar 12°
Budweiser Budvar 10°
Pardál 11°
?ezané 10°
※ブドバルの説明は要らないとして、パルダールについては説明が必要であろう。10年ほど前にブドバルが投入した新しいブランドで、一時は盛んにテレビでコマーシャルを流していた。それによると、一般のビール好きが、開発に協力したというのだけど、本当かどうかはわからない。当初は瓶だけの廉価版ブドバルというイメージだったのだが、いつの間にか11度のレジャークが生でも飲めるようになっていた。これはこの新しいブランドが成功して定着した証拠だと考えてよさそうである。
Kudy: ホルニー広場の市庁舎の天文時計の前に集合する。一番近い角から聖モジツ教会に向かう通りに入り、教会を左手に見ながらトラムの線路を越えて直進する。旧市街を出たところにあるロータリーも直進して一つ目の角を右に曲がったところにこのお店がある。
?Aニルバーナ
Adresa: Komenského
Web: http://www.nirvana-ol.cz/
Piva: Budvar 12°
Budvar 10°
Pardál 12°
※上のブルース・ロック・カフェと違って、ジェザネーは飲めないが、トゥプラークという1リットルの大きなジョッキのビールを注文することも可能。ただしお酒を飲むスピードがそんなに速くない日本人にはあまり勧められない。
Kudy: ホテル・パラーツの前からコメンスキー通りに入って、ロシア正教の教会、もしくはブリストルに向かう途中の左手にある。ショーウィンドウに仏像みたいなものが飾ってあったような気もする。
もう一つのブデヨビツェのビールであるサムソンもどこかで飲めたはずなので、探してみることにする。
2019年7月1日23時50分。
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