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2019.05.27
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 濱口隆介 「寝ても覚めても」 シネ・リーブル神戸
​​​ 読んでから観るか、観てから読むか。​ 柴崎友香 の同名の小説が映画になりました。どちらかというと、ひいきの作家で、読んだことがある作品でしたが、内容の記憶はあいまいでした。​​​チラシをぼんやり見ていると、監督は 濱口竜介 、俳優は 東出昌大、唐田えりか と載っています。​​
「知らんなあ?」
 キャッチコピーはこんなふうに書かれています。​​​​
愛に逆らえない。
 ​違う名前、違うぬくもり、でも同じ顔。運命の人は二人いた。​
​ 
 ​というわけで読んでから観みました。
 エンドロールが流れていくのをぼんやり観ていると、 濱口竜介 という監督の名前もなにげなく流れていきました。名前を覚えたと思いました。これは、この監督の映画やなと思いました。
​​ 玄関のチャイムが鳴って、白いシャツの男が立っているシーンが終わりごろにあります。

​ ここまで映画は、なんとか原作をなぞってきていました。しかし、ここから、はっきりと原作のストーリーに別れを告げます。
 山陽新幹線 「のぞみ」 の車中、眠っている男の顔を見ながら叫び声をあげそうになる、主人公である ​朝子​
 岡山駅の長いプラットホームで、菓子パンで膨らんだ鞄を抱えて、西に向かって走り去る 「のぞみ」 を見送る ​朝子​ 。​

​ 小説にある、その二つのシーンが、映画でどう描かれているのか、ひそかに期待していました。​​
​​​​  でも、期待は見事に肩透かしを食ってしまいました。原作に描かれているシーンそのものがありませんでした。映画では ​朝子​ ​男​ も新幹線になんか乗らないのです。
 ​その代わりに、映画にはおそらく東北地方の海岸だと思いますが、巨大な防潮堤を見上げるシーンがあります。カメラは防潮堤を越えて海を映し出します。泡立つように打ち寄せる波と遠くまで暗い海が見えます。強い風に吹かれながら、海を見ている 朝子 の横顔がスクリーンに大きく映し出されるのです。​
 想像を絶する脅威を具現させた海がそこに広がっていて、防潮堤の上で女が海に向かって立っています。
「なんや、このシーンはなんや。なんなんや?」
濱口竜介 ​は​​一人の女をそこに立たせることで、小説と別れを告げたシーンでした。映画はこのシーンを光源にして主人公を映し出し始める印象でした。​
​​ ​​​​​ 長大な防潮堤の上には 朝子 (唐田えりか) がいます。不思議なことに、ぼくの目からは、じわじわと涙が流れはじめました。何故、涙が流れるのかわかりません。ただ、大根としかいいようのない女優ではなく、映画 「寝ても覚めても」 という物語の ​朝子​
​朝子​ 、安心して濡れた上着を脱ぐ ​朝子​ 、座っている ​朝子​ ​、次々と 朝子 が映しだされていきます。それは、小説で出会った、カメラを持った​ ​朝子​ ではありません。二人はとてもよく似ているのですが、やはり違うのです。で、ぼくは映画の ​朝子​ を見つめ続けていました。
 捨てられた猫や津波の被災者に心を寄せる ​朝子​ のシーンは、彼女の生き辛さの理由として心に残っていきます。だが、 「逆らえない愛」 とキャッチコピー化されるような行動の根拠としての説得力を読み取ることは出来ません。映像には、小説の印象に引き図られている頭をおいていってしまう飛躍があります。
 小説的なコンテクストをなぞろうすることをやめた映画が、一人の人間が本当のこと、譲れないことに執着する 「美しさ」 と、次の瞬間、何が起こるかわからない、何をしでかすかわからない 「今このとき」 「危うさ」 をシーンとして映し出してしまうことがありうるということを久々に実感した映画でした。
​ 主人公の輪郭を 「防潮堤から海を望むシーン」 を光源にして映し出そうとしているかに見える映画で、小説のちがった読み方を差し出された印象の作品でしたが、巨大な防潮堤とその向こうの海を主人公たちの暮らしの向こう側に描いてみせた、この若い監督を知ったのはうれしいことの一つでした。​

シネ・リーブル のある 朝日ビル を出て、南に向かって歩いた。向うは海。青空が広がっていた。 ​ポート・ターミナル には、とてつもなく大きな船が止まっていた。​​
​​​ ​​​ 監督 濱口竜介 原作 柴崎友香「寝ても覚めても」​
​​  脚本 田中幸子 濱口竜介 製作 横井正彦 ​​​​

  キャスト
    東出昌大(丸子亮平/鳥居麦 )
    唐田えりか(泉谷朝子)
瀬戸康史(串橋耕介 )
    山下リオ(鈴木マヤ )
    伊藤沙莉(島春代 )
2018 年 日本・フランス合作  119分 
  2018・09・19・シネリーブル神戸(no6)
​​​​​​​​​​​
​追記 2019・05・27​
 観てから半年たつ。不思議なことに「岡山駅で下車する朝子」という 柴﨑友香 の​ 原作 「寝ても覚めても」 ​に描かれたシーンが、確かにこの映画の中にあったような記憶がぼくの中にあって、繰り返し浮かんでくる。今回、元の文章を書き直そうと、いじっていて、一番困ったのがそのことだった。映画のシーンに小説のシーンを合成した記憶。
 ぼくの中に、そう 「したがる」 なにかがあるにちがいない。おそらくこの小説と映画が、交差するように、ぼくの意識をインスパイア―しているに違いない。 ゴダール が最新の映画 「イメージの本」 (クリックしてみてください) ​で言っていた、アーカイブということがしきりに浮かんでくるこの頃なのだが、自分の中の錯綜するアーカイブをどうしていくのか。これはこれで、結構スリリングな問いなのではないだろうか。
追記 2019・12・29
 この監督の 「ハッピーアワー」 を見た。神戸を舞台にした長い映画だった。いろんなことを考えさせられた。若い人たちへの期待と失望の両方を感じた。感想は題名をクリックしてくださいね。
​​​​ 追記2020・05・11
 記事を直していて、そういえば、一人二役の男性を演じていた 東出君 のスキャンダルを最近目にすることがあって笑った。「彼も大変だ」と シマクマ君 は思うのだが、 「馬鹿やん!」 というのが同居人の感想だった。 「うん、まあ、そうだけど・・・」
​追記2022・02・10
​​  濱口竜介監督 の​ 「ドライブ・マイ・カー」 ​という昨年公開された作品が、アメリカの アカデミー賞 の作品賞だかの選考対象としてノミネートされたことが話題になっています。公開された時に見ました。
ぼくの中では感想が揺れ続けている作品ですが 、まあ、そう言えるかどうかということは別にして「世界標準」の視点からどう評価されるのか興味があります。
 ここで感想を書いている 「寝ても覚めても」 以来、ずっと見続けています。映像に映し出される登場人物たち、生きている人間たちの向こう側に、何か大きなもの、遠い広がりを予感させる作品群なのですが、見終えると、どこか、なにか、納得のいかなさが残って気にかかり続けている監督です。​​​​​

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柴﨑って、こういう感じ。

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最終更新日  2023.12.27 23:51:37
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