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2011.12.12
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カテゴリ: 経済
COP17がすったもんだの末にやっと合意が得られたようです。
その評価は立場の数だけあるが、日本はよくやったと思うのである。
とりあえず、報道(共同、読売、産経)を見てみましょう。


12/11 環境団体は「不十分な合意」と批判 日米など名指しも 共同より
COP17の合意について環境保護団体は11日、ぎりぎりのところで決裂を免れたことを歓迎しながらも「不十分な合意で、政府は自分たちの市民の命を守ることに失敗した」(世界自然保護基金)と厳しく批判した。

 同基金は「交渉官は最終盤の最も重要な時間を文書中のわずかな言葉の交渉に費やし、行動が伴わなかった」と指摘。削減義務を負うことに否定的な米国、日本、ロシア、カナダを名指しで批判した。

 また、国際非政府組織(NGO)「オックスファム」のセリーヌ・シャルベリアさんも「米国、日本、カナダ、オーストラリアが交渉の足を引っ張ってダーバンを失望に終わらせた」とのコメントを発表。「政府が温暖化対策を強化しなければ、産業革命以降の気温上昇が4度にもなるという破局的な事態を招く」と警告した。



12/11 中国は大国の責任を演出…COP17有利に、と 読売より
 国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)で、中国は2020年以降の削減義務に言及するなど、「地球規模の問題への責任ある態度」を示すことに腐心した。今後、新たな枠組みを自国に有利なものとするため議論をリードしていく方針だ。

 中国代表団団長の解振華・国家発展改革委員会副主任はCOP17の期間中、20年以降の中国の削減義務について議論することに同意したほか、省エネ、再生エネルギー技術の普及と応用、発展途上国が必要とする能力構築のためのプロジェクト継続などを表明した。

 また、中国代表団は15年までに独自の排出量取引制度を作ることも提案し、20年まで削減義務を負わなくても、温室効果ガスを自主的に削減していく姿勢をアピール。COP17に参加していた民間活動団体(NGO)の間には、「中国の環境政策は米国より力強い」「米国は中国に比べてはるかに対応が遅れている」などの評価もあった。



12/11 閉幕 京都議定書5年延長 新枠組みは15年までに決定、18年発効も EUと新興国の妥協成立 産経より
 地球温暖化対策について協議する国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)は最終日から2日目にあたる11日早朝、京都議定書の5年間延長と、全ての国を対象とした新たな枠組みについて2015年までに合意することを柱とするダーバン宣言を採択した。新たな枠組みについては法的拘束力の強さについて欧州連合(EU)と新興国の間に対立があったが、11日未明の非公式閣僚級会合で妥協が成立した。新枠組みの発効時期は明示されず、議定書延長終了後の18年発効の可能性を残した。

 ダーバン宣言は12年末で期限が切れる京都議定書を13年から17年までの5年間延長することを決定。参加する国に対して来年5月までに目標数値を提出するよう要請する。EUは延長に応じることを明言しており、13年以降に排出量削減のための法的拘束力がなくなる「空白期間」は回避される。

 一方、日本は延長には参加しない方針を維持するため、削減義務は課せられない。

 また、京都議定書に代わる新たな枠組みについては、新たな作業部会を設置したうえで15年までに内容を固める。新たな枠組みは先進国と新興国を含めた全ての国が対象。法的な位置づけは、議長案では「議定書または別の法律文書」との表現だったが、「議定書、別の法律文書または法的効果のある合意」と改められた。法的拘束力に反発する新興国に配慮したかたちで、先進国と新興国が同様の削減義務を負うかどうかはあいまいになった。



細野大臣が京都議定書離脱を表明して会議は紛糾したが・・・
EUが嫌がる正論を説いたのは、スカっとしました(TPPでもこんなふうに反対してほしいものだ)

日本をマイナス評価する国、団体があるにしても・・・・中国の譲歩が得られればそれだけでも前進ではないか、むしろ成功したと大使は思うのである。

会議の主目的は温室効果ガス削減であるが、その裏に南北問題、エネルギー戦略がからむ難しい会議である。
そのあたりを以下エントリーで見てみましょう。(たしかに難しいわ)

愚直に省エネの実績を積み、ボトムアップを志向する日本スタイルはEUのベクトルから少しずれているし、中国からは完全にずれているが・・・・


12/1 COP17を巡る諸外国の動向等について より
京都議定書は先進国のみに削減義務(と途上国支援義務)を課し、途上国には義務を課さないという意味で、途上国にとって都合の良い枠組みである。その長期固定化はG77+Chinaと呼ばれる途上国グループとしては当然の要求だろう。これは、先進国による途上国開発支援という、従来からの国連の「南北問題」の図式の固定化を意識したものだ。

 ただし、気候変動による災害リスクに晒されていると感じている島嶼国、最貧国は「本気で」地球規模の温室効果ガス(GHG)削減を期待しているのに対し、中国とインド、ブラジル、南アフリカの4カ国(BASIC諸国)は、自らの経済成長が今後世界のGHG増加のほとんどを占めるという実態があり、成長制約につながるような、いかなる削減義務も拒否する、つまりGHG排出増を制約させないという立場をとっている。

たとえ先進国が京都型の削減義務を負って努力をしても、BASIC諸国の経済成長による排出増加分はそれを遥かに上回ることが予想されている。GHGが温暖化の主要要因だとすれば、結局、先進国の削減義務だけでは温暖化は回避できない。災害被害を避けたい島嶼国や最貧国とは、本来、利害が対立するはずだ。それでも、交渉の場で協調姿勢がとられているのは、BASIC諸国が中国を中心にアフリカ諸国などへの経済援助などを通じて懐柔を図っているためといわれている。「先進国のみが義務を負い、先進国から途上国に資金を流す」という南北問題としての構図の演出に成功している。

米国内では温暖化問題の存在、あるいはGHGが温暖化の原因であることを信じる有権者の割合が半数を割っており、国内の温暖化対策も遅滞している。米国の排出キャップと排出権取引を規定した「米国クリーンエネルギー・安全保障法案(いわゆるワックスマン・マーキー法案)」は成立の可能性がなくなり、代案としてオバマ政権が目指した大気汚染防止法に基づく環境省(EPA)規制も実施が先送りされている。したがって、米国がコペンハーゲン合意で提出した、2020年までに2005年比17%削減という目標の実現が担保される国内制度は機能していない。

 加えて、過半数を制し下院を主導する共和党は、従来から国連プロセス懐疑主義(米国納税者の金が国連の巨大な官僚主義に無駄遣いされている)をとり、中国の経済成長による大国化(覇権)への警戒も強い。これが、中国と同じ立場の権利義務を求める背景ともなっている。

こうした各国の動きに対し、日本やカナダ、ロシアは世界排出量の26%しかカバーしない京都議定書の単純延長には一貫して反対している。すでに日本はCOPの事前協議の場で「包括的枠組みができるまで、各国がコペンハーゲン合意に基づく(自主的な)目標を掲げて削減努力をするべき」と提案した。

 日本は昨年のCOP16冒頭で「いかなる状況、条件下でも京都議定書の第2約束期間にはコミットしない」ことを宣言し、その後一貫して、その方針を貫いている。一方、コペンハーゲン合意で日本が提出した「条件付25%削減」目標については、「主要排出国が入った公平かつ実効性のある法的拘束力のある枠組みができれば」という前提条件がついている。

国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、日本のエネルギー起源CO2の総排出量は約10.9億t。25%削減とすると約2.7億t削減になるが、これは中国が2008年から1年間で増やしたCO2排出量約3.2億tでほぼ相殺されてしまう。つまり、日本が仮に莫大な国民負担をかけて10年間かけて年間排出量を25%削減したとしても、地球規模で見れば、その削減分は中国の1年間の排出増で帳消しとなってしまう。この事実は、日本国民も理解すべきである。

結局、温暖化問題を軸に「ゼロサムゲーム」のパイの取り合い、つまり「富の再配分」を目指したのがUNFCCC・COP交渉だった。日米欧3極ともに危機的な経済・財政問題に直面している現状下で、そもそも配分すべき富がなくなっているなか、配分どころではないというのが先進国の本音であり、新たな「配分」のための枠組みに合意できる可能性は、事実上「ない」というのが実態だろう。

日本政府が進めている「二国間オフセット制度」は、まさにこうしたボトムアップで自主的な省エネ、環境対策を進めるための政策提案となっている。一方、先進国の立場から見れば、途上国の経済発展に伴い資源・エネルギー価格が上昇することを見越して、省エネルギー技術の開発を推進・強化することが、経済的に合理的な戦略となる。

 こうしたボトムアップで個別技術的な対策によって、「2050年GHG半減」といった目標を達成できる保証はないが、排出増を確実に遅らせる効果は期待できる。1つのプロジェクトが実施されるごとに確実に進捗が期待でき、目標だけ掲げて何も実施されない場合より遥かに実効的である。

豊かな先進国においてすら、恒常的な補助金、高額の買取制度(FIT)で支援しなければ普及しない太陽光や風力といった現状の再生可能エネルギーが、自律的に化石燃料に代替していくことは考えられない。ましてや今後、膨大なエネルギー需要が発生する途上国において、そうした補助金前提の高価なエネルギーで供給を満たすことはありえない。

 したがって、石炭、天然ガスのコストを下回る、真に革新的で実用的なエネルギー技術を開発することこそが、温暖化対策のみならず人類に求められているのである。そうした革新エネルギー技術を人類が手にしたとき、化石燃料依存からはじめて自然体で脱却することが可能となり、議定書や条約に頼ることなくGHGによる温暖化リスクからもおのずと解放されることになる。







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Last updated  2011.12.12 11:32:17
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