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2014.02.13
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カテゴリ: 教え
【司馬遼太郎 菜の花忌】
20130212a

昨日、二月十二日は司馬遼太郎さんの命日「菜の花忌」であった。
その日、司馬さんの記念館(大阪)は黄色に染まるという。
司馬さんが、今だにどれだけの読者をもち、そして愛し続けられているかを、菜の花の黄色が如実に示すのだ。

司馬さんの作品は、小説もさることながら随筆も多くある。
珠玉のそれらを通して、我々は容易に司馬さんの作家論(それは畢竟、人間司馬遼太郎を知るということ)を得ることができるのだ。

たとえばこうだ。
何故、司馬さんは歴史小説を書くのか。
それは『この国のかたち』に綴られた一文をもって知る事ができる。

「私は、日本史は世界でも第一級の歴史だと思っている。」

創作の根源にあるのはその思いと司馬さんの情熱である。


「知的で無私で情熱的な持続力をもった面白がりが、たくさん居れば居るほど、その社会は上等-といえば語弊があるが-楽しくなる。」
~街道をゆく・耽羅紀行~

何より、司馬さんは歴史を書くことが楽しかったのだろう。
楽しいから出来た。そして情熱を持って書き続けた、そういうことだと思う。

代表作『竜馬がゆく』は、その楽しさと情熱が昇華してが生まれたわけだ。
幕末は、司馬さんのいう「面白がり」に枚挙の暇はない。雲霞の如く出てくる人物の中で、筆頭が竜馬であり西郷だ。
司馬さんのペンは紙面の中で、彼らを所狭しと動き回らせる。我々は嬉々として、その一言半句に心を躍らせるのである。

ここに司馬さんの人生観を知り、『竜馬がゆく』を理解する一文がある。
産経新聞からの孫引き(次代への名言~司馬さん遼なり~ 2012.5.1)である。

「司馬さんが《自分に課していた哲学》があった。《人間はいさぎよく生きて見苦しくなく死ねばいい》ことだった。」

司馬さんの竜馬と西郷に対する愛情を容易にはかることができるのだ。

「竜馬にいわせれば、自分の命にかかずらわっている男にろくな男はいないというのである。」
「どうせ死ぬ。死生のことを考えず事業のみを考え、たまたまその途中で死がやってくれば事業推進の姿勢のままで死ぬというのが竜馬の持論であった。」

~竜馬がゆく 近江路~

司馬さんと竜馬はつながる。


『竜馬がゆく 近江路』では、刺客の情報を得て中岡慎太郎は、竜馬に対し暫時身を移すよう進言する。しかし竜馬は拒絶するのだ。

「竜馬の一分がゆるさない。」

司馬さんは、竜馬の心境をそう綴る。
これは司馬さんの、竜馬に対する最大級の賛辞であると私は読んだ。

「生死は、天命にある。それだけのことだ。」

『竜馬がゆく』を、湧きあがる熱情の中で読みすすめた読者なら、きっと感涙にむせんだ一文であろう。
私はシビレた!


『竜馬がゆく』では、最後に、刺客に襲われ落命寸前の竜馬は、中岡をみて笑うのである。
それは

「澄んだ、太虚のようにあかるい微笑」

であったという。

私は、司馬さんという御仁にシビレそして惚れたのである。
20130212b

記念館の菜の花に想いを馳せ、今宵は司馬作品をつまみ食いしながら、司馬さんを偲びたいと思う。

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最終更新日  2014.02.13 05:56:53
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