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2011.02.08
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カテゴリ: 気になる本
川島博之「食の歴史と日本人」東洋経済新報社の副題が“「もったいない」はなぜ生まれたか?”となっているように・・・・




 日本人は「もったいない」をよく口にするが、これは不足しがちなものを大切に扱うことにつながり、地球環境問題の解決には好適と考えるが、それは戦略性に欠ける言葉にもなっている。ユーラシア大陸で放牧や牧畜を行ってきた人々は、安全に敏感にならざるを得なかったから常に戦略を考える必要があった。
 それに引き換え、日本人が行ってきた稲作において求められたものは、勤勉と「和を以て貴しとなす」精神であった。海外情勢など関係ないのである。これは内向きな精神につながる。
 そもそも、鎖国が約250年も続いたことは、そのような内向きな思考が、食の歴史が育てた日本人の性格によくマッチしていたためである。このように考えれば、「もったいない」が戦略性や、海外に飛躍する雄渾さに欠けた精神を表す言葉になっていることは明らかであろう。
 人口が過剰であると感じたとき、日本人とイギリス人がとった行動は大きく異なっていた。イギリス人は移民したが、日本人は「もったいない」精神でこれを乗り切ろうとした。その結果、日本人が移民の必要性に気がついたときには、世界は列強に分割されてしまっており、入植する余地はなくなっていた。そのために、「もったいない」という言葉を持たない英語は国際語になったが、「もったいない」を生んだ日本語が国際語になることはなかった。

 勤勉であり仲間と協力し合うが戦略性に欠ける点は、戦時において特に顕著に現れる。ノモンハン事件を、ソ連軍の司令官として戦ったジューコフ将軍は、日本軍の印象をスターリンに問われた際に「日本軍の下士官兵は頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である」と評したそうである。第2次世界大戦を日本軍と戦った連合軍の将軍たちは、日本軍に対してほぼ同様の感想を持ったとされる。
 この下士官兵が狂信的な頑強さで戦うことは、勤勉性や仲間意識の強さ、仲間はずれにされたくないこと、また村から出てきた青年が捕虜になった場合に、残された家族が村八分になる危険があったことなどから説明できると思う。
 一方、高級将校が無能であることは、情報や戦略を必要としない村社会に育ったエリートの宿命的な欠陥であろう。この傾向は、現代日本においても、多くの組織に引き継がれていると思う。

 本来、戦略を練り上げるには徹底した議論が必要となるが、徹底した議論は仲間を傷つけることになるため日本では好まれない。重要な決定もその場の空気が決めることが多い(山本七平 1983)。このように議論を嫌い場の雰囲気で物事を決めることは、稲作を行い島国に育った「もったいない」をよく口にする民族の基本的な性格である。

 現代の若者は、そのほとんどが稲作に従事したことがなく、核家族に育ち、村社会の因習に従う必要もなくなっている。また、テレビやインターネットなどを通じて海外の情報も豊富に持っており、合理的な思考になじんだ世代であると思っていた。
 しかし、近年、その若者の間で、場の雰囲気を読めない仲間を揶揄する言葉としてKY(空気が読めない)なる言葉が流行した。これに対して、筆者は大いに驚くとともに、少々落胆もした。稲作から遠く離れた世代においても、日本人の遺伝子は脈々と息づいているのである。


最近の若者のイメージは、空気を読みすぎる草食系とでもいうもので、行く末の景気の悪さが頭をよぎるが・・・・・
多少貧乏でもかまわないという感性は、良い悪いは別にして、中華の民なんかには想像の埒外でしょうね。






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Last updated  2011.02.08 12:40:58
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