全20件 (20件中 1-20件目)
1
80年代の映画サントラを振り返って…(その1:ネバーエンディング・ストーリー、1984年) 不定期更新で映像とともにお届けするシリーズ、新しいテーマで始めてみたいと思います。今回は、80年代の映画サントラから。何回続くかわかりませんが、しばしお付き合いください。 さて、第1回目は、『ネバーエンディング・ストーリーDie unendliche Geschichte / The Neverending Story』。1984年(本邦では翌年公開)の、西ドイツ/アメリカ合衆国で制作された映画でした。西ドイツの有名な児童文学作家ミヒャエル・エンデの作品(原題『はてしない物語』)に基づいたものだったのですが、映画では原作に多くの改変が加えられたほか、第二弾(1989年)以降は完全に原作とは別のオリジナルのストーリーで展開していきました(原作者との間でもめ事もあったようですね)。 ともあれ、この映画の英語版(ドイツ版には主題歌はなかったとのこと)の主題歌となったのが、リマールの歌う「ネバーエンディング・ストーリーのテーマ(The Neverending Story)」です。ノルウェーとスウェーデンで1位、オーストリア、西ドイツ、イタリアで2位、イギリスで4位、日本のオリコンでも5位といった具合に、世界中でヒット曲となりました。 ともあれ、懐かしの映像をご覧ください。 歌っているリマール(Limahl)というのは、本名クリストファー・ハミル(Christopher Hamill)という人物です。この直前までカジャグーグー(Kajagoogoo)のヴォーカルを務めていたイギリスのヴォーカリストでした(2008年に再加入)。なお、リマールという名前は、本名のハミルのつづりを並べ替えたもの(アナグラム)で、カジャグーグー時代から名乗っていたアーティスト名です。 続いてライヴ(2011年、ドイツのテレビショウ?)の映像もどうぞ。 1984年のリリース時から四半世紀以上たち、20歳代半ばだったリマール本人も50歳代になりましたが、この声とメロディは永遠と言ったところでしょうか。[収録サウンドトラック盤]The Neverending Story (Original Motion Picture Soundtrack)(1984年)その他、Limahl / Don’t Suppose(1984年)などにも収録。 【中古】映画音楽(洋画) 「ネバーエンディング・ストーリー」オリジナル・サウンドトラック【10P24jul13】【画】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年07月31日
コメント(6)
文句なしにカッコいい、オージー・ロックの金字塔 リック・スプリングフィールド(Rick Springfield)はオーストラリアはシドニー出身のロック・ミュージシャン、俳優。彼の代表作はと言うと、ふつうはビッグ・セールスを記録した『ジェシーズ・ガール(原題:Working Class Dog)』(1980年リリース、チャート最高位は全米7位)、『アメリカン・ガール(原題:Success Hasn’t Spoiled Me Yet)』(1981年、全米2位)あたりが挙げられることだろう(ちなみに本ブログでは、その次作にあたり、やはり全米12位のヒットとなった『リヴィング・イン・OZ』を過去に取り上げている)。けれども、私的には絶対にこれは外せないという作品がある。それがこの『ロック・オブ・ライフ(Rock Of Life)』という、1988年発表のアルバムである。チャートアクションという面では全米55位止まりで、彼のアルバム作品としてはヒット作とはいい難いのだが、これが何とも一押しの快作だと心底思っている。 オージー・ロックと言っても、リトル・リバー・バンド(70年代にオーストラリア発で世界的ヒットしたバンドの先駆け、参考過去記事)のような時代と違うし、そもそもリック・スプリングフィールド自身、アメリカへ渡って成功していったわけだから、わざわざ“オーストラリア”という謳い文句は、もはやなくてもいよかったのかもしれない。実際、本盤のよさは“アメリカン・ロック”としてのよさにあると言ってもいいぐらいだと思ってたりする。 全編通じてハイレベルだが、上で述べたよさが突出しているのは、1.「ロック・オブ・ライフ」と3.「ワールド・スタート・ターニング」。この2曲が文句なしにカッコいい。80年代のロック・チューンのコンピレーションを作れと言われれば、筆者的には絶対に外せない曲である。[収録曲]1. Rock Of Life2. Honeymoon In Beirut3. World Start Turning4. One Reason (To Believe)5. Soul To Soul6. Tear It All Down7. Woman8. Dream In Colour9. Hold On To Your Dream10. (If You Think You're) Groovy1988年リリース。 【輸入盤】Rock Of Life [ Rick Springfield ]下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年07月29日
コメント(0)
急ごしらえながら、新旧入り乱れて楽しめる1枚 ザ・ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)は、1961年結成のアメリカのロック・グループ。大雑把に言えば、ビートルズと同時代に始まったバンドというわけで、実際、60年代にはビートルズとの間に音楽面での相互の影響関係も見られる(過去記事『ペット・サウンズ』を参照)。けれども、ビートルズが70年に解消されたのに対し、ビーチ・ボーイズは何十年も続いた。続いたと言っても、メンバーは入れ替わったり、年月とともにオリジナル・メンバーは死去したり、互いにもめごとがあったりといろいろありながらも、一応解散宣言というものはなく、現在まで一部メンバーで活動が続いている。 本盤『スティル・クルージン(Still Crusin’)』は、1989年リリースの通算35枚目(編集盤含む、オリジナル・アルバムとしては26枚目)のアルバム。上記のような経緯がありながらも“まだやってるよ”的ないい加減なタイトルのアルバムと言えなくもないが、今述べた発表アルバムの枚数を見るだけでも、その芸の長さ(?)がよくわかろうというものだ。 とはいえ、1980年代のビーチ・ボーイズは順風満帆ではなかった。1980年代に入る頃には、カール・ウィルソンが一時バンドを離脱しソロ活動に専心し、その後、1983年には、デニス・ウィルソンが溺死。一応、脱退したわけではなくバンドの所属となっていたブライアン・ウィルソンは、長年の低迷から抜け出しようやく復活していく時期だったが(1988年の復帰作『ブライアン・ウィルソン』)、逆にこの復帰作のせいでソロ活動の方に忙しい状況だった。 こうした前後の状況だったが、トム・クルーズ主演の映画『カクテル』から「ココモ」という大ヒット・シングルが生まれ、全米1位となる。何といっても「グッド・ヴァイブレーション」(1966年)以来、22年ぶりという全米No.1ヒットとなったシングル曲である。ところが、実際のところはメンバーも忙しく、十分にアルバム1枚が作れるだけの曲は用意できなかったというのが実情だったようだ。そのようなわけで、8.「アイ・ゲット・アラウンド」、9.「素敵じゃないか(Wouldn’t It Be Nice)」(『ペット・サウンズ』に収録)、10.「カリフォルニア・ガールズ」という、60年代のヒット曲を採録して全10曲となっている。とはいえ、シングル・ヒットの人気につられる形で、結局はこの急造アルバムも結構売れ、米・豪でゴールドディスクとなった(ただしアルバム・チャートでは全米46位止まり)。 そのようなわけで、アルバム作品としての完成度は確かにあまり高くないのかな…というのが正直な感想。表題曲の1.「スティル・クルージン」をはじめ、3.「アイランド・ガール」、上記ヒット曲5.「ココモ」といった辺りは、“トロピカルにヴァカンス”といった風情で、この辺りが聴きどころかと思う。まあ、不揃い感は他の映画曲や上記の古い曲を混ぜているからやむを得ないところだが、筆者にとっては、なぜかこのヴァカンス気分に誘われて、夏になると一度はCD棚からひっぱり出して聴きたくなるという1枚だったりする。ついでながら、80年代末には、60年代の彼らのヒット曲を知らない世代もそうとう本盤を手にしただろうから、そういう意味では8.~10.の収録も悪くなかったのではないだろうかと想像してみたりもする。[収録曲]1. Still Cruisin'2. Somewhere Near Japan3. Island Girl4. In My Car5. Kokomo6. Wipe Out7. Make It Big8. I Get Around9. Wouldn't It Be Nice10. California Girls1989年リリース。 【中古】スティル・クルージン/ザ・ビーチ・ボーイズCDアルバム/洋楽 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2013年07月28日
コメント(6)
INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのページ右欄(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-J)へ → つづき(K-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-E)へ → つづき(F-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓ にほんブログ村 : 人気ブログランキング:
2013年07月26日
コメント(0)
ボスの提供による名曲集(その5、最終回)~サウスサイド・ジョニー ブルース・スプリングスティーンが他のアーティストに提供した名曲選、ひとまず最後となる第5回目は、サウスサイド・ジョニー(Southside Johnny)の登場です。このサウスサイド・ジョニーという人は、スプリングスティーンと付き合いが長く、メジャー街道で大人気を博したスプリングスティーンに対し、大手からアルバムをリリースしながらも、比較的ローカルな人気を長年にわたって維持しています。 サウスサイド・ジョニー(本名ジョン・ライオンJohn Lyon)は、1948年生まれですから、翌年生まれのボスと同世代で、若い頃からニュージャージーの同じ土壌で育まれてきたアーティスト。長年、ジ・アズベリー・ジュークス(The Asbury Jukes)というバンドで活動しています。スプリングスティーン絡みの曲はいくつもあるのですが、今回はその中でも名曲と銘打つにはぴったりの、「ハーツ・オブ・ストーン(Hearts of Stone)」(1978年の同名アルバムに収録)をどうぞ。 そんなサウスサイド・ジョニーは、同じくニュージャージー出身のジョン・ボン・ジョヴィが敬愛するアーティストでもあります。そんなわけで、今回は、原作者スプリングスティーンではなく、ボン・ジョヴィとの共演ヴァージョン(アコースティック演奏)もご覧ください。 ジョン・ボン・ジョヴィのヴォーカルというのは、あまり“さっぱりした感じ”がしない(つまりはどこか“粘っこい”、ということ)部分もあるように感じるのですが、その“粘り具合”は、案外、サウスサイド・ジョニーの影響も大きいのかもしれないと思ったりもします。[収録アルバム]Southside Johnny & The Asbury Jukes / Hearts of Stone (1978年)その他、ベスト盤類にも収録。[記事リンク]ボスの提供による名曲集(その1、パティ・スミス編) ボスの提供による名曲集(その2、ザ・ナック編) ボスの提供による名曲集(その3、ザ・ポインター・シスターズ編) ボスの提供による名曲集(その4、ジョー・グルスキー編) ↓(下記商品リンクはいずれもベスト盤です)↓ 【Aポイント+メール便送料無料】サウスサイド・ジョニー Southside Johnny & Asbury Jukes / Playlist: The Very Best Of Southside Johnny & The Asbury Jukes (輸入盤CD) 【I2013/5/21発売】 Southside Johnny & The Asbury Jukes / Best Of 輸入盤 【CD】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2013年07月25日
コメント(0)
代表盤ではない秀逸盤 マディ・ウォーターズ(Muddy Waters,1915年生まれ1983年没)は、シカゴ・ブルースの父とも称されるブルースマン。一度聴いたら忘れがたいドスの効いたダミ声でブルースを歌い、エレキ・ギターを使用してのバンドスタイルのブルースを確立するのに大きな役割を果たした。6度のグラミー賞受賞歴を持ち、没後にはロックの殿堂入りもしている。また、60年代のブリティッシュ・ブルースの展開をはじめ、多くのブルース的ロック系アーティストに多大な影響を与えたことから、ロック界への影響も計り知れない。 そんな彼の作品中でも“異色作”とされるのが、本盤『エレクトリック・マッド(Electric Mud)』である。リリースされたのは1968年。世はカウンターカルチャー(対抗文化)に沸き、米国では前年の“サマー・オブ・ラヴ”に代表されるように、サイケデリックやヒッピーといった新たなムーヴメントが巻き起こっていた。そんな中、ブルースの大御所がサイケデリック・サウンドを意識したようなアルバムをリリースするというのは、単に画期的というよりも、“売れ筋に走ったか?”、“若者に迎合するのか?”といった憶測を呼び得るものだった。 マディ・ウォーターズは、1940年代から録音をはじめ、50年代には上述のバンド形式で多くの曲を世に送り出していた。けれども、本盤の頃には、バリバリの現役というよりは、過去の遺産的に捉えられかねない節もあった。既に50歳を超えたタイミングでの本アルバムのリリースであり、受け手側の当惑があっても不思議ではなかった。 しかし、そこから何十年もたったいま、このアルバムを振り返ってみて、やっぱり凄さに圧倒されるというのが正直な感想だ。基本的には“持ち歌”のアレンジである。つまり、従来はふつうにブルージーに仕上げていた同じ曲を、その“ふつう”とは異なるサイケなアレンジで提示しているわけである。したがって、1.「アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・メイク・ラヴ・トゥ・ユー」というウィリー・ディクソン作のブルース・ナンバーからアルバムは幕を開け、結局、締めくくりの8.「ザ・セイム・シング」も同じくW・ディクソンのナンバー。一言でまとめれば、“ネタは同じで中身が違う”アルバムなわけである。 確かに、コアなブルース好きからすれば、“迎合”という批判に返す言葉もないかもしれない。でもロック好きの側からすれば、秘められた可能性を見事に示した好作であったとも言えるように思う。もちろん、マディ・ウォーターズその人を代表する盤とは決して言えない。けれども、個人的にはこれはこれでOKなのではないかな、というのが正直な感想。実際、60年代~70年代ロック好きのファンには避けて通れない1枚という言い方もできそうな気がするのだけれど。[収録曲]1. I Just Want to Make Love to You2. I'm Your Hoochie Coochie Man3. Let's Spend the Night Together4. She's Alright5. Mannish Boy6. Herbert Harper's Free Press News7. Tom Cat8. The Same Thing1968年リリース。 【送料無料】【輸入盤】Electric Mud [ Muddy Waters ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2013年07月23日
コメント(0)
ボスの提供による名曲集(その4)~ジョー・グルスキー 少し間が空きましたが、ブルース・スプリングスティーン提供の名曲選の続きです。 今回は、初回のパティ・スミス「ビコーズ・ザ・ナイト」に続き、歌っている本人とB・スプリングスティーンとの共作曲です。マイナーながら非常に良質なアメリカン・ロックを出し続けているジョー・グルスキー(Joe Grushecky)がボスと1997年に共作した曲です。グルスキー盤としては、2006年のソロ作『ア・グッド・ライフ(A Good Life)』に収録されています(同盤のヴァージョンでは、スプリングスティーンもフィーチャーされています)。 以下は2004年、ピッツバーグのハードロックカフェでの演奏から。何と言ってもグルスキーのこの直球なロッカーぶりが印象的です。 つづいて比較的最近の二人のライヴ共演映像もご覧ください。2010年、J・グルスキー&ザ・ハウスロッカーズの演奏にスプリングスティーンが参加しているものです。 どちらもいいおじさん(そろそろお爺さん? スプリングスティーンが1949年、グルスキーが1948 or 1949年生まれなので、このビデオ映像の時点で既に2人とも60歳オーバー)ですが、何とも元気です。1ファンがこんなことを言っては余計なお世話でしょうが、この二人は死ぬまでステージに上がっていそうで、年齢を考えると激しいライヴをやっていますから、いつか演奏中に倒れたりしないか思わず心配になってしまいそうなほどです(笑)。[収録アルバム]Joe Grushecky / A Good Life (2006年)←グリュスキーによる「コード・オブ・サイレンス」(スプリングスティーンもゲスト参加)Bruce Springsteen / The Essential Bruce Springsteen (2003年)←限定版(通常版ではなく3枚目のボーナスディスク付のもの)にスプリングスティーンによるライヴでの「コード・オブ・サイレンス」収録。[記事リンク]ボスの提供による名曲集(その1、パティ・スミス編) ボスの提供による名曲集(その2、ザ・ナック編) ボスの提供による名曲集(その3、ザ・ポインター・シスターズ編) ボスの提供による名曲集(その5、サウスサイド・ジョニー編) 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2013年07月21日
コメント(0)
多彩なセンスに彩られたポップ・アルバム ティアーズ・フォー・フィアーズ(Tears For Fears)は、1981年にデビューした、2人組(ローランド・オーザバルとカート・スミス)によるイギリスのポップ・バンド。バンド名の由来は、アーサー・ヤノフの『原初の叫び(プライマル・スクリーム)』(ジョン・レノンも影響を受けた精神療法を編み出した心理学者の著書)の章題。1984~85年にかけてシングル曲「シャウト」や「ルール・ザ・ワールド」(いずれもアルバム『シャウト』に収録)のヒットで世界的に知られることになった。 初期の彼らはシンセ色が強かったが、次第にそのサウンドは変化していき、作品を重ねるとともにその音楽性は変わっていった。3枚目のアルバムとなった1989年の本盤『シーズ・オブ・ラヴ(The Seeds of Love)』は、彼ら2人がカンザス・シティで見出したオリータ・アダムスを誘い、フィル・コリンズ(当時はジェネシスと同時にソロでも活躍していた)やサイモン・フィリップス(著名なセッション・ミュージシャンで、この数年後には亡きジェフ・ポーカロの後任としてTOTOに加入)、マヌ・カッチェ(ピーター・ガブリエル『So』に参加して有名になったフランス/アフリカ系出自のドラマー)ら多彩なミュージシャンたちをゲストに制作された。 ポップ・アルバムと言っても、ただポップさが洗練されているだけではないのが、このアルバムの特徴だと言える。確かに、ビートルズ的とも言っていいポップさがベースになっているのは、そうなのだろうけれど、ジャズやブルースなどの他分野的な要素がうまく取り込まれた、言わば“センスの高い”融合的ポップな音楽に仕上がっている。曲によっては、非常に壮大な印象を受けるかもしれないが、落ち着いて耳を傾けると、その壮大さは単なる音の厚みとか仰々しさなのではなくて、いろんなエッセンスを重ね合わせからできているということに気づかされる。この点なんかは、聴けば聴くほどよくわかるセンスの高さが秘められていて面白い。 本盤収録曲のうち、個人的に断然お気に入りなのは、3.「シーズ・オブ・ラヴ」(邦訳はアルバム表題と一緒だが、原題は若干異なり、“Sowing the Seeds of Love”)。全米2位、全英5位(さらにカナダでは1位)のヒット曲となった。もちろん他の曲も完成度は高いし、表題のヒット曲を挙げるのは憚られる部分もあるのだけれど、やっぱりこれがいちばん印象が強い。[収録曲]1. Woman in Chains2. Badman's Song3. Sowing the Seeds of Love4. Advice for the Young at Heart5. Standing on the Corner of the Third World6. Swords and Knives7. Year of the Knife8. Famous Last Words~以下、1999年リマスター時のボーナス・トラック~9. Tears Roll Down10. Always in the Past11. Music for Tables12. Johnny Panic and the Bible of Dreams1989年リリース。 【Aポイント+メール便送料無料】ティアーズ・フォー・フィアーズ Tears For Fears / Seeds Of Love (輸入盤CD)下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年07月19日
コメント(0)
ボブ・シーガーの哀愁ある名曲たち 前回のボブ・シーガー&ザ・シルバー・ブレット・バンド(Bob Seger & the Silver Bullet Band)の『ナイト・ムーヴス』の続きおよび補足の動画紹介ということで、よろしければお付き合いください。どんな曲だろうと思った方もいらっしゃるようでしたので、実際に曲をお聴きいただければと思い、お送りする次第です。 まずは、「メインストリート(Mainstreet)」から。『ナイト・ムーヴス』からのシングル・カット曲として、1977年に全米24位を記録した曲です。 続いては、同じアルバムの表題曲で、全米4位となった「ナイト・ムーヴス(Night Moves)」です。曲の内容は若々しい(?)のですが、貫録があって哀愁に満ちたこの曲調は何とも言えない魅力です。ついでながら、この粘っこさと暑苦しさ(笑)は、万人受けはしないでしょうが、個人的にはたまらなく大好きです。 今回は調子に乗ってもう2曲ほどまとめて取り上げてみます。1986年リリースの『ライク・ア・ロック』からの表題曲「ライク・ア・ロック」も同じ流れで哀愁ある歌いっぷりと、スローテンポながら盛り上げてくれるスライド・ギターが印象的です。 その後のボブ・シーガーですが、68歳を迎えた現在も元気に活動中です。見た目は白髪の老人という感じで、近頃は立ちっぱなしのステージも厳しいのか椅子に座ってのライヴ演奏というのが多いようですが、とにかく元気で活動されているようです。 過去に紹介済み(過去記事)ではあるのですが、最後に、哀愁ある名曲という意味では、外せない「アゲンスト・ザ・ウィンド」を、最近(2年ほど前)のライヴの様子からどうぞ。 [収録アルバム]Bob Seger & the Silver Bullet Band / Night Moves (1976年)←「ナイト・ムーヴス」と「メインストリート」を収録。Bob Seger & the Silver Bullet Band / Against the Wind (奔馬の如く) (1980年)←「アゲンスト・ザ・ウィンド」を収録。Bob Seger & the Silver Bullet Band / Like A Rock (1986年)←「ライク・ア・ロック」収録。 【メール便送料無料】Bob Seger & The Silver Bullet Band / Night Moves (輸入盤CD) (ボブ・シーガー&シルヴァー・バレット・バンド) 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年07月18日
コメント(0)
バンド名義となって自身初のヒット作 ボブ・シーガー(Bob Seger)は、これまで何度か取り上げているように(参考過去記事(1)・(2)・(3)・(4))、1945年デトロイト出身のアメリカン・ロッカーで、2004年にロックの殿堂入りを果たしている。60年代から地道に活動をし、当初はボブ・シーガーシステムというバンド名、その後はソロ名義で70年代半ばまで活動した。 1974年にシルバー・バレット・バンド(Silver Bullet Band,“銀の弾丸”の意味)を形成する。ソロ活動末期のアルバムにはこのメンバーがアルバム制作に参加していたが、1976年4月にリリースされたのライヴ盤(『ライヴ・バレット』)で初めて名義がボブ・シーガー&ザ・シルバー・ブレット・バンドとなった。こうした中、スタジオ盤としては初めてこのバンド名義のアルバムとして発表されたのが、同年10月リリースの本作『ナイト・ムーヴス(Night Moves)』だった。ボブ・シーガーと言えば、日本では知名度が低くなかなか評価されていないミュージシャンだが、中でも本作は彼の代表作の一つとして評価が高いアルバムである。 大きく見てシルバー・バレット・バンド時代はソロ時代に比べてバンドらしさが強調され、演奏にも一体感がより感じられる。当初のバンド・メンバーから若干の入れ替わりがあるが、ボブ・シーガー以外のこの時点でのメンバーは、ドリュー・アボット(Drew Abbott, ギター)、ロビン・ロビンズ(Robyn Robbins, ピアノ、オルガン)、アルト・リード(Alto Reed, テナー/アルト/バリトン・サックス、フルート)、クリス・キャンベル(Chris Campbell, ベース)、チャーリー・アレン・マーティン(Charlie Allen Martin, ドラム、パーカッション)の5人。上述のライヴ盤と同じラインアップで、しばらくはこのメンバーで活動した(1980年の『奔馬の如く』からはドラマーが変更になり、その後もメンバー・チェンジしていくことになる)。 本盤からは3曲がシングルカットされ、うち、表題曲の2.「ナイト・ムーヴス」は4位のヒットとなった。69年にメジャー・デビューしてから7年かけて初のTOP 5入り(アルバムとしても本作がキャリア上初めてTOP 10入りし全米8位となった)というのは、下積みキャリアの長い彼らしい記録かもしれない。さて、上記表題曲や同じくシングル曲となった6.「メインストリート」、あるいは8.「シップ・オブ・フールズ」は、本盤の聴きどころの一つとなっている。アコースティックやミディアムテンポ、バラード寄りの、どちらかと言えば静かで落ち着いたナンバーであるが、だからといって何らあっさりしてはおらず(それはソウルフルかつ無骨な感じを残すボブ・シーガーのヴォーカルによる)、どこか哀愁漂う部分が強く印象に残る。その一方で、よりテンポよく演奏されている1.「ロックン・ロール・ネヴァー・フォーゲッツ」や5.「サンスポット・ベイビー」に代表されるロック・バンド的な曲調のナンバーも聴き逃せない。特にこの2曲に顕著だと感じるのだけれど、演奏は軽快に流れていくにもかかわらず、ボブ・シーガーの歌がいい意味で濃くて粘っこい。気合の入ったロッカーぶりを発揮している9.「メアリー・ルー」のような曲もいいのだけれど、筆者としては、“軽快で粘っこい”ところにもボブ・シーガーのよさがよく出ているのかな、と思ったりしている。[収録曲]1. Rock and Roll Never Forgets2. Night Moves3. The Fire Down Below4. Sunburst5. Sunspot Baby6. Mainstreet7. Come to Poppa8. Ship of Fools9. Mary Lou1976年リリース。 【送料無料】【輸入盤】Night Moves - Remaster [ Bob Seger ]下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年07月17日
コメント(2)
INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここしばらくの記事を追加してあります。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログの右欄(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-J)へ → つづき(K-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-E)へ → つづき(F-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記の各ジャンルのランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓
2013年07月16日
コメント(0)
大人向きで涼風なMJQ盤 この暑さを吹き飛ばす盤が何かないかということで、これをお届けしたいと思いつき、今回はMJQ盤の話にお付き合いいただきたい。 MJQことモダン・ジャズ・カルテット(The Modern Jazz Quartet, 当初はミルト・ジャクソン・カルテット、どちらも略称はMJQ)は1950年代初頭に結成された。メンバーはミルト・ジャクソン(ヴィブラフォン)、ジョン・ルイス(ピアノ)、パーシー・ヒース(ベース)、ケニー・クラーク(ドラム、1955年からはコニー・ケイ)。20年以上活動をつづけた後、彼らは1974年に解散した。その解散直前の1973年の作品がこの『ブルーズ・オン・バッハ(Blues on Bach)』という作品。内容としては、前年のカーネギーでのコンサートで披露された内容のスタジオ録音盤である。ちなみに、MJQはこの解散後、1981年に再結成され、活動を再開した後、1993年に最後の作品を残したが、現在では既にメンバー全員が鬼籍に入っている。 モダン・ジャズ・カルテットは、リーダーのジョン・ルイスの精緻でクラシック寄りの趣向と、ヴィブラフォン担当のミルト・ジャクソンのブルージーさとの絶妙なバランス具合の上に成り立っていた。実際、MJQとしてではなくミルト・ジャクソンがリーダーを務めた際の演奏と、MJQの枠内での演奏では、明らかに本人がその違いをつけている(参考過去記事(1) ・(2) )。 そもそもヴィブラフォンという楽器の音は涼しげで、納涼にもぴったりということが多い。本盤ではバッハに敬意を表するジョン・ルイスのアイデアと、ブルースを得意とするミルト・ジャクソンの個性をうまく生かし、奇数曲と偶数曲の間で工夫された構成に仕上がっている。奇数曲(1., 3., 5., 7., 9.)はバッハのアレンジで、ジャズ盤としてはおとなしい(おとなしすぎる?)出来上がり。これらの曲ではジョン・ルイスのハープシコードが納涼感をいっそう増す心地よさがいい。これに対して偶数曲(2., 4., 6., 8.)はオリジナルのブルース曲で、ミルト・ジャクソンがより前面に出ている。とくに6.「Cマイナーのブルース」の繊細さ、8.「H(B)のブルース」のブルージーさはミルト・ジャクソンの本領が発揮されているが、これらがバッハ曲の解釈にはさまれているという巧妙な構成が本盤のミソなのだろう。 べったりブルージーになることもなく、だからといってクラシック(バッハ)に偏りすぎることもなく、という絶妙のバランス。純粋ジャズ主義な人には拒否反応を起こさせかねない盤であるというのも確かかもしれないが、地味な隠れた名盤の一つと言っていいように思う。[収録曲]1. Regret?2. Blues In B Flat3. Rise Up In The Morning4. Blues In A Minor5. Precious Joy6. Blues In C Minor7. Don't Stop This Train8. Blues In H (B)9. Tears From The Children[パーソネル・録音]Milt Jackson (vib)John Lewis (p, harpsichord)Percy Heath (b)Connie Kay (ds. per)1973年11月26・27日録音。 【送料無料】JAZZ BEST COLLECTION 1000::ブルース・オン・バッハ [ ザ・モダン・ジャズ・カルテット ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2013年07月14日
コメント(2)
ボスの提供による名曲集(その3)~ポインター・シスターズ ポインター・シスターズ(The Pointer Sisters)は黒人4姉妹によって結成された米国のコーラス・グループで、3女がソロ転向で抜けてからは3人組で活動していました。80年代のヒットや、USA・フォー・アフリカの「ウィー・アー・ザ・ワールド」のコーラスが記憶にあるという方も多いかもしれません。 さて、ちょうどその4人組から3人組になった頃の1978年、ボスの提供による「ファイアー(Fire)」は、3人組としての再出発の曲としてリリースされたものでした。しかもこの曲は、彼女たちにとっては初の全米2位というヒットになりました。 ひとまずは、彼女たちのビデオ映像をどうぞ(余談ながら、サビの“ファ~イア~”でのキメの動きは、何とも時代を感じさせる雰囲気がしますね)。 ちなみに、元のスプリングスティーン自身による演奏は長らくお蔵入りにされていました。わりと最近(といってももう数年経つでしょうか)、B・スプリングスティーンの1978年作『闇に吠える街』のアウトテイク集が、『ザ・プロミス』というタイトルの2枚組で蔵出しされました。それ以前、正式リリースはライヴのものしかなかったのですが、上記『ザ・プロミス』のリリースのおかげで、今ではオリジナルも聴けるようになっています。 その元のヴァージョンとは別に、筆者がお気に入りなのは、80年代半ばにニルス・ロフグレン(ギター&コーラス)と今は亡きダニー・フェデリシ(アコーデオン)の3人で演奏されたこの曲のビデオ・テイクです。こちらのライヴ・ヴァージョンの方は、80年代末にビデオ(およびLD)に収録された後、現在では拡大されてDVD版(『ザ・ビデオ1978-2000(Complete Video Anthology 1978-2000)』)としてもリリースされています。 偶然とはいえ、前回のザ・ナック(ダグ・ファイガー)、今回のポインター・シスターズ(ジューン・ポインター)ともに、リード・ヴォーカリストが亡くなってしまっています。ダグは2010年(享年57歳)、ジューンは2006年(享年52歳)でした。ザ・ナックはリーダー死去で活動が止まってしまいましたが、ポインター・シスターズの方は若いメンバー(何とルース・ポインターの孫であるサダコ・ジョンソン)を入れて活動を続けている模様です。[収録アルバム]The Pointer Sisters / Energy (1978年) ←ポインター・シスターズのヴァージョンBruce Springsteen / The Complete Video Anthology / 1978-2000 (2001年)←上のビデオのスプリングスティーンのライヴ・テイク収録。Bruce Springsteen / The Promise (2010年)←元のスプリングスティーンによるアウトテイク収録。[記事リンク]ボスの提供による名曲集(その1、パティ・スミス編) ボスの提供による名曲集(その2、ザ・ナック編) ボスの提供による名曲集(その4、ジョー・グルスキー編) ボスの提供による名曲集(その5、サウスサイド・ジョニー編) ↓表題曲も含むベスト盤です↓ 【送料無料】ベスト・オブ・ポインター・シスターズ/ポインター・シスターズ[CD]【返品種別A】↓スプリングスティーンのビデオテイク収録(DVD)↓ Bruce Springsteen ブルーススプリングスティーン / Complete Video Anthology 1978-2000 【DVD】↓スプリングスティーンのアウトテイク収録盤↓ 【送料無料】ザ・プロミス~ザ・ロスト・セッションズ/ブルース・スプリングスティーン[CD]【返品種別A】 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓
2013年07月13日
コメント(0)
ボスの提供による名曲集(その2)~ザ・ナック 新シリーズ第2回目は、“華麗なる一発屋”ザ・ナック(The Knack)。そんな彼らによるスプリングスティーン・ナンバーを行ってみたいと思います。 ザ・ナックは、1979年、「マイ・シャローナ」のスマッシュ・ヒットで(このヒットのみで?)知られるロサンゼルス出身のバンドです。彼らは「マイ・シャローナ」を含む1st作(『ゲット・ザ・ナック』)のために、ブルース・スプリングスティーンの曲を吹き込んでいました。スプリングスティーンがアルバム『闇に吠える街』(1978年)を制作の際にアウトテイクとなった「ドント・ルック・バック(Don’t Look Back)」という曲です。 ところが、なんとザ・ナックの吹き込んだものもアウトテイクとなってしまったというオチがついています。結局はコンピ盤などに収録の後、彼らのアルバムとしては2002年のリマスター時にようやく『ゲット・ザ・ナック』のボーナストラックとして収録されました。とはいえ、当時正式リリースされてもよかったのでは、と思うほど、軽快によくできた演奏という気がします。 でもって、スプリングスティーンの方はというと、ライヴでもこの演奏をやってはいましたが、結局、こちらもだいぶ経ってからアウトテイク集(1998年の『トラックス』)、ライヴ盤(2001年の『ライヴ・イン・NYC』、DVD盤もあり)でようやく正式リリースとなりました。近年もライヴでのレパートリーとして演奏し続けているようです。原作者ヴァージョンということで2000年のライヴの様子(上記ライヴ盤所収)をどうぞ。 [収録アルバム]The Knack / Get The Knack (1979年) ←2002年の再発CD盤にボーナストラックとして本曲を収録。Various Artists / One Step Up/Two Steps Back: The Songs of Bruce Springsteen (1997年) ←The Knackのヴァージョンを収録したカバー集。Bruce Springsteen / Tracks (1998年) ←スプリングスティーンによる77年のアウトテイク。Bruce Springsteen / Live in New York City (2001年) ←スプリングスティーンのライヴ・テイク収録。[記事リンク]ボスの提供による名曲集(その1、パティ・スミス編) ボスの提供による名曲集(その3、ザ・ポインター・シスターズ編) ボスの提供による名曲集(その4、ジョー・グルスキー編) ボスの提供による名曲集(その5、サウスサイド・ジョニー編) ↓残念ながら現行の盤にはボーナストラックは入っていません(あくまでジャケットイメージの参考です)↓ 【送料無料】ゲット・ザ・ナック [ ザ・ナック ]↓中古盤ならボートラ入りも見つかるようです↓ 【中古】 Knack ナック / Get The Knack 【CD】↓こちらはボスのライヴ・ヴァージョン収録↓ 【送料無料選択可!】ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ [2CD/輸入盤] / ブルース・スプリングスティーン 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓
2013年07月12日
コメント(0)
リラックスして楽しむ、ブルージーな演奏 ジミー・スミス(Jimmy Smith, 1925年生まれ、2005年没)はジャズ・オルガン奏者として、ブルーノートやヴァ―ヴに多くの吹き込みを残した。売れっ子奏者だっただけに、作品の数も多く、どれも変わらないんじゃないかという懐疑的な声もあるかもしれない(実際にはアーシーな感じなのとコッテリな感じなのとにその作品は大別される)。けれども、深みにはまればはまるほどさらに作品を聴きたくなるという点において、案外、“金太郎飴”などと揶揄されるピアノ奏者のレッド・ガーランド(参考過去記事(1)・(2))に似た中毒性があるのではないかと個人的には思っていたりする。 さて、本盤『ホーム・クッキン(Home Cookin’)』は、1958年7月から翌59年の6月にかけて、実に1年近い歳月をかけて3回にわたってレコーディングされた内容が収められたブルーノート盤である。基本は、同じブルーノートの人気ギタリストであったケニー・バレル、さらにはドラムのドナルド・ベイリーを従えたトリオ編成。さらに曲によってはパーシー・フランスなるテナー・サックス奏者が加わっていて、テナー入りのリーダー作はスミスにとってこれが初めての試みだった(その後、この試みはスタンリー・タレンタインと組んだ『ミッドナイト・スペシャル』や『バック・アット・ザ・チキン・シャック』の成功にもつながることになる)。ちなみに、このパーシー・フランスというサックス奏者はあまり活躍しなかったらしく詳しいことはよく分からないが、本盤を聴く限り、音色は無難ながらも、哀愁あるいいフレーズを吹いている。 思うに、本盤の最大の特徴は、“気負いなきブルース”。実際にはブルース形式ではない曲もあるものの、とにかくブルース(あるいはブルージーな曲)を、落ち着いてリラックスした雰囲気でやっている。録音日は、シングル盤制作を念頭に置いていたためか、1年近い期間に分散している。しかし、結果的に“家庭料理”なるタイトルのアルバムとして、見事にまとまった内容に仕上がっていて、ブルース(もしくはブルージーな曲)を、力むことなく見事に“料理”している。ちなみに、ジャケットは、ニューヨークはハーレムのアポロ・シアター近くにある店の写真。実際にミュージシャンたちが演奏の合間や終了後に行っていた店で、“ケイトのホーム・クッキング”の文字とともにジミー・スミスが写真に写り込んでいる。 全体としてのまとまりで聴く盤とは思うものの、個人的にお気に入りの演奏をいくつか挙げておこう。テンポを落としてまったりとした1.「シー・シー・ライダー」は、このアルバム全体のトーンをよく表現している。全体のブルージーな雰囲気の盛り立て役として欠かせないのはギターのケニー・バレルだが、そのバレルとスミスの掛け合いが前面に出ているのが3.「アイ・ガッタ・ウーマン」。さらに、4曲(ボーナストラックを入れると5曲)で参加のパーシー・フランスの活躍が特に目立つのは、5.「グレイシー」で、この哀愁いっぱいのフレージングもなかなかいい(この人の演奏を聴いていると、この後でジミー・スミスがスタンリー・タレンタインと録音を行った理由というか動機がなんとなくわかる気がする)。 まあ、こってりした“いかにもオルガン・ジャズ”風なものを期待するとがっかりする人もいるかもしれないが、上に掲げた通り、“リラックスかつブルージー”というのが身上のアルバム。これにはまり始めると、ジミー・スミスから抜けられなくなるアルバムという形容が意外に本盤にはあうかもしれない。 [収録曲]1. See See Rider2. Sugar Hill3. I Got a Woman4. Messin' Around5. Gracie6. Come on Baby7. Motorin' Along~以下、CDでの追加トラック~8. Since I Fell for You9. Apostrophe10. Groanin11. Motorin' Along -alternate take-12. Since I Fell for You -alternate take-[パーソネル、録音]Jimmy Smith (org)Percy France (ts, 1., 4., 5., 6., 9.のみ)Kenny Burrell (g)Donald Bailey (ds)1958年7月15日(7., 8., 11., 12.)1959年5月24日(3., 10.)1959年6月16日(1., 2., 4., 5., 6., 9.) ホーム・クッキン+5/ジミー・スミス[CD]【返品種別A】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年07月10日
コメント(0)
暑い日に涼しい1枚を スタン・ゲッツ(Stan Getz)は白人テナーを代表するジャズ奏者(1991年没)。クール・ジャズの旗手として活躍する一方、欧州生活を経た後の1962年にブラジル音楽を取り入れたアルバム『ジャズ・サンバ』(チャーリー・バードとの録音)で成功を収める。この成功がなければ、翌63年の本盤『ゲッツ/ジルベルト(Getz/Gilberto)』も生まれなかったかもしれない。 ブラジル側からは、ジョアン・ジルベルト(ヴォーカル、ギター)、アストラッド・ジルベルト(ヴォーカル、当時はジョアンの妻だったが後に離婚)、アントニオ・カルロス・ジョビン(ピアノ)が参加。特にアストラッドは、本盤でのヴォーカルが歌手として初めての吹き込みだった。 ボサ・ノヴァは1950年代末にブラジルで誕生した、いわば“ローカルな”音楽ジャンルだった。それが60年代に入ってアメリカでブレークし、より洗練されたものへと姿を変えていく。実際、本盤のレコーディング中にも、ボサ・ノヴァの解釈が違うとジョアンが怒り出す場面があったらしいし、本盤でスタン・ゲッツが演じているのは、本来のボサ・ノヴァではないとの批判もある。けれども、このアルバムの成功が米国内で、さらにはブラジル以外の諸外国(日本も含め)で、ボサ・ノヴァを広げていく大きなきっかけとなったのは疑いようもない事実として残っている。本盤の冒頭に収録されている1.「イパネマの娘」は、ビートルズ曲を除けば世間でいちばんカバーが多い曲とすら言われるし、アルバム自体も全米で2位というチャート上昇を記録、さらにはアルバムがグラミー賞(最優秀アルバム賞、最優秀エンジニア賞)も受賞した上、4.「デサフィナード」が最優秀インストゥルメンタル・ジャズ・パフォーマンス賞を受賞、上述の1.「イパネマの娘」が最優秀レコード賞を受賞している。 本盤の成功の要因は“もろボサ・ノヴァ”(ボサ・ノヴァそのもの)ではなく“適度にボサ・ノヴァ”だった点にあるのかもしれない。ゲッツのサックスが“本物のボサ・ノヴァ”でない部分が仮にあったとすればその点も、さらには、アストラッドの歌が積極的に英語詞で歌われているのも、広く聴かれたという一点に関しては大成功だったのではないかと思う。“本盤=ボサ・ノヴァそのもの”という安直な解釈への批判はよくわかるし、その通りだと思う部分もあるが、“ボサ・ノヴァらしさ”という意味では、この盤は“らしさ”を存分に発揮している。 そのようなわけで、表題の“暑い夏”だけれども、ここのところの耐え難い暑さのような日には、白ワイン片手に本盤を聴きながら、気分だけでも涼しげに過ごすというのもなかなかいいのではないだろうか。そんな涼しさをいっそう盛り立ててくれる推奨曲は、1.「イパネマの娘」を筆頭に、筆者のお薦めとしては、4.「デサフィナード」、5.「コルコヴァード」、6.「ソ・ダンソ・サンバ」。さらに、ゲッツのテナーは時としてブラジル・サイドと噛み合っていないように聞こえる場面もあるのも確かだが、締めくくり曲の8.「ヴィヴォ・ソニャンド」のような溶け込み具合は、本盤の重要な楽しみどころのように思う。[収録曲]1. The Girl from Ipanema2. Doralice3. Para Machucar Meu Coração4. Desafinado5. Corcovado6. Só Danço Samba7. O Grande Amor8. Vivo Sonhando[パーソネル、録音]Stan Getz (ts)Joan Gilberto (g, vo)Antonio Carlos Jobim (p)Tommy Williams (b)Milton Banana (perc)Astrud Gilberto (vo)1963年3月18日・19日録音。 【送料無料】ゲッツ/ジルベルト [ スタン・ゲッツ&ジョアン・ジルベルト ] 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2013年07月08日
コメント(0)
トミー・フラナガンの実質的初リーダー作 2色刷りの猫の写真の、シンプルながらもなかなかよくできた秀逸デザインのジャケット。“猫(cats)”とはジャズメンを形容するのに使われる表現であることから採られたモチーフであり、アルバムのタイトルである。内容はというと、プレスティッジに多くあるジャム・セッション系の演奏(なお本盤はニュー・ジャズとうプレスティッジの傍系レーベルによる制作)。ジャケット右側に記されているように、主要メンバーは、トミー・フラナガン(ピアノ)、ジョン・コルトレーン(テナーサックス)、ケニー・バレル(ギター)、アイドレス・シュリーマン(トランペット)である。 収録された5曲は、ガーシュウィン曲である2.「ハウ・ロング・ハズ・ジズ・ビーン・ゴーイング・オン」(この曲だけは、コルトレーン、シュリーマン、バレルが抜けて、ピアノ・トリオ形式で演奏されている)を除き、いずれもトミー・フラナガンの曲。さらには、メンバー表記の筆頭にピアノ奏者の彼が来ていることからも、セッション盤でありながらも、実質的にはトミー・フラナガン中心の盤に仕上がっており、その意味では彼の初リーダー作というふうに言われるのもよくわかる。 とはいえ、後々の味わい深いフラナガンのイメージに期待を寄せすぎてもいけない。あと、よくある評としては、コルトレーンに期待しすぎてもいけない。やはり基本はジャム・セッション的なので、全体のバランスで聴く盤だと感じる。なんだが言い方は悪いが、フラナガンだけに期待したり、コルトレーンだけに期待すると“はずれ盤”だと感じられるかもしれない。けれども、各楽器がバランスよくソロをとりながら、マイナー曲中心に“いかにもハードバップしてみました”というノリで聴くにはかなりの好盤というのが正直なところ。 個人的に好みなのは、1.「マイナー・ミスハップ」と3.「エクリプソ」(こちらの曲は、『オーヴァーシーズ』でのピアノトリオでの演奏も有名)という、フラナガンの代表作的なナンバー。まさしく絵にかいたようなハードバップのお手本と言ってもいいような演奏。特に好調なのは、アイドレス・シュリーマンのトランペット。加えて、ケニー・バレルのギターも随所でいい味を出しており、ベースのダグ・ワトキンスは本盤の陰の立役者。とはいえ、個人技というよりは、やはりトータルな出来の面で勝る盤。ジャズの世界には、一つあるいはいくつかの特定の楽器(個別の演奏者)で楽しめる盤もあれば、逆に、全体のバランスで聴く盤もあるということが再確認できる。本盤は典型的に後者に傾いた盤と思うのだが、いかがだろうか。[収録曲]1. Minor Mishap2. How Long Has This Been Going On?3. Eclypso4. Solacium5. Tommy's Tune[パーソネル・録音]Tommy Flanagan (p)John Coltrane (ts)Idress Sulieman (tp)Kenny Burrell (g)Doug Watkins (b)Louis Hayes (ds)1957年4月18日録音。 Tommy Flanagan / John Coltrane / Kenny Burrell / Cats 輸入盤 【CD】下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年07月07日
コメント(2)
INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事を追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ右欄(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-J)へ → つづき(K-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A-E)へ → つづき(F-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系(ロック・ポップス)編へ アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでもありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓
2013年07月06日
コメント(0)
ボスの提供による名曲集(その1)~パティ・スミス さて、新しい連載シリーズ(全5回程度を予定)として、アメリカン・ロック界のボスことブルース・スプリングスティーンの提供による名曲集をお届けしたいと思います。少々前に、別シリーズでデイヴ・エドモンズの「果てなき夢」を取り上げたのですが、その時、“これはカバーなのか提供曲なのか?”と迷いつつ、その時はカバー曲ということで掲載しました。今回は、これに近い感じのものも含まれることになると思いますが、基本線としては、スプリングスティーンによって有名になった曲をカバーというよりは、その方自身の作品的に見なし得るものを主に取り上げるということで、お付き合いいただければ幸いです。 第1回は共作の名曲です。実はすでに一度過去記事で取り上げているので、詳しい説明の重複は不要なのかもしれません。、70年代後半に活躍し、“パンクの女王”と呼ばれたパティ・スミス(Patti Smith)による「ビコーズ・ザ・ナイト(Because The Night)」です。ひとまずは1978年当時のライヴ映像からどうぞ。 パティ・スミス・グループ名義のアルバム『イースター』に収録のシングル曲で、パティ・スミスのシングルとしては過去最高位の全米13位のヒット曲となりました。以前書いたことの繰り返しにはなりますが、スプリングスティーンが書いた作品としても、初めてシングルチャート上位まで上昇した曲(全米13位)となりました。このどこか中性的な雰囲気のするパティ・スミスの歌唱が個人的には好みです。さて、この曲はブルース・スプリングスティーンとの共作ということですが、スプリングスティーン自身もライヴ等でレパートリーにして披露していて、1986年にはライヴ・ヴァージョンが正式リリース(こちらのアルバムに収録)されています。ここでは、比較的最近の、2人が競演している動画ということで、以下のものをご覧ください。 U2(ボノ)を中心に左右にパティ・スミスとブルース・スプリングスティーン。少々ドラマチックに過ぎるステージと言われてしまいそうな雰囲気ではありますが、個人的にはなかなか感動的に思えます。ありきたりながら、30年以上経ても名曲は名曲、時間が経ってもやはりパティはパティの魅惑ぶりを披露し続けているといったところでしょうか。[収録アルバム]Patti Smith / Easter(1978年)[記事リンク]ボスの提供による名曲集(その2、ザ・ナック編) ボスの提供による名曲集(その4、ジョー・グルスキー編) ボスの提供による名曲集(その5、サウスサイド・ジョニー編) 【送料無料】イースター/パティ・スミス・グループ[CD]【返品種別A】 下記ランキングに参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓
2013年07月04日
コメント(0)
気まぐれ80s,セカンド・シーズン(その10)~マドンナ自身もお気に入りの名曲 先日、マドンナ(Madonna)の『ライク・ア・プレイヤー』というアルバムを取り上げましたが、80年代シリーズのセカンド・シーズンの締めくくりとなる今回は、その収録曲の中から、歌っている本人がいちばんのお気に入りと語っていた曲を取り上げたいと思います。全米2位のシングル・ヒットとなった「チェリッシュ(Cherish)」です。 つづいて当時のライヴの様子からもご覧いただきたいと思います。1990年(?)の横浜でのライヴ映像です。当時のツアーでは、これら3人の人魚姫ならぬ人魚男(というのだろうか…)との共演が定番となっていたようです。 さて、“セカンド・シーズン”と称して、80年代の曲を取り上げる特集の第2弾を10回にわたってやってみましたが、どうやら今回もまた、やり残した曲が次々と浮かんでくるあり様です。いずれまた近いうちに、第3弾もお届けできればなどと考えていますが、ひとまず今回のシリーズはこれで一区切りにしたいと思います。[収録アルバム]Madonna / Like A Prayer(1989年)下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2013年07月02日
コメント(4)
全20件 (20件中 1-20件目)
1