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モンゴル２００８
経営コンサルタントをやってきましたが、２００８年秋よりモンゴル国立大学経済学部の教授としてモンゴルにやってくることになりました。モンゴルでの生活を写真や気軽な日記スタイルで日本の皆さんにお伝えしようと思います。是非、遊びに来てください。 ２０１０年に帰国しましたが、引き続きモンゴルに関する発信を続けますので、よろしくお願いします。
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2020.02.22
カテゴリ： モンゴルの生活（イベント、季節）
今年のツァガンサルは、２月２４日ですから、明日２３日が大晦日になります。ですので、多くの会社は今日から来週半ばまでは連休となるでしょう。学校は、コロナ・ウィルス騒ぎで既に休校となっているようです。
現地の情報によると、ウィルス騒ぎのせいで今年のツァガンサルはかなり静かな正月になりそうです。政府が「あまり騒がないように」と指示をしているらしく、ウランバートルでも家族内でのお祝いだけになりそうだと聞きました。
また田舎は田舎で結構規制が厳しいらしく「監視する人」まで出現しているようです。要するに、派手に親戚や近所の人たちと交流しないように見張っているんだそうです。
なんだか社会主義に逆戻りに感じてしまいます。まあ、それだけウィルスに対する危機感が強いということの裏返しなんでしょう。
モンゴルは人口が少ない上に、地方の医療設備がまだ十分とは言えません。しかも、県が大きいのでちゃんとした病院のある県庁所在地までが遠い。
その上外はマイナス３０度。なので、どこかのソム（モンゴルの地方自治の最小単位、村みたいな感じ）で発症したら、大変なことになります。
更にツァガンサルは、近所の人から遠い親戚までみんなで「頬と頬をを合わせるキス」をしますから、まさに「濃厚接触」と言えます。
武漢での広がりの原因となった一因がまさに春節であったことが指摘されています。しかも大人数で一緒に料理を食べる行事もあって、それもやるべきでなかったと批判されています。
武漢は大都市で大都市なりの問題もありますが、人口希薄地帯であるモンゴルの田舎は、下手をすればソムの消滅にもつながりかねないですから、政府が過剰に反応するのもわかる気がします。
UBでも１日で５軒も１０軒も知人、親戚を回るといういつもの交流も禁止されることでしょう。
今年の「静かなツァガンサル」の影響を考えてみました。
短期的に言えば、消費の落ち込みがあるでしょう。まずは肉。この時期の羊の肉の消費量は半端ではないと思います。
各家庭にドーンと羊一頭の茹でた肉がテーブルに乗ります。これをたくさんの訪問客らと食べるわけですが、これをアパート内の家族だけで食べるとなるとどうなるんでしょうか？
家庭によっては、「丸々一頭はいらない」「モモの肉だけでいい」などの家庭も出てくるのではないでしょうか？丸一頭用意した家は、その後当分の間肉を買う必要がなさそうです。
一番影響するのはボーズでしょう。ほとんどの家庭が１０００個から２０００個程度を用意しますが、当然訪問客がいなければそんな大量のボーズは不要です。
家族だけなら、せいぜい５０個か１００個で十分でしょう。通常はツァガンサルに合わせて羊の肉の出荷をピークに持って行きますが、今年はだぶつくんじゃないかと思います。そうなると、肉の相場も下がって、遊牧民には打撃です。
次に心配されるのが、例の「お土産」です。お土産というのは、親戚や知人が訪れて飲んで食べて帰る時に、家のあるじが訪問客に渡すちょっとした小物のことです。それが１個ではなく、一人に３～５個も渡すので、膨大な量になります。
１家庭に１００人の訪問客としても３００～５００個。訪問客数百人の家も珍しくないですから、モンゴル中を合わせるとものすごい市場になるのです。
各家庭で段ボールいくつも用意しているほどの規模です。なぜそんなに多くの訪問客を受け入れられるかと言えば、訪問客の滞在時間が短いからなのです。
５～１０人くらいのグループが訪問して、家族に挨拶して、お酒を飲んでボーズを食べる。ですが、日本の正月のようにダラダラ長居はしません。場合によっては、１５分とか２０分程度で引き揚げていくのです。
すると次の訪問客が来る、という流れなので３日間だと大変な訪問客になります。もちろん、時間を見計らって自分たちも他の家に行きます。逆に言えば、この大量の訪問客が、ウィルス対策上の脅威となるわけです。
小物はいろいろです。石鹸もあればキャンディーもあるし、ボールペンだったり、飲み物だったり。
これらの経済効果は相当なものですが、訪問客が来ないとなればこれらのお土産もほとんど不要になります。今年はザハ（市場）での売り上げは激減でしょうね。
長期的な影響は何があるか？私は経済的よりも、伝統文化的な影響が大きいと思います。
（続く）
現地の情報によると、ウィルス騒ぎのせいで今年のツァガンサルはかなり静かな正月になりそうです。政府が「あまり騒がないように」と指示をしているらしく、ウランバートルでも家族内でのお祝いだけになりそうだと聞きました。
また田舎は田舎で結構規制が厳しいらしく「監視する人」まで出現しているようです。要するに、派手に親戚や近所の人たちと交流しないように見張っているんだそうです。
なんだか社会主義に逆戻りに感じてしまいます。まあ、それだけウィルスに対する危機感が強いということの裏返しなんでしょう。
モンゴルは人口が少ない上に、地方の医療設備がまだ十分とは言えません。しかも、県が大きいのでちゃんとした病院のある県庁所在地までが遠い。
その上外はマイナス３０度。なので、どこかのソム（モンゴルの地方自治の最小単位、村みたいな感じ）で発症したら、大変なことになります。
更にツァガンサルは、近所の人から遠い親戚までみんなで「頬と頬をを合わせるキス」をしますから、まさに「濃厚接触」と言えます。
武漢での広がりの原因となった一因がまさに春節であったことが指摘されています。しかも大人数で一緒に料理を食べる行事もあって、それもやるべきでなかったと批判されています。
武漢は大都市で大都市なりの問題もありますが、人口希薄地帯であるモンゴルの田舎は、下手をすればソムの消滅にもつながりかねないですから、政府が過剰に反応するのもわかる気がします。
UBでも１日で５軒も１０軒も知人、親戚を回るといういつもの交流も禁止されることでしょう。
今年の「静かなツァガンサル」の影響を考えてみました。
短期的に言えば、消費の落ち込みがあるでしょう。まずは肉。この時期の羊の肉の消費量は半端ではないと思います。
各家庭にドーンと羊一頭の茹でた肉がテーブルに乗ります。これをたくさんの訪問客らと食べるわけですが、これをアパート内の家族だけで食べるとなるとどうなるんでしょうか？
家庭によっては、「丸々一頭はいらない」「モモの肉だけでいい」などの家庭も出てくるのではないでしょうか？丸一頭用意した家は、その後当分の間肉を買う必要がなさそうです。
一番影響するのはボーズでしょう。ほとんどの家庭が１０００個から２０００個程度を用意しますが、当然訪問客がいなければそんな大量のボーズは不要です。
家族だけなら、せいぜい５０個か１００個で十分でしょう。通常はツァガンサルに合わせて羊の肉の出荷をピークに持って行きますが、今年はだぶつくんじゃないかと思います。そうなると、肉の相場も下がって、遊牧民には打撃です。
次に心配されるのが、例の「お土産」です。お土産というのは、親戚や知人が訪れて飲んで食べて帰る時に、家のあるじが訪問客に渡すちょっとした小物のことです。それが１個ではなく、一人に３～５個も渡すので、膨大な量になります。
１家庭に１００人の訪問客としても３００～５００個。訪問客数百人の家も珍しくないですから、モンゴル中を合わせるとものすごい市場になるのです。
各家庭で段ボールいくつも用意しているほどの規模です。なぜそんなに多くの訪問客を受け入れられるかと言えば、訪問客の滞在時間が短いからなのです。
５～１０人くらいのグループが訪問して、家族に挨拶して、お酒を飲んでボーズを食べる。ですが、日本の正月のようにダラダラ長居はしません。場合によっては、１５分とか２０分程度で引き揚げていくのです。
すると次の訪問客が来る、という流れなので３日間だと大変な訪問客になります。もちろん、時間を見計らって自分たちも他の家に行きます。逆に言えば、この大量の訪問客が、ウィルス対策上の脅威となるわけです。
小物はいろいろです。石鹸もあればキャンディーもあるし、ボールペンだったり、飲み物だったり。
これらの経済効果は相当なものですが、訪問客が来ないとなればこれらのお土産もほとんど不要になります。今年はザハ（市場）での売り上げは激減でしょうね。
長期的な影響は何があるか？私は経済的よりも、伝統文化的な影響が大きいと思います。
（続く）
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