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2016.06.20
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カテゴリ: 中国
図書館で『「中国の夢」は100年たっても実現しない』という本を手にしたのです。
パラパラとめくってみると、米中という二大覇権国の闇を探っているようで・・・・
単なる嫌中本ではない、ピリッとした予感がする本でおます。



中国

山田順著、PHP研究所、2014年刊

<「BOOK」データベース>より
“人民目線”から見た不満と不安…。これでも「世界の成長センター」なのか?度重なる現地取材を通じて彼の国の悲惨な実態をリポート。

<読む前の大使寸評>
米中という二大覇権国の闇を探っているようで、単なる嫌中本ではない、ピリッとした予感がする本でおます。

rakuten 「中国の夢」は100年たっても実現しない


読みどころが多い本であるが、中国における反日教育のあたりを見てみましょう。
p168~171
反日映画・ドラマに洗脳された哀れな若者たち より
 私が思うに、私たちの世代の中国人は、子ども時代に大躍進運動で苦しめられ、さらに文革で吊るし上げられた記憶が生々しいので、反日感情はそれほどでもない。むしろ、北京を恨む、憎む感情のほうが強い。共産党の中枢にいて権力の旨味を味わってきた人間をのぞいて、北京を好きな人間は少ない。

 ただし、いまの若い世代、とくにバーリンホウ(80後:80年代生まれ)、ジュウリンホウ(90後:90年代生まれ)となると、反日教育を受けすぎていて、反日感情を強く感じるときがある。

 日本の漫画にはまっているような若者たちはそうでもないが、日本人をドラマや映画でしか知らないと、この傾向が強くなる。なにしろ、中国では大量の反日映画・ドラマがつくられていて、テレビをつければどこかのチャンネルで必ずやっているのだ。

 反日映画・ドラマのストーリーと登場人物は決まっている。日本人は軍服姿にサーベルをさげ、純真無垢の中国の農民を拷問にかけたり、惨殺したりするのである。まさに悪の権化で、それ以外の日本人は登場しない。日本の時代劇やアメリカの西部劇で悪役が決まっているように、中国の映画・ドラマでは、日本人が悪役と決まっているのだ。そして、悪役の日本人から民衆を守るのが日本軍と戦った八路軍や新四軍の兵士たちである。

 2013年、中国では、制作されたテレビドラマの約7割が戦争をテーマとしていて、当局は反日ドラマを69本、映画を100本認可している。第3章で述べたように、中国では映画やドラマはすべて当局によって検閲されるが、反日映画・ドラマだけはほとんどスルーである。だから、製作者は反日映画・ドラマばかりをつくる。

 反日映画の初期の代表作とされる1965年制作の『地道戦』は、これまでに約20億人が視聴したとされる。
 チャンイーモウ監督のデビュー作で国際的に高い評価を得た『紅いコーリャン』でも、日本軍の残虐非道ぶりは描かれている。主演のコン・リーは日本軍に殺されてしまうし、日本軍が村の肉屋に囚人の生皮をはがせるシーンがある。
 このような反日映画・ドラマばかりを子供のころから見せられてきたら、「日本=悪」というイメージになるに決まっている。

 しかも、いまや反日は、若者たちにとって受験勉強の一つだ。「柳条湖事件はいつ起こった?」に「1931年9月18日」と答え、「日本が不法に領有権を主張している東シナ海の島は?」に「釣魚島」と答えなければならない。

 しかし、それに正解して大学に行き、やっと卒業しても、まともな仕事に就けない。そうなると、自分のアイデンティティを祖国と同化させるしかなくなる。こうして彼らは、『新浪微博』(中国のマイクロブログ)などに、反日の書き込みをするようになる。

 このような中国の若者と、日本の「ネトウヨ」若者の背景とメンタリティは同じである。
 政府がいくら洗脳しようと、実際のところ、多くの中国人は日本が好きである。そうでなければ、これほど多くの中国人が日本に観光にやってこないだろう。いまは、銀座にしても浅草にしても、東京の街中を歩けば中国人観光客を見かけない日はない。
(中略)

 いまや、中国人観光客は、内需不振で景気の低迷を続ける日本にとって、上得意客である。実際、彼らのおカネの使い方は半端ではない。いまや、デパートの高級ブランド品は彼らの旺盛な消費に支えられていると言っていい。たとえば、タグホイヤーやパティック・フィリップなどの高級時計をまとめ買い、大人買いなのだ。

 中国人観光客を嫌う日本人は多い。なにしろマナーが悪いし、団体でやってきては大声でしゃべりまくる。しかし、これは約半世紀前に、海外旅行時代が訪れたとき、日本人が海外でしていたことである。

 だから彼らはまだその段階なのかと寛容になり、おカネを落としてくれるのだから、歓迎するしかない。それに、彼らは素直に日本のよさを認めてくれる。というか、実際に日本を見れば、認めざるを得なくなる。


ここで、著者の対米認識を見てみましょう。
p231~234
■「アメリカが弱体化している」は一時的な偽装
 政治学者や政治アナリストたちは、すでにオバマ大統領はレームダック化していると言う。実際、アメリカ国内での支持率も低迷している。しかも、最近の世界情勢は日ごとに混迷している。だから、「もはやアメリカは、世界をリードできないのではないか」と言い出している。この日本でも、そういうことをオームのように言う専門家が多くなった。

 たしかに最近のアメリカは、シリア」、ウクライナ、そしてイラクと、世界の紛争にまったくと言っていいほど介入しなくなった。その結果、シリアでは内乱が続き、ウクライナではマレーシア航空機が撃墜され、イラクではイスラム過激派が台頭し、イスラエルとパレスチナ間の軍事紛争も治まる気配がない。

 このアジアにおいても、中国の台頭が続き、ベトナム、フィリピン、そして日本との領土紛争が激化している。

 オバマ大統領自身も、2013年9月のシリア情勢悪化では武力行使をあっさり捨て、「アメリカは世界の警察官ではない」と言い切ってしまった。

 だから、ロシアのプーチン大統領も、中国の習近平主席も強気の姿勢を崩さない。

 しかし、アメリカの弱体化は本当なのか?わざとそう見せているだけで、現在は一時的な偽装ではないのか。私はそう思っている。なぜなら、アメリカの権力中枢は、アメリカが世界覇権を捨てることなど考えていないからだ。彼らはこれまで一度たりとも、そんなことをしようとしたことはない。

 現在のアメリカは、復活のために力を蓄えているだけに過ぎない。そのようにしか、私には見えない。

 なぜ、私がそう考えるのか?
 それは、現在、アメリカでは「シェールガス革命」「イノベーション革命」が大きく進展しているからだ。

 アメリカはいまも三つの強力な「武器」を持っている。一つは、いまだにどの国も勝てない強大な「軍事力」。もう一つが、世界経済をコントロールできる「エネルギー支配力」。三つ目が同じく世界経済を支配できる「イノベーション力」である。そして、これらを支える豊富な人材もある。

 このうちの「軍事力」は説明するまでもないので、「エネルギー支配力」と「イノベーション力」について述べてみたい。

■エネルギー輸入国から資源大国への大転換
 つい先頃まで、シェールガス革命には半信半疑の部分があった。私も「シェールガス革命」と思ってきた。しかし、最近のアメリカの動きを見ると、シェールガス革命は、どうやらホンモノではないかと思うようになった。

 ここで話は飛ぶが、日本がアメリカ相手に太平洋戦争に踏み切ったのは、アメリカから石油供給を止められたことが大きな原因であった。戦前の日本は、アメリカからの石油の供給がなければ成り立たない国家だった。

 つまり、戦前のアメリカはエネルギー輸出国だったのである。
 しかし、戦後、中東での石油開発が進み、安くて良質な原油が産出されるようになると、アメリカはエネルギー輸入国となり、それに伴い、中東を支配する必要に迫られた。こうして、アメリカは中東諸国に次々に介入し、石油をドルにペッグさせて、今日まで世界制覇を維持してきた。つまり、アメリカの世界支配にとって、中東は生命線だった。ちなみに、現在の日本も、石油の9割を中東からの輸入に頼っている。だから、中東は日本にとっても生命線である。

 ところが、この中東の石油を、シェールガス革命によって、アメリカが必要としなくなる可能性が高まってきた。もし、シェールガスが石油にとって代われば、アメリカは中東に権益を確保する必要はなくなる。イラクの親米政権を支える意味はなく、第5艦隊をバーレーンに置く意味もなくなる。

 安倍首相は、集団的自衛権の議論で「ホルムズ海峡での機雷掃海作業」を挙げた。しかし、それは湾岸戦争時代の発想で、もはや時代錯誤だ。アメリカがいなくなる中東が近い未来に出現するとしたら、まったく意味がなくなる。

 シェール層は、北米の全域に広がっていることが、最近までに確認されている。アメリカ、カナダのかなりの部分に、シェール層は広がり、そこに埋蔵されている石油や天然ガスは、アメリカのエネルギー消費量の100年分を超えるとまで言われ出している。

 となると、アメリカは世界最大のエネルギー輸入国から、資源大国に転換することになる。その分岐点は、遅くとも2020年には訪れるという。


『「中国の夢」は100年たっても実現しない』1






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Last updated  2016.06.20 10:31:03
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