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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. サイモンはルンルン気分だった。原油価格が鰻上りだったからだ。しかし、サイモンは2008年の轍は踏まないつもりでいた。あの時は冷や汗ものだった。 7月3日に最高値の145.29ドルを記録した後、原油価格は低下を始めたが、それでも7月14日には145.18ドルまで持ち直した。 しかし、その後が地獄だった。 17日には130ドルを割り、8月5日には120ドルを割った。その後もほぼ一貫して下げ、9月15日には、終に100ドルを割ってしまった。更に10月初めには90ドル割れとなり、その後はひどいもんだった。 11月11日には60ドル割れ、20日には50ドルを割った。それはサイモンにとって悪夢、いや、夢では無い。現実の針のムシロだった。 12月18日に40ドルを割った時には、このままだとさしものシルバーマン・サックスも崩壊するのではないかと思われた。生きた心地は無かった。 それから、OPECが市況建て直しのため、盛んに減産を繰り返した他には、これと言って、需給面での強気要因は皆無に近かった。 それを救ったのが、株高、ドル安の二大金融要因だった。OPECがいくら減産をしても原油は余剰で、世界的に石油在庫が膨らんではいたが、主としてアメリカ、ヨーロッパ各国政府の懸命な金融立て直し策が徐々に効いて、株価が回復をし始めたからだ。 リーマンなど主要投資銀行が破綻する中、シルバーマン・サックスは、ぎりぎりでその危機を凌いだ。大投資銀行の破綻、総崩れとなれば、アメリカだけではなく、世界経済が破綻してしまうから、アメリカ政府も懸命に税金を投入して救済に乗り出したからだ。 ダウ平均は2009年3月中旬には6600ドルを割り込んでいたが、6月中旬には8800ドル近くまで回復した。この間、原油価格は40ドル台から70ドル台へと回復した。 多くの同僚がシルバーマンから解雇され、去って行ったが、生き残ったサイモン達は必死で失地回復に挑んだ。その甲斐あって、大損を何とか最小限の損失に止めることが出来たが、それも、需給には何等変化が無いという厳しい背景の中で、株高を背景に原油価格が回復してくれたことが支えだった。 勿論、イブラヒム、アブドルアジズが協力してくれたことも強い支えになった。そんなことだったから、イブラヒムの正当だが身に沁みた皮肉も甘んじて受け入れた。 それがどうだ。今年は余裕だった。2008年の暴騰時という分けには行かないが、かなりのボーナスも戻った。それもこれも翻って考えれば、国民の税金投入のお蔭だと思っていた。サイモンはこの時ばかりは、アメリカ政府に深く食い込んでいたシルバーマンに居て良かったとつくづく思ったものだ。 嫌な思い出だ。サイモンは、原油先物の自動購入ボタンを押して自宅に戻ることにした。今晩は、嫌なことを思い出したりはしたが、一日当りの儲けでは、これまでにも無い利幅を得ることが出来るだろうと確信していた。 ニンマリとしながら、オフィスの扉を占め、愛車ベンツSLRスターリング・モスの待つ駐車場へと向かった。 人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月31日
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2010年07月31日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. しかし、リヤドでテロリストとの銃撃戦があって、多数の兵士が殺害されたことは既に世界中に報じられてしまった。世界の耳目はリヤドに注がれている。一体、世界最大の原油輸出国に何が起きたのか。詳細が分からないだけに、皆、不安な目でサウジを見ている。オサマとアハマドの引渡しの当事者となったキューバ政府は、引渡しに関連した事件であることは分かっていただけにいらいらが募っていた。サウジ政府からの迅速な連絡を心待ちしていた。報告に時間がかかれば、かかるほど、不安は増して行く。「キューバ政府に迷惑をかけてはいけない。沙漠のサソリが銃撃戦を引き起こし多くの兵士が犠牲になったが、我々としてはアハマドが無事引き渡されたことにしなければならない。アブドルアジズが何と言うか分からないが、とにかく、ここは百歩譲って、沙漠のサソリの思う通りにさせるしかないだろう」 サード国王は、スルタンの目の前で電話を取って、アンヘル・カストロ国家評議会議長と話し始めた。「議長閣下、ご心配をお掛け致しましたが、アハマドの引渡しは無事に終わりました。我々は、沙漠のサソリの思うように移動させます。彼等を拘束したり、ましてや殺害するようなことは決してありません。ご安心願います」 スルタンは、サードの英断に救われていた。これでスレイマンには当面お咎め無しだ。アブドルアジズがどう出ようが、サードが決めたことに逆らうことなど出来ない。 こんな時に、反サード色を出したりすれば、とんでもない結果になることは、頭の良いアブドルアジズのことだから、十分分かっている筈だ。 これで、アブドルアジズがアハマドを再拘束する道は閉ざされた。ましてや、月の欠片・スレイマンの逮捕や殺害などはもってのほかだ。 スルタンは、アブドルアジズがこの場にいないで良かったとつくづく思っていた。 アブドルアジズは地団太を踏んでいた。アハマド引渡しの指揮官から、スレイマン、アハマド達を見失ったとの連絡を受けていたのだ。これで勝負は付いたと思っていた。 アブドルアジズの負けだ。サード国王から徹底的に沙漠のサソリのアジトなどを捜索せよなどと言ってくることは考えられなかった。 スレイマン達が国境を越えて逃走しようとしてもなす術は無い。ヘリや船を攻撃することは出来ない。 ロンドンのサイモンは原油先物を買い漁っていた。そのせいもあって原油価格は終に一一〇ドルを超えた。この勢いなら一二〇ドルを超えるのも時間の問題だと思っていた。最後に買った原油は、一一〇ドルを超えていたから、一二〇ドルを超えても大した利益にはならないが、それでも買い増しした量が大きかったから、全体としては未曽有の儲けを齎す筈だ。サイモンは一二〇ドルに到達したところで、ほぼ全ての原油を手放すつもりでいた。 その後、リヤドからは何のニュースも出てこなかった。イブラヒムからも何の連絡も無い。あの大儲けをしそこなったイブラヒム。馬鹿な奴だとサイモンは呟いた。 人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月31日
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30日のNYMEX/WTIは、アメリカの景況指数の好転を主因として59セント高のバレル当り78.95ドルとなった。といつもの通り、いつもの一般的解説をまず紹介して、やれやれと思っている。 異常気象に、異常市場、誠に疲れる。水分補給、栄養補給をして、クーラーの効いたところでゆったりと過すより他はなさそうだ。しかし、異常気象にはそれで良いが、異常市場には対策が無い。 大きな怪我をしないように気を付けてもらうしかない。NYMEX/WTIは、寝際には、51セント安のバレル当り77.85ドルにまで上昇していたが、アメリカの動きが更にそれを上昇させた。じりじり、じわっと上げた。 昨年、今年と全体的に言えることだが、需給のファンダメンタルズを遊離した、おかしな状況が続く。何故、不当、不公正に高い価格で全世界の消費者が原油を買わなければならないのだ。 先物市場を監視するアメリカ政府には、もう少ししっかりして貰わなければいけない。とは言っても、アメリカは既に夏休みモードだ。政府も議会もゆったりだ。 59セント高で「暴騰」とはおかしいと言う人もいるだろうが、昨日は一時77ドル台の前半まで低下していたから、それからすれば1ドル以上の上昇だし、なによりも謂れの無い上昇だからだ。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月31日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. ブルーノは急に気分が晴れたが、はたと考えた。 今回の人質交換は、アメリカ政府と沙漠のサソリが主体だからそれで良いのかも知れないが、キューバ政府、サウジ政府が絡んでいる以上、政府間の連絡、合意が無いまま話を進める分けにはいかない。「バルキンド、実は、肝心のサウジ政府から何の連絡も無いのだ。我々はいつでもお前達の言う通りに話を進める用意があるのだが、いま少しサウジ政府の返事を待たせてくれんか」「閣下、私どもはそれで一向に構いません。サウジ政府がどのような返事をしてくるのか楽しみです」 バルキンドは、スレイマン達がアブドルアジズの裏をかいて本部まで逃げ帰ったことを知っていた。キューバ政府はそれを聞いてどう判断するのか。仮にサウジ政府が逃げたスレイマン達を逃走犯として逮捕に向かうとすれば、キューバ政府はどうするのだろうか。自分達は、スレイマンがオサマを解放して良いと言っているのだから、それをそのままキューバ政府に伝えたまでだ。 あとは政府間で勝手に考えてくれと開き直っていた。「サウジ政府から返答があり次第、お前達に連絡する。私としてはサウジ政府がスムーズにことを運んでくれることを祈るばかりだ」 スルタンは久し振りにサード国王に謁見していた。サード国王は上機嫌でスルタンを迎えた。アラブ式の抱擁、キスはお決まりのスタイルだが、スルタンは、サードの温かみを感じていた。「シェイク・スルタン、元気そうでなによりだ。アブドルアジズからシェイク・イスマイルも元気だと聞いている。結構なことだ」 サードは、アブドルアジズからカラム、カシムのアブドルアジズ邸襲撃、カラムとの果し合い、殺害の話も聞いている筈だ。しかし、その話がサードから出ることは無かった。「それで、アブドルアジズからはシェイクがアハマド引渡しの際に起きた銃撃戦、スレイマン、アハマドの逃亡について説明してくれると聞いていたが」「はあ、アブドルアジズ殿下は私に十分に説明するようにと仰いました」 スルタンは、ファイサルファウンデーションで起きたことを、そのまま報告、説明をした。サードは訝しげに聞いていたが、おもむろに喋った。「そうか。そうか。スレイマン、アハマドは逃走したのか。一体何故だ。シェイクは、何かご存知か」 サードもスルタン同様、スレイマンの行動の真意が分からなかった。サードは、アブドルアジズがスレイマン達をこの機会に一網打尽に捕まえようとしていたことも全く知らないのだから無理もない。それは勿論、サード国王の指示では無かった。全てアブドルアジズの一存だ。「いえ、申し訳ありませんが、何も知りません。私もスレイマン達と一緒にいたのですが、私には、一切、今日のことを知らされてはおりませんでした」「ふ~む。シェイクは沙漠のサソリとは違うのだから、それは止むを得ないことかも知れない。ひとまずキューバ政府にはアハマドの引渡しが行われたと言おうかと思っている」 人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月30日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved.人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月30日
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午後9時半過ぎに価格情報を覗いたら、原油価格が僅か上昇していた。アジア、ヨーロッパと軒並み株安、対ユーロ・ドル高という超弱気要因には変わりが無い。本当におかしな状況が続くものだ。 NYMEX/WTIは、51セント安のバレル当り77.85ドルにまで上昇した。夕方は68セント安のバレル当り77.68ドルだった。じりっ、じりっと不気味に値を上げてきている。 ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月30日
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午後6時頃、価格情報を覗いたら、原油価格が僅か低下していた。アジア、ヨーロッパと軒並み株安、対ユーロ・ドル高という超弱気要因にしては高い。昨日も書いたが、こんな形での非相関は全く逆だ。 株高、ドル安という二大金融要因で引っ張って来たのだから、その逆なら大幅に低下してしかるべきだろう。全くおかしい。全て、強気要因探しの一環でその時、その時に適当に強気探しと言った感がある。 困ったことだ。だから、本来需給からすれば40ドル程度だったのに、二大金融要因で80ドルまで引っ張って来れたのだ。今も、結局、株安、ドル高なのに、68セント安のバレル当り77.68ドルだった。 そんな馬鹿なと言ったところだ。昨日は、NYMEX/WTIが、対ユーロ・ドル安を最大の支えとして1.37ドル高のバレル当り78.36ドルまで上昇したのだから、少なくともそれくらいは下落すべきだろう。 どこかで不当、不公正なレジームが築かれているのではないだろうか?そんな輩が損をしようが得をしようが、カラスの勝手だが、それが一般消費者、経済全般に悪影響を及ぼすのだから堪らない。 ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月30日
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29日のNYMEX/WTIは、結局、対ユーロ・ドル安を最大の支えとして1.37ドル高のバレル当り78.36ドルとなった。と、またまた一般的解説をまず書いて呆れている。 二大金融要因のもう一つの雄、株価はヨーロッパ、アメリカ、そしてアジアと総崩れだった。それなのに、良く持ったものだ。こんな形での二大金融要因との非相関は望みたくない。 昨日寝際が、NYMEX/WTIが1.35ドル高のバレル当り78.34ドルだったから、それを更に超えてしまった。誠にひどい展開だ。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月30日
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寝際に価格情報を覗いたら、原油価格が急騰していた。株高、ドル安の二大金融要因の完全復活か?ここのところずっとそうだった。まず、疑似需給要因で高値に向かい。 実際の需給データで弱含むのを堪えると、そこから更に株高、ドル安の二大金融要因で上昇する。という繰り返しだった。こうしてジリジリと上げて来たのがここのところのパターンだった。 それで、弱気な需給データ、弱気の経済指標を耐え忍び、かわして更に高いところへ向かうというパターンだ。二大金融要因が効かず、需給データを正確に反映するという姿勢を見せつつ最低限のマイナスを凌いだ分けだ。 NYMEX/WTIは、1.35ドル高のバレル当り78.34ドルとなった。あ~あ、何と言うことだ。馬鹿馬鹿しい高さだ。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月29日
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2010年07月29日
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午後9時前に価格情報を覗いたら、原油価格が上昇していた。とは言え、当初は軟化、ロンドン市場が開けてから急上昇、急降下、そして現在の水準へと動いて来たようだ。 77ドルを挟んでの攻防と言ったところだ。ヨーロッパの株価が上昇して対ユーロでドル安なのだから、これまでからすれば圧倒的な強気要因だ。しかし、昨年、今年とこれまでリードして来たその動きに翳りが見える。 原油が余っていたのに、30ドル台から80ドル台まで上昇したのにほとほと疲れたというのであれば、良いが、どうもそうではなさそうだ。まだまだおかしな状況が続く。 何とかして原油価格を高値で維持したいという人々が必死で防戦をしていると言ったところか?しかし、世界経済に悪影響を及ぼすような、こんな不当、不公正がいつまで持つというのだろうか?ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月29日
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28日のNYMEX/WTIは、低迷するアメリカ経済指標、予想に反する原油在庫の大幅増を主因として51セント安のバレル当り76.99ドルになったと一般的解説を書いて、ほとほと呆れている。 需給緩和?そんなのは昨年、今年と常にそうだった。何を今更。それに何故、51セントなどという小幅な低下なんだ。本来であれば、50ドルでもおかしくないのに、未だに70ドル台後半に止まっているのだから。 それよりも、結局、ヨーロッパ、アメリカの株価が下がったことが効いたのだろう。ドルが対ユーロで弱含みだったことが、低下を小幅に止めたに過ぎない。またまた、株と為替の二大金融要因が頭を擡げているだけだ。 完全に需給のファンダメンタルズを遊離していると見た方が正しいだろう。それに原油在庫が増加したのは確かに大変な弱気要因だが、オイルアナリストは石油週報の中で需要が増加していることに注目するだろう。 石油需要は相変わらず低迷だが、ガソリン需要など石油需要は着実に増加した。日量2000万バレルの大台に復帰するのも目前と言った状況にある。とは言え70ドル後半の原油価格を正当化するものではないが。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月29日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. イブラヒムの耳にはサイモンの嘲笑がこびりついていた。-お前は儲けそこなったな まあ、しかし、良いや。一バレルで20ドルの儲けは決して悪くはない。イブラヒムは、自分自身にそう言い聞かせていた。 殿下には悪いことをしたのかも知れないが、殿下の場合にはいずれにしても大した金ではない。全てはした金じゃないか。そうも言い聞かせていた。 先物取引では、最低単位の一枚が1000バレルだから、一枚で二万ドルの儲け、10枚で20万ドル。普通の人間なら、これだけでも「まあ、しかし、良いや」の水準ではない。 殿下の取引量からすれば、そのほんの一部を売るだけで100万ドルの儲けだ。 しかし、確かに、サイモンのように貪欲なら、それが200万ドルに膨れ上がったかも知れない。地団太を踏んだ意味はあった。 イブラヒムは、先物市場で原油価格が110ドルへと近付いているのを横目に見ながら10枚程度を手当てした。 まあ、良いや。これで。120ドルを超えたら殿下のために売ることにしよう。 アブドルアジズは、イブラヒムがそんな気持ちで先物取引をしていることなど全く知らない。それどころではない。 スレイマン達を取り逃がした兵士達を叱咤して、リヤド郊外を徹底的に虱潰しに調べ上げて、アハマドを再拘束するよう指示を出した。スレイマンなど沙漠のサソリは殺害してもかまわないと怒鳴っていた。 「スルタン、ついさっき、携帯でサード国王に状況を説明した。兵士には連絡させてはいたが、直接詫びなければ申し訳ないのでな」 アブドルアジズは、スルタンがサード国王に近いことを知っていたので、まず、スルタンに、この状況を説明させようと考えていた。「それで、スルタン、済まんがな。この状況をサード国王に伝えてくれんか」 アブドルアジズは自分の失態を報告などしたくは無かったのだ。 スルタンは、それはアブドルアジズがするべきことだとは思ってはいたが、思っていたより早くサード国王に拝謁出来ることになったのは渡りに船だった。悪いことではない。 ブルーノ・キューバ国家評議会第一副議長は、重い気持ちでオサマ前大統領のいる部屋の扉を開けた。 すると、そこには、バルキンド達と談笑しているオサマの姿があった。意外だった。「ブルーノ副議長、たった今、私の携帯に統領から電話が入りました。アハマドを無事引き取ったとのことでした。もう既に本部に戻り、これから直ぐにサウジを脱出するとのことです」 ブルーノは意外な展開に声も出なかった。「早速、大統領をお引き渡ししたいのですが」人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月28日
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2010年07月28日
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午後4時半過ぎに価格情報を覗いたら、原油価格がじりじりとあげ始めていた。結局、アジアの株式市場が上げ、ロンドンにその勢いが持ち込まれようとしているからだろう。しかも、対ユーロでドル安になった。 またまた、株と為替の二大金融要因が頭を擡げた。懲りない面々だ。嬉嬉としたロンドンスズメの顔が見える。NYMEX/WTIは、5セント高のバレル当り77.55ドルとなった。やれやれだ。 全くひどいもんだ。完全に需給のファンダメンタルズを遊離している。昨夕発表となった民間の石油週報は無視だ。政府の石油週報は本当に原油在庫が減少するのだろうか? 日本時間だと本日午後11時半に速報版が発表となる。さて、どうなることやら。もともと、ガソリン、溜出油(軽油)は在庫積み増しになるのではないかとみれられているのにおかしな動きだ。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月28日
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27日のNYMEX/WTIは、アメリカの景況指数の悪化、ドル高を主因として1.48ドル安のバレル当り77.50ドルとなった。と書いて、またまたやれやれと思っている。 昨日は、ひどいもんで一時79.69ドルまで上昇したようで、80ドルまで薄皮一枚だった。需給を良く知るものは、何でそうなるのと首を捻っていたことだろう。本当におかしかった。それからは修正となる。 昨日も書いたが、需給からすれば、もっと安くて良いものがどうしてこれほど高値に止まっているのか?不思議だ。投機筋の心配してくれたハリケーンボニーも、結局、無事消え去ったではないか? この数週間いつも同じだが、週初に原油在庫減少の観測が出る。今回もそうだった。ところが、昨夕発表となった民間の石油週報は、原油、ガソリン、溜出油(軽油)の全てが在庫増となってしまった。 この発表を受けて、77.20ドルまで低下したようだったが、投機筋は、原油在庫減少を期待して政府発表を待っている状態だ。 しかしながら、今後は、やはり株、為替の二大金融要因の動きが原油価格の動きに強い影響を与えることだろう。と書いてやりきれない気持ちでいるが事実だから仕方がない。 一刻、早く正当な石油需給に根ざした先物市場が回復して欲しいと思っていても空しい。不当、不正など関係ない。少なくとも違法でなければ、何をしても良いというスタンスが改まらなければ何も始まらない。 ハイリスク、ハイリターンの美名の下に何が隠されているのか?やはり、実体経済に根ざした経済回復を待ちたいものなのだが・・・さて、どうなることやら。今後をじっくりと真摯に見詰めたい。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月28日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. これまでで最も原油価格の値動きの激しかったのは2008年9月22日(月)だった。終値ベースで前週末の104.55ドルから120.92ドルへと16.37ドルも値上がりした。この日は、最安値が103.35ドル、最高値が130ドルだったから、一日の内に26.65ドルも動いたことになる。サイモンは、この日を超える値動きがあるかもしれないと思っていた。 サウジ内の動きだけで、既に90ドル台へと突入していたが、これにキューバ周辺海域にアメリカの大艦隊が集結しているとCNNが報じて、これに輪をかけた。 昨年、今年と市場を引っ張ってきた株高、ドル安という二大金融要因、それにハリケーン・ガソリン・シーズンに入るという強い地合、IEAやOPECの需要見通しの上方修正、アメリカの原油在庫取崩しの予想と、もともと強気要因には事欠かなかったのだから、サイモンが囃し立てるのも無理はない。 何よりも、ぐんぐんと価格が上昇して行くのを、目の当たりにしたクライアント、投機筋の狂奔振りは凄まじかった。サイモンは嬉しい悲鳴をあげていた。ちょっと前まで資金不足で困っていたのが嘘のようだ。 「イブラヒム、どうだ。何か新しい情報はあるか」 電話の向こうでサイモンは上機嫌だった。「いや、何もない。さっきはホテル・ファイサリアの裏側で凄まじい銃声が暫く続いて、その後、爆発音が一つした。しかし、今は何事も無かったかのように静かになっている。街中にパトカーのサイレンの音が鳴り響いているだけだ」 ファイサリア・レジデンスの警備兵の緊張感は高まっていたが、他の兵士達が集まって来ている風でもない。「そうか。しかし、世界の不安は高まっているぞ。極秘情報を知っているものはほんの僅かだから、キューバ周辺海域に大艦隊が集結しているなどという情報が流されるともうパニック状態だ。オサマ前大統領が未だに解放されていない証左だ。サウジでアハマドが沙漠のサソリに引き渡されない以上、事態に進展は無い筈だ。何が起こったか分からないが、サウジのことだ。スレイマン、アハマドを拘束するかも知れん。そうなれば、オサマが解放されることは無いだろう。世界の不安はより一層高まるばかりだ。まあ、原油は買いだな。このまま100ドルを超えることは間違いがない。ことによったら120ドルくらいまで行くかも知れんぞ。最大の値動きを記録することになるぞ」 サイモンは一気に喋った。「そうか、しまったな。さっき、90ドルを越えたところで一バレル当り20ドルの儲けが出たので、殿下の原油を売ってしまった。俺のものも、それほどではなかったけど、売ってしまった。また、少し買い戻しておこうかな」「馬鹿だな。何でそんなことしたんだ。一刻も早く買い戻した方が良いぞ。俺はお前に前に言った通り、こうなる前に損切りしてしまっていたから、大急ぎで買い戻した。今は買い一色だ。お前は儲けそこなったな」 サイモンは、早口で喋ると直ぐに電話を切った。急いで更に買い増しをするつもりだったからだ。 やがて、原油価格はサイモンの言っていた通り100ドルを超えた。イブラヒムは地団太を踏んでいた。人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月27日
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2010年07月27日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. オサマ前大統領引き渡しの最高責任者であるブルーノ・ロドリゲス第一副議長は、アンヘル・カストロ国家評議会議長を通じてサウジアラビアのサード国王に情報提供を依頼していた。第一報は甚だ要領を得ないものだった。「ケネディ、私達は沙漠のサソリの味方をするわけではないが、仮にアメリカ政府が約束不履行をした場合には、オサマ前大統領を引き渡す分けには行かない。まだ、状況把握が出来ていないので、どちらとも判断出来ないでいる。もう少し事態を見守らざるを得ない」「閣下、仰っていることは良く分かります。私はアメリカ政府が一旦決めた以上、不履行などということは無い筈だと思っていますが、何しろサウジアラビアのことですから、思う通りに事態をコントロール出来ない可能性もあります。仕方がありません。しかし、閣下、貴国の周りには既に我が国の大艦隊が待機しております。ハイデン大統領やウィット二-補佐官がどのような判断をするかは分かりません」 ケネディは、ブルーノを脅すつもりなどは全く無かったし、脅しに乗るような政府で無いことは十分に承知していた。「ケネディ、その心配は無用だ。ハイデンもウィット二-も我々に対して何も出来はしない。今は、大国と言えども、国際社会の同意無しには何も出来ないのだ」 ブルーノは落ち着いていた。「しかし、万万が一、沙漠のサソリがオサマ前大統領に危害を加えるようなことがあれば・・・」「それを100%否定することは出来ないが、ここにいる沙漠のサソリ達は、言わば第二級の者達だ。自分達の判断では何も出来はしない」 確かに、ここにいる中では、幹部級はニューヨーク支部のファルーク・バルキンドくらいだった。場所柄、フロリダ支部のファルーク・フセイニ、アハマド、イザベルも来ていたが、スレイマン、サードの信頼が厚いとは思えない。「閣下の仰る通りかも知れませんが、仮に統領の月の欠片・スレイマンが殺害されたり、拘束されるようなことがあれば、彼等も何をするか分かりませんよ」「うん。そうかもしれんな。その意味ではオサマはライオンの檻に入っているようなものか」「閣下、是非、そんなことが無いようにお取り計らい願いたいですね」「ケネディ、わしにはそんなことは出来ない。お前が仮にというなら、わしも仮にと言わせてもらおう。仮にだ。サウジ政府が、これを機会にスレイマンを殺害したとしたら、わしは沙漠のサソリが何をしようが止めることは出来ん。いや、彼等から武器を取り上げている分けではないから、制止する前に殺害してしまうかもしれんて」 ブルーノもケネディを脅している分けではなかった。「閣下、申し訳ありませんでした。確かにそうですね。仮のことは話しても致し方ありません。一刻も早く、サウジ政府から正確な情報が届くのを、期待するより他ありませんね」 ケネディは、また、顔を曇らせ意気消沈していた。 ロンドンのサイモンは必死で原油を買い漁っていた。原油価格は見る見る内に上昇して行った。それを誰も止めることは出来ない。先物市場は火が着くと一気に燃え上がる。小さな事実が世界の資金を集めどんどんと増幅してしまうのだ。人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月27日
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午後4時過ぎに価格情報を覗いてみたら、原油価格が僅か低下していた。しかし、需給からすれば、もっと安くて良いものがどうしてこれほど高値に止まっているのか?不思議だ。 昨日も横ばい、今日も今のところ、僅かな低下だ。まあ、しかし、株高、ドル安の二大金融要因の中で上昇しなくなっただけ、ましというものだろうか?アジアは株安傾向だったが、ヨーロッパは高い。 さて、今日はどう動くのか?NYMEX/WTIは、僅か9セント安のバレル当り78.89ドルで膠着状態だ。しかし、高い。79ドル弱という水準は馬鹿高い。アメリカはまだガソリン・ハリケーン・シーズンだから? 今日は、アメリカで民間の石油週報が発表となる。明日は政府の石油週報の発表だ。この数週間は原油在庫が減少するという観測でまず上げるという展開だった。 発表になるまで待てない、待っていては遅いという気持ちは分かるが、そんなことで市場が動いているようでは、高止まりから抜けることは出来ない。これまでいかに観測、観測で価格が上昇したことか?困ったことだ。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月27日
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26日のNYMEX/WTIは、錯綜する強気、弱気要因に揉まれ、前日と同水準のバレル当り78.98ドルで終った。と書いて、ほとほと呆れている。相変わらず需給に基づかない金融要因で動いているということだ。 まあ、それでも、全面的株高、ドル安の中、よくぞ押さえ込まれたものだと思っている。以前なら、需給などお構いなしに上げたものだ。それだけ、今更だが、需給面では弱気ムードが支配しているということだろう。 投機筋は、頼みのハリケーン懸念が薄れ、在庫が減ると予想されても絶対水準が高く、需要が急増しないのだから、元気が無い。しかし、余剰気味の市場にしては、高止まりということには変わりがない。 ただし、アメリカの場合には、経済指標も実はまちまちだし、全体としては低迷と言って良い状態だった。それでも、株価は上昇してしまったというところだ。こちらもどこかおかしい。 今日も、株高を背景に、79ドル台に乗せた。一時は相当に噴いたが、今は少し落ち着いた。一体何を考えているのだろうか?今日は、アメリカで民間の石油週報が発表となる。終値には間に合わないが注目だ。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月27日
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2010年07月26日
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午後8時過ぎに価格情報を覗いたら、原油価格はジリッと下げていた。それでも、ハリケーン懸念が薄れ、余剰気味の市場にしては、高止まりだ。 ヨーロッパの株式市場が安くなったが、アジアの株式市場が堅調だったからこの辺りで止まっているのだろう。 NYMEX/WTIは、朝は18セント安の78.80ドルだったが、今は、67セント安の78.31ドルまで低下していた。しかし、このまま低下を続けるとは思えない。 ドルは対ユーロで低下気味になって来たので、これで株価が戻せば、昨年そして今年と同様、また上昇することになってしまうことだろう。困ったことだ。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月26日
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週明けの市場とは言っても、いつものことだが、まだ、アジアのことだ。ロンドンは1時半、ニューヨークは昨日曜日の午後8時半頃だ。価格情報を覗いたら、原油価格は先週末とほぼ同じだった。 NYMEX/WTIは、当初、午前9時頃には19セント安のバレル当り78.79ドルだったが、現在は18セント安の78.80ドルとほんの僅か上昇した。それでもさっきは78.86ドルまで上昇していたから低下したことになる。 30分間の内にこれだけの動きを示した。78.86ドルまで上昇したのは、ドルが対ユーロで当初高かったのが、安くなったためだろう。その後、僅か低下したが、アジアの株式市場が上昇し始めたことから、その影響を受けてまた上がるかもしれない。 いずれにしても、アジアの場合は株、為替の影響が強い。ロンドン、ニューヨークが動き出すまでは本格的動きは無い。 ところで、先週末、原油価格上昇の要因の一つとなったハリケーンボニーはどうなったのだろうか?どうも、大した影響は無さそうだ。ハリケーンの影響はこれからだということだから、あまり言いたくはないが、少し節操がないといえそうだ。 火事場泥棒のような動きは止め、ことがことだけに冷静に対応して欲しいものだ。とは言っても分かってやっている人には馬耳東風だろうが・・・ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月26日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. スルタンは意外な展開に驚いていた。スルタンはスレイマンと違って、アブドルアジズがアメリカ政府の言われた通り素直にスレイマン達を無事サウジから出国させるものと思っていた。現に、ファハド大通りには、護送用の車両が用意してあった。そこは、この階段を降りれば直ぐそこだ。 スレイマン達の行動が全く理解出来なかった。 アブドルアジズは、懸命に兵士達を指揮していた。「どうした。ファイサリア・タワーの警備兵は、スレイマン達が逃げるのを阻止出来たか」 警備兵と連絡をとっていた指揮官の顔色が変わった。警備兵が取り逃がしたと言って来ていたのを、そのまま伝えることが出来ないでいた。「どうした。一体どうしたのだ。あの連絡橋はファイサリア・モールに通じているのではないか。モスク側とモール側で簡単に挟み撃ちに出来たのではないか」 アブドルアジズは連絡橋があるのを知ってはいたが、使ったことなど無かった。途中からアルコザマセンターに抜けられることなど全く知らない。 すると、モスクの方角から爆発音が一つ聞こえた。それほど大きな音では無かったが、アブドルアジズ達は、急いでそこに伏した。「どうした。一体どうしたというのだ」 アブドルアジズは床に伏しながら怒鳴っていた。アブドルアジズはサウジのセキュリティは世界一だと思っていた。少なくともテロに対するセキュリティではその筈だ。「殿下、今の爆発音はモスクの屋上のテロリストが自爆した音らしいとのことです」 トランシーバーで連絡を受けた指揮官がアブドルアジズに伝えた。「なに~。自爆だと。どうしてそれが判る」「はあ、上からの銃声が途絶えましたので、兵士達がそう思ったようです。只今、屋上に駆け上がっているところでございますので、今暫くお待ち下さい」 確かに、モスクの屋上からは銃声が聞こえなくなった。その指揮官は屋上を見上げていた。「閣下、テロリスト達はファイサリア・モールの方には行かずに橋の途中でアルコザマセンターに入り、オレイヤ通りに停めてあった車両で逃走したとのことです」 その指揮官は青ざめながら、そう伝えた。「なに~。逃げた。それで、直ぐに追跡したんだろうな」 指揮官は盛んにファイサリア・タワーの警備兵、モスクの前の警備兵と連絡を取っていた。 ハバナでもCNNを通じて、リヤドの情報は伝わっていた。「リヤドで銃撃戦が行われた。我々は様子を見た方が良さそうだ」 キューバ政府の引渡しを担当している最高責任者はぼそっと言った。 ケネディ前大統領首席補佐官は、顔を曇らせた。既にオサマ前大統領は、この同じ建物の中にいるというのに、このまま引き渡しが行われないということになったら一大事だ。 ウィット二-主席補佐官達は、既にハイデン大統領の命を受けてカリブ海に大艦隊を配備している。一触即発だ。人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月25日
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2010年07月25日
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まだ、石油先物市場はお休みだ。それでも、刻一刻と取引開始に向かって動いている。先週末の動きからすれば投機筋はさぞや待ち遠しいことだろう。日本時間だと月曜日の午前7時に再開だ。 とは言っても、繰り返せば、その時には、まだアジア中心の参加者だ。従って、需給要因を伴った本格的な動きにはならない。それには、ロンドン、ニューヨークが開くのを待たなければならない。これは悲しいかな、まだ現実だ。やはり極東は遠い存在か? ただ、株式、為替はアジアも動く。欧米の好調をどのようにしてアジアに持ち込むか?円高環境の中では難しいことだろう。今のところ、日経平均は9400円程度、それに対しダウは1万400ドル程度、大分差がある。 日経平均が1万円、ダウが1万ドルがメルクマールとすれば、米国に軍配が上がっている。しかし、欧米も強気一色ではない。特に欧州については慎重な見方が蔓延っている。 それを投機筋はどうひっくり返すのか?とにかく、景気の良い話にしなければ話は進まない。健全な経済成長に支えられたバラ色の将来は未だに開けていないとは思っているが、投機筋はそんなことはお構い無しだ。 それでも、株や金は良いが、穀物、原油などは、歪な動きを反映されては困る。空騒ぎは勝手だが、一般経済、特に実態経済に悪影響を及ぼさない範囲でやって欲しいものだ。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月25日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. イブラヒムは、サイモンのように原油を売却することは無かった。アブドルアジズの分もいじってはいなかった。「サイモン。今からじゃ遅いかも知れないけど、また買ってみたら」「そうかもね」 イブラヒムが特に情報を入手している分けはないと判るとサイモンは慌てて電話を切った。きっと、直ぐに価格情報をチェックし始めたことだろう。 イブラヒムが価格情報をチェックした時には、既に原油価格は急騰していた。あっと言う間に70ドル台から80ドル台に入り、そして90ドル台へと突入していた。 NYMEX(ニューヨーク商業取引所)の原油先物取引では10ドル上昇するとリミッターが効いて取引が停止となるが、ほんの数分後には、このリミッターが解除され、また取引が始まってしまう。 10ドルの取引制限はあってないようなものだった。従って、今も既に20ドル近い上昇があっても何の問題も生じていない。急騰の原因は世界最大の原油輸出国・サウジアラビアでテロリストが銃撃戦を展開したという報道だった。とにかく、サウジアラビアの政治不安は、イランなど比較にならないほどのインパクトがある。 しかも、今回は兵士が血を流して横たわっている写真まで流された。何が起きたか分からなかったが、それが却って不安を高めた。 イブラヒムは、原油価格は直ぐに100ドルを超えるだろうと思っていた。アメリカでは、原油在庫が減少するのではないかという予測が出されていたから尚更だ。イブラヒムは、その原油在庫減少は、先週、ハリケーンの影響で原油輸入が減少したから当然の結果だし、まだまだ在庫水準は高いとは思っていたが、投機筋は、そうは考えない。何しろ、強気要因を探すのは天才的だ。 しかも、アメリカは、既にハリケーンシーズンに入った。俄かに、行け行けどんどんとなって来ていた。 スレイマン達は、必死でアルコザマセンター内を走っていた。全て、計画通りの行動だった。 ファイサリア・タワーの警備兵が連絡橋にかけ寄って来た時には、既に大王の香水師の店の前まで来ていた。胸の高さまである大きな香炉からはマーモールの煙が立ち上がり、辺りに芳香を漂わせていた。 その脇を走り抜ければ、直ぐに螺旋階段だ。三人はそこを一気に駆け抜ける。 オレイヤ通りに面した入口では、沙漠のサソリのメンバーが手を振って、螺旋階段を駆け下りてくる三人に合図をしていた。 ファイサリア・タワーから駆けつけた警備兵が、吹き抜けのかなた向うに見える入口に自動小銃を向けた時には、既に三人の姿は玄関前に停車していた車の中に消えていた。 また、銃撃しようにも、玄関付近は大勢の人でごった返していた。 その警備兵はトランシーバーで盛んに連絡をとってはいたが、その車が急発進して行くのをただ見送るだけだった。 人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月25日
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2010年07月24日
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石油先物市場はお休みに入った。日本時間だと月曜日の午前7時までは取引が無い。しかしながら、その時には、まだアジア中心の参加者だから、本格的な動きはロンドン、ニューヨークを待たなければならない。 ハリケーン・ボニーのお蔭で急騰した原油価格は、一体どうなるのか?本当にメキシコ湾の石油生産はボニーで大打撃を受けるのだろうか?ハリケーンシーズンに入ったのだから、影響を考えないわけにはいかないが、ハード、ソフト両面で大幅に改善されている筈の石油生産施設がそんなやすやすと大打撃を受けるとも思えない。 投機に踊らされる原油価格、そしてそれがいずれ消費者の負担となって跳ね返って来る。しかも、妥当な石油需給を背景にしている分けではない。困ったことだ。 ところで、ハリケーンの名前は人名であることは周知のことだ。アルファベット順に付けられているから、ボニーというのはまだ二つ目ということだ。2005年のカトリーナ、リタは大きな被害を与えたが、そこになるまではまだまだ間がある。 過去無数に発生したが、大被害を与えたのは数えるほどだった。まあ、しかしそうでなければ大変だ。また、毎年というわけではない。侮ってはいけないが、懸念、懸念も困りもんだ。 特に、それで原油価格が吊りあがったのでは救われないだはないか。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月24日
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23日のNYMEX/WTIは、株高の中だったが、ハリケーン・ボニーに対する慎重な見方、利益確定の売リを主因として32セント安のバレル当り78.98ドルとなった。といつもの通り、一般的解説を紹介してやれやれと思っている。 結局、昨日の寝際よりは上昇して終了したのだから、全く納得が行かない。寝際は、NYMEX/WTIが74セント安のバレル当り78.56ドルとなっていた。それでも、79ドルを割った心理的影響は強いか? 何とも恐ろしいくらい高い状態が続く。ドル高傾向になったことも、原油価格暴騰の頭を抑えたのだろうが、ひどいもんだ。煽られた不安で原油価格が暴騰してしまったのだから・・・こんなことを許しておいて良いのだろうか? 原油価格は、OPECが減産を続け、それでも原油が余剰だった昨年、今年と、石油需給上は全く合理化出来ない中、株高、ドル安という二大金融要因で30ドル台から80ドル台へと暴騰した。不当、不公正、そのものだ。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月24日
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寝際に価格情報を覗いたら、原油価格は低下していた。しかし、昨日の値上がりに比べれば微々たるものだ。NYMEX/WTIは、74セント安のバレル当り78.56ドルとなっていた。 何とも恐ろしいくらい高い。アジアは株式市場が活況だったが、ヨーロッパがミックス、そしてアメリカ株式市場が低下して、ドル高ということだから、そんなことなのだろう。 「原油価格暴騰」を支える需給のファンダメンタルズが見出せないことには変わりがない。それにしては、まだまだ高い。シティ+ウオールストリートのダブルすずめが相変わらず騒いでいるのだろう。困ったことだ。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月23日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. 直ぐに兵士の内の一人がトランシーバーでファイサリア・タワーの下にいる警護兵に連絡をとった。 激しい銃撃戦の音を聞いて、ホテル・ファイサリアとファイサル・ファウンデーションとの間の道は黒山の人だかりとなった。人々は何事が起こったのかと三階程度の高さの所にある、ファイサリア・ファウンデーションビルの前の踊り場を見上げていた。 モスクの入口もこの踊り場と同じ程度の高さだった。ファイサリア・モールへの連絡橋も大体同じ程度の高さだ。狙撃犯のいるモスクの屋上は大体六階程度の高さになる。やがて、兵士達が徐々に踊り場へと出て行った。 モスクの屋上の狙撃犯の数が、ごく少数だと分かったからだ。それでも、屋上の壁に隠れて断続的に狙撃して来るテロリストには手こずっていた。 ファイサリア・レジデンスのイブラヒムは銃声が響いたのでレジデンスの受付に連絡をしてみたが、受付も何が起こったか分からないということだった。それはいつものことだった。すると、またイブラヒムの携帯が鳴った。また、ロンドンのサイモンからだった。「イブラヒム。ファイサリア・ファウンデーションのビルの近くで銃撃戦が始まったらしいな。サウジの兵士達がファウンデーション・ビルの踊り場で次々と銃撃されて死んだとCNNが報道している。何かそっちで判ることはないか」 サイモンの声は受話器を少し離しても聞こえるくらいに大きかった。「サイモン、いつものことだが、こんなに近くにいるのに何のことが全く分からないという状態だ」 イブラヒムは正直に言わざるを得なかった。 そして、慌ててテレビのスイッチを入れて、CNNにチャンネルを合わせてみた。何と、そこには静止画像だったが、血を流して横たわっている兵士の姿が映し出されていた。一体誰が撮ったのだ。どうして沙漠のサソリと兵士との交戦だと分かったのか。イブラヒムはいつもながら訝しく思っていた。ストリンガーは地獄耳だ。「それでもアハマドの受け渡しの時に事件が起きたとは報道されてはいないんだね」 イブラヒムはサイモンに聞いた。「ああ、何が何だか分からないが、リヤドでテロリストと兵士達の間で銃撃戦が展開されたということだ。いずれ、アハマドの引渡しの話も出ることだろうがな。仮にアハマドかアブドルアジズが死んだなんてなると大変だ。キューバにも影響が出る可能性もある。アハマドが殺されたりしたら、オサマ大統領の引渡しが行われない可能性もある。場合によってはオサマ大統領が殺害されるかも知れん」 サイモンは混乱していた。「イブラヒム。しまったよ。俺は引渡しがスムーズに行われると思ったものだから、原油を急いで売却してしまった。こんな風にリヤドでテロリストが銃撃戦なんて報道がされると原油価格が暴騰するに違いない。もう既に上がっちゃったかも知れんぞ。参った。参った」 イブラヒムには、電話の向こうで、サイモンが地団太を踏んでいるのが良く分かった。人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月23日
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2010年07月23日
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22日のNYMEX/WTIは、株高、ドル安という二大金融要因、加えてアメリカのハリケーン懸念を主因として2.74ドル高のバレル当り79.30ドルとなった。と書いてほとほと呆れている。 昨晩も書いたが、このような「原油価格暴騰」を支える需給のファンダメンタルズは見出せないからだ。昨日午後8時頃、既に61セント高のバレル当り77.17ドルと77ドル台となっていたが、それを遥かに超える値上がりだ。 シティ+ウオールストリートのダブルすずめが騒いだ。ハリケーンはいつものことだ。懸念、懸念でまず上がる。その後、コースがそれたり、被害僅少で大幅下落というのが昨年の状況だった。 仮に、ハリケーンで大被害が発生したら、政府が国家戦略備蓄を放出するなどして対応する。それで、小売価格上昇などというのは国民が納得しないだろう。 火事場泥棒のようなぼろ儲けは考えない方が良いのだが・・ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月23日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. 「今日はご苦労。アハマドは無事そちらの思う通りのところに運ばせてもらうから、スレイマンに希望を聞いてくれるか」 アブドルアジズは、月の欠片・スレイマンと直接話しをするのではなくアルバハのシェイク家の総領・スルタンと話すのを選択した。「分かりました。それでは、聞いて参りましょう」 スルタンは、アハマドとアラブ式の抱擁を終えたばかりのスレイマンのところに行って、アブドルアジズの言ったことを伝えた。 スレイマンは、ちらっとアブドルアジズの方を見ると、軽く会釈をして、何やらスルタンに囁いた。スルタンは、にこっと笑うと、スレイマンのところを離れ、アブドルアジズのところに戻って来た。 アブドルアジズは、それを聞くと、スレイマンの方を見て頷いた。 アブドルアジズは、スルタンとともにファイサル・ファウンデーション・ビルの玄関へと向かった。 表の兵士達が自動小銃を握り締めて、列を成しているのが見えた。アブドルアジズの姿が玄関に見えると、兵士達は、一斉に敬礼をして銃を構え直した。 アブドルアジズは、その列の間をスルタンとともに歩き出した。兵士達は一様に緊張感を漂わせていた。 ファンデーションの玄関から本の形をした高いビルの間は僅かな距離だ。アブドルアジズとスルタンは既に兵士達の作った列の半分は通過した。 スレイマン、サード、アハマド達が続いて玄関を出た時には、アブドルアジズとスルタンは、ほぼ高いビルのエントランスに入ろうとしていた。 アブドルアジズがスルタンと談笑しながら、エントランスに入り、後ろを振り返った時だった。スレイマン達は急に向きを変え、モスクの方へと走り出した。あっと言う間のことだった。 ファウンデーションのビルに最も近い兵士がアハマド達を呼び戻そうと声を発したのと、モスクの屋上から、ダダダダッと機銃掃射の凄まじい音がしたのとは、ほぼ同時だった。銃声が響き、列を成していた兵士達は、モスクの屋上を見上げる暇も無く皆鮮血を噴出しながら、そこに倒れて行った。 アブドルアジズとスルタンはビルの入口に伏せた。ビルの中にいた警備兵が扉を占め、モスクの屋上に向かって銃を構えた。あっと言う間に、アブドルアジズの前には兵士が壁を作り、アブドルアジズを守った。「何をしている。わしは良い。それよりもスレイマンを追え。必ず捕まえろ。逃がすでないぞ」 アブドルアジズは必死に怒鳴った。 言われて、一人の警備兵が入口を飛び出した。 すると、モスクの屋上から銃声がして、その警備兵も血を噴出してそこに倒れた。今度は、数名の警備兵が表に飛び出して行った。モスクの屋上との交戦が始まった。 アブドルアジズには、スレイマン達がファイサリア・モールへの連絡橋を走って行くのが見えた。「直ぐにファイサリア・タワーの警備兵に連絡して連絡橋を封鎖させろ」 アブドルアジズは全身の力を振り絞って叫んだ。人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月22日
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2010年07月22日
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午後8時頃、価格情報を覗いて驚いた。これと言って強気要因は無い筈なのに、原油価格は急上昇していたのだ。NYMEX/WTIは、61セント高のバレル当り77.17ドルと77ドル台となった。やれやれだ。 東京株式市場は低迷していたが、ヨーロッパ株式が一斉に上昇したからだろう。原油価格もそれに連れた?ロンドンスズメが鳴き始めたのか?シティの投機家達はしたたかだ。 アメリカ市場にどのような仕掛をするのか思案中だろうと思う。ハリケーンに対する懸念も出した。メキシコ湾岸で大事故を起こしたBPは今や大変な苦境にある。ロンドンとしては必死で建て直しを図ることだろう。 大英帝国の象徴だったBPをやすやすと他の石油会社の支配下に置く分けには行かない。英国の威信が掛かっているとも言える。そのパフォーマンスに対する反省などない。ユニオンジャックは至高なのだ。 さて、それも含めてロンドンすずめがどう動くか?注目だ。シティのバンカー達の沽券に係わることでもある。原油価格暴落などとなったら、そんな彼等でもどうしようもないことになる。その意味でも必死だろう。くわばら、くわばら。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月22日
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21日のNYMEX/WTIは、アメリカ石油在庫の予想外の増加を主因として1.02ドル安のバレル当り76.56ドルとなった。と書いて本当にやれやれだ。猫の目のような相場展開にほとほと呆れている。 ところで、当方、昨日は、炎天下の下、飛び回り、ブログを落ち着いて書くことが出来なかった。いや~、本当に暑かった。まるで中東のようだ。くれぐれもご用心を! こんな時は、中東の人なら表など歩かない。日陰に座って、紅茶などを飲んでいる。ゆったりとした時を過すのは彼等の智慧だ。仕方なく飛び回っていながら、それを思った。それで、何とか生き長らえたのだろう。 さて、原油市場の変化はそれにも増してひどいもんだ。19日には、アメリカの株価上昇が効いて53セント高のバレル当り76.54ドルとなったと思ったら、20日は、先週同様、アメリカの石油在庫減少の観測で、続伸、77.44ドルまで上昇した。 それがたったの一日でこうなった。そもそもアメリカの石油需給は80ドル弱の原油価格を支えるような状況ではなかったのだから、何をかいわんやだが、こんなことで乱高下している現状には呆れる他はない。 相変わらずの株、為替の二大金融要因が根底にあって、それが原油価格を上げて来たのだが、それさえも、不透明性さが増した。投機筋の強気要因探しは懸命だ。 降って湧いたと言うか、これはここのところ、ずっとその可能性はあったわけだが、ハリケーン予想が頭を擡げた。ハリケーンの影響はソフト、ハード両面の大幅改善で本来限定的になっている筈だが、そうは見ない。 投機の悪影響を早期に改善しないと、つまらないことで相場が乱高下する状況が続くことになる。アメリカ政府の迅速な行動を期待したいものだ。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月22日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. サイモンは、オサマ大統領誘拐事件が、原油価格を高止まりさせて来た重要なジオポリティックス要因の一つと考えていた。誘拐されたきりだったから、市場は、連綿として不安を抱えていた。それが解放ということになれば、一挙に不安材料が払拭されてしまうではないか。「確かに」「おいおい。随分、暢気だな。今のところ、極秘情報にとどまっているから良いが、そのうち、きっと、どこかのメディアが嗅ぎつけるぞ。サウジにだってストリンガーが沢山いるんだから」 サイモンに言われるまでもなく、これまでもいち早く爆破テロ事件などが世界に報道されたことを経験している。イブラヒムがリヤドで何が起きたのか判らない内にCNNなどが事件をいち早く報じていた。リヤドに住んでいるものよりも外国の方が先に事件を知るというおかしな現象も起きていたくらいだ。「そうかもな」「おいおい。やだな。本当に。仮にだよ。そんな情報があったら、直ぐに連絡してもらわないと。大損を出してからじゃ遅いからな」 サイモンは仮にと言ってはみたが、イブラヒムが極秘情報を入手していた可能性は高いと思っていた。「済まん。サイモン。その情報は確かだ。殿下から以前に聞いていた」 イブラヒムは仕方なく、そう言った。「ええっ。それじゃ、直ぐに売り抜かないと。イブラヒム、勘弁してよ。こう言うことは早めに言ってもらわないと。まあ、でも、アブドルアジズ殿下から釘を刺されていたんだろうから仕方ないか。とにかく、今はお前に文句を言っている暇は無い。直ぐに行動を起こさないと。それじゃ、またな」 サイモンは俄かに忙しくなってあたふたとしていた。 ファイサリア・ファウンデーションのビルの一室では、月の欠片・スレイマン達とアハマドが顔を合わせていた。アハマドはいよいよもう直ぐ自由の身かと思うと、わくわくして来るのを堪え切れなかった。スレイマン達は、そんなアハマドの気持ちを察していた。スレイマン達とアハマドは、アラブ式の抱擁をしていた。アハマドの目には涙が溢れていた。アブドルアジズは、その光景を、もうすぐその全員を再拘束してやると思いながら眺めていた。「スルタン。久しぶりだな。元気そうじゃないか」 アブドラアジズは、スレイマン達とは一歩下がって立っていたスルタンに向かって言った。ここにスルタンとスレイマンが一緒に居ることに満足していた。もともと、アブドルアジズがスルタンにスレイマンの手助けをするように依頼していたので、スルタンがその言葉通りに、こうしてスレイマンと一緒にいるからだった。全てアブドルアジズの筋書き通りだ。沙漠のサソリの手助けをしたスルタンを拘束することには正当性がある。そうなれば、アルバハのシェイク家の未来はない。「お久し振りです。殿下もお元気そうで何よりです」アブドルアジズは、満足気に頷いた。 人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月21日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved.人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月21日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. 「しかし、キューバ政府も頑強でしたね。アメリカ大統領をいらいらとさせて平気なんですから。一体どんな神経を持っているんでしょうか」 時田は、ぼそっと隼人に言った。時田のような、無意識に大国の権威を信じている、朴訥な人間には全く理解出来ないことだった。「うん。しかし、キューバ政府の方針は、ケネディという沙漠のサソリの当初の交渉相手を尊重した、それなりに筋を通したものとも言える。それに、そのお蔭で、私達が、オサマ大統領の引渡しを受けるという重要な役割を担うことが出来た分けだからね」 隼人がそう言っているのを、頚木は頷きながら聞いていた。隼人、時田、頚木の三人は、ケネディに乞われてアンダーソン警部とともに、キューバ閣僚評議会のビルにいた。「警視。それはそうですが、その重責を担う我々としては、ちょっと心細いですね。相手が幾ら小国とは言え、何しろ、たったの五人だけですから、勝負になりません」 頚木は本当に心細そうだった。「まあ、それが先方の狙いでもあるんだろうね。我々は、何かあったら、ケネディ、それに何よりもオサマ大統領を死守しなければならない」 隼人は、そうは言ってはみたものの、自分達は、キューバ政府の掌の内にあることは正確に認識していた。必死で抵抗したところで、握り潰そうと思えば、いとも簡単なことだ。 隼人達は、キューバ政府が、約束通り、スムーズに引き渡しを進めてくれることを祈っていた。それには、アハマドの引渡しが問題無く、進められることが前提になる。「警視。こちらで何かあるとは思えませんが、リヤドで何も無いと良いですね」 頚木は、遠くリヤドの空を想っていた。「そうだね。そろそろ引き渡し時刻も近付いて来た。今頃、リヤドではマグレブのお祈りが終る頃だ」 イブラヒムは、ファイサリア・レジデンスの自室から相変わらず外を覗っていた。アブドルアジズからは、アハマドの引渡しに来ると聞いてはいたが、どうも、それにしてはものものしい動きだと訝しく思っていた。アブドルアジズが来るというだけでも警備は厳重だが、訪問先がファイサリア・ファウンデーションということであれば、このファイサリア・レジデンスまでものものしい動きになるようなことは、これまでには無かった。 すると、イブラヒムの携帯が鳴った。サイモンからの電話だった。「どうした。サイモン。さっき話したばかりなのに」 イブラヒムは、悪い予感がした。「サイモン。大変な極秘情報を入手した。さっき、お前は何も言っていなかったけど、アブドルアジズから何か聞いていないか」「えっ。一体何のこと」 イブラヒムは、アハマドの引渡しの件だと直感的に思ったが、とぼけてみた。自分から言いだす分けには行かない。「オサマが、アハマドと交換で解放されると言うのだ」「そう・・・」「そんなことになれば、原油価格は暴落だぞ」人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月20日
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2010年07月20日
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19日のNYMEX/WTIは、結局、アメリカの株価上昇が効いて53セント高のバレル当り76.54ドルとなった。何だこれはと思っていたら、20日はようやく下降気味となった。 午後8時頃に価格情報を覗いたら、76.44ドルへと低下していたのだ。それにしても高い。それに、これにはヨーロッパの株価低下が効いたのだろうが、これからニューヨークに中心が移り、また昨日のように上昇しないとも限らない。全く困ったものだ。 ここのところ、相変わらずの二大金融要因でじりじりと上げてきている。今日は、アメリカ石油統計が発表となる。しかし、その影響が出るのは明日の市場になることだろう。少なくとも終値には間に合わないからだ。 今日で8月渡しが終了し、明日からは9月渡しが期近物となる。ICE、PIWは既に、この9月渡しの相場を紹介している。ここのところ、ずっとコンタンゴ(先高)だから、当然のことながら一見上昇したように見える。要注意だ。因みに、この9月渡しは目下76.82ドルだ。 本来なら、ガソリン、ハリケーンシーズンが終了したタイミングでの引き取りになるから、バックワーデーション(先安)でも良いのだろうが、一向にそのような動きはない。これも珍現象だ。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月20日
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寝際に価格情報を覗いたら、原油価格は急上昇していた。一体何があったのか?ヨーロッパの株式市場は結局、迷走の末、安値で終った。しかし、アメリカの株価が急伸して始まった。 それからすれば、さっきの安値相場から一転急上昇したのは頷ける。ニューヨーク開場時に急伸していたのだから。加えて、ドルは対ユーロで安値だったから、ますます頷ける。二大金融要因の復活か? 午後9時半過ぎには、NYMEX/WTIが6セント安のバレル当り75.95ドルだったが、寝際には77セント高のバレル当り76.78ドルまで上昇していた。夜からは83セント高となる。さて、これからどうなるか?ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月19日
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日本は海の日でお休みだが、世界の市場は既に開いている。ロンドン株は上昇から始まった。ちょっと弱くなったとは言え、先週末よりは高い。それにドルは対ユーロで低下気味だ。それなのに、原油価格は低下を始めた。 午後9時半過ぎには、NYMEX/WTIが6セント安のバレル当り75.95ドルになっていた。僅かな低下だが、75ドルに首を突っ込んだというのは投機家には精神的プレッシャーを与えていることだろう。 これからニューヨークが開き、今週の石油在庫動向などが噂さにのぼることだろう。さて、どうなるか?ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月19日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved. イブラヒムは、何かおかしいと思い始めていた。アルカイダのサウジ支部・沙漠のサソリがこのファイサリアを攻撃するとでも言うのだろうか。これまでも沙漠のサソリがファイアリア・タワーを攻撃するという噂さは何度と無くあった。まさか、ファイサリア・レジデンスやホテル・ファイサリアということはないだろうなと、改めて警備兵の動きを追った。その素振りからすれば、ホテルやレジデンスではなさそうだった。ファイサリタワーということでもなさそうだった。イブラヒムは、訝しげに警備兵達の動きをもう一度追った。 何かおかしい。一体どうしたと言うのだ。 月の欠片・スレイマンは、サードともうじき実行となる脱走計画の確認をしていた。準備は万端だった。 狙撃を行う者達は、既に礼拝者達の間に紛れ込んでモスク内にいる。お祈りが終わり、皆が一斉に表に出るどさくさに紛れて一気に屋根に上る。 モスク内には武器を持っているものなどいないから、それは容易だ。 アル・コザマセンターの前には、既に逃走用の車が待機している。 あとは、スレイマン、サード、それにアハマドが飛び乗れば良いだけだ。飛び乗れば一気に本部に向かう。赤信号などは無視だ。サウジ人は、まるでスピード狂のように凄いスピードで走っているが、このファイサリア・モールの脇の信号ではさすがにスピードを落として運転しているので、衝突の危険性は低い。というよりも、そんなことを意識していては逃走など出来ない。正面衝突を恐れていては、逆走など出来ない。 アハマドはアブドルアジズに連れられて、既にファイサリア・ファウンデーション・ビルの中にいた。 目の前には、本の形をかたどったと言う高いビルがファハド大通りに面して聳え立っている。このビルから、ファハド大通りに掛けては、無数の兵士が警護にあたっていた。蟻をも通さない厳重な警備だった。しかし、スレイマンの予想した通り、裏のモスク側の警備は手薄だった。ファウンデーションのビルから本をかたどったビルまでの間には、自動小銃を持った兵士達が列をなしていたが、ファハド大通り側に比べればその数は少ない。 スレイマン達は、アハマドの引き渡しが行われる、ファウンデーション・ビルには、ファハド大通りから本をかたどったビルを通って、入って行く。 ハバナでは、オサマ前大統領がじっと解放されるのを待っていた。ケネディ前主席補佐官、隼人、時田、頚木、それにニューヨーク市警のアンダーソン警部が引き取りのために、ハバナに来ていた。 キューバ政府は、現大統領のハイデン、それにその命を受けたウィット二-補佐官の交渉には一切応じなかった。アメリカ政府の艦隊は、遠巻きに引き渡しを見詰めざるを得ない。ハイデンは怒り心頭に達していたが、そんなことには一向に頓着しないのがキューバ政府だった。人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月19日
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この作品はフィクションであり実在の人物団体等とは一切関係ありません。Copyright(C) 2008-2010 Kazuo KAWAHARA All rights reserved.人気ブログランキングに参加しています。クリックのほどよろしく
2010年07月19日
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リビア関連の黒い霧については、前に書いた通りだ。次に原油流出事故だが、良からぬ噂が絶えない。最初の天然ガスの漏洩爆発事故だが、関係者が警告を発していたのが無視された結果だという情報がある。 BPの安全基準違反件数はエクソンモービルに比べて圧倒的に多いという尾鰭まで、いや事実まで報道されている。リビアの黒い霧事件でオバマ大統領が極めて不愉快だと怒りを顕にしていた程度では済まされない。 本件のお蔭で、原油開発コストが大幅に増加して原油価格が上昇するなどというアナリストが多発している状況では特にそうだ。しかし、これについては慎重に見る必要がありそうだ。 そもそも、そう言っている割には、現在の原油開発コストがどの程度で、今回の事故でどの程度コストが上昇するのかという客観的数字無しだ。これは困る。 数字無しならば、そんないい加減なことを言うなと批判を受けても仕方がないだろう。もともと沖合開発は開発コストが高い。しかし、原油価格が20ドル程度の時でさえ、促進されていたのではないか? そんなに開発コストのインフレが大きいのか?それにどうして原油価格が暴騰した時に国際石油資本は膨大な利益を上げることが出来たのか?その辺りを説明する必要があるだろう。 国際石油資本が、今回の事故により原油コストが増加して原油価格が上昇するというのは、まあ分かる。しかし、実際のコストを知らないアナリストが定性的にそんなことを言うのは問題だろう。 しっかりしたデータを出して欲しいものだ。それに、今回事故により沖合石油開発が滞り、原油供給量が中期的に大きな影響を受けるというアナリストもいる。しかし、これも定性的だ。 一体、どの程度の減少になるのか、明示するべきではないだろうか?そこを明瞭にしないでコメントするのは無責任だ。いや、不安だけを醸し出すことになりはしないか? 原油価格の上昇を招くようなコメントは慎重に出すべきだろう。投機筋の片棒を担ぐことになってしまってはまずいだろう。政府も不安を醸成するのは避けるべきだ。ブログ人気ランキングに参加しています。クリックよろしく アンケート、「100ドル原油時代はまた来るか?」に、ぜひ投票のほどを! http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=17487
2010年07月18日
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