全184件 (184件中 151-184件目)
『無限ループ』(講談社文庫)大村あつし・著 ―――第32回・読書前感想文『エブリリトルシング』がベストセラーになった、大村あつしさんのミステリー小説です。最近文庫化されたのですが、売れ行き好調のようです。(こちらは『エブリリトルシング』)『無限ループ』ですが、現状に不満を持っていた会社員がある装置を手に入れたところから始まります。その装置とは、他人からお金を自動的に奪い取ることができるというもの。「自らの怒り」が相手からお金を奪い取る源泉になるので、嫌な上司や同僚、部下への怒りでお金を奪い取っていくのだが……という物語。『デスノート』的な話なのですが、お金の話なので妙に生々しいです。文体や描写の仕方が、普通とはちょっと違った感じなので、その辺は読む人によっていろいろあるかも。ビジュアル的にはとても面白い感じになると思うので、ドラマに向いているんじゃないかと。
2009.07.23
『疑う力、信じる力』(中経出版)斎藤広達・著 ―――第31回・読書前感想文「ベストセラーBOOK TV」メインパーソナリティーの斎藤広達さんの最新刊です。(帯がない表紙写真です)本書で語られているPAC思考とは、ロジカル思考の基本となっているもので、米国MBAホルダーなら必ず身につけているそうです。P(Premise 前提/事実)、A(Assumption 仮定)、C(Conclusion 結論)で、PAC。特に、「仮定」に対する考え方(本書でいう「アタック」)が充実しているので、思考系の本が好きな人にはとても面白いと思いますよ。本として、構成もよく工夫されています。たとえば、章立ては1章 Googleと人間が交叉する場所で2章 「PAC脳」に進化せよ3章 「PAC脳」を鍛える習慣なのですが、(明示されていませんが)1章=前提、2章=仮定、3章=結論とPACに対応しています。あと、3章以降はとても文芸チックな箇所が多いのですが、それは読んでのお楽しみ、ということで (^。^)さて、本書は著者ご本人から直接手渡しで頂いたのですが、タイトルと帯の写真にちょっとご不満を持たれているようでした。……その理由は、なんとなくわかります。本書の「終章」では喜怒哀楽が大事だということが書かれているのですが、このタイトルや帯写真では喜怒哀楽が消されていますからね。あえて感情を消したタイトル・帯写真にしたのだと思いますが、タイトルを『PAC脳に進化せよ』にして、表紙写真を「怒っている表情」にしたほうが「表本一致(表紙と本体のコンセプトが同じ)」になるような気がしたり、しなかったり。
2009.07.11
『「お通し」はなぜ必ず出るのか ビジネスは飲食店に学べ』(新潮新書)子安大輔・著 ―――第30回・読書前感想文タイトルから受ける印象だとわかりづらいですが、きちんと飲食ビジネスを本質を突いた本です。著者は、飲食店のプロデュースをしている方。「立ち飲みが流行り、ジンギスカンが廃れた理由」「女性に人気のヘルシー店は潰れる」「粉モノは本当に儲かるのか?」など、身近な話から本質を突いてくれるので、知的好奇心をけっこうくすぐられます。店の看板メニューによって「商圏」が異なってくる話や、「店前通行量」から「エリア内人口」へと時代が転換する話などさんざん飲食店に行きながら気付かなかったことが多かったです。いや~、原価率だけ見ると粉モノ(お好み焼き等)は有利だと昔から言われてきたのですが、本当は儲からないんですねぇ。
2009.05.22
昨日も話題にしてた世界的ベストセラー小説『天使と悪魔』。 章立てが特徴的なんですよねぇ。とにかく各章が長かったり、短かったり。あるときは10数ページ、またあるときは1ページ。普通、各章はだいたい均一にしたくなりますからね。その割り切り具合が、物書きとしてとても勉強になりました。(ちなみに、全137章。短い章が多いのが特徴的ですね。それにしても、多いなぁ)
2009.05.15
明日からトム・ハンクス主演で映画も始まる『天使と悪魔』。文庫版上・中・下巻を読了しました! ―――第29回・読書前感想文いやー、これはたしかに、『ダ・ヴィンチ・コード』より面白い気がします(ダヴィンチは映画しか見てないですけど‥‥)。無理やり例えて言うと、『ダイ・ハード』と『インディ・ジョーンズ』と『デスノート』を足して3で割ったような作品です。つまり、ハラハラ、ドキドキ、どんでん返し、またどんでん返し、という感じ。伏線の回収の仕方とか、上手いんですよねぇ。この辺は『ダ・ヴィンチ・コード』より好きです。『天使と悪魔』――実は、「宗教 対 科学」の戦争を描いているのですが、最初から、物理学の話が出てきて、次に宗教学、そして美術史。この辺が好きな人には、たまんないと思います。あと、私はローマに行ったことがないのですが、舞台はほぼローマ市内のみなので、ローマ通にもたまんない作品でしょうね。ローマ好き、西洋史好き、キリスト教好き、物理好きなら、間違いなく楽しめると思います(史実・事実と同じかどうかは別にして)。中身については書きませんが、本書のなかでは実在の組織・建物がたくさん出てくるので、それをウィキとかで調べながら読みました。映画ではできない、読書ならではの楽しみ方かもしれませんね (^。^)それにしても、「宗教」「科学」について、いろいろと考えさせられる本でもありました。
2009.05.14
昨日、タイトルの話をしたので、こちらの本の紹介も。『エア新書―発想力と企画力が身につく“爆笑脳トレ”』(学研新書) 石黒謙吾・著 ―――第28回・読書前感想文『盲導犬クイールの一生』『図解でユカイ』などの石黒先生の御本です。著名人を使って架空の新書企画をただただ考える、という本です。これを100冊分つくったのだから凄いです。中身については、本書をご覧ください。本当に、ここ数年の新書っぽいタイトルになっています。さて、こちらの本では『さおだけ屋~』が定着させた「新書らしいタイトル」という小見出しがあり、『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』のタイトルを褒めてくださっています。『食い逃げされてもバイトは雇うな』まで褒めてくださるケースは少ないので、とても嬉しかったです。
2009.05.10
『最後のパレード ディズニーランドで本当にあった心温まる話』 (中村克・著)サンクチュアリ出版 ―――第27回・読書前感想文この本を紹介するのは、今しかないでしょう。本当によく出来た本です。幻想的な装丁。カバーを取るとオシャレな表紙。上手な4色イラストの入れ方。上品な余白の使い方。本の編集としては、完璧に近い完成度だと思います。そして、もちろん内容も素晴らしいのですが……あーっ、もうガッカリですよ!!ベストセラー盗用疑惑、TDL逸話集「最後のパレード」(読売新聞)TDL話題本「最後のパレード」に盗作疑惑 別本と酷似(朝日新聞)「ネットで周知、盗用ではない」TDL本問題で出版社が反論(産経ニュース)たしかに2ちゃんねるに(かなり昔の日付で)ほぼ同様の内容が多数載ってますねぇ。文章の構成も同じで……_| ̄|○せめて文構成を変えていたら、「盗用」でなく「たまたま同じネタ」と思えたのに……。なお、読売新聞に掲載されたものは、地元・大分の遊園地の話だったそうで、この時点でサブタイトルの「ディズニーランドで本当にあった心温まる話」というのはウソになります。この大分の遊園地の話が、2ちゃんねる上ではディズニーランドのスレッドで紹介されたので、2ちゃんねるのを盗用したから間違えたのではないか、という話になっています。また、サンクチュアリ出版さんの反論に「ディズニーランドに関連するエピソードを各方面の資料や関連サイトなどから取材をしていた際に、数多くの書き込みがインターネット上にあり、すでに誰もが知っている話だという著者の判断があり、掲載させていただきました。」とあるのですが、数多くの書き込みがあったらネットと同じ文章でもOKなのでしょうか?「キャストだけが知っている涙の止まらない物語」として、本にしていいのでしょうか?(数多くの書き込み? キャストだけ? この時点で、矛盾発生)本の最後に小さな文字で「関連サイトの情報を参考にさせていただきました。」と書けばOKなのでしょうか?サンクチュアリ出版さんは、社員の方々が若く熱い人が多いので、好きだったんですけどねー。ちなみに、著者の中村克さんのブログでは、どエライことが書かれています。読売新聞、日本テレビを提訴します (中村克氏のHP「株式会社 外部の専門家」新着記事より)なんでも著者によると、ディズニーの人間のIQが200だとすれば、読売グループのIQは60くらいだそうです。‥‥‥(コメントのしようがない)。
2009.04.20
『利休にたずねよ』山本兼一著(PHP研究所) ――第26回・読書前感想文第140回直木賞受賞作品をようやく読みました。面白いですねぇ。千利休って、有名な人物とはいえ一見地味じゃないですか。ところが、天下無双の戦国武将よりも鮮烈。とにかく鮮烈で鋭利な男として描ききっているのです。そして、小説の構成もなかなかユニーク。時間を遡っていく「逆再生」をしつつ、章ごとに視点の人物を変えているので、まったく飽きない。その都度、新しい利休像が見えてくる仕掛けになっているのです。また、一種のミステリー的な仕掛けになっているのですが、それは読んでのお楽しみ。歴史小説も工夫すれば、いくらでも新しい手法が生まれてくるんですねぇ。あと、「茶道の美」を知ったつもりになれます。たぶん、茶道をやったことがある人ならもっと楽しめるのだと思います。
2009.04.07
『出版業界の危機と社会構造』(小田光雄・著)論創社 ――第25回・読書前感想文日本実業出版社の大西さんから勧められて買った本なのですが、勉強になりますし、話としてもユニークかつ面白い本です。「敗戦と出版敗戦の意味するもの」と帯のコピーにもありますが、2001年以降の出版業界の動向から裏側まで読み解こうとする本です。近年の出版業界ネタでいうと、ブックオフやアマゾンを取り上げることが多いのですが、この本では日販&TSUTAYAとゲオにページが割かれています。2007年に書かれたことですが、現在において日販&TSUTAYA、ゲオの活発な動きは証明されているので、著者の先見の明がうかがえます。数値の解釈の仕方については首肯しかねるところもあり、最後のほうはなんだか明石家さんまさんの「ほんまでっかニュース」みたいになっている気もしますが、それを差し引いても面白いです (^_^)y
2009.03.23
『45分でわかる! 14歳からの世界金融危機』(池上彰・著)――第24回・読書前感想文ふとしたキッカケで読んだのですが、本当に45分で面白く読めました。特にイラストもなく太字もなく「まとめ」もなく、シンプルな文章だけ。それでもちゃんとわかりやすく読ませるこの技術、池上さんは本当にすごいです。「これは知らなかった!」という情報をところどころに入れてくるあたりがニクイ演出です。(私は、1929年の大恐慌の直前に「投資信託」が開発されたことを知りませんでした……。)いま売れているらしいですよ。
2009.03.14
『知っているようで知らない 「法則」のトリセツ』(水野俊哉・著)――第23回・読書前感想文うーー羨ましい。その発想力。企画が立ってますねぇ。「ハロー効果」や「メラビアンの法則」「ハインリッヒの法則」など、ビジネス書では頻出の法則を 並べて、まとめて、解説した本です。数ある法則を日常的に使いたい方にはうってつけでしょう。類書があるのかどうか知りませんが、いい企画にいい著者が組み合わさった気がします。いまのビジネス書業界って、面白い直接体験を書く著者はたくさんいらっしゃっても、間接体験を面白く書ける著者って少ないですからね。著者は「成功本50冊「勝ち抜け」案内」の方です。納得。
2009.02.28
『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』(齊藤正明・著) ――第22回・読書前感想文キターーーッ!!読みやすい、面白い、役に立つの三拍子が揃った自己啓発本に出会えました。内容はタイトルどおり。病弱な会社員が上司の命令を断れないまま、マグロ漁船に乗せられてしまいます。荒れ狂う海、豪快な漁師、そして吐き続ける著者 _| ̄|○、;'.・ オェェェェェそんな劣悪な環境のなかで、著者の人生まで救ったのが「漁師の言葉」だったのです。本当にいい言葉がたくさんあるのですが、たとえばこんな感じ。―――――船長…「ええか、齊藤。おいどーらがマグロを捕りに行くとき、一番大事なことを知っちょるか?」私……「いえ、知りません」船長…「それは『決める』ことど。 おいどーらも、どこにマグロがいるかなんてわからん。 情報を集めて、『ここで漁をしよう』と、えいやで決めちょる。 当たり前じゃが、そこにマグロがいるなんて保証はねーんど」(略)船長…「マグロが捕れるかどうかは、じっくり考えても、すぐに決めても、結局、確率は50%ど。 そうであれば、早めに舵を取ったほうがええ。 ダメだったら次の漁場に移動すりゃええことじゃねーか。 決めた回数を多くすれば、漁ができる回数も増やせるからの」(22ページより)―――――「決断力がなぜ大事なのか?」というエピソードです。言われるとズシンと来る言葉が、魅力溢れる漁師の口から語られます。そして、ところどころ笑える話もあります。そこら辺の自己啓発本よりも絶対役に立つ「漁師の言葉」が満載です。「盛り上がる会議のやり方」(本書のブログ)
2009.02.20
久々の「読書前感想文」です。今回ご紹介するのは、若手脚本家・小林雄次さん(なんと29歳!)のエッセイ集、というか半自伝的な一冊。『脚本家という生き方』(小林雄次・著) ――第21回・読書前感想文「脚本家という生き方」と共に歩む生き方(本書のブログ)私がいまだに“隙あらばなりたい職業”が3つあるのですが、1.月刊ニュータイプの編集部員(アニメファンだから)、2.株式会社コーエーの社員(歴史ファンだから)そして、3.脚本家です (^^;)だから、脚本家の人が羨ましくてなりません。そんな脚本家のなり方、続け方が書かれた本です。小林さんは『サザエさん』の脚本でデビューし(?)、『ウルトラマンマックス』や『中学生日記』などの脚本を書き、NHKドラマ『監査法人』では一緒にお仕事をさせていただきました。知り合いだから言うわけじゃないんですけど、脚本家に興味がある人にとっては、本当に面白い本です。まず、小林さんの文体は簡素で読みやすいし、構成も上手いので、お若いのに“よみやすい本”の手本のような出来です。そして、人と人とのつながりを主軸にして描いているため、実相寺昭雄監督や雨宮慶太監督などカリスマが次々と出てくるので、飽きずに読むことができます(この手の本は「飽きないかどうか」が重要だったりするのです)。久々に夢中になって読んでいる一冊です。
2009.02.19
『ステージガールズ』(原作・上野毛あさみ 作画・黒岩よしひろ) ――第20回・読書前感想文「漫画界の複雑な事情のおかげで入手困難だったコミックス第1巻、収録エピソードを1話増やした新編集バージョンで、再登場です!」だそうです。以前にご紹介した『人間噂八百』(足立淳著)と同じく、廃刊になった「コミックガンボ」の作品です。さて、『ステージガールズ』は、女の子のお笑いの話。お笑いなんだけど、青春群像劇です。絵は軽いんですが、内容は意外に深いです。リアルなお笑い界を舞台にしているので、お笑い好きは楽しめるんじゃないでしょうか(現実との相違をつっこんだりしながらね)。
2008.11.17
『仕事はストーリーで動かそう』(川上徹也 著) ――第19回・読書前感想文勉強会仲間、コピーライターの川上徹也さんの本で、前から面白そうだなぁと思っていたのですが、次の連動ブログ企画が実に面白そうです。↓↓↓―――ブログ「仕事はストーリーで動かそう」が、30万部のベストセラーになっていくストーリー 2008年11月13日発売 「仕事はストーリーで動かそう」の、 著者本人による地道なプロモーションの様子を余す所なく、 かなりぶっちゃけて、お伝えします。 また週に1回、担当編集者による編集・営業ストーリーも加わることになりました。―――いやー、面白そうですねぇ。「30万部」と銘打つあたりが特に!いまご覧のブログ『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』100万部?日記も「100万部」になればいいな、と思い名付けたものですし。カワテツさん、小早川さん、ぶっちゃけぶりを期待しております!……ちなみに、まだ手元になく少しも読んでいませんが、このブログはあくまでも「読書前感想文」ですので、あしからず。
2008.11.08
『読書進化論』(勝間和代 著)『勝間和代の日本を変えよう』(勝間和代 著) ――第18回・読書前感想文 今回取り上げるのは、これから発売される勝間和代さんの2冊。発売前に献本していただきました。どうもありがとうございます。まず、『読書進化論』ですが、こちらは新規参入の新書「小学館101新書」からの発売です。フォトリーディングとかできなくても、1時間弱で読みきれます。サブタイトルは「人はウェブで変わるのか。本はウェブの負けたのか」ですが、ウェブ論が厚いわけではなく、かといって読書術が厚いわけでもなく、勝間さんの著者としての姿勢や本の売り方のほうがとても印象に残ります。そういう意味では、「読書」一辺倒の中身ではないので、とても読みやすいのだと思います。過去の勝間本の動きや読者の感想などがたくさん載っているので、勝間本読者にとっては、「勝間本ファンブック」的な楽しみ方ができるんじゃないかな?(「勝間式 書店ぶらぶら歩き」というドキュメントコーナーもありますし)さて、もう一冊の『勝間和代の日本を変えよう』はこれから読みます。毎日新聞とのコラボだそうです。この本は社会比較論というか国家論で、すっごく面白そうです!「ポスト資本主義」の話とかね。僕が読みたかった勝間さんの本は、本当はこういう本です。まさに、この本を待ってました。実はパラパラと読んでいるのですが、勝間本の最高傑作はこの本じゃないでしょうか。たぶんそうです。少なくとも僕には。
2008.09.24
『君を幸せにする会社』(天野敦之 著) ――第17回・読書前感想文よほどのことが重ならない限り推薦文を書かない私が、推薦文を書いている本です。毎月行われているPRPJという出版関係の勉強会で、かなり前から議題に上がっていたので、早い段階から原稿を読んでいました。その頃から「これは素晴らしい」と思っていました。内容はビジネス寓話です。――――<あらすじ> ある温泉街の老舗旅館「クマの湯ホテル&リゾート」。 2代目のクマ太郎は、旧態依然とした経営を立て直そうと、ビジネススクールで 学んだ手法を導入。 ところが業績は一向に改善せず、断行したリストラも状況を悪化させるばかり。 そんなドン底状態で、ある事件が……。――――会社や利益に対する考え方って、ここ数年よく議論されてきたことなのですが、この本にある結論が「ほぼ最終結論」なんだと思います。ビジネスの最前線で働く人間が真剣に考えれば、誰しもここの結論にたどり着くのだと思います。著者の天野さんは公認会計士で、某大手証券会社の投資銀行部門でバリバリの第一線だった方です。(年齢は、私の1コ上)文章もストーリーも丁寧で上手です。ぜひご一読いただきたい本です。
2008.09.12
「いつも目標達成している人の読書術」(丸山純孝 著) ――第16回・読書前感想文 私が第1回から購読している書評メールマガジン「エンジニアがビジネス書を斬る!」発行人のデビュー作です。だいたいデビュー作というのはその著者のノウハウが惜しげもなく全力で載っているものなので、基本的にお得な場合が多いです(ま、例外も多々ありますが)。さて、読書術ですが、私と同じところがいくつもあったので読書性格は似ているのかもしれません。たとえば、・まずはタイトル・「前書き」と「後書き」をまずはチェックする・全部を読もうとしない・速読ができなくても多読はできるとかね。「その著者の主張することがたとえ正しいことであっても、実は人間性の部分で合わないという理由で受け入れることができない場合も結構あります」という一文は好きです。だからこそ、人間性の出る「前書き」や「後書き」は本を買う前に読むべきだったりするのです。
2008.09.08
『容疑者ケインズ』(小島寛之 著) ――第15回・読書前感想文素晴らしく上手いタイトルです。もし、「ビジネス書タイトル大賞」というものがあったら、今年のナンバー1かもしれません。「えっ、なんだろう?」と思わず手に取っちゃいますしね。残念なのは、本の中に“ケインズが容疑者だ”という話があまりないこと (^^;)ただ、ケインズ経済学の長所と短所が手軽によくわかる、いい経済入門書だと思います。144ページとコンパクトですしね。面白かったです。
2008.08.14
『あたしの嫌いな私の声』(成井 豊 著) ――第14回・読書前感想文最近、風邪をひくなどツイてなかった私ですが、それを励ますかのように出版エージェントの鬼塚忠さんがこの本を送ってくださいました。著者の成井豊さんは、演劇集団キャラメルボックス(以下、キャラボ)の代表で劇作家。実は、私が“神”と崇める方のお一人であります。山田真哉の20代前半はキャラボなしでは語れないほど、キャラボに影響を受けていました。この秋にドラマ化される『女子大生会計士の事件簿』ですが、その中にたまにファンタジックな作品が入っているのもキャラボの影響です。『女子大生会計士の事件簿』の登場人物たちが、その初期において万葉集の歌人の名前から採られているのも、キャラボの名作の一つ『銀河旋律』の影響です。そして、ここで初めてネタばらしをすると『銀河旋律』の主人公の名前が「柿本」なんです―――。『銀河旋律』を初めて観たときにものすごく感動して、自分が小説を書くことがもしあるなら主役を「柿本」(柿本人麻呂から借名)にしようと思っていたのです。連載を開始して6年が経ちますが、初のカミングアウトですね (^_^;)さて、話を『あたしの嫌いな私の声』(舞台では『嵐になるまで待って』)に戻すと、これも素晴らしい作品です。あらすじは、次のような感じ。↓声優志望のユーリは、テレビアニメのオーディションで見事、主役の座を射止める。しかし、同じ声質を持つ男・波多野に出会い、声を奪われた。ユーリだけに聞こえる不思議で恐ろしい波多野の言葉……声を巡る「あたし」と「私」の物語。 (帯より抜粋)声優が声を奪われる、「あたし」と「私」という設定だけでノックアウトです。いやはや、とても私なんかが書評できる立場ではございません。山田真哉がどんな本に影響を受けて小説を書いているのか、興味のある方はぜひご覧ください。
2008.07.14
『人づきあいのレッスン―自分と相手を受け入れる方法』(和田 裕美 著) ――第13回・読書前感想文何冊か和田裕美さんの本は拝読していますが、この本が一番好きです。内容は、人づきあいのコツをいろいろと教えるものなのですが、ビジネス書と自己啓発の中間あたりを漂う酸素のような本です。私が好きな本の共通点でもあるのですが、「作りが丁寧」なんですよね。文章の改行の仕方とか、余白の使い方とか、紙ざわりとか。そして、「小ネタ」がちゃんと面白い。「苦手な人には名前に“~どん”をつける」とか「好き好きブーメラン」とか。雰囲気が良くて、小ネタが面白いものが私の嗜好に合っているようです。「「好き」の窓と「嫌い」の窓」「想像印象」など、視点を変えてくれるアイデアも上品でいいですねー (´∀`)♭
2008.06.18
『出逢いの大学 普通のサラリーマンが黄金人脈を作る法則』(千葉智之著) ――第12回・読書前感想文 以前も書いたと思うのですが、私はあまり「人脈本」の類が得意ではありません。でも、この本は面白かったです。理由は一言で言うと、「今風」だから。今風のビジネス書のセオリーをちゃんと守りつつ、著者なりのオリジナリティが出ているので、読みやすかったですし楽しかったです。ここで「今風」のビジネス書を定義しておくと、 1.序盤の動機付けメッセージが強力。 2.ノリが適度に軽い。 3.イラスト(または図表)に工夫がある。 4.他書やツール類の紹介がある。まあ、ざっくり挙げるとこんな感じ。全体的に読みやすい雰囲気があるということです。さて、本書ですが、人脈作りの重要性の理由付けとして「あなたの仲良しグループでの常識は、他のグループから見れば非常識だから」といったことを挙げているのですが、自己を客観視するための手段として人脈を捉える視点はいいと思いました。主眼はコミュニケーション論なのでしょうが、このあたりのくだりは社会関係論のテクストとして読んでもいいかもしれません。あと、個人的には「講座38 交流会で話し好きから逃げる方法」がツボでした。これは今日から使います (^^出版社は東洋経済新報社さんなのですが、最近は今風の本もたくさん出されるんですねー。
2008.05.14
『私が絶望しない理由』(河合薫著) ――第11回・読書前感想文ここのところ読書で当たりが少ないなぁと思っていたら、ここで来ました大当たり。それもまさかの“対談本”。対談本を面白く読めた試しがない私ですが、これにはヤラレました。サブタイトルは「激白。あの有名人9人の土壇場、修羅場、正念場」となんとも言えない感じですが、本書は単なる対談ではなく、単なるインタビューでもなく、「質問の絶妙さ」+「客観的な分析」という奇跡的な構成でできている本なのです。インタビューと分析をするのは、河合薫さん。「ニュースステーション」でお天気お姉さんだった方です。いまは学者さんだそうです。この分析が本当に素晴らしくて、インタビューを受ける有名人に対して、「褒めない、媚びない、持ち上げない」の三拍子。これらって対談などでは、“本当”は大事なことなんですよねぇ。例) 渡邉美樹→「強い言葉や自分を常に中心に置いた回答に正直とまどった」 森永卓郎→「責任を外界に向ける対処スタイル」 鈴木亜久里→「積極的に努力するのではなく、「なんとかなるさ」と考える属性的楽観性」(本文中から再構築。全体を読むと、褒めてもなく貶してもいない冷静な文章になっています)万人に勧める本ではないかもしれないけど、心理学的なことにちょっと興味がある人には、めっちゃ面白く読めると思います。
2008.04.17
『マスターピース・オブ・オールナイトライブ(1) 特攻取材』(鈴木みそ著) ――第10回・読書前感想文今回はマンガです。『銭』などでおなじみの鈴木みそさんは、業界ルポを得意としているマンガ家さんです。『マスターピース・オブ・オールナイトライブ』も業界ルポ物なのですが、雑誌での過去の連載をまとめたもののようです。この巻はドン・キホーテやゲーム専門学校、フィギュア製作会社(海洋堂)などのルポがマンガになっているのですが、注目はなんといっても「本の墓場へいらっしゃい(前・後編)」。返本される本の倉庫を舞台としたルポです。本の著者でも、印刷所に行ったことがある人はいると思うのですが、返本の倉庫に行ったことがある人は少ないんじゃないでしょうか(私も行ったことがないです)。本当の意味で、“山のように”返本が積まれている風景は圧巻です。短い話ですが、いろいろと考えさせられました。
2008.03.30
『アイドルのウエストはなぜ58センチなのか』(飯田朝子著)――第9回・読書前感想文 これは先日のブログでお話しした、ラジオでご一緒させていただいた飯田先生の最新刊なのですが、このタイトルを見て、皆さんはどう思われますか?多くの人は、「たしかにアイドルのウエストは58センチが多いなぁ」と思い、さらに、「でも、それはきっと細くみせたいからなんだろうなぁ」と答えまで先走ってしまったのではないでしょうか。では、答えがわかってしまった本を買うかどうかというと、―――私なら買いません。答え合わせをするために買う人もいるでしょうが、ネット検索で事が済むならあえて買いはしないでしょう。自分が想像した答えが合っているかどうかに関わらず、です。疑問系タイトルには3種類あります。 1.「自分もそう思ったことがあるある!」という共感系 2.「答えはなんだろう?」と考えさせるクイズ系 3.「だからどうした!?」とツッコミを入れたくなるしょ-もない系本書のタイトルは2番だと思うのですが、さらに易しくみえてしまう部類でしょう。でも、実際に本書を読んでみると「でも、それはきっと細くみせたいからなんだろうなぁ」という答えだと不十分だということがわかります。もうちょっと深い答えが別にあるのです。だからこそ、このタイトルじゃないほうがよかった、と思うのです。(いろんな角度から検討した結果だとは思うのですが……)“私にとっての”本書のタイトルは、下のような感じです。『「千の風になって」の“千”に秘められた謎』『誇大数詞“8”からみた日本』『日本には、色を表すことばは4つしかなかった』『奇数ゆえ、大相撲は女人禁制』(←こちらは小見出しの一文です)“私にとっての”タイトルにもあるように、内容は日本語論、文化論であり、本当に面白い本です。「ALWAYS 三丁目の夕日」や「関ジャニ∞」といった身近な数字も出てくるので飽きることなく最後まで一気に読めます。特に、雑学好き、歴史好きには超おススメです。
2008.03.22
このブログではビジネス書ばかりを紹介しているので、誤解を招いているかもしれませんが、私が読んでいる本の半分はマンガ・小説で、そのさらに半分が歴史・哲学系で、またさらに半分がノンフィクション系です。実はビジネス書は割合的には低かったりします。というわけでたまにはビジネス書以外のものを。『ルポ貧困大国アメリカ』(堤未果著) ――第8回・読書前感想文アメリカの格差問題については、ドキュメンタリーや海外ニュースで意識して見るようにしているのですが、本の場合はいろいろ考えながら読めるのがいいですね。「貧しいほど肥満になる現実。これは未来にどう影響するのか?」「自然災害対策や病院の民営化は、誰が一番得しているのか?」「貧しい人ほど軍隊に入る、というシステムは古今東西変わらないのはなぜ?」とかね。まあ、小さな政府、企業任せではどうしようもないこともけっこう多いということです。アメリカという先進国であっても、「自由競争は、平等なスタートラインすら許さない」ようですし。同じ平等でも「機会の平等」は「結果の平等」よりもはるかに難しい、ってことなのでしょう。だからといって、すぐに諦めるという話でもないのですが。終盤、ちょっと論点がズレている気もしなくもないですが、総じて面白かったです。ただ、本という性質上、仕方ないのですが、ここで描かれている貧困層が、全体から見て数量的に「一部」レベルなのか、「少数」レベルなのか、「一定数」レベルなのかがよくわからないので、ほかの視点からの本も読まないとね。
2008.03.12
『「仕組み」仕事術』(泉正人著) ――第7回・読書前感想文最近、一応最後まで読んでから書評を書いているので、もはや「読書前」ではないのですがいまさらカテゴリを変えるのも面倒なのでこのままで。えー、本書は3月13日発売のようなのですが、すでにAmazonでは長い間第1位を取るほど売れている本です。結論から言うと、面白かったです。全体構成として、STRUCTURE PART(ストラクチャーパート)が4つ。そのなかにいつくかのSTAGE(ステージ)があるという構造なのですが、「STRUCTURE PART 01 「仕組み」があなたの仕事を変える」が秀逸。社会人向け教育において、大切なのは序盤の「学習目標・動機付け」ですが、これはビジネス書においても同様だと思います。ここで共感や誘引がないと、読み手は意欲を失います。本書は、この「学習目標・動機付け」が唸るほどうまい!「仕組み」を絶対作らなくっちゃ、と思いますし。この章のラストにある仕組み仕事術の<3つの黄金ルール>、 1.才能に頼らない 2.意志の力に頼らない 3.記憶力に頼らないもいいですねぇ。ゴロも良いし、安心できるし、共感も呼びやすい。思わず、誰かに言いたくなるフレーズじゃないですかね。特に「3.記憶力に頼らない」は好きです。だって、自信ないだもん (^^;中小企業の経営者(私も含む)ならすでにやっていることもあると思いますが、それでも役立つ記述がけっこうあると思います。落ち付けがましく書かれていないので、「じゃあ、自社ならどうアレンジする?」と考えやすいですし。そういう意味でも“よくできた”本と思いますが、いかがでしょう?
2008.03.07
『有価証券報告書を使った決算書速読術』 ――第6回・読書前感想文現在は、“第2次決算書本ブーム”といえる状況です。『財務3表一体理解法』からはじまり、『決算書の暗号を解け!』、『「1秒!」で財務諸表を読む方法』といった本が売れています。 『私でも面白いほどわかる決算書』といったムック本が大ベストセラーになるなど2000年前後に起きたのが“第1次決算書本ブーム”。この背景は、1997年の山一證券倒産など会社不安が「自分の会社の決算書ぐらい読めなきゃ」という雰囲気を醸し出したことにありました。一方、いまのブームは「ネット証券の拡大で投資家が増えた」「ネットで各社の決算書が入手しやすくなった」と、インターネットの普及、個人投資家の増加を背景にしている点で、第1次ブームとは本質が異なります。第2次のほうが、本の内容は“より本格的”“投資家寄り”になっています。そんな第2次ブームのなかで最も“より本格的”“投資家寄り”なのが、これから紹介する『有価証券報告書を使った決算書速読術』です。「有価証券報告書」は、上場企業が年1回、国に提出する100ページほどの冊子のことです。たいていはネットで見れます。でも、有価証券報告書は、アナリストですらちゃんと読んでいるかどうかが本当は疑わしい、極めてマニアックな代物です。そんな有価証券報告書に対して、この本が優れているのは、決算書といった数字情報(定量情報)ではなく、企業の概況などの文章情報(定性情報)についての解説を丁寧にしている点でしょう。投資の内容から将来を予測したり、役員の略歴や年齢から取締役会の雰囲気を推定したり。そう言われると、こういう視点の本はあまりなかったかもしれませんね。価格は1500円ですが、2100円といった値付けのほうが価値が出てよかったかな、と思える内容です。ただ、安くしたのはきっとより一般に普及させたかったからでしょうね。
2008.02.29
『だまされずにお金をふやす本当のルール』 ――第5回・読書前感想文◆この本の目的はなんなのか?まずタイトルですが、サブタイトルの『10年先に差がつく資産運用』のほうがよかった気も……。『だまされずにお金をふやす本当のルール』は文章的に、 「だまされずに」「お金をふやす」「本当のルール」と要素が3つに分断されているので、この3つのうちどれがアピールポイントなのかがわかりづらくなっています。『10年先に差がつく資産運用』も 「10年先に」「差がつく」「資産運用」と同じく3つの要素に分けられますが、「10年先に」と「差がつく」が「資産運用」の修飾語として機能しているので、資産運用の本だということがハッキリしています。かつ、具体的です。さらに細かいことを言うと、(タイトルの)「お金をふやす」は(サブタイトルの)「資産運用」と意味が重複していますし、「本当のルール」というフレーズは、特に必要だともいえず、別にキャッチーでもありません(「~本当の理由」だと“意味の奥行き”が発生してキャッチーになるのですが)。ただ、中を読むと「だまされるな!」という話で一貫されていたので、「だまされる」というフレーズをどうしても入れたかったのだろうなぁと推測します。◆専門家に期待されていること!帯のコピーは、いいと思いました。――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 間違いだらけの“常識”を疑え! 「窓口に座っているのは、お金のプロではなくセールスのプロ!?」 「パンフレットが豪華なマネー商品にアタリは少ない!」 「生命保険はセットにすればするほど損をする!?」―――――――――――――――――――――――――――――――――――――ただ、画龍点睛を欠いたのは1つ目と3つ目の語尾が「~!?」という点です。「~!」にしてほしかった!たしかにそう言い切れないのかも知れませんが、一般の人が専門家に期待していることは「~!」と言い切ってもらうことだと思うのです。たとえば、お医者さんに「この薬で治ります!?」と言われたら、多分腹が立ちます。「この薬で9割がた治ります!」と言われると、満足します。つまり、文章上の工夫でなんとかなるレベルの問題じゃないでしょうか。↓――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「窓口に座っている多くは、お金のプロではなくセールスのプロ!」 「生命保険はだいたいセットにすればするほど損をする!」―――――――――――――――――――――――――――――――――――――えー、どうして、ここまで表紙の話に固執したかというと、結構中身が良いからです。投資・保険・住宅ローンの業者の裏の実態と、それに対する著者の恨み(←言いすぎ)がよく出ていて感情移入して読みやすいです。構成も「問題点の提示」→「解決策」の繰り返しでリズムがいいです。いまから投資・保険・住宅ローンを行う方は、部分的で構わないのでぜひ読んだほうがいい一冊です。
2008.02.23
『訪問しないで「売れる営業」に変わる本―4年連続No.1が明かす』2006年に出た本をなぜいまさら取り上げるのかというと、去年、『ビッグ・トゥモロウ』2007年10月号で、この著者の営業レターを取り上げたからです。その営業レターに対する批評の評判がとても良かったらしく、そのコーナーは現在「数王(カズ・キング)」として毎月連載にいたっています。そういう恩義のある著者の本なのですが、タイトルだけを見ると胡散臭い感じです。中身をちょっと見ると、「営業が苦手なあなたでも“営業レター”を活用すれば、 あなたの世界は180度変わります。」というある意味王道な本だとわかるのですが。まあ、営業本って、そもそも奇をてらった本が多いジャンルなので、ウケを狙おうとするとありきたりだし、真面目そうだと地味になる、という極めて難しいジャンルだと思います。そういう意味では、「営業本が売れる人って、本当に営業がうまいんだろうなぁ」と感服する次第です。この本の話に戻ると、よく言われていることですが、「プッシュ型営業からプル型営業への時代の転換」というのを感じますねー。以上、第4回・読書前感想文でした。
2008.01.26
『レバレッジ人脈術』の話の前に、ちょっとだけ余談を。世の中のあらゆる情報企画って、次の3つのレベルに分類できると考えています。 1.ネットレベル (タダ) → パーソナル・マーケット 2.雑誌レベル (ついで買い) → グループ・マーケット 3.本レベル (ちゃんと代金をとる) → マス・マーケット(これについての説明は、また場所を改めるとして、)この分類でいうと、「人脈」の話って「2.雑誌レベル」だと思うんですよ。読んだからといって即効性が期待できるわけではないですし、人脈ができてからといってそこからなにをするにしても、もう1ステップ必要になるわけですし。そもそも、私は人の多いところが好きじゃなく、交流会とかパーティーとかも極力行かないようにしている人間ですから、人脈なんて人脈なんて……そんなことを思いながら『レバレッジ人脈術』の出だしを読み始めたわけですが、―――面白いです。面白いじゃないですか。出だしだけを読むつもりが、1章(Leverage 1)まで一気に読んじゃいました。本に書かれていたことをいくつか抜き出すと、 ・有名人と知り合いになるメリットは少ないそうそう。そう思うんだけどなぁ。 ・人脈づくり6つのタブー (1) 名前も言わずにお願いする (2) 相手の都合を考えないアプローチやコンタクト (3) 自分の話しかないうんうん。聞かせたあげたい人が何人もいる (^^; (4) 意味のない紹介をする以前、こういう紹介をされて非常に迷惑したのを思い出しました。 (5) 「お願い」ばかりする (6) 「メンター」になることを依頼するははは。いるいる。逆に言うと、そういう人が多いってことですね。ジャンルがジャンルだけに売れないかもしれませんが、普段そこまで人脈について考えたことがなかったので面白かったです。そして、私のように「人脈」というものに対して懐疑的な人間にもお勧めです。以上、第3回・読書前感想文でした。
2008.01.24
『効率が10倍アップする新・知的生産術 ―自分をグーグル化する方法』(人のことは全く言えませんが)タイトルが長いですねー。サブタイトルもあわせると30字。長いというより要素が多い。「効率が」「10倍」「アップする」「新・」「知的」「生産術」「自分を」「グーグル化する」「方法」と9つも。少なくとも、効率の本なのにタイトルの効率は非常に悪い (^^;でもね、これはたぶん意図的なんですよ。だって、効率化の本って、効率がいい人が読むのではなくて、効率がよくない人がメインターゲットなわけではないですか。効率がよくない人は、「いろいろ勉強して効率がよくなりたい」と思っているわけですから、「いろいろ入ってますよ!」ということを表現するために、意図的にタイトルに要素をたくさん詰め込んでいるのだと思います。この編集さんは、私も昔、一緒に仕事をしたことがありますが、これくらいは計算して作れる方です。さて、中身ですが、勝間さんらしく具体的な内容が多そうですね。勝間さんの本って『お金は銀行に預けるな』もそうでしたが、とにかく具体的ですよね。それも論理で固めてから、具体に持っていく。抽象→具体のお手本のような本を作る方です。たぶん読者との間に境界線がない方なんでしょうね。僭越ながら、私とは逆なんですよ。私の場合はもともと予備校教師でしたし、小説畑出身ですから、先生と生徒、送り手と読み手、という境界線を意識した本作りをしてきたわけですが、勝間さんにはそういう先入観はそもそもないんでしょうね。同じ会計士ではありますが、この「境界線」の有無が私との立脚点の一番の違いなのだと思います。(もちろん、どちらがいいとか悪いとかじゃなくてね)というわけで、第2回・読書前感想文でした。
2008.01.23
風水の本を出されている方なのですが、「20代で最初の1億をつくり、現在、100の不動産を有する資産家」さんなのだそうです。すごいですねぇ~。それで感想ですが、タイトルが『世界一愚かなお金持ち、日本人』となんだか最近よくある感じの民族意識刺激系のタイトル。帯のコピーは、「お金と人脈を引き寄せる秘密」と特に凝っていないコピー。中身を見て思ったのですが、中の具体的な話をコピーにしてもよかったのではないかと。たとえば、……「お金持ちのロレックスには訳がある」とかね。ただ、装丁が白背景で余白も多いので、シンプルに見えるのはいいですね。さて、表紙の段階ではそんなに興味を持たなかったのですが、表2の袖が秀逸です。 「とにかく貯め込む」日本人 「借りてでもふやす」アメリカ人 「借りをつくるより、貸しをつくる」中国人このたたみ掛けは、いいですよー。普段からみんなの琴線にも触れる内容ですから、共感も得やすいですし。表2では、もったいないぐらい。「はじめに」も読みましたが、お金持ちがもっとも大事にしているのは「信用」とのこと。これは、内容も期待できそうです。目次を見ると、著名人の資産の作り方や著者本人の体験談も豊富そうなので、それだけで面白そう。これは、時間があれば読みたいタイプの本ですね。ページ数も188とそんなに多くないですし。えー、以上、第1回・読書前感想文でした。このような紹介ですが、ブログをご覧になるみなさまにとっても、ご参考になるのでしょうか……?あと、この御本ですが、なぜか楽天ブックスさんには存在すらしていませんでした。いいんですかね、ディスカヴァーさん?
2008.01.22
人気ブログやメルマガをお持ちの方って、たいてい出版社などから献本があると思います。私のところにも、月に10冊以上は届くのですが、他の方はどうしているのでしょう?すべてちゃんと読んで感想を書いているのか、それとも丁重に放置しているのか?献本というのは非常にありがたいのですが、そもそも私はライターでもないですし、仕事関係の本を読むことで手一杯なので、たくさん献本を頂いても残念ながら物理的に読めません。そして、読まないのに適当な感想を書くわけにもまいりません。だが、しかしですよ。「お送りさせてください」と言われて、「いや、いりません」というのもなんだか変です。また、献本の中にも10冊に1冊ぐらい、すごく面白い本もあったりするので、献本が楽しみだったりもしています。また、著者や編集者に「お願いします」と直筆で書かれると、私も心を動かされます。―――というわけで、考えました。読めませんが、紹介はします。というか、読む前の感想を書きます。そう、『読書前感想文』です(^^;献本の山の中から、とりあえず厳選した次の5冊を、明日以降、順次ご紹介いたしますね。『世界一愚かなお金持ち、日本人』(マダム・ホー著)『レバレッジ人脈術』(本田直之著)『効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法』(勝間和代著)『訪問しないで「売れる営業」に変わる本―4年連続No.1が明かす』(菊原智明著)『だまされずにお金をふやす本当のルール 10年先に差がつく資産運用』(佐瀬貴之著)さて、この『読書前感想文』。評判が悪ければ、すぐに止めますね……。 >著者・出版社の方々へ いつもすみません。ちゃんとご紹介できませんで。あと、大変申し訳ないのですが、 知り合いであろうがなかろうが、有名であろうが無名であろうが、ここでは本音で 書かせていただきますので、そのあたりはご容赦くださいませ。
2008.01.21
全184件 (184件中 151-184件目)