田崎正巳のモンゴル徒然日記

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2022.09.19
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カテゴリ: 世界とモンゴル
私は通常、日本のネット有料メディアをお金出してまでは見ませんが、「ロシア少数民族「ブリヤート共和国」が隠す戦死者という不都合な真実 」という題名に惹かれ購入してみました。内容は、以前も本ブログでお伝えした通り、ブリヤード人が多くウクライナとの戦場に送られているというものでした。
ちょっと抜粋してお伝えします。(ブリヤートはロシア語、私は通常はモンゴル語のブリヤードを使います)

「ロシアの軍事専門家であるパーヴェル・ルジン氏によると、戦死する兵士の多くがブリヤート共和国、 チェチェン共和国 、ダゲスタン共和国などに住む貧しい少数民族出身者だという。」と書かれています。この程度のことは、ロシア国内で発言しても取り締まられないんだなと思いました。なんとなく、中央政府には不都合な真実と思えるからです。

記事の中でブリヤート共和国が紹介されています。面積は35万平方キロと、ほとんど日本と同じです。人口は98万人で首都ウランウデは43万人。日本と同じ面積に香川県くらいの人口ですから、やはり相当人口密度は低いですね。単純に計算しても日本の100分の1くらいでしょうか。

ロシア人が66%で残りがブリヤード人、タタール人などの少数民族です。ブリヤード人はおよそ30万人というところです。またブリヤードはロシアにおける仏教の中心地であるともあります。チベット仏教の影響はこの地でもちゃんと残っているのでしょう。ブリヤート共和国の平均賃金は45,610ルーブル(約68,400円)で、全国平均57,244ルーブル(約85,800円)よりもおよそ2割低いです。

この9月に共和国の首長選があったので、現首長は選挙前には現在のウクライナ侵攻を正当化すべく発信しているようです。その主張は、
 ・既に特別軍事作戦に参加して勲章を与えられたブリヤード人がいる
 ・ウクライナのナチ・イデオロギーによって、ルガンス、ドネツクの住民に対して8年間もジェノサイドが行われた
 ・軍事作戦で犠牲になった人への責任は西側の責任である
など、プーチンの屁理屈をそのまま真似たものです。

更に、西側のネット情報が入っている人に対しては、
 ・SNSやメッセージアプリでは、不確かな情報を伴うニュース、写真、動画がものすごい勢いで増加している。それらは、社会に分裂やパニックをもたらすために作られている
などと、仮に西側の「正しい情報」を得ても、それらはフェイクだと主張しているのです。

ブリヤート共和国政府は3月ごろに「地元出身兵士8名が犠牲になった」などと少ない数を言っていましたが、地本誌「バイカル」は302名と載せた。現在はさらに増え続けているのでしょう。

独立系ニュースサイト「メドゥーサ」はウクライナで犠牲になっている兵士が多いのはタゲスタン共和国とブリヤート共和国であると報じています。ダゲスタン共和国はモンゴル系のカルムイク共和国に隣接しており、少数民族の国です。

犠牲者が多くなり、ブリヤート共和国では戦死者の葬儀がウランウデなどでほぼ毎日行われているとのことです。当初は犠牲者を弔うのに葬儀場へ足を運んでいた首長も、毎日になったので取りやめたそうです。

首長選挙が近づくにつれて、当地出身で犠牲になった兵士への勲章供与が増えたり、首長自ら犠牲者を愛国者として持ち上げることが多くなったようです。例えば、ウランウデ空港に降り立った車いす姿で現れた元兵士に対して、首長が「彼は正真正銘の英雄である」と称賛したりもしています。

ですが、現実には日に日に犠牲者は増えており、共和国政府は各メディアに「犠牲者数の発表はしないように」と圧力をかけているようなのです。またウクライナとの戦争に反対している「フリー・ブリヤート」という民間団体は「150名のブリヤート共和国出身者がウクライナでの戦闘を拒否して、帰国している」と伝えてます。今のロシアで戦闘拒否が許されるのかわかりませんが、こうした報道が出ること自体、かなり多くの反戦意識を持った人がいるということの証左でしょう。

更に、ウクライナでの戦地で契約解除を求めた500名にもなる契約兵が「拒否をすれば刑法に触れる」と脅されており、フリー・ブリヤートに支援を要請していると報じています。またある報道では「ウクライナ戦闘地域にいる契約解除を求めているトヴァ人やブリヤード人が、司令官室に閉じ込められている」とのことであり、彼らは「無装備のまま前線に送り出されるのを恐れている」ともあります。無装備で前線に出されるということは、ほとんど死刑と同じようなものです。

また9月8日から9日にかけてメドゥーザやラジオ・リバティーといった独立系メディアは、モスクワとサンクトペテルブルクの区議がプーチン大統領に辞任を要求したと伝えた、とあります。戦闘拒否やプーチンの辞任要求は以前からもロシア国内ではあったことでしょうが、それはなかなか外へは伝わってきませんでした。

が、こうした実態は抑圧体制が厳しいモスクワやサンクトペテルブルグよりも、犠牲者が多い遠隔の少数姻族が住む地域の方が情報は漏れやすいと思います。犠牲者家族に噓を言っても、すぐにばれますから。

ブリヤードなどの少数民族は、中央政府への反抗策として、真実の報道をするということもあるのではないかと思います。





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Last updated  2022.09.21 12:17:29
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