アラ還の独り言

アラ還の独り言

2017年10月30日
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カテゴリ: 文献発表
マウスによる実験ですが、Natureに「Inflammatory memory sensitizes skin epithelial stem cells to tissue damage」という文献が掲載されました。



皮膚のバリアは上皮幹細胞によって維持されていています。その役割は組織修復にあります。この組織修復に関しては最初の刺激に関する情報を記憶しており、次に刺激が来たときには修復に関する遺伝子の転写速度を上げることが分かりました。

この機能に関しては皮膚常在性のマクロファージやT細胞とは無関係なものです。

実際に役割を果たすのは最初の刺激で活性化されるストレス応答遺伝子でこの遺伝子は染色体をいじします。これがメモリーの働きを示して、次の刺激に対する遺伝子が急速に転写されることになります。このメモリーに対するエネルギーを供給しているのはAim2です。

Aim2より下流のエフェクターはカスパーゼー1やインターロイキン1βを作ることを減弱することにより消費幹細胞が炎症を起こさないようにしているとのことです。

これはストレスに対する応答性を高めて、炎症の発生を調節できますが、一方この感受性の増強はがんを含む自己免疫および過剰増殖性障害に対する感受性も高めてしまいます。

つまり、皮膚が刺激を受け続けると修復機能はその刺激を記憶して、修復速度を高めることができると言うことです。日光を浴びすぎると皮膚癌のリスクが上がることや、感染を繰り返すと発病することになる菊池病などの疾患の発現機序に関して一つのヒントを与える可能性があります。

上皮幹細胞の感受性を測定することによって、過剰になっている場合には、皮膚癌や菊池病の予防処置を取ることができる可能性があるという風に私は勘がます。





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最終更新日  2017年10月30日 09時59分23秒
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