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何事もなかったかのように旅は続くのである。
さて、メテオラから戻ったワシは、アテネのユースホステルに一人たたずんでいた。
メテオラ強行日帰りツアーで感じたこと。
とりあえず、しばらく日本人旅行者との接触は避けていこう、と。
最後は確かに良かったし、不覚にも感動したりもしたのだが、さんざん振り回されて疲れてしまった感はいなめなかったのだ。
よ~し、しばらくアテネの町を一人でフラフラしよっと。まだどこも見てないしね。
なんて思い、ロビーでガイドブックをパラパラめくっていると、対面のテーブルに一人の日本人がいることに気がついた。
「いやいや、接触するまい」
と思った。
思ったのだが・・・・・・き・・・・気になる。
な、なに??? どうしたの??
どうにも気になってしかたなくなったワシは、ついに声をかけてしまった。「あの・・・・どうしたの?すごい顔してっけど」
「あ、コンニチハ。いや・・・・ギリシャ名物ってゆう魚の缶詰買ったんっすけど・・・・・
コレ、 めちゃくちゃマズイんっすよ。
」
へ~そうなんだ。チャレンジャーだね。でもそんな顔になっちゃうくらいマズイの?
「ちょっと食ってみません?すごいっすから」
彼は食べていた缶詰をワシに差し出してきた。
わざわざマズイってわかってるものを、なんで食さなならんのか。やめときゃいいのに一口食べてみるワシ。
口に入れたとたん、舌を突き刺すような酸味。
鼻腔をぴちぴちと音を立てて泳ぎ抜けていく魚の生臭さ。
自然としゃくれてしまう。
うん。確かにくそマズイわ!
すごいすごい。こりゃーすごいわ。
二人で大爆笑。すっかり意気投合。
「一緒に神殿見にいきませんか?」
「いーよ、行こう行こう!」