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2020.01.17
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​別役実「台詞の風景」(白水 U ブックス)

​ ​​今でも、この本が新刊書店の棚にあるのかどうか、いささか心もとないのですが、面白いものは面白いということで案内しようと思います。
 劇作家の 別役実 さんの演劇コラム集 「台詞の風景」(白水社) です。もともとは朝日新聞に載せていたコラムだったようですが、 白水社 Uブックス というシリーズになっています。。​​​
​​​​  演劇が好きな方には 「劇場」で観る ということを唯一絶対化する人もいらっしゃるのですが、戯曲を読むのが大好きという方もいらっしゃる。友人で、一緒にナショナルシアターを見ることもある イリグチ君 という男がいますが、彼などはそのタイプで、学生のときから 「好きな読書は戯曲を読むこと。」 という人でした。まあ、そういう人もいらっしゃるわけです。
 とはいうものの、小説ならともかく、 「ト書き」 「セリフ」 が延々と続く映画のシナリオや戯曲を最初から最後まで読むのはちょっと、という人もいらっしゃるでしょう。そういう、ぼくのような横着な人にこの本はピッタリです。
 新書版見開き一頁の半分が有名な戯曲の 「極めつけのセリフ」 の紹介で、残りに 別役実 独特のひねりにみちた解説がついています。読了時間約 10 分で、 「ああ、あのお芝居!」 と懐かしく思いだしたり、 「これって、どんなお話?」 と、とりあえずググったりできるわけです。次に批評的解説があって、最後はちょっと笑える。​それが約 80 回経験できるというわけです。お疑いの方のために、ここで、ひとつ例を挙げてみますね。​​​​​

 目
 すなわちあの方は、妃の上衣を飾っていた、黄金づくりの留金を引き抜くなり、高くそれを振りかざして、御自分の両の目深く、真っ向から突き刺されたのです。こう叫びながら。
 「もはやお前たちは、この身に降りかかってきた数々の禍も、おれがみずから犯してきたもろもろの罪業も、見てくれるな。今より後、お前たちは暗闇の中にあれ。目にしてはならぬ人を見、知りたいと願っていた人を見分けることのできなかったお前たちは、もう誰の姿も見てはならぬ。」
 このような慨歎(なげかい)の言葉と共に一度ならず、いくたびもいくたびもあのかたは、手をふりかざしては両の目を突き刺し続けました。
(ソポクレス「オイディプス王」藤沢令夫訳 紀元前四百三十)​ ​​
 アポロンの神託通り、その父親を殺し、その母親を妻としてしまったオイディプスが、母親である妃の縊死を見届けた後、両目を指して自分自身を罰する場面である。もちろんこれは「報せの男」が「コロスの長」に報告している台詞であり、これが終わると同時に、「盲目となり、血にまみれたオイディプスが、従者に手を引かれて館の中よりよろめきつつ現れる」のである。
​ だれもがこのアポロンの神託について知っており、誰もがこれを避けようと試みながら、そのそれぞれの試みが逆にこの神託をまっとうさせるという、きわめて必然的な流れがここに凝縮されており、我々はほとんどここで息を飲む。人間の悲劇のドラマツルギーとして、これほど洗練され、しかも完成されたものは、ほかにないのではないかと思えるほどである。 ​(別役実「セリフの風景」​​
​ ​作品は エディプス・コンプレックス なんていう言葉でも知られているギリシア悲劇の傑作中の傑作ですが、その戯曲の簡にして要を得た解説です。これだけで、ちょっと 岩波文庫 を探し始めそうですが、モチロンこれで終る 別役さん ではありません。​​
 馬鹿な話だが私は、こうした外国の偉大な作品に接するたびに、「そのころわが国では、いったいどんなものを書いていたのかな」と思いながら、こちらの文化史の年表をつき合わせてみることにしている。しかし、このばあいはどうしようもない。いまだにどこにあるのかわからない邪馬台国よりも、ほぼ七百年も前のことであり、我々は先祖はそのころ、泥にまみれて縄文式土器をひねっていたのだ。 (別役実「セリフの風景」​​
​​ ね、笑うでしょ。 「ハー、やっぱりギリシアとか中国はちがうな。」 なんて、極東の島国の歴史の浅さを嘆き始める方もいらっしゃるかもしれませんが、でも、そこはそんなに突っ込まないで、さらりとこうです。​
そう考えてみると、以来演劇は実に多くの、作品を作り出しては来たものの、それほど進歩していないのかもしれない。 (別役実「セリフの風景」​​
​​​  ​で、最後に笑わせますね。さすが 別役さん 。うまいもんです。​
 ただ、ギリシア悲劇の最高傑作とされているこの作品も、当時の悲劇コンクールでは二等賞でしかなかったというから、評論家だけは、もうそのころからひどかったのだろう。 (別役実「セリフの風景」​​

​​ 本書では、きちんと数えてはいませんが、自作を含む 約八十作ほど の戯曲が俎上に載せられて、ご覧になったのように小粋に料理されています。
 ほとんどが 1990 年代 くらいまでの戦後の現代劇(だって本になったのが 1991 年ですから)で、 シェークスピア とか戦前のものは一つもありませんが、戦後紹介されたヨーロッパやアメリカのものはあります。紹介者が紹介者なので 「不条理系」 のお芝居も結構出てきます。
 ここではあえて劇作家の名前は出しませんが、その当時からしばらく演劇にはまったぼくには懐かしいライン・アップでした。皆さんにはいかがでしょうね?若い人は全く知らない人ばかりかもしれませんが、そこはあしからず。

​​追記2022・09・07
ナショナルシアター シネ・リーブル神戸 で上映されるようになりました。 神戸アートビレッジ の折り畳みイス劇場が気に入っていたぼくには、寂しい限りですが、大阪まで見に行くことを思えば大助かりです。
 先日、久しぶりに シェイクスピア を見ましたが、なんだかのれませんでした。別に、やっている映画館のせいではありませんが、いろんなことが変わっていくのが、ふとさみしいと思いました。帰ってきて、なんとなく演劇にはまっていたころの、 別役実 とか思い出しました。そういえば、彼だって亡くなって2年たつのですからねえ。
 まあ、そういうわけで、昔の記事を、少し修繕しました。
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最終更新日  2022.09.07 23:25:54
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