虎魂悼罪
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先週のモトGPマレーシアラウンドでホンダ・グレシーニ所属のマルコ・シモンチェリがレース中の事故で死亡しました。TVで観てたとき、ちょっと有り得ないような動きをしてたのに違和感を感じたんだが、起きてしまった事は事実だ。コーナーでフルバンク中に滑走転倒した場合、ほとんどはそのままコース外に滑っていく。GPライダーにとってコーナーリング中のスリップダウン転倒なんてのは日常茶飯事だ。転倒の中では一番安全な転び方とも言える。でもシモンチェリのマシンは映像を見る限り、コーナーのアウト側からイン側に向けて滑走している。コーナー旋回中の後続エドワーズとロッシにアレを避けろというのは無理である。多分、普通のスリップダウンと違い、オンボードカメラ見てる限りじゃシモンチェリが先にマシンからバランス崩して落ちたせいで、マシンのグリップ力は残ったまま、スロットルも戻らなかったせいで、あんな有り得ない方向から高速で滑走してしまったんだろう。日本じゃ例のごとくモータースポーツはマイナーなのでニュースでも一瞬報道しただけで終わり、スポーツ紙も小さな隅記事扱いで終わる。多分ニュース見たって誰もシモンチェリの事なんか知らんだろう。2003年に加藤大治郎が死んだときですら、日本じゃ大した扱いされなかった。今回死んだシモンチェリはイタリアじゃ現在のGP界の帝王バレンティーノ・ロッシの後継者とも言われる若手一番のホープだ。EU圏でもイタリアやスペインなんかはモータースポーツ人気がサッカーに劣らないくらいの人気がある。新聞なんか今回の記事どれも一面である。笑い話のような本当の話で、まだ加藤大治郎が生きてた頃、サッカーイタリア代表のスタープレイヤーで日本でも有名なユベントスのデルピエロ。彼が親善試合で日本に来てた時、成田空港で丁度ブラジルGPから帰国した加藤と鉢合わせる。加藤のファンだったデルピエロは周囲の記者を押しのけて駆け寄る「なぁ、あんたカトーだろ?良かったらサインくれないか?」子供のように喜ぶデルピエロを観た周囲の記者は、体も一回り小さくどこにでもいそうな日本人の青年がイタリア語でデルピエロと会話しサインに応じてるのを見ても「あいつ誰だ?」と唖然。加藤が鈴鹿で事故って意識不明になってる時だって、ロッシや他のライダーはもちろん、F1ドライバーのアロンソまで日本人記者を見るたびに「加藤の容態どうなんだ?」と聞くが誰も知らない…みたいなwまぁシモンチェリの場合、イタリア国内で彼を知らない奴はホントに微塵もモータースポーツ興味無いイタリア人くらいだろうから、そんな事はないだろうけどな。メジャーリーグで活躍してるイチローや松井を知らない日本人の数と同じくらいの比率だろう。まぁシモンチェリ自体は走りのスタイルがかなりリスキーというかアグレッシブで転倒も多かったし、以前も妨害ペナルティとかでペドロサにブチ切れられたりと、若さゆえに「無茶しやがって…」なライディングするタイプだったので、そのうち大怪我するだろうとは思ってたけど。まぁ、それが彼の人気の理由でもあるけどね。ここ最近は立て続けにモータースポーツでの死者が続いてる。先々週はインディでダン・ウェルドンが死んでるし、去年はMOTO2で日本人の富沢祥也が19歳の若さで事故死してる。まぁインディはオレあまりマメに見てないから知らんが、事故当時の映像観る限りじゃ、アメリカらしいというか、エントリー台数多すぎだろう。あんなオーバルコースであんだけ詰め込んでたら、そりゃ接触事故起きるだろう。シモンチェリの事故で、実際に致命傷になったであろう頭部への接触をしたバレンティーノ・ロッシ。一部では結果論で彼や同じく衝突したエドワーズを批判する輩もいるが…フルバンク中に完全衝突コースに入った上にすぐ右にロッシが寄せてる状況でエドワーズに何をどう回避しろというのか。むしろ結果的にシモンチェリが死亡してエドワーズは脱臼で済んでるから言われるんだろうが、転倒の仕方としてはエドワーズのクラッシュは死んでてもおかしくないくらい危険な飛び方してる。ロッシに至っては、元からニュータイプだの赤い彗星だの言われるほどに危険察知能力と回避技術は高いので、普通なら巻き込まれて転倒するところだが、あの映像で衝突までのコンマ数秒の間にロッシがなにをやったか解る奴がどれだけいるのだろうか?舵角をインに向け半クラッチでトラクションを抜き、あの体勢から転倒もせずに内側のエスケープゾーンに抜けた。あれで責められる謂れはないだろう。レースでは起こりえる事だし、走ってる本人達は当然覚悟の上で、それを回避するための技術も持ち合せてる。こういう事故の時に、必ず誰かしら原因や犯人探しをしたがるあたりが、日本と欧州のモータースポーツの理解度の違いだろうな個人的にシモンチェリのベストバウトだと思うレースは2009年のイタリアGPだろうか。雨天ウェットの中でサイドバイサイドのトップ争い。見てるほうが肝冷やす走りだが… レース戦略的には、1位も2位もポイントでは大した差は無い。だから、無理して一位を取るよりは転倒リスクを避けて2位をキープするのが長いシーズン戦うレースの走り方の正しい姿かもしれん。危ないとか、こんなことするのはバカだとかそんな当たり前の概念なんか何を今更である。彼らの走りには億単位の賞金やギャラがかかる。色んな人の期待とかもかかる。だってプロスポーツだもん。母国GPで勝ちたいのは当たり前である。 そういう世界だから仕方ない。
2011年10月27日
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