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2016.01.31
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カテゴリ: 気になる本
図書館に予約していた『最終定理』という本をゲットしたのです。
神戸市の場合、副本4予約0とあれば3日ほどで、即ゲットとなるようです。
要するに、予約するには新刊本を外すのが狙い目のようです。



定理

アーサー・C・クラーク×フレデリク・ポール著、早川書房 、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
コロンボの大学に通う青年、ランジット・スーブラマニアンの熱烈な興味の対象は数学だった。なかでも夢中だったのはフェルマーの最終定理で、彼はその新たなる証明方法を日々追究していた。いっぽう宇宙の彼方では、超知性をもつ異星人たちが強力な破壊兵器を生み出す人類を憂い、地球へと艦隊を発進させていた…。巨匠アーサー・C.クラークが、フレデリック・ポールとともに自身の愛するものすべてを詰め込んだ遺作。

<大使寸評>
巨匠クラークの最後の長篇ということで、気になるわけです。

1940年代の核実験の閃光を感知した高度知生体(1.5倍族と呼ばれる)の存在が、なにやら実際にありそうな話なので・・・わりとリアルなSFである。

マグネトロン、宇宙エレベーター、イオンロケットなどの工学的知識、数学的知識、それからイオンロケットを駆使する高度知生体などをちりばめた、いかにもハードSFである。

こんな長編のハードSFを読むのは数十年ぶりであるが、それだけ暇になったということか。

<図書館予約:(1/23予約、1/28受取)>

rakuten 最終定理


巨匠クラークの語り口の片鱗を覚えておく意味で、一部を書き写しておきます。
p51~80
<4:40日間、データの洪水>
 最初にあの地球からのマイクロ波をそして核爆発のパルスをとらえたとき、マシン・ストアード(機械に蓄えられた者と呼ばれる種族)は、これはグランド・ギャラクティクスの興味をひくに違いないと考えた。そこで指示を待つことなく、ただちに惑星地球とその地表にあるものすべての探査を開始し、その結果を銀河系の一画の暗いエネルギー流に住むグランド・ギャラクティクスのもとに送信したのである。

 もちろんマシン・ストアードは、人類のさまざまな活動を見ても、いったいかれらが何をしようとしているのか、皆目見当がつかなかった。そのためには人類の言語を理解する必要があったのだが、その機会は訪れなかった。グランド・ギャラクティクスは、従属種族はみずからの言語以外のものは知らないほうがいいと考えていたのだ。それはそうだろう。従属種族同士が自由に話せるようになったら、なにをいいだすかわからないのだから。
 自分の写真が一閃の光となって恒星間空間をわたっていったと知ったら、ランジットもさぞ驚いたことだろう。だがこれは実際に起きたことなのだ。地球上の人類ひとり残らず、そしてほとんどすべての事物の写真が送られていた。マシン・ストアードは(全能とはいわないが)とにかく仕事熱心なのだ。
 そしてかれらは、グランド・ギャラクティクスがその熱心さを好ましく思ってくれるようにと願っていた。

 一方、新学年の初日、ランジットはベッドサイドのラジオに起こされるとベッドからとびだしてスイッチを切った。最初の講義の天文学概論(太陽系の地理)は、この先3年間の学生生活になにかしら興味深いものをもたらしてくれる最後の希望といえそうな科目だった。

(中略)
<5:水星からオールト雲へ>
 だからかれらはわざわざ、かれら自身の断片を分離させてワン・ポイント・ファイブズのもとに指示を伝達した。グランド・ギャラクティスはグランド・ギャラクティクスが指示伝達を決定したと同時に、その指示を受け取ったのだ。しかもワン・ポイント・ファイブズはどんな指示が下るか予想していて、実際に指示がきたときにはすでに行軍装備を完了させていた。

 ワン・ポイント・ファイブズに決行を遅らせる理由はない。侵略艦隊は発進準備を完了している。だからただちに発進した。

 いかにもワン・ポイント・ファイブズは完全に物質的な存在であるからして、光速のルールに縛られている。したがって艦隊が目的地に到着して好ましからざる種族を全滅させるまでに、人類にとってはざっと1世代ほどの時間がかかることになる。が、艦隊はすでにその途についていたのである。

(中略)
<7:そこにいくには>
 じつはワン・ポイント・ファイブズは、銀河系の知的従属種族のなかでもユニークな位置を占めていた。ありていにいえば、かれらはグランド・ギャラクティクスお抱えの殺し屋だ。

 なんとなく見ているだけの観察者には、かれらがそんな仕事にむいているとは思えないかもしれない。平均的なワン・ポイント・ファイブズの大きさは、シールドと人工器官をはずしてしまえば、地球の猫とさして変わらない。また、よほど注意深く観察していないかぎり、かれらの生身の姿を見ることはまず不可能だ。ワン・ポイント・ファイブズに欠かせない防護デヴァイスの体積は、かれらの肉体のちょうど半分ほどにもおよぶ(ワン・ポイント・ファイブズつまり1.5倍という名称はここからきている)が、どんな小さな部分も死活にかかわる絶対に必用なものばかりだ。


ランジットがイエメン人海賊が乗っ取ったクルーザーの乗客となったあたりから、お話は俄然、暴力的に変わってくるわけです。
知的従属種族と国連の合同軍のような軍艦から攻撃を受けて、ランジットは海賊たちとともに捕まり・・・2年間も「特例拘置」されるのです。

なぜ主人公のランジットはスリランカ人だったのか・・・・
なぜなら、世界を救うパクス・ペル・フィデムの運営にあたる20人のメンバーを全員小さな島国の国家出身とするアーサー・C.クラークの優しい構想力のなせるものなのだろう。

ネタバレにもなるので、紹介はこのあたりまでとします。






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Last updated  2016.02.02 14:08:24
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