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2017.01.10
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カテゴリ: 歴史
図書館で『民家造』という本を手にしたのです。
パラパラとめくると、カラー写真やモノクロ写真が多く、大使の好きなビジュアル本となっています。




民家

安藤邦広著、 学芸出版社、2009年刊

<みんなのレビュー>より
カラー写真や白黒の写真が思った以上に豊富。前半は「素材を生かす技」ということで民家に使われる素材(材木の使い方など)について、後半は「暮らしを映すかたち」というテーマで、暮らし方などが見えてくる内容になっています。

<読む前の大使寸評>
パラパラとめくると、カラー写真やモノクロ写真が多く、大使の好きなビジュアル本となっています。

rakuten 民家造


板の間のあたりを見てみましょう。神戸市にある箱木千年家も載っています。
p128~130
<板の間>
 板の間は地面から床を上げて、板張りとした床であり、このような地面から床を上げて暮らす形式は、夏の湿気から逃れるためであり、一般的に南方の文化に由来するものといえる。

 弥生時代に南方から稲作農耕が伝えられるとともに、日本列島の住まいに南方の居住様式が取り入れられる。南方の高床といえば人の背丈を超すほどの高床であり、これに匹敵する高床建築で日本に現存するものは、南西諸島の高倉などの穀倉に限られる。

 住まいとしての高床建築としては古墳時代の副葬品に描かれたものや埴輪にその形を確認できる。現存しているものとしては、奈良時代の寝殿造の遺構とされる法隆寺東院んお伝法堂が最も古い。しかしこの寝殿造の高床は数十センチの高さで、構造的にも高倉とは異なるので、高床と区別する意味で揚床または床上と呼ぶ場合もある。寝殿造はこの高床の板敷きに最大の特徴がある。

 民家の板の間はこの寝殿造の高床にその系譜を遡ることができる。現存する日本最古の民家である神戸市の箱木家住宅は室町時代の終り頃(15世紀)につくられたものとされる。この民家の接客空間は板の間で、庭に面した前側に設けられるので、前座敷型の間取りと呼ばれ、近畿地方の古い民家に共通する特徴となっている。

 座敷といっても接客空間という意味で、床が板張りであることに加え、壁も板壁、建具も板戸であり、板の間とは文字とおり板でつくられた部屋であることが理解できる。このような板材は、太くて質の良い材を楔で打ち割ってつくられ、縦挽き鋸のない時代の製材技術を考慮すると、板を用いることは最も高級な仕事であった。

 15世紀に製材法の革新によって民家の接客の場としての板の間をつくることが可能になる。それは貴族住宅の形式を取り入れて、その文化を受入れようとした民衆の願いの表れといえる。貴族文化の先進地域であった近畿地方で、いち早く接客空間として板の間を導入した民家形式ができあがったのである。

 一方、東日本の民家の板の間は江戸時代に入ってから導入され、土間に面した広間として吹き抜けの大空間を構成する。その中心に大きないろりを据えた、生活空間と接客空間が一体となったいわゆる広間型民家が形成される。

 西日本の前座敷型間取りが庭に面して接客空間を設けているのに対して、東日本の広間型民家が土間に面して接客の場を設けているのは、東日本の民家が土間を中心に構成され、その土座住まいの伝統の上に板の間が導入されたことを示している。

 江戸時代以降、前挽き大鋸(まえびきおが)の普及により木材資源に恵まれた東日本の板の間は、床の板張りや幅広い板を用いた帯戸に加えて、四角に製材された木材をふんだんに使った柱と梁の木組みが重厚で雄大な木造空間を構成し、民家建築の最大の見せ場をつくりあげている。


ウン 東西の民家の違いがよくわかる説明ですね。それから…
貴族文化の先進地域であった近畿地方というくだりが、なんとなく上方意識をくすぐるわけでおます♪





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Last updated  2017.01.10 00:06:01
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