田崎正巳のモンゴル徒然日記

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モンゴル2008

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2016.07.28
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カテゴリ: 世界とモンゴル
スロバキアは若い国です。なんせ1993年にチェコから分離独立したばかりの国なのです。

東欧の旧社会主義の国には、ソ連崩壊後苦しんだ国も多いようですが、この国は経済的にも順調に発展しているように見えます。(一人当たりGDPは2万2千ドル)

ですが、新しい国であることの辛さを垣間見たような思いになったのが、国立自然博物館に行った時のことです。

同じ新しい国といっても、どこかの国の植民地であった場合は、国そのものの形は継続しているでしょうが、この国の場合は首都さえなかったわけですから、新しさも格別です。

普通は首都にはあるであろう博物館などもゼロから作らねばなりません。民主化直後ですから、資金も枯渇していたことでしょう。

この自然博物館もそのようです。入ってすぐにこの博物館の説明が書かれていましたが、ともかく資金がなく、買えるものを何でも買った、とありました。

買った金額も出ていて、大体毎年1000万円くらいの範囲だったようです。これでは個人のコレクターよりも少ない予算かもしれません。

1階の展示場に入って驚きました。なんの脈絡もなしに、とにかく買い入れたものを展示しているという感じなのです。

具体的に言うと、入り口にはまずライオンやトラなどのはく製(?)が登場します。私は驚いて「スロバキアには元々ライオンやトラがいたのですか?」と聞きましたが、残念ながら入口の説明員は英語はわからないようでした。

入ると、今度は楽器や楽譜があります。なるほど、音楽が盛んだったのかと思うと、その隣にはなんと人骨が。さらにその隣には、動物の骨。その隣には、昔の武器。今度は昔使われていたであろう、道具類。鍋釜などの家事をする道具です。

すると今度は装飾類も。ボタンのコレクションみたいだったり、櫛だったり。食器類もありました。そしてなぜか今度は魚の標本?要するに分類分けなど全くなく、とにかくこの地域に関するものなら何でもいいから買っておいてあるという感じなのです。

最初は「こんな支離滅裂な展示時方法見たことないな」と思いましたが、壁に書かれていた文章を読んで「いかに低予算の中、この地域に関するものを集めるのが大変だったのだろうか」と思いを馳せるようになりました。

本来は、この地域にも立派な歴史があり、いろんなメッセージを伝えたいところでしょうが、貴重なコレクションは既に外国に渡ったり、個人のコレクションにあったりして、とても手が出ないのでしょう。

もしかしてチェコの方にはあるのかもしれません。自国の歴史を示すという当たり前の行為すら、新しいく誕生した国にとっては大きなハンデなんだなと思ったわけです。

仮に、今日突然、内モンゴルが独立したらどうなるか?歴史を物語る多くのものは中国によって破壊されたでしょうし、あったとしても貴重なものであれば漢人の手に渡っているでしょう。そんなことを考えてしまいました。



おそらく観光産業はこの国の重要な政策ではないかと思います。その理由は、旧市街の在り方です。

この首都の旧市街(昔城壁に囲まれていたであろう地域)は、どこへ行くにも1km以内で歩けるような小さなエリアです。ここは早朝などを除き、ほとんど終日歩行者天国のようになっています。

街の中には原則として車は入らないようです。(一部の住人は例外)なので、歩行者は本当に気楽に石畳の道を歩きます。

そしてその路上にはカフェやレストランの椅子とテーブルが並びます。歩道という概念がない(車道がないので、歩道もない)ので、歩道との段差もなく、道の両脇はレストランの椅子とテーブルに埋め尽くされたかのようです。

夕方以降は、どこも客でほとんど満席です。正確に言えば、店内部は空いているというよりはガラガラですが、外の部分は多くの人たちで賑わっています。

そして不思議なほどの「安全」感覚があります。世界中、どんな街に行っても飲食が集中している地域があります。夜ともなると、人々が集まってきて、安全そうな有名レストランもあれば、ちょっとやばいかな、と思えるような店もあります。

ここは地元の人しか行けないかな?という店もあります。ですが、この旧市街にはそういうリスク感覚がほぼゼロなのです。ちょっと不思議な感覚です。

あまりに多い客を見て、当初私は「この人たちは地元の人?観光客の方が多いのかな?」などと思いましたが、よくよく観察しているとほぼ全員観光客だとわかりました。

そして「異常」なまでの安全感覚。諸外国でこんなに「リスク」を感じない、ある意味「猥雑さ」がゼロの街は初めてです。健全で安全な状態が深夜まで続くのです。

私はこの感覚はどこの街にも似たところがないと思いましたが、あえていえばテーマパークです。もっと具体的に思い出せば、ハウステンボスでしょうか。長崎県にある、オランダやヨーロッパの街並みを再現した人気スポットです。

ハウステンボスに入ってしまえば、誰だって「この街は一人歩きでは危ないかも?」なんて思いませんね。人工的に作られた街でもあり、リスクや治安を気にする人はまずいないでしょう。それはディズニーランドも同じです。

この旧市街は、そんな感覚に近いのです。試しに、夜、旧市街から出てみました。わずか50m離れただけで、普通の街の夜の感覚を感じました。人々は当然地元の人たちでしょうし、いい店もあれば入りにくそうな店もあります。

バーでぼったくられたとしても「それは自己責任でしょ」と言われてしまいそうな雰囲気もあります。

この首都の名誉のために言いますが、決して他国より怖いということはありません。とても健全です。が、それはあの旧市街地内のような「異常な安全さ」とは違う「普通の安全な街」といえます。

なので、観光客は子供連れも含めて安心して街の中の散歩もできるし、どのレストランやバーに入っても安全といえるでしょう。政策として完全に観光地化させてるなと思えるのは、普通の人が普通に買い物する場所がないことです。

スーパーマーケットもないし、洋服屋さんもほとんどありません。ヴィトンなどのブランド屋さんもありません。もちろん、それらはこのブラティスラバには存在するでしょうが、この閉鎖的な旧市街にはないのです。

建物も、一歩この旧市街を出ると、近代的なビルディングやショッピングセンターなどがあります。旧市街地にあるのは、ほぼ飲食店と土産物屋さんだけと言っていいほどです。(あとは薬屋くらい)

旧市街地内ではすべての店が路上に椅子とテーブルを置いて営業していますが、一歩この旧市街地を出れば「車道も歩道もある普通の状態」なので、歩道上の飲食店の椅子やテーブルは皆無です。おそらく規制されているのでしょう。

なるほど、こういう観光地化というのがあるのかと驚きました。街全体を本気でテーマパーク化したということです。まるで手入れの行き届いた箱庭のようです。

地元民には不便さもあるでしょうが、オープンカフェやオープンレストランが大好きなヨーロッパ人観光客を獲得するための手段としては、簡単には真似されない戦略だなと思いました。







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Last updated  2016.07.29 13:43:01
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