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2021年03月12日

六格の使い方(三月九日)



 チェコ語の格変化の6番目の格は、単独では使われることはなく、つねに前置詞と共に使われる。そのため前置格と呼ばれることもあるようだ。そんな説明を受けたら、前置詞はつねに6格に結びつくと思いたくなるのだが、全くそんなことはなく、前置格をとる前置詞の数も実はそれほど多くない。看板に偽りありだと感じたチェコ語学習者も少なくないのではないかと思う。

 六格をとる前置詞として絶対に覚えておかなければならないのは、場所を表す「v」と「na」である。どちらの前置詞をとるかは、後に来る名詞によって異なるが、細かいことはこちらの「 場所を表す前置詞 」をご覧頂きたい。チェコ人にとってはルールがあるようだが、学習して覚えるしかない外国人にとっては、ルールなんか存在しない迷宮のようなものである。個人的には、原則的に「v」を使って、「na」を取る名詞は頑張って覚えることを推奨している。
 また、「v」と六格の組み合わせは、時間を表す場合にも使用される。ただし、慣用的に使用できるものが決まっているので、覚えていくしかない。サマースクールで復習したときの記録は「 チェコ語の時間を表す表現について?B 」にまとめてある。一言で言えば、頑張って覚えるしかない。それに対して「na」と六格で時間を表すのは、「na ja?e」しかないので、楽である。

 次に重要な六格をとる前置詞は、「o」であろうか。日本語の「〜について」とほぼ対応するので、日本人には使いやすい前置詞である。ただし「興味を持つ」の場合には、前置詞は同じ「o」だが、後ろに来るのは四格なので注意しなければならない。また、週末、クリスマス、イースターなど特殊な名詞と組み合わせて時間を表す表現として使われることもあるが、これは数が少ないので覚えればいい。

 続いては「po」である。「後で/その後」を意味する「potom」を知っていれば、「tom」が「ten」の六格であることに気づけるだろう。一つ目の使い方は、時間の前後関係を表す「〜後」で、名詞に付けて、「po škole(学校が終わった後)」「po práci(仕事の後)」などのようにも使えるし、時間を表す順序数詞と組み合わせて、「po páté(五時過ぎ)」などと使うこともできる。
 また、「旅行する」など移動を伴う動詞の、移動する場所を表すのにも、「po」が六格とともに使われる。「チェコに旅行する」なら、方向を現す「do」を使うが、「チェコ(国内)を(あちこち)旅行する」の場合には「po」が必要になる。「道を歩く」などの日本語の助詞「を」の特殊な使い方に近いと考えてもいい。
 他にも動詞の中には、「po+六格」を必要とするものがあるけれども、それについては、上に書いたことも含めて、改めて一文物することにする。

 最後に取り上げる、六格を取る前置詞は「p?i」である。これも「po」と同様、一語化した「p?itom(同時に)」という言葉が存在する。意味としては「〜の際に」と訳すことが一番多いだろうか。これが使えなくても、「kdy?(〜時)」を使った節で代用できるので、あまり困らない。ただ、ややこしい長い文を作るときに、うまく使えるとわかりやすい文になるから、覚えて損はない言葉である。特別にこの前置詞を必要とする動詞は思いつかないけれども、これについても用例を挙げて一本書くことにしよう。
2021年3月10日23時。











タグ: 六格 前置詞
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