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岸田首相が来週のNATOの会議に出席することになり、韓国の新大統領も出席することから、場合によっては現地で日韓首脳会談が実現するかも知れない事態となっていることについて、朝日新聞政治部の安倍龍太郎記者は22日の同紙夕刊に、次のように書いている; 岸田文雄首相が韓国の新政権とどう向き合うのかが注目されている。「戦後最悪」と言われるまでに冷え込んだ日韓関係だが、関係改善に意欲を示す尹錫悦大統領の就任で、首相も首脳同士の対話に前向きになりつつあるのだろうか。 今月10日、シンガポールで行われたアジア安全保障会議。首相の講演後、記者団と立ったままやりとりする「ぶら下がり取材」で、私は質問をぶつけてみようと考えた。前日に、尹氏が月末にスペインで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の場で、首相との会談に意欲を示したからだ。 記者会見よりも、ぶら下がり取材のほうが首相の本音がにじむことがある。首相の手元には想定問答のペーパーはない。ただ、質問をよく考えておかなければ空振りになりかねない。 私は、首相が講演で日米韓の連携に触れたことを挙げ、「尹氏は対話に前向きだが、どう対応していくのか」と尋ねた。首相は、関係悪化の要因になっている徴用工問題などの解決が急務とする従来の考えを示し、「韓国側かいままでの政権であった事柄を踏まえ、どのような考え方を持っているのか、よく確認をしたいと思う」と続けた。 首相が考えながら話しているのがよく分かった。私を見たり、目を宙に向けたりしながら、独特のうなるような声で吐き出しだのが「よく確認をしたい」だった。新政権に期待しつつも、韓国側が懸案の改善策を示すべきだとの姿勢を変えていなかった。 2015年12月、慰安婦問題をめぐってソウルで日韓合意した日の夜を、ふと思い出した。当時外相だった首相が、記者団に囲まれて表情を緩めながらマッコリを口にしていた姿が目に焼き付いている。その後、「金字塔」だった合意が韓国によってほごにされた不信感は消えるはずがない。 自民党内には「政権が代わっても世論で動くのが韓国。首脳同士が会うのは早い」と否定的な声がある一方、これを関係改善のチャンスと捉える向きもある。 日本の首相として初めて出席するNATO首脳会議は参院選の期間中にある。対話を望む尹氏との向き合い方は、選挙の結果にも少なからず影響するだろう。仮に正式な会談が実現しなくても、尹氏と接触した際の何げないしぐさや表情にも首相の意思はにじむはずだ。北朝鮮の脅威が増す中で、首相はどう「実利」を得ようとしているのか。よく目を凝らしていきたい。 あべ・りゅうたろう 大分県出身。 1982年生まれ。長崎、熊本、京都の各総局で勤務。政治部では岸田外相番、菅官房長官番などを務めた。昨年12月から首相官邸担当。著書に「筧千佐子 60回の告白」(朝日新聞出版)。2022年6月22日 朝日新聞夕刊 5ページ 「日韓関係 首相はどう動く」から引用 この記事は、何点かの問題を含んでいると思われます。この記事は岸田首相が韓国の大統領との会談に意欲を示したからというので、もしからしたら首脳会談が実現するかも知れないように書いているが、岸田氏は首相就任以来、数々の「意欲」を示してはきたのだが、そのほとんどは「安倍政権下の悪政を糺す」というニュアンスを含む政策に対する「意欲」であったため、それをそのまま実行に移したのでは、世間に向かって「やっぱり安倍政権はダメだったんだ」という印象を与えることになる、そのような事態は自民党最大派閥の長である安倍晋三が許さん!ということで、あらゆる「意欲」は、単に示しただけで、何一つ実行に移された試しはありません。したがって、この度の日韓首脳会談への「意欲」も、単に示しただけであって、実現する目処はたっていないというのが実情なのではないでしょうか。 また、徴用工問題について、この記事は「ボールは韓国側にある」かのように書いているが、韓国側では司法府が既に結論を出しているのであって、訴えられた日本政府(または、企業)は民主主義のルールに則って判決を受け入れ、行動する以外に解決の道はありません。慰安婦問題も同じであり、この問題は日本政府が朝鮮を植民地支配していた時代に起きた事件であり、本来であれば日本政府の責任で対応するべきところ、図らずも韓国政府も協力していいというスタンスでいてくれただけでも日本政府にとっては有り難い所であるにも関わらず、「10億円出したんだから、あとはそっちの責任でやってくれ」という誠意のない態度では、解決するものも解決できないというの実態です。いずれにしても、安倍晋三が国会に議席を置く間は、日韓関係は歪んでいく一方であろうと思われます。
2022年06月30日
参議院選挙を翌月に控えて、私たちはどのような考えで選挙権の行使をするべきか、神戸女学院大学名誉教授で凱風館館長の内田樹氏は、12日の東京新聞に次のように書いている; 参院選が近づいたせいで周りが騒然としてきた。何人かの候補者たちから「推薦人」や「応援」を求められる。私は誰に頼まれても「いいですよ」とお答えすることにしている。そう聴いて「節操がない」と眉をひそめる方もいることだろう。でも、選挙というのはそれほど厳密なものであるべきではないと私は思っている。あの人にもあの人にも当選してほしい。それがたとえ同じ選挙区で競合していても、そう思う。 私はどの候補者についても政治的意見の完全な一致を求めない。私の政治的意見とかなり違っていても構わない。「私が個人的に暮らしやすい社会を作ってくれるかどうか」を基準にして私は選挙に臨むことにしている。極端なことを言えば、権力者が「内田に発言機会を与えない」「著書を発禁にする」「投獄する」というような命令を下した時に体を張って反対してくれそうな人であれば誰でもよいのである。 そもそも私にはどの政党の政策が「客観的に正しい」のかがわからない。外交や安全保障や経済について、私には政策の適否を判断できるほどの知識がない。知識経験豊かな専門家たちの意見が食い違うような論件について素人の私に判断がつくはずがない。 ◇ ◆ ◇ そういう場合には「正しい政策」の選択を諦める。代わりに「私にとって都合の良い政策」は何かを考える。「万人にとって正しい政策」や「科学的に正しい政策」を私は求めない。人間たちの営みは偶発的過ぎるし、世界の先行きは予見不能だからである。 でも、歴史を振り返ると、どういう政策が国を亡(ほろ)ぼすことになるのかはだいたいわかる。それは「わが国の本来の姿に戻る」ことをめざす政策である。わが国が「こんなありさま」になっているのは外部から異物が混入してきて社会を汚染したせいである。だから、その異物を検出し、排除すれば社会は「原初の清浄と活力」を回復するであるうというタイプの言説である。 ◇ ◆ ◇ このタイプの妄想を信じた人たちによってこれまでたくさんの人が殺され、多くの価値あるものが破壊された。いまウクライナでロシアがしていることも、新疆(しんきょう)ウイグルや香港で中国がしていることも、この「あるべき国の姿」幻想に駆動されているのだと私は思う。だから、これがいずれ両国の「亡国」の遠因になると私は思う。今は中口どちらの国民も権力者に圧倒的な支持を与えているけれども、国民ひとりひとりが「わが国はいかにあるべきか?」よりも「これがほんとうに私の暮らしたい社会なのか?」と自問する習慣があれば、今あるような国にはなっていないはずである。 だから私は「わが国の本然の姿はどうあるべきなのか」を論じない。そんなことを論じてもろくなことにはならないからである。それよりは「これがほんとうに私の暮らしたい社会なのか?」を問うようにしている。私は基本的人権が尊重され、市民的自由が守られる社会で暮らしたい。それだけである。国が貧しくてもいい、軍事的強国でなくてもいい。金があり、力があり、隣国から畏怖されているが、権力者におもねる以外に国民に生きる手立てがないような国では暮らしたくない。だから、「私が暮らしやすい社会」にしてくれそうな人なら誰でも私は応援する。2022年6月12日 東京新聞朝刊 11版 5ページ 「時代を読む-選挙では誰を応援するのか」から引用この記事は論旨が明快で、実に分かりやすい。そう言えば、150年ほど前の日本は封建制の徳川幕藩体制が行き詰まって、社会のあちこちにほころびが出始めた頃、「国学」などというものがもてはやされて、「わが国は本来、神様が杖で泥沼をかき混ぜているうちに日本列島が出来た」とか「神様の子孫が、実は天皇なので、天皇が国を治めるべきだ」などという言説が幅を利かせて、その後に出来上がった「憲法」では、立法司法行政の三権のほか、軍隊の統帥権というものも「神聖にしておかすへからず」の「大権」であるなどという、ろくでもない法体系になって、終に1945年の8月に「滅亡」したという苦い経験を、我々は持っている。ところが、そういう「民族の体験」すら、不勉強でろくに分かっていない安倍晋三議員のような輩は「日本を取り戻す」だのと愚言を吐いたりする。こういう議員は有害無益だから、次の衆院選では「落選運動」をやるべきではないかと思います。
2022年06月29日
東京の繁華街でヘイトスピーチを連発したレイシスト団体「日本第一党」について、12日の神奈川新聞は次のように報道している; レイシスト集団「日本第一党」幹部で参院選神奈川選挙区で立候補予定の萩山あゆみ氏が11日、東京・銀座で行った街宣でヘイトスピーチを連発した。抗議する外国人男性に向かって街宣車の上から「ガイジンはどっか行け」「日本の政治に口出すな」などと言い放った。 外国人という属性を理由に政治的意見を表明する権利を否定し、社会から排除する発言はヘイトスピーチに該当する。休日夕方、行楽客でにぎわう銀座の歩行者天国に、マイクの大音量で「ガイジン」の蔑称を繰り返し響かせ、政治団体とは程遠い差別主義者ぶりを自ら露呈していた。 萩山氏は演説中に通りがかった男性から「ファシスト!」と抗議され、激高。自転車で走り去る男性に「おいこら、クソガイジン」と悪罵を投げつけた。その後も「こういうやつが日本を駄目にする」「日本人がばかにされている」「ガイジンがのさばる」「だから白人は嫌いなんだ」と敵意をむき出しにし、脈絡もなく悪態をつき続けた。 同じく相模原市民で、参院選に比例代表で出馬予定の中村和弘幹事長は、その場で萩山氏の発言をとがめることはなかった。それどころか、男性や萩山氏の暴言を問題視して足を止めた別の男性に詰め寄り、「何を言っているんだ、何が気に入らないんだ」と声を荒らげる始末。嫌悪感もあらわにあきれ顔でスマートフォンを向け、動画を撮影する通行人の姿が見られた。 第一党は差別主義者の桜井誠氏が党首の差別扇動団体。参院選に10人を擁立するとしており、過去に候補者を立てた都知事選や衆院選と同様、選挙に名を借りたヘイトスピーチの横行が懸念されている。(石橋学)◆◆おことわり◆◆ 記事には差別的な文言がありますが、そのまま報道します。差別の実態を共有し、あらゆる差別を許さない社会をつくっていく一助にするためです。2022年6月12日 神奈川新聞朝刊 22ページ 「外国人にヘイト連発」から引用 日本第一党などと「政党」を装った差別主義の団体が、民主主義の観点から容認できない存在であるという認識を社会に定着させるために、上のような記事は必要だと思います。差別主義者の違法な行動を、その都度報道し「これは違法な行為なのだ」という認識を多くの市民が共有することによって、私たちは健全な社会を維持していくことが出来ると思います。また、このような報道によって、行政や立法に携わる人々が「今、どのような立法が必要か」という判断をする上でも、参考になると思います。
2022年06月28日
岸田政権が防衛費増額を公言しても、メディアがこれに反対を唱えない現状について、ジャーナリズム研究者の丸山重威氏は12日の「しんぶん赤旗」コラムに、次のように書いている; ロシアのウクライナ侵略に乗じ、岸田自公政権は、憲法9条改悪とともに「大軍拡」を声高に叫んでいます。 岸田文雄首相は5月の日米会談で米大統領に「防衛費の相当な増額」を約束。7日閣議決定の「骨太の方針」は、北大西洋条約機構(NATO)諸国の防衛費GDP(国内総生産)比2%以上との目標を例示、5年以内の防衛力抜本的強化を打ち出しました。 5月29日のNHKの「日曜討論」では-。与党の自民党はGDP比2%への増額を主張。公明党も「増額は避けて通れない」。各党とも「予算をしっかりつける」(日本維新の会)、「増額はやむをえない」(国民民主党)・・・。立憲民主党まで「増額の議論をすべきだ」と大合唱です。番組での反対は日本共産党の小池晃書記局長だけ。出席してない社民党は軍拡に反対です。 新聞社説も「朝日」(6月1日付)は「(日米会談の)首相の説明回避が目立った」「(財源が)参院選の争点にならないように口をつぐんでいるのだとしたら不誠実」。「毎日」(同3日付社説)も「冷静な議論が求められる」といいます。しかし両紙とも軍拡反対とは主張せず、「産経」(5月24日付)は日米の大軍拡の「約束を果たしてほしい」とあおります。 これでいいのでしょうか。日本がGDP比2%に防衛費を増やせば、「世界三位の『軍事大国』になり、戦後日本が歩んできた『平和国家の道』を大きく外れてしまう」(「東京」5月24日付)のは確かです。 TBS系「サンデーモーニング」でジャーナリストの青木理さんも「防衛費の増強は必要と思わない」と発言。5月30日のTBSラジオ「森本毅郎スタンバイ」では時事通信の山田恵資氏と森本氏が「立憲はもうはっきり防衛費増賛成」「反対する人は共産党に入れるしかない」とやりとりしたことも印象に残りました。(まるやま・しげたけ=ジャーナリズム研究者)2022年6月12日 「しんぶん赤旗」 日曜版 35ページ 「メディアをよむ-軍拡反対 なぜ言わない」から引用 私がまだ就職する前の学生だった70年代の初め頃は、訳知り顔のクラスメートが「日本を左側に引っ張っているのが、朝日、岩波、NHKだ」などと言っていたものでした。こういう風評が朝日新聞には足を引っ張られる材料になったのかどうか、その後発行部数が1000万部を達成したのは読売新聞で、朝日はそこまで行かなかったのではなかったかと思います。こういう世の中の動きは、誰もが見て知っているわけで、移り変わる社会の流れの中で、如何にして損をしないでうまく立ち回るか。どの新聞も、「私たちの社会が憲法の理想を実現して、より良い社会になるように」などと言う「建て前」は二の次で、「1円でも多く儲けるには、どう立ち回るか」という損得勘定が「第一」という世の中になってしまったのは、返す返すも残念なことと思います。
2022年06月27日
安倍議員が首相在任当時に公選法に抵触する違法な「桜を見る会・前夜祭」を開いたときに、サントリーがこれまた違法な「寄付」をした件について、市民団体がサントリーと安倍議員を告訴したと、11日の毎日新聞が報道している; 安倍晋三元首相の後援会が主催した「桜を見る会」の前夜祭にサントリーホールディングスが酒類を無償提供していた問題で、市民団体が10日、政治資金規正法違反の疑いで、サントリーの社員や安倍元首相と当時の公設第1秘書(62)ら計4人に対する告発状を東京地検に提出した。サントリーの社員については具体的に誰が関与したかは不明だとして「氏名不詳」とした。 サントリーは、2017~19年に東京都内のホテルで催された前夜祭にビールやウイスキーなど計382本(約45万円相当)を無償提供したことが判明している。市民団体は、この行為は後援会など「その他の政治団体」への寄付に当たり、同法が禁じていると主張。19年分の約15万円相当を公訴時効(3年)にかからないとして告発対象とした。また、安倍元首相と元秘書は後援会の会計責任者に、提供された酒類の金額を政治資金収支報告書に寄付として記入させず、監督を怠ったとしている。 告発状提出について、サントリーホールディングスは「コメントは差し控える」とし、安倍元首相の事務所は「収支報告書は(検察の)処分結果を踏まえ、訂正すべき点は適正に修正している」とコメントした。 桜を見る会の問題を巡っては、安倍元首相と元秘書が、会場となったホテルに支払う費用の不足分を補填したとして別の政治資金規正法違反などの疑いで刑事告発され、元秘書は20年に罰金100万円の略式命令が確定。安倍元首相は不起訴(容疑不十分)となっている。【二村祐士朗】2022年6月11日 毎日新聞朝刊 13版 22ページ 「酒無償提供で告発状」から引用 安倍議員に関わる違法行為は徹底的に追及するべきです。これがまた、どこか片田舎の市会議員レベルの事案であれば、メディアが大騒ぎするほどの意味もないかも知れませんが、いやしくも一国の総理大臣がしでかした事案ともなれば、国民のモラルが問われるのであり、特に民族のプライドを重んじる右派の人々には、事の重大性が理解されやすいのではないかと思います。参議院選挙の有無にかかわらず、しっかり追及するべきだと思います。
2022年06月26日
ロシア軍に侵略されているウクライナ政府が、侵略の不当性をアピールする公式ツイッターに「ヒトラー、ムソリーニ、昭和天皇」の顔写真を投稿したところ、日本政府が「不適切な投稿だ」とウクライナに抗議して削除させた件に疑問を呈する投書が、9日の朝日新聞に掲載された; ウクライナ政府の公式ツイッターと見られる投稿動画の中に「ファシズムとナチズムは1945年に敗北した」という文言とともに、ヒトラー、ムソリーニと昭和天皇の顔写真が並べられていたことに、日本政府が抗議した。4月の記者会見で磯崎仁彦官房副長官は、「同列に扱うということはまったく不適切であり、極めて遺憾」として、ウクライナ政府に対して直ちに削除するように申し入れたという。 この政府の対応に私は大きな疑問を抱いた。いうまでもなく大日本帝国憲法のもとでは、天皇は国の統治者、元首、そして陸海軍の統帥者であった。天皇自身の意思とは関係なく、まさしく日本を代表していたのである。日独伊三国同盟を結んでいた日本の昭和天皇が、ヒトラーやムソリーニと同列に扱われるのは、第2次世界大戦という状況下では当然のことだ。天皇個人の問題ではなく、国家の制度の問題なのである。 ツイッター動画は、歴史上の事実を述べたに過ぎない。にもかかわらず削除を求めた政府の対応には、歴史を認めようとしない意図が感じられた。過去をきちんと直視することの大切さを改めて考えさせられた。2022年6月9日 朝日新聞朝刊 13版S 12ページ 「声-ヒトラーと天皇 歴史を直視して」から引用 この投書は国際社会の常識に照らして、正論を述べていると思います。戦前の日本は現在のような民主的な国家ではなく、政府が気に入らない人間は警察が逮捕令状もなしに身体を拘束し拷問の挙げ句に殺害しても罪に問われないというファシズム国家であったことは事実であり、ヒトラーのドイツ、ムソリーニのイタリアと枢軸同盟を結んで連合国と戦争を戦ったのも、これまた事実であり、ウクライナ政府が投稿したツイッターに対し、日本政府が削除を要求する論理的根拠はありません。今は非常時で少しでも支援が欲しいウクライナ政府だから、今回の日本政府の不当な要求も飲まざるを得なかったのかも知れませんが、日本政府は醜態をさらしたと言うほかありません。
2022年06月25日
#Me Too運動に象徴されるように、今まで軽んじられてきた「女性の人権」を見直そうというのが世界の趨勢であるにも関わらず、そのような視点を著しく欠いた日本の政治家の言動について、文芸評論家の斎藤美奈子氏は8日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 『週刊文春』が報じた細田博之衆院議長のセクハラ疑惑は、どうして他社からの援護射撃的な続報が出ないのだろう。 この件のポイントは被害者が女性記者である点だ。2018年、『週刊新潮』が当時の福田淳一財務次官のセクハラを報じた際の被害者もテレビ局の女性記者で、しかしこの局は当初、記者の訴えを事実上退けていた。5月30日に地裁が市に損害賠償を命じた長崎市の幹部による性暴力事件(07年)も被害者は女性記者である。 細田氏の件を受けて各社は社内調査を行ったのか。『週刊文春』が大手新聞社やテレビ局など14社に送ったという社内調査に関する質問状の答えはどれも曖昧で、釈然としない思いが残る。 政治家の呆(あき)れた言動はこれにとどまらない。 西村康稔前コロナ担当相が自身の公式サイトに上げていた「世界美人図鑑」。日本維新の会・石井章参院議員の女性候補者に対する「顔で選んでくれれば一番」発言。同じく維新の会・馬場伸幸共同代表の「かわいいので(名前を)間違えた」発言。いずれも女性を鑑賞の対象としか見ていない証拠。個人の資質以上に右のような文化を許す社会の体質が、セクハラ事件の温床となる。 当事者として、報道各社は徹底調査すべきではなかろうか。不信任案の提出を第三者ぶって報じている場合じゃないと思うけど。(文芸評論家)2022年6月8日 東京新聞朝刊 11版 21ページ 「本音のコラム-もみ消さないで!」から引用 細田博之衆院議長と同じ自民党に所属する吉川赳議員の愚行が明らかになったときは、テレビが連日ワイドショーで取り上げて糾弾し、自民党幹部(?)も「参院選を前にして不始末は許されない」と厳しい態度で臨んだ結果、吉川議員は「離党」ということになった。しかし、細田議長については自民党が「音なしの構え」なので、メディアは「これは、うっかり問題視するととんだ災難を被る危険性がある」と判断したのか、それとも、国家の「三権の長」の一角を占める「大物」の方の言動については「下々の者が口出しするものではない」という、江戸時代以来の「日本の伝統」が災いしたのか、一切言及しないという態度は、日本のメディアの「後進性」を表している。メディアがこういう調子だから、国民は「失われた30年」が示すように日々国力が衰退しつつあるにも関わらず、「政治的な実績はまったく評価に値しないが、投票は自民党」という矛盾した投票行動をしている。
2022年06月24日
昨日の欄に引用した月刊「市民の意見」2022年6月1日号・阿部治正氏の記事の続きは、ウクライナ紛争終結の展望について次のように主張している;◆敵は国内にこそいる! この戦争の本質を最も端的に示すものこそ、侵略国ロシアの国内で起きた民衆の反戦闘争だ。そこにはロシアの労働者民衆の深層部で消えずに残っていた、領土や勢力圏をめぐる戦争においては「敵は国内にいる」という思想が見て取れる。第一次大戦のさなか、交戦国の兵士たちは大胆にも司令官の命令に背いて戦場で交歓しあったが、それは兵士たちが労働者や農民であったからだ。労働者や農民は、国のため閣下のために命を投げ出せと命じる自国の支配層よりも、敵国の兵士の中に自分たちの真の仲間がいる事実を知ったのだ。労働者の先進部分は、すでに極めて明確に、戦争の勝利よりもむしろ敗北を歓迎すべきこと、自国帝国主義の敗北のるつぼの中で新しい社会の建設を目指すべきとの確信を表明していた。 ウクライナにおいても事情は同様だ。伝えられるところでは、ウクライナ労働運動に力を持つアナルコサンジカリズム系の人々は戦争動員に非協力の姿勢を示し、あるいはそれと闘っている。社会主義的傾向を持つ労働者グループもゼレンスキー政権と闘っている。 他の欧州諸国もそうだ。欧州の労働者の左派はロシアの侵略を糾弾するとともにウクライナへの武器支援にも反対し、両国と欧州の労働者は連帯してそれぞれの国の支配層と闘おうと呼びかけている。その端的な表れが、イタリアの労働組合のウクライナへの武器輸送反対闘争であり、英国で150万人の公共サービス労働者を組織するユニゾン労働組合が打ち出した声明だ。声明は次のように述べる(※3)。 「恐ろしい状況にもかかわらず、私たちは国境を越えて労働者間の団結の構築を支持する。ウクライナとロシアの労働者は共通の利益を持っている」 「私たちは、ロシア軍を含む大規模な反戦運動の構築を支持する」 「私たちは、ウクライナの労働者がゼレンスキー政権から独立して行動し、独自の組織を構築し、独立した行動を取ることを支援する」※3 ウクライナに関するユニゾン労働組合全国 執行委員会の声明(https://www.stopwar.org.uk/.../unison-national-executive.../)◆労働者市民の闘いの方向 ウクライナ国旗を掲げる「平和運動」は仮にウクライナ国民への同情や義憤から出たものだとしても、容易にプーチン憎しの好戦論へと転化する危険性を孕む。平和を求める運動は、国と国、陣営と陣営の対立構図と決別し自国内の敵・世界の戦争勢力との真剣な「反戦闘争」に移っていかなければならない。 それは決して理念型の運動に先鋭化するという事ではない。反対に、現実社会のリアリズムに立ち返るという事だ。「部屋の中の象」から目を背けず、敵国の中にいる抑圧された仲間の存在を見、ともに連帯して闘う労働者の国際主義のリアリズムこそ重要だ。それのみが両国、両陣営の支配層の戦意を鈍らせることが出来、戦争終結の決定的な力ともなり得る。私たちは、戦争勢力をそのままにした停戦や和平は次のより大なる戦争のための息継ぎに過ぎないと、歴史の教訓を踏まえて主張する。もちろんその前段階において戦争勢力に抵抗し、その手足を縛り、自由に行動できなくさせる課題も重視する。 この稿の最初に指摘したように、この戦争は両国間、両国民間で戦われているかに架空されているが、実際には両国、両陣営の支配層による利権や権益や労働者への支配力を争う戦だ。だからこそ、この戦は支配層に対する被支配層の闘いに転化され、労働者市民の側の勝利によって止揚されなければ本当の終わりを迎えることはない。 各国の労働者の当面の目標は、運動がどのレベルから出発したかで、様々な形態と到達目標があり得る。マイナスから出発しての新たな団結の開始、中レベルから出発しての民衆の力量の大きな前進、比較的好調な水準から出発した国民なら政権の取り替え、そして社会経済体制の変革等々。それぞれの国や地域で可能な限りの労働者民衆側のエンパワメントの達成によって戦争を締めくくる。それが次なる闘いの橋頭堡となる。これが労働者の観点と展望だ。(あべ・はるまさ/流山市議会議員)2022年6月1日発行 「市民の意見」 191号 6ページ 「ウクライナ戦争の根本問題」から後半を引用 今どきは「ブルジョア」とか「プロレタリア」という用語は古いと感じられるせいか、上の記事では「支配層」「被支配層」という言葉を用いているのが印象的です。思い起こせば、ロシア革命も、第一次世界大戦というブルジョア同士の利害の対立が発端の戦争でしたが、ロシアでは革命が起きても西側のブルジョア階級は温存されたままだったために、すぐにまた第二次世界大戦になったという事実は、この記事の主張が正しいことを示しているように思われます。イギリスやイタリアの労働組合が、ウクライナへの武器輸送に抵抗しているというのは、「運動」としては小規模で、ウクライナ紛争を終結させる大きな力になるまでは、まだかなり時間がかかりそうですが、小さな運動を広げていく以外に真の解決はない、というのは「真実」であろうと思われます。
2022年06月23日
ウクライナ戦争とは、何が原因で始まった始まった戦争なのか、本当の理由について、市民団体が発行する機関紙「市民の意見」6月1日号に寄稿した千葉県流山市議会議員の阿部治正氏は、次のように主張している;◆果たして国と国、西側と東側との戦争なのか? 2月24日のロシアのウクライナへの軍事侵攻に世界は釘づけになった。以来TVや新聞各社はもっぱらロシアの無法と蛮行を糾弾し続ける。そこまで身を落とせない評論誌は、「客観性」や「バランス」を意識してか、歴史学や地政学や安全保障論や国際法などについてうんちくを語り、両国が抱える問題点の指摘もしている。 しかしそのいずれもが、この戦争を国対国、西側と東側の衝突と見なしているという点で違いはない。多少ともマシに見える評論でさえ、この戦争の真の背景や根底については、全くと言ってよいほど語らない。 最も重要な点は、「ウクライナに自由を」「ロシアに安全保障を」と叫ばれるとき、ウクライナにおいて、ロシアにおいて誰がそう主張しているのかという事だ。つまり「誰の自由」であり、「誰の安全保障」なのか。「国民」や「国家」を僭称(せんしょう)しつつ、自らの特殊な狭い利己的な利益を追求し、多くの人々の生活と命を犠牲にしようとしている者はいないかという事だ。 このことに気づくことは、本来なら難しいことではない。ある程度の社会経験を積んだ大人なら誰もが思い当たる社会認識、どこの国にも存在する経済界や政界や軍隊の中で権勢をふるう勢力こそが、おのれのエゴの追求の「自由」と「安全」を強烈に欲している主体であることの理解だ。しかしそれに気づきながら、「部屋の中の象」(皆が認識しているにもかかわらずあえて触れることを避けるタブ-)は見ないことにするのが主流メディアの習い性なのだ。◆両国の平時の社会経済体制はどうだったか? ロシアの社会経済を支配しているのは、ソ連の国家資本主義の時代の国有資本を引き継いだ新興財閥、原油・天然ガスなどの自然独占を基盤にした資本家、軍需産業などの国営企業の経営層、それと結びついたシロヴィキ(注:治安・国防関係の軍事エリート)たちだ。社会のごく一部に過ぎない勢力が、残りの圧倒的多数の人々を支配し搾取する体制だ。この体制の形成自体スムーズに実現できたわけではない。当初は西側が教示した国家資本主義から「普通の資本主義」への「改革」に挑戦し、ハイパーインフレに陥るなど混乱と辛酸を極めた。原油や天然ガスをテコにそこをやっと抜け出したロシア支配層は、だからこそこの体制をさらに盤石にしようと、またエゴも無法も世界に受け入れさせる米国を倣って、旧ソ連邦領域への支配力の復活に乗り出し始めた。 ウクライナの新興資本家たちはより遅れて国家資本の横領と自らの資本形成に乗り出した。古い産業構造のままロシアの市場と資本を当てに東側に留まるか、西側による構造調整要求と引き換えの借金に依存しつつやりくりをするかの選択で揺れた。大衆も巻き込んだオレンジ革命やマイダン革命と呼ばれる陰謀と暴力が渦巻く支配層間の党派闘争に明け暮れた。その中で白人至上主義の極右が権力に接近した。そして一連のごたごたの後に「反汚職」などを撒き餌に誕生したゼレンスキー政権は、IMFやEUからの借金政策の矛盾を、さらなる西側頼みと反ロシアのナショナリズム扇動で糊塗しようとした。 2020年に英国に入れ知恵されて、日本でいう労基法も労働安全衛生法も労組法も根こそぎにし、労働者の非正規化を劇的に進めることを狙った「労働奴隷制法」を国会に提出し、この戦争のさなかに強行可決した。このことほど、セレンスキー政権の真の性格とウクライナ社会の真実の姿をよく示すものはない(※1、※2)。報道ではウクライナでは国民各層が、ロシア憎しで団結しているかのようだが、この反労働者法への労働者の怒りだけを見ても、そんな挙国一致が不可能であることは明白だ。 ロシアの侵攻を「満州事変と同じ」と見なしてウクライナの民族的闘いを称揚する如き議論もあるが、現状を知らない者の言葉だ。両国間に力の大きな差はあるが、双方ともに独立した国民国家として立っており、ここには民族的課題はない。侵略をはねのけるための国民的課題は存在すると言えるが、それを解決できるのも労働者のイテンアチブ以外にない社会に、ウクライナはすでになっている。(つづく)※1 ウクライナの組合、反労働者的な労働法改革に反対(http://www.industriall.jp/news/indasutirall/571/)※2 労働者に対する戦争? 戒厳令下の労働規制の何か問題か (https:/commons.com.ua/.../sho-ne-tak-iz-regulyuvannyam.../)2022年6月1日発行 「市民の意見」 191号 6ページ 「ウクライナ戦争の根本問題」から前半を引用 プーチンの邪な野望のためにロシア軍に侵略されたウクライナは可哀相だという新聞やテレビばかり見ている者にとって、この記事は衝撃的である。このたびのウクライナ戦争は「プーチンの邪な野望」などという単純な理由で始まったものではなく、かつて共産党政権が管理していた国有財産を、資本主義的に分割するに当たって、隙を狙って分け前を分捕ろうとする欧米資本とそのような横暴は少しも許さないとする地元資本の闘いなのだ。だから、ゼレンスキーも国民の命など顧みることもなく、欧米に武器援助を求めるだけになっている。そのようなカラクリを理解したからには、この戦争はどのように終結されるべきか、という道筋も見えてくるのではないかと思います。
2022年06月22日
低賃金で労働者をこき使う引っ越し業界で、若手が立ち上がって労働組合を結成した事例について、5日の東京新聞は次のように報道している; 業務に見合わない低賃金や長時間勤務などの改善を求め、川崎市のサカイ引越センター宮前支社の若手従業員たちが、自ら労働組合を立ち上げて1年がたつ。執行委員長の大森陸さん(26)は、組合をつくったことによる差別や不利益への不安も抱えつつ、「社内外で応援してくれている人がいるので、結果を出したい。何かあれば、組合のホームページに相談を」と呼び掛けている。(竹谷直子) 労働組合を結成したのは、昨年5月。全員20代の従業員ら6人からのスタートだった。 大森さんは結婚を控えた2020年、働いていた引っ越し会社よりも大手のサカイに転職した。複数の現場を掛け持ちし、荷物の運搬を担っても、基本給はわずか6万円。繁忙期で120時間に上ることもある残業の改善も上司に交渉したが、進展しなかった。 当時サカイに労働組合はなく、「宮前支社だけの話ではない」と、同じ境遇で働く従業員に声を掛けた。 「夫が3~4時間の睡眠しか取れない日が続いている」「上司から灰皿で殴られた」。組合のホームページをつくると、深刻な相談も寄せられた。これまで全国から100件ほどの相談があり、組合の支援団体には、延べ約300人から活動支援のカンパが集まっている。 入社後の大森さんの給与は、基本給の占める割合が約16%にすぎず、業績給と残業手当などが大半を占めていた。業績給が中心の賃金体系なのに、組合をつくった後は、配車の仕事を振らないなどの嫌がらせが続き、給料は大幅に減ったという。現在、県労働委員会に組合員差別をなくすよう求めるなどの不当労働行為の救済を求めている。 ただ、進展もあった。 組合によると、当初、会社側は組合の存在自体を認めていなかった。5月の団体交渉では組合と認め、月一度の交渉を続けていく方針まで前進。代理人の籾山善臣(よしとみ)弁護士は「労働組合だから(といって)差別や不利益をすることはあり得ない、と回答を得ることができた。会社と話し合う土台は整いつつある」と手応えを話した。 大森さんは「言っても仕方ないという人が多いが、どの会社も組合をつくって待遇改善に取り組んできた。やらなくて後悔するよりは、やって後悔するほうがいい」と、会社との団体交渉を続ける。 サカイ引越センターは本紙の取材に対し、「労働組合法などに基づいて適法・適切に対応している。ただ、労働委員会で手続き中なので、回答は控えさせていただく」とした。2022年6月5日 東京新聞朝刊 17ページ 「若手ら労組結成1年」から引用 組合のない職場で労働組合を立ち上げると、そういう活動に関与した社員を干し上げるという「違法行為」は、たいていの企業で半ば公然と行なわれるのは、よくある話です。が、この記事にあるように、そういう経営者の妨害に屈せずに労基法を自らの「武器」として違法行為に対峙できたのは立派です。企業経営としても、組合を排除するよりは、組合を包摂して社員の自主性を尊重する方針にするほうが、企業が発展する上でプラスに作用するのではないかと思います。ただ、残念なのは、日本には「連合」という立派な団体があるのに、若者の苦労を解消するのにあまり役に立っていない点です。日本の場合は企業別の組合になっているのが弱点で、西欧のように産業別の組合であれば、労働者同士が助け合うことが可能になると思いますが、これは将来の課題ということかも知れません。
2022年06月21日

ヴィンセント・ベヴィンス(著)竹田円(訳)「ジャカルタ・メソッド」(河出書房新社刊)について、京都大学准教授で食農思想史が専門の藤原辰史氏は、4日の朝日新聞に次のような書評を書いている; 1955年、インドネシアのバンドンでアジア・アフリカ会議が開催された。参加国の総人口は世界人口の半分以上を占めた。「人類史上はじめての、有色人種による大陸間会議」とインドネシア大統領のスカルノが開会式で宣言。戦後も続く欧米の植民地主義と人種主義を批判し、社会的正義の追求を訴えた。 インドネシア共産党もスカルノを大筋で支持した。ソ連や中国のそれとは異なり、民族主義的で武装闘争を否定した大衆政党であった。スカルノは、白人に頼らない中立的な国家を目指したのである。 反共を国是とするアメリカにとって、バンドン会議もスカルノも気に入らない存在だった。国務省の官僚たちは会議を「気取り屋有色人種の祭典」と揶揄(やゆ)した。反共主義的政治家とCIAはバンドンの精神とスカルノを崩壊させるべく、港湾都市アンボンを空爆したり、彼の評判を落とす画策をしたりしたが、ほとんど効き目がなかった。 が、1965年、アメリカとパイプのある軍人スハルトが共産主義者の反乱を鎮圧するという体裁のクーデターに成功(9・30事件)。彼とその部下は「ゲルワニという婦人団体のメンバーが、裸になって踊りながら、将軍たちの手足を切り刻み、拷問し、性器を切断し、目をえぐり出し、その挙げ句に殺害した」とデマを流す。アメリカ政府はデマの拡散を助け、CIAは共産主義者の名簿を軍に渡し一網打尽の殺害を後押しした。結果、100万の人々が共産主義者だという理由で拷問され強かんされ殺害されたのである。「ジャカルタ」はアメリカが世界各地で繰り広げた反共作戦の隠語となっていく。 筆者は、闇に葬られてきた上記の過程を、10年に及ぶ12力国の調査で明らかにした。壮絶な虐殺を生き抜いた被害者たちの生々しい声と、読んでいて心音が聞こえるほどの緊迫した筆致が暴く冷戦の正体に、読者は震撼(しんかん)するだろう。ヴィンセント・ベヴィンス著、竹田円訳「ジャカルタ・メソッド」(河出書房新社刊) 4180円Vincent Bevins 84年生まれ。ジャーナリスト。米ワシントン・ポスト紙の特派員として東南アジアを取材。2022年6月4日 朝日新聞朝刊 13版 19ページ 「読書-アメリカが展開した冷戦の正体」から引用 世の中はロシア軍をウクライナに侵攻させたプーチンを悪者とする議論一色になっている。私もまさかプーチン氏を擁護するつもりはないのだが、しかし、あたかも「世界中探してもプーチンほどの悪者はいない」とでも言うかのような論調には、辟易せざるを得ません。「力による現状変更」を最も頻繁に実行して終に「世界の警察官の地位」(?)を獲得したのが、他でもないアメリカであり、その悪行の一端を示すのが上記の書評が紹介する「ジャカルタ・メソッド」(河出書房新社)である。このような書籍に触れることで、冷静に世の中を見つめる「視点」を獲得したいものだと思います。
2022年06月20日
市民団体代表の辛淑玉氏を誹謗中傷する番組を放送して名誉毀損で訴えられたDHCテレビに対し、二審でも東京高裁から原告勝訴の判決が出たと、4日の東京新聞が報道している; 沖縄の米軍基地反対運動を取り上げたテレビ番組「ニュース女子」で名誉を傷つけられたとして、人権団体「のりこえねっと」の共同代表辛淑玉さんが、番組を制作したDHCテレビジョンなどを訴えた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(渡部勇次裁判長)は3日、名誉毀損を認めてDHCに550万円の損害賠償などを命じた一審・東京地裁判決を支持した。◆ネットに番組「誹膀中傷招く」 判決は、辛さんが組織的に参加者を動員して過激な反対運動をあおっているという番組の内容に、真実性は認められないと判断。現在もDHCのサイトで番組が閲覧できる状態で「韓国人はなぜ反対運動に参加する?」などとテロップで表示されているとして、「在日朝鮮人である原告の出自に着目した誹膀(ひぼう)中傷を招きかねない」と言及した。 番組の司会者だった本紙元論説副主幹の長谷川幸洋氏の責任については「番組の制作や編集に一切関与がなかった」とし、一審と同様に認めなかった。長谷川氏が辛さんに損害賠償を求めた反訴も同様に退けた。 番組は東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)で2017年1月に放送された。昨年9月の一審判決は、DHCに賠償と自社サイトへの謝罪文掲載を命じた。 判決後の会見で辛さんは「名誉毀損が認められてうれしいが、沖縄に対して申し訳ない気持ちもある。平和運動や沖縄を、在日である私を使ってたたくという、二重、三重に汚い番組だった」と振り返った。金竜介弁護士は、判決が出自に絡む誹膀中傷に言及した点に「人種差別をきちんと認めたことは評価できる」と話した。(小嶋麻友美)2022年6月4日 東京新聞朝刊 12版 27ページ 「『ニュース女子』再び名誉毀損」から引用 問題になったテレビ番組「ニュース女子」では、在日の人物が日当を払って人を集めて過激な基地反対運動を煽っているというもので、日当の領収書らしき映像まで映されたいたように記憶しているが、それは実は「日当」ではなく、東京・沖縄間の交通費の一部を市民団体が負担したものだった、と記憶している。一事が万事その調子で、はなから辛淑玉氏を攻撃する目的で放送された番組で、放送前に「裏をとる」こともしていなかったお粗末なものだったのですから、敗訴は当然です。社会の正義が守られて、良かったと思います。
2022年06月19日
サントリーが安倍晋三後援会に酒を無償提供したという公選法違反事件について、3日の朝日新聞は次のような社説を掲載して安倍晋三議員とサントリーを批判している; 後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭について、安倍元首相の過去の説明に反する事実がまたも明らかになった。費用の補填を否定した118回に及ぶ「虚偽」答弁の上塗りといえ、到底看過できない。安倍氏は今国会で、数々の疑問に必ず答えねばならない。 新たに判明したのは、サントリーホールディングス(HD)による酒類の無償提供である。16年に始まり、17~19年の3年間は、ビールやワイン、ウイスキーなど計382本、各年15万円相当が持ち込まれたという。 前夜祭の会費は1人5千円で、当初から「安すぎる」と疑問視されていた。安倍氏は「参加者の大多数が宿泊者である事情を踏まえ、ホテル側か判断した」「価格以上のサービスは行われていない」と、5千円で賄えたと強弁してきたが、事実関係を詰めないまま、根拠のない説明を繰り返していたのだから、あきれるはかない。 安倍氏の秘書は、費用の補填が公職選挙法の禁じる寄付にあたる恐れがあるので、金額を抑えるために酒を持ち込んだと、東京地検特捜部の調べに供述していた。秘書らが当初から違法性を認識していたことは、すでに明らかになった訴訟記録からもうかがえる。自分は知らなかったで済む問題ではない。 政治資金規正法は、企業が寄付できる対象を、政党か政党が指定する政治資金団体に限っている。政治家個人の後援会に対する酒類提供は、違法献金の可能性がある。サントリーHDは「自社製品を知ってもらう良い機会と考えた」というが、新浪剛史社長は、安倍政権下の14年から政府の経済財政諮問会議の民間議員を務めている。政権との癒着を疑われかねない振る舞いであり、安倍氏側だけでなく、サントリーHD側も説明を尽くさねばならない。 安倍氏は首相を退いて以降も、自民党最大派閥の長として、強い影響力を持つ。最近は、安全保障や経済財政政策をめぐって、持論を言い放つ場面が目立つが、政権時代の「負の遺産」へのけじめを忘れてもらっては困る。 安倍氏が進んで説明に応じないというのであれば、1年近くにわたり「虚偽」答弁で欺かれた国会こそが、その実現に動かねばならない。与野党の立場を超えて、行政監視機能の回復に踏み出すべき時だ。 自民党は今週、党運営の指針にあたる「ガバナンスコード」を定めた。その中には、「疑念を持たれた議員は、国民に対して丁寧な説明を行う」「本党は、厳正にこれに対処する」とある。岸田首相肝いりの指針の実効性が早速問われる。2022年6月3日 朝日新聞朝刊 13版 12ページ 「社説-今国会で説明欠かせぬ」から引用 この記事が述べるように、安倍事務所の担当者は山口県の有権者を東京に招いて、一流ホテルで前夜祭などをやれば5千円で済むわけがなく、不足分を事務所が補填したり酒を無償提供などしたのでは公選法違反だということは承知の上で、なんとか誤魔化そうとしたと白状しているのだから、そのことを「自分は知らなかった」はずがないのであって、事実はどうだったのか、安倍議員は国民の前で説明する必要があります。また、安倍事務所の違法行為に加担したサントリーの責任も不問にしてはならない問題であり、こういう不正を見て見ぬふりをしたのでは、社会はますます歪んでしまいます。自民党は、「疑念を持たれた議員は、国民に対して丁寧な説明を行う」「本党は、厳正にこれに対処する」という実に立派な「ガバナンスコード」を制定したそうですが、あまりにも立派すぎて、一人一人の党員にとっては「どこの雲の上の話だ?」というような気分ではないかと思います。安倍晋三議員、細田衆院議長、吉川赳議員の3人には、是非国民に対して丁寧な説明をさせるべきです。
2022年06月18日
日本に永住する外国人の地方参政権について、エッセイストの呉文子(オ・ムンジャ)氏は5月31日の朝日新聞に、次のように書いている; 日本で生まれ育ち、85年になる。その長い間、願っても願ってもかなえられなかっだのが、この国での地方参政権だ。日本国籍ではないために、選挙権も被選挙権も与えられていない。「投票したければ日本国籍を取得すればいい」という声も少なくない。だが私は、自分のルーツとアイデンティティーを大切にしたい。国籍を変えることなく、永住外国人の一人として日本社会で生きていたいのだ。 地方参政権は、福祉や生活など地域社会に密着した問題を、その地域の住民の意思をふまえて決定するために不可欠なものだろう。さまざまな地域課題に対して意思表示をすることは、地域住民として当然の権利のはずだ。だが現在は、「地域住民」から外国籍の住民は排除されている。外国籍の住民に対する施策があるのに、その当事者が最終決定に関わることができないのだ。私は、同じく外国籍の住民として生きる自分の子や孫たちの未来のためにも、一票を投じたい。 悔しいのは、こんなにも私か欲している権利を行使しない人の多さだ。3年前の統一地方選では、立候補した友人の応援をした。街頭でビラ配りの手伝いをし、選挙に無関心な空気を身にしみて感じた。平均投票率が戦後最低を記録したものもあった。私は心の中で「棄権するなら私にその一票をよこして!」と叫んでいた。 今の日本は、地方参政権も、二重国籍も認めていない先進国の中でも特異な存在だ。1995年の最高裁判決で、憲法は国内永住者など自治体と密接な関係を持つ外国人に、法律で地方選挙の選挙権を与えることを禁じているとはいえない、としている。政府が掲げる「多文化共生」を実現するためには、地方参政権は避けて通れない大切な基本的人権の一つだ。在日コリアンの定住が日本の植民地支配に起因していることを鑑みれば、現状はあまりにも理不尽である。私が納める税金は、政党助成金にまでなっているというのに。 私にとって、いま住んでいるこの街は、いとおしい「ふるさと」となっている。ふるさとのために、義務や責任を果たし、地域社会の発展に貢献したいと思っている。そのために、地方参政権を手に入れたい。 7月には参院選がある。立候補を表明している人の中に、外国人の地方参政権を掲げる人もいる。外国籍の住民がこの国で暮らしてよかったと思える社会かどうかは、他の多くのマイノリティーや社会の隅っこに追いやられている人々の暮らしにもつながるだろう。この問題は、日本社会のありようを問うている。2022年5月31日 朝日新聞朝刊 13版S 13ページ 「私の視点-外国人に地方参政権を」から引用 人はそれぞれに曰く因縁があってその土地に生まれ、暮らしている。しかも、日本に於いては何人も社会生活を営む上では法律の順守を求められるのがルールである。一定の法律を守って生活しているからには、行政が地域課題に対する住民の意思を確認するのであれば、当然そこに生活する全住民を対象とするべきであり、国籍の有無で差別をするのは不当であるとする最高裁の判断は当然です。外国人に選挙権を認めると、集団移住してきて行政を乗っ取られる危険性があるなどという戦前風の馬鹿げた妄想を「卒業」して、外国籍住民の「権利」も平等に認める成熟した社会を目ざすべきだと思います。
2022年06月17日
「憲法とは何か」ということが全く理解できていない自民党議員が「憲法に教育理念を明記するべきだ」と、訳の分からない発言をしたことについて、元文科事務次官の前川喜平氏が5月29日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 26日の衆議院憲法審査会で自民党は、憲法に「教育環境の整備」に関する規定を盛り込むことを主張した。それ自体は同党の改憲4項目の1つだから驚きはない。 問題は、その際の自民党新藤義孝氏の主張が、教育環境の整備にとどまらず、教育理念を憲法に書き込むというものだったことだ。「現行憲法は教育理念について一切触れていない」「教育環境の変化に応じた教育の理念について、憲法を改正し規定すべきだ」 新藤氏の言う教育理念とは、いったいどのような理念なのか。自民党の改憲案には「教育が(中略)国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものである」という規定があるから、まず教育は国家のためにあるという理念なのだろう。さらに2012年の自民党憲法改正草案には「長い歴史と固有の文化」「天皇を戴(いただ)く国家」「国と郷土を誇りと気概をもって自ら守り」「よき伝統と我々の国家を末永く子孫に継承する」「日本国民は国旗及び国歌を尊重しなければならない」「家族は互いに助け合わなければならない」などの規定があるから、そんなことを「教育理念」と考えているのだろう。 日本の教育の理念はすでにある。それは今の憲法そのものだ。個人の尊厳、自由、平等、人権の尊重、平和主義、国民主権。それ以外の「教育理念」など要らない。(現代教育行政研究会代表)2022年5月29日 東京新聞朝刊 11版 21ページ 「本音のコラム-憲法に教育の理念?」から引用 この記事によれば、自民党憲法改正草案では教育によって「日本は天皇を戴く国家である」ことを国民に教え込むという規定を、憲法の条文に書き込むことになっているらしいが、この「日本は天皇を戴く国家である」という文言は「事実」を表現したものではなく、フィクションなのだから、これを憲法に書き込むというのは正気の沙汰とは言えないと思います。実際の史実としては、源頼朝が鎌倉に幕府を開いて以来、江戸時代が終わるまでの間、日本を支配したのは武士階級の者であり、江戸時代の天皇は「禁裏」と呼ばれる京都の御所に幽閉されて、一般庶民は天皇の存在など一切意識することなく日々の生活を営んでいたのである。そのため、明治維新を成功させた薩長藩閥政府が権威付けに利用するために天皇を担ぎ出したときは、一般国民に向けて「実は日本には、天皇という大変ありがたいお方がいらして、世の中は天皇を中心に回っているのだ」というようなパフォーマンスを全国展開するという手間をかける必要があった。そういう「史実」にはフタをして、「日本は古来より天皇を戴く国家である」などというフィクションを憲法に書き込むという「発想」は、国民を愚弄するものであると言わざるを得ません。 しかし、広く世界に眼を転ずれば、社会の在り方というものは時代が進むに連れて人の考えも変わるのですから、「天皇を戴く国家」という「考え」も「人間の平等」という「理想」と矛盾する「国家の在り方」で、やがては是正されるべきものであり、憲法に書き込むほどの「普遍性」はないというのが「正解」であり、現在の憲法に記載されている「個人の尊厳、自由、平等、人権の尊重」のほうが遥かに普遍性に富んでいると言えます。そのような観点からも、自民党の「憲法改正草案」は、「改正草案」というよりは「改悪草案」と呼ぶに相応しい内容であることが理解できると思います。
2022年06月16日
昨日の欄に引用した「しんぶん赤旗」の「桜を見る会前夜祭の不正」を報道した記事の続きは、「前夜祭」を企画した安倍事務所の担当者が取り調べの検察官に白状した内容を、次のように報道している;◆公選法違反の会費補てん、隠ぺいしようと”工作”◆秘書が供述 安倍氏側は、参加者の会費を上回る費用を補てんしただけでなく、会場に大量の酒を持ち込み、有権者らに提供していたのです。これ自体、選挙区内の有権者への寄付を禁じた公選法違反の疑いが濃厚。なぜ大量の酒類を持ち込んだのか-。 その”動機”が、ホテル側との契約交渉を担当した安倍氏の東京事務所の秘書の供述調書に記されています。 「(会費の)不足分を、安倍代議士個人や安倍代議士の関係政治団体が負担することになれば、前夜祭に参加した地元の有権者に対する寄付に該当し公職選挙法に違反するおそれがあることは分かっていました。そのため、私は、前夜祭の会場でホテルから提供される飲食の代金を抑えるため、前夜祭の会場にお酒を持ち込んだ」 費用補てんが公選法に違反する恐れがあると認識し、その補てん額を抑えるために、大量の酒を持ち込むという”隠ぺい工作”だったのです。 安倍氏側による有権者らへの利益供与は、会費の不足分の補てんだけでなく、酒の提供も加えたものだったことになります。◆収支報告書に記載なし ところが安倍氏の関係政治団体の政治資金収支報告書には、該当する支出の記載がありません。なぜか-。 19年の「宴会ファイル」には、酒の本数とともに「●●様より前日持ち込み」として電話番号が付記されています。電話をかけると「サントリー秘書部です」。編集部が酒の納入の経緯などを質問すると、サントリーホールディングス(HD)広報部は「会の開催については、安倍議員事務所から教えていただいた。多くの方が集まる会だとお聞きし、弊社製品を知っていただく良い機会と考え、この会に協賛させていただいた」と回答しました。 酒の代金は「無償」と説明。各年の酒の金額については「年度によって若干金額は異なるが、15万円程度」としています。 政治資金規正法は、物品などの供与や交付を「寄付」と規定。企業が寄付できるのは政党か政治資金団体に限られており、同社から「安倍晋三後援会」への寄付は違法な企業献金に該当する可能性があります。 サントリーHDの新浪剛史社長は安倍政権下の14年9月から経済財政諮問会議の民間議員を務めています。18、19年には前夜祭の1週間前に安倍氏と面談・会食しています。 安倍氏は首相在任中、前夜祭について国会で118回も虚偽答弁をしました。配川氏が略式起訴された20年12月、安倍氏は自ら答弁を修正したいと申し出て衆参両院の議院運営委員会で謝罪・説明しています。 前夜祭の明細書の再発行と国会提出を求められると、安倍氏は「ホテルの営業上の秘密」などと提出を拒みました。しかしホテル側は地検に明細書などを提出。一部を除き閲覧できる状態でした。明細書には酒の持ち込みを示す記載があり、安倍氏自身が発覚を恐れて隠していた疑いがあります。 安倍事務所は回答しませんでした。◆安倍氏は国会で説明を 神戸学院大学教授・上脇博之の談話 安倍元首相は国会で「収支報告上、計上していれば問題がなかった」などと説明していました。問題ないどころか、秘書らは当初から、会費収入で不足する支払い分を補てんするのは有権者への寄付になり、公職選挙法違反にあたると認識していました。これを検察が公選法違反で起訴せず、嫌疑不十分で不起訴にしたのは不当な処分でした。 企業から酒の無償提供を受けたのは規正法違反になるので収支報告書にも記載しなかったのでしょうが、不記載も規正法違反で、違法に違法を重ねています。 新たな重大事実が出てきた以上、安倍元首相は当然、国会で説明する必要があります。2022年5月29日 「しんぶん赤旗」 日曜版 3ページ 「安倍氏側が持ち込み、ふるまい酒」から後半を引用 国会の中であれ一般社会であれ、質疑応答というものは「互いに嘘はつかない」という信頼関係があって成立するものであり、その場を言い逃れさえできれば後は何でも良いという安倍晋三議員のような了見では、嘘の上にまた嘘を重ねる羽目になるわけで、桜を見る会前夜祭も、ホテルニューオータニで飲み食いするのに一人5千円で間に合うわけがなく、当然不足分は安倍事務所が出すしかない、しかしそれをやったのでは公職選挙法違反になる。でも、金額が少なければ見逃してもらえる可能性もあるから、というので酒はサントリーに言って無償提供させたというのが真相だったようです。これがまた、その辺の市会議員レベルがやらかした事件ならまだしも、一国の総理大臣という重責を担う人物が在職中にしでかした「事件」ですから、全部秘書にかぶせて終わりではなく、職責に相応しい責任を取らせないことには、国家の品格に関わる問題になるのではないかと思います。
2022年06月15日

安倍晋三議員は首相在任中に、政府が公に社会に貢献した人物を招いて日頃の労をねぎらう「桜を見る会」に、職権を悪用して自分の選挙区の有権者を大量に招待し、一流ホテルで五千円という形ばかりの「会費」を集めて前夜祭を挙行し、集めた金額、ホテルに支払った金額など一切を「政治資金報告書」に記載しなかったため、忖度した検察もさすがに「立件見送り」には出来なかったために、一応略式起訴で「安倍議員の知らない所で秘書が独断でやった」という筋書きで罰金刑にしたのでしたが、この「事件」に関しては、安倍議員がまだ世間に隠していた「事実」が新たに発覚したと5月29日の「しんぶん赤旗」が報道している; 「桜を見る会」前夜祭をめぐる新たな重大疑惑が浮上しました。安倍晋三・元首相側が会費を上回る費用を補てんしただけでなく、会場に大量の酒を持ち込み、有権者らに提供していました。安倍氏の秘書の供述調書によると、大量の酒の持ち込みは、公職選挙法違反の指摘を恐れ、補てん額を抑えるためのいわぱ”隠ぺい工作”。しかも違法寄付の疑いも-。安倍氏は国会で説明する責任があります。<取材班>◆編集部が事件記録を調査し発覚 刑事確定訴訟記録法に基づき編集部は東京地検に事件記録の閲覧を請求。開示された安倍氏の秘書やホテルの従業員らの供述調書などを閲覧しました。◆「宴会ファイル」 2018年4月の「安倍晋三後援会 桜を見る会前夜祭」。会場となったホテルの職員が作成した「宴会ファイル」には、安倍事務所側が持ち込んだ酒の種類や本数が明記されていました。「ビール(80)ウィスキー(30)赤ワイン(24)白ワイン(24)焼酎(720ml)(12)」 前夜祭は13~19年まで、東京都内の高級ホテルで安倍氏の地元後援者らを対象に会費1人5千円で開かれたもの。ホテルへの支払額が、参加者から集めた会費を上回ったため、不足分を安倍氏側か補てんしていました。 事件記録によると安倍氏側の補てん額は、17年で約186万円、18年で約145万円、19年で約251万円となっています。(表) 補てん額などを政治資金収支報告書に記載しなかったとして「安倍晋三後援会」の代表で安倍氏の公設第1秘書だった配川博之氏が政治資金規正法違反(不記載)罪で東京地検に略式起訴(20年12月)されました。 選挙区内の有権者への寄付を禁じた公選法違反容疑について東京地検は「参加者に寄付を受けた認識がなかった」などとして不起訴処分。不起訴処分だった安倍氏は検察審査会で「不起訴不当」の議決を受けましたが、21年12月に再び不起訴処分(嫌疑不十分)となりました。 編集部が注目したのは、前夜祭の会場となったホテル職員が作成した「宴会ファイル」。少なくとも17~19年の前夜祭で安倍事務所側が会場に持ち込んだ酒の種類や本数が詳しく記されています。(表)(つづく)2022年5月29日 「しんぶん赤旗」 日曜版 3ページ 「安倍氏側が持ち込み、ふるまい酒」から前半を引用 桜を見る会前夜祭の会費補填問題で安倍事務所の担当秘書が略式起訴となったとき、安倍議員は「事件」の経緯を国会で説明したのでしたが、その説明のときには「サントリーから酒類を無償提供してもらった」ことなど、一言も言及しておらず、中身のない格好だけの「説明」だったことを意味しています。この「桜を見る会前夜祭」は、叩けばもっと「ホコリ」が出てくるのではないか。それもこれも、すべては安倍晋三の人間性に起因する問題であり、山口県の有権者の皆さんには、国会議員がこういう人物でいいのか、真剣に考えてほしいと思います。
2022年06月14日
対中国外交をどのように考えるべきか、毎日新聞特別編集委員の坂東賢治氏は5月28日の同紙に、次のように書いている; 大型連休中にミュージカル「李香蘭(りこうらん)」を見た。旧満州(現中国東北部)に生まれ、中国人として銀幕のスターになった山口(大鷹)淑子(よしこ)さんの自伝を元にした浅利慶太(あさりけいた)さんの作品。満州事変や日中戦争を背景にした劇の幕あいに「ウクライナと同じね」とうなずき合う観客の姿を見かけた。 満州事変のきっかけになった柳条湖事件は関東軍の自作自演の「偽旗作戦」。大本営発表の多くは今なら「フェイクニュース」だろう。民間人も抗日ゲリラに通じていると疑われて殺害される。日本が清朝最後の皇帝、溥儀(ふぎ)をかいらいに建国した「満州国」は、ウクライナ東部に重なる。 外から見ていれば、ロシア国内のプーチン批判や反戦論が戦争を止めることに期待感を持つが、戦前の日本を考えれば、楽観的にはなれない。自由主義を信奉する学徒兵が「愛する日本」のために特攻に出撃する独白。軍部のお先棒を担ぐメディアも登場する。本紙もその一つだろう。 「李香蘭」は1991年に初演され、国内外で高い評価を受けてきた。翌年の日中国交正常化20年では中国でも公演された。浅利氏は石原慎太郎氏の選挙参謀や中曽根康弘元首相のブレーンを務めた。思想的には保守の人である。 日本の世論にも十分配慮した作品だったが、嫌中感情が高まる今の日本社会ですんなり受け入れられるのか。「中国と日本 日本と中国 二つの国を愛してほしい 黒い髪 黒い瞳」。クライマックスのコーラスを聞きながら複雑な気持ちになった。 ◇ ◇「理念としての『中国』と現実に中国大陸を支配している『中国』との二重映像が、絶えず日本人を躊(つまず)かせる」「明治以降の日中交渉史は、実にこの蹟きの歴史である。日本人は絶えず『中国に裏切られた』と感ずる」 50年前の日中国交正常化を批判する立場から書かれたイザヤ・ペンダサンの「日本人と中国人」(祥伝社新書)の一節である。実際の著者が「訳者」の山本七平氏であることはよく知られている。 博覧強記の山本氏は平清盛以来の日本の思想史に触れながら、異常な中国ブームから中国蔑視まで極端に振れる対中認識の危うさを指摘する。山本氏によれば、江戸初期の陽明学者、熊沢蕃山(くまざわばんざん)は中国人を「天孫」とし、幕末の国学者、平田篤胤(ひらたあつたね)は「犬猿」扱いしたという。 山本氏は日中友好ムードの盛り上がりを「中国=天孫、日本人土下座時代」と位置づけてその風潮を批判した。同時に「これは当然いずれは逆転する」とみていた。山本氏の主張には同意できない部分も多いが、予言のような言葉にはドキッとさせられる。 もちろん日本の対中感情が悪化した背景には中国側の変化が大きい。経済力を背景に軍事強国の道を進み、過去の勢力圏を取り戻そうとするかのように海洋進出を進める。日本領海への中国公船の侵入も常態化した。香港や新禧ウイグル自治区での人権弾圧も受け入れられない。 それでも日本の対中認識に特有のゆがみがないかを点検していく必要はあるだろう。認識がゆがめば、政策もゆがむからである。 ◇ ◇ バイデン米大統領が就任後初めて来日した。日米豪印のクアッド首脳会議が開かれ、新たな経済圏構想IPEFが発足した。すべて「中国への対抗」が目的である。中国を「最も重大な競争相手」と位置づける米国にとっては当然のことだろう。 対ロシア制裁やウクライナ支援にエネルギーを割かれる中、アジアへの関心を失っていないことを示すことがアジア歴訪の最大の目的だった。 一方で豪印にはそれぞれの思惑や事情がある。インドには冷戦時代以来のロシアとの絆があり、総選挙で政権が交代したオーストラリアも前政権下で極度に悪化した中国との関係を放置できない。米国との関係が重要なことは言うまでもないが、完全に利害が一致するわけではない。 日本はどうか。中国に隣接し、経済関係も米中以上に深い。中国との関係を気にする東南アジア諸国に配慮するのも日本の責任だろう。にもかかわらず、米国以上に対抗を望んでいるかのようである。 バイデン氏が台湾防衛に軍事的に関与するかと聞かれて「イエス」と明言すると、多くの政治家やメディアが我が意を得たりと言わんばかりに歓迎した。バイデン氏自身は「あいまい戦略」に変化はないと「修正」して一件落着にした。国交正常化に伴って台湾との関係は非公式にとどめた。外交上、中国に釈明できる余地は残しているのだ。 自民党の外交部会長は中国を「ならずもの国家」と呼んだそうだ。一部の国民を喜ばせるだけの発言は外交に役立だない。防衛費増大につながればよしという考えか。「暴支膺懲(ぼうしようちょう・悪い中国を懲らしめる)」と国民をあおった末に戦争をやめる機会を失った時代が思い浮かぶ。(特別編集委員)2022年5月28日 毎日新聞朝刊 13版 10ページ 「外事大事-大きく振れる対中認識」から引用 文藝春秋社が発行した右翼雑誌「諸君!」に山本七平が「イザヤ・ベンダサン」という偽名で訳知り風の記事を書いたのは、田中内閣が日中国交正常化に取り組む頃であったが、余りにも右翼に偏りすぎた論調は、当時朝日新聞記者だった本多勝一との論争を引き起こすに至り、その論争の中で図らずも本多によって「イザヤ・ベンダサンと名乗ってはいるが、実は山本七平本人であろう」と見抜かれたのは、痛快な出来事であった。韓国と日本を訪れたバイデン米大統領が記者団から台湾防衛に軍事的に関与するかと聞かれ「イエス」と答えたのを聞いて、日本の多くの政治家やメディアが歓迎したと、この記事は述べているが、愚かなことである。アメリカや日本には、中国大陸と台湾の関係について歴史的にも政治的にも介入する根拠がないのであって、「中台間に武力衝突が起きることは希望しない」といった程度の外交辞令にとどめるべきであり、アメリカのように台湾に武器を売りつけるなどは「不謹慎の極み」というべき事態である。
2022年06月13日
遠藤誉著「ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略」(PHP新書)について、社会学者の橋爪大三郎氏は5月28日の毎日新聞に次のような書評を書いている; ロシアがウクライナに侵攻し、世界は変わった。各国はどう動くか。中国の戦略を中心に、当代随一の中国ウォッチャーが読み解いていく。 中国の立場は微妙だ。ウクライナとは関係が深い。失業した軍の技術者を大量に採用し、空母も譲ってもらった。一帯一路の要でもある。ロシア非難決議に棄権しても、侵攻に実は反対だ。ロシアの資源だけは買ってあげる《軍冷経熱》で行く。 次は台湾か? すぐ侵攻はないと見る。党大会前は安定が大事だ。 侵攻の影の主犯は、バイデンだとする。米副大統領当時から、ウクライナに深入りした。親露政権の打倒はアメリカの工作だ。NATOに加入すればとそそのかす一方、プーチンに米軍は動かないと耳打ちした。野獣を野に放った責任は大きい。 ばらけ気味だったNATOの結束が固まった。プーチンの目算は外れた。ロシア産に代え、アメリカから天然ガスの輸入が急増している。 アメリカは日米豪印クワッドで中国包囲網を敷くつもり。でもインドはロシア、中国とパイプが太い。筋の悪い作戦だ。世界の先読みがこんなに下手なアメリカと、つきあう日本はよほど知恵を働かせないと。(橋爪大三郎・社会学者)遠藤誉著「ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略」(PHP新書・1078円)2022年5月28日 毎日新聞朝刊 13版 17ページ 「今週の本棚-ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略」から引用 この記事の主張に、私は概ね賛成です。ウクライナ侵攻の影の「主犯」はバイデン米大統領だという指摘は図星です。巨大な産軍複合体を抱えたアメリカ帝国主義は、絶えず世界のどこかで武器を消費してくれる「紛争」がないことには経済が停滞するという「宿命」を抱えており、停戦後60~70年も経つ「朝鮮戦争」を終結させることなく何時までも中途半端な状態にして朝鮮民主主義人民共和国を敵視し続けるのも、産軍複合体対策の一つと言えます。 一方、この記事では「台湾有事は、すぐにはない」と言ってますが、多分そうだと思います。大きな経済発展を遂げた中国とは言え、そこには欧米の資本投資もあっての「中国経済」であり、ここで台湾問題で武力衝突を起こして欧米資本が一斉に引揚げた日には、中国が被る打撃は台湾を正式に領有したくらいではとても間に合わないほどの「大打撃」になるであろうことは素人目にも明らかです。そんなリスクを犯すよりも、このままの「経済発展」を維持していけば、やがていつかは自然に名実ともに台湾は中国の一部になると思われます。そのような動きの一つに、台湾政府は最近、北京語を公用語の一つと正式に決めたと言われており、まともな経済活動を維持・発展させていけば、その活動がより一層効率的にやれるような環境整備を求める「声」も出てくるであろうし、そのようにして世の中は発展していくのだと思います。
2022年06月12日
アメリカの2代目ブッシュ元大統領が演説中にうっかり口を滑らせたことについて、文筆家の師岡カリーマ氏は5月28日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 笑えるけど笑えない映像がソーシャルメディアを駆け巡る。アメリカの2代目ブッシュ元大統領が先週、演説の中でロシアにおける民主主義の欠如を批判し、その結果が「一人の男が決断した、正当化できない残忍なイラクの侵攻」だと口を滑らせたのだ。その直後に「じゃなくてウクライナの」と言い直した。 これだけなら大したことはない。ここ20年近く「侵攻」の言葉はイラク関連で発せられることが圧倒的に多かった。英文の語順を考えれば「侵攻」と言ったら舌が自然に「イラク」と続けてしまうのに不思議はない。 肝心なのはその次の言葉だ。「・・・イラクもだが」。これってあれですよね、ブッシュさん。正当化不能の残忍な侵略戦争という点では、アメリカのイラク侵攻が、ロシアのウクライナ侵攻と同列に語れると認めたんですよね。これまで後悔をにじませながらも正当化し続けたイラク侵攻が。 その戦争は一人の男の決断ではなく、建前上は大統領が決めて議会が承認した。でもその裏ではありもしない大量破壊兵器を、根拠がないと知りながら「ある」と偽り、非民主的なゴリ押しで開戦を強行した黒子(くろこ)がいたといわれる。「イラクもだが」と眩(つぶや)いたブッシュ氏の脳裏には、石油・軍需産業との癒着が指摘された当時のチェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官の面影があったのだろうか。(文筆家)2022年5月28日 東京新聞朝刊 11版 29ページ 「本音のコラム-たかが言い間違えだけど」から引用 2月下旬にロシア軍がウクライナに侵攻したことで、日本中のメディアはプーチン大統領を極悪非道の指導者と糾弾しているが、そういう悪行をやったのは世界でプーチンだけなのかと言えば、そうではなく、アメリカは昔からそういうことをやって大きくなった国だ。70年代の後半にはチリに民主的な手続きで選出された左翼政権を米国CIAがチリの国軍を唆してクーデターを起こして転覆したとか、近くは上の記事が言うようにイラクやアフガニスタンを侵略している。イラク侵略については、日本の自衛隊も憲法違反をしてまでイラクに出掛けて行って米軍を加勢した。そういうことに対する「反省」はまったく皆無で、プーチンとロシア軍の「極悪非道」を言ってみても虚しいばかりである。
2022年06月11日
ウクライナ紛争にかこつけて「日本も軍備拡大を」などと言う浅はかな議論が蔓延する世の中に対し、警鐘を鳴らす投書が5月28日の東京新聞に掲載された; 連日のウクライナでの戦闘によって、日本も中国や北朝鮮の脅威に備えるため、軍備を拡大すべきだとの論調がマスコミをにぎわせている。しかし、待ってほしい。 日本は約90年前、中国に侵略した。現在のロシアの立場だったことを忘れてはいないだろうか。もし、かつての侵略国が軍備増強をしたら、当然侵略された中国や北朝鮮も軍備をさらに増強し、果てしない軍拡競争となるだろう。 今、日本はそんな余裕がある国だろうか。国の借金はGDPの2倍を超え、コロナで国民の生活は萎縮し、インフレで生活苦に沈む年金生活者やワーキングプアがちまたにあふれている。それなのに対策は示されず、また増税や財源もなしに安易に国債を発行するのだろうか。軍備増強に進むことこそ、亡国の道である。2022年5月28日 東京新聞朝刊 11版 5ページ 「発言-軍備増強に進むな」から引用 安全保障の問題を議論するには、現状を冷静に分析し認識する必要があります。ロシアのような軍事大国はすぐに武力に訴える、というような「誤認識」に基づいた議論では間違った結論しか出て来ないと思います。ロシアは有り余る武力を持っていたからウクライナに侵攻したという間違った議論は避けるべきです。ロシアは東西冷戦が終わった直後から、NATOの東方拡大に懸念を表明してきていた、という事実を私たちは見落とすべきではありません。ひるがえって、日本周辺に「ロシア・ウクラナ」間のような差し迫った問題が存在するのかと言えば、答えは「否」です。竹島、尖閣諸島、北方領土のいずれも、日本は外交交渉で解決するべきであり、日本から仕掛けない限り武力衝突になる危険性はないといえるのではないでしょうか。少ない危険性の中でも、注意が必要なのは朝鮮民主主義人民共和国に対する対応です。平和主義を国是とするわが国において、隣国と国交がないというのは異常な事態であり、これは可及的速やかに解決するべきです。小泉内閣の当時には、日朝平壌宣言を出すところまでこぎ着けましたので、能力のある政権が誕生した暁には日朝国交正常化を果たした上で、未解決の「拉致問題」や戦時中の遺骨の返還、植民地支配の補償などの問題解決に取り組むと同時に、米朝間の戦争状態の終結にも一役買うのが日本の役割です。このような方面で、しっかりと国際社会での役割を果たすことによって、東アジアに平和が実現し、無駄な軍備に余分な予算を注ぎ込む必要はなくなると思います。
2022年06月10日
沖縄県在住で先の大戦で沖縄戦を経験した生存者に聞き取り調査を行なっている歴史家の宮城晴美氏にインタビューした経験について、東京新聞論説委員の佐藤直子氏は5月26日の同紙に、次のように書いている; 「今日はアンダブーチね」。女性史家の宮城晴美さん(72)=那覇市=の口から沖縄の言葉がこぼれた。4月、生まれ故郷の座間味島を訪れた宮城さんに、私は同行した。本島の西方40キロ、紺碧(こんぺき)の海に囲まれたこの島では、77年前の沖縄戦のときに「集団自決」が起きている。 「アンダブーチ」とは、油(アンダ)を落としたようなべた凪(ブーチ)のこと。けれどそれだけでなく、無念の中で死んだ自決犠牲者の願いをおもんぱかり、「穏やかな海から想像もできない悲劇があった。アンダブーチのような平和な世であれ」との思いを込めて、宮城さんが口にしたのではないかと、今は思う。 1980年代に亡くなった宮城さんの祖母はいつも首にハンカチを巻いていた。気管切開の痕を隠すためだが、それが戦争の時に祖父によって切りつけられた傷痕だと知るのは、宮城さんが本島の高校に通うようになってからだ。 敗戦の色濃い45年3月、上陸した米軍に座間味の島民は追い詰められた。隠れた山中で日本軍から配られた手りゆう弾を爆発させたり、カミソリで首を切ったりして、男たちは妻や子を手にかけた。少なくとも135人がこの自決で亡くなった。その一方、宮城さんの母や祖父母のように死にきれず、つらい戦後を送った人たちもいる。 この犠牲は、日本軍が前年秋から島に駐留し、秘密特攻基地が築かれたことが要因だと宮城さんは言う。「米兵に捕まれば男は八つ裂き、女は強かんされる」。軍は島民に恐怖を説き、投降することを許さなかったからだ。 宮城さんは、戦時中に役場職員として軍と行動していた母の手記を頼りに70年代から悲劇の調査を始め、島に帰る度に証言を集めた。それらは著書「母の遺(のこ)したもの」として上梓した。沖縄戦の歴史をゆがめる動きがある中で、島の悲劇をないものにされたくなかったからだ。調査でこだわったのは女性の視点だ。自決犠牲者の8割が女性と子ども。レイプヘの恐怖が死を受け入れさせたのだという。 ロシアのウクライナ侵攻を機に、沖縄や奄美での軍備増強を求める声が強まらないか-。そんな不安の中で迎えた今月15日の本土復帰50年の日。宮城さんは「絶望しかなかった」と話す。沖縄での記念式典に出席した岸田文雄首相に、基地のない平和の島を願う沖縄の思いに応える言葉はなかった。米国に媚(こ)び、沖縄をいつまでも軍事的に利用する歴代首相は「怒りを超えて哀れだ」と言う。この言葉は、沖縄の苦悩に向き合わない政治家を選ぶ、本土の人々にも向けられている。宮城さんから、こんな激しい言葉を聞くのは初めてだった。 宮城さんの調査は今も続く。座間味では91歳の女性が「戦争だけは二度と・・・」と絞り出すように語った。その声が耳に残る。戦争を拒み、平和な世をつくる。やるべきことは、何か。(論説委員)2022年5月25日 東京新聞朝刊 11版 6ページ 「視点-『アンダブーチ』の世を」から引用 政府与党にはびこる歴史修正主義者は、文部科学省の教科書検定制度を悪用して「従軍慰安婦」や「沖縄戦・集団自決」などという文言を教科書から消し去ることによって、国民の記憶からも抹消してしまう魂胆であると考えられます。しかし、これらの「史実」は私たち日本人が、将来にわたって二度と同じ過ちを繰り返さないように、過去の「失敗」は長く子々孫々に伝えていく必要があります。そのような観点から、このような記事は今日の日本では、大変価値のある記事だと思います。
2022年06月09日

民主主義のお手本と言われるアメリカ合衆国で、実は人種差別による黒人に対する人権侵害が一向になくならない状況について、5月22日の東京新聞は、次のように報道している;【ニューヨーク=杉藤貴浩】 米黒人男性ジョージ・フロイドさん暴行死を機にミネソタ州が行った現地警察への調査結果は、組織にはびこる差別的な体質が事件につながったことを強く示した。米国では事件後も黒人への過剰な取り締まりが疑われる事例が後を絶たない。新型コロナウイルス禍での治安悪化で警察力強化か求められる風潮もあり、改革の道のりは険しい。 フロイドさん事件に対応したミネアポリス市警察に対する調査報告書は計72ページ。ミネソタ州人権局が、約48万ページに及ぶ関連の文書や警官に取り付けられた700時間分のボディーカメラ映像、関係者や市民ら2200人以上への聞き取りを基に作成し、先月27日に公開した。 報告書は取り締まりでの死亡や実力行使が有色人種に集中する実態に加え、警官の人種差別的な行為に対する内部調査について「カメラ映像や目撃者の証言を確認せず、かなりの割合の不正申し立てが適切に調べられていない」と指摘。この結果「(当該の)警官に責任をとらせることができていない」と結論づけた。 フロイドさん事件は居合わせた女性が撮影した映像が交流サイト(SNS)で世界に広かったことで、白人警官の起訴や有罪判決につながったが、調査結果からはこうしたケースはまれだと言える。バイデン政権が成立を目指した「ジョージ・フロイド警察活動の正義法案」は、違法行為が疑われる警官を刑事裁判にかけやすくし、民事面の免責範囲も狭める内容だっただけに頓挫の打撃は大きい。 非営利団体「ガン・バイオレンス・アーカイブ」によると、2012年の自殺以外の銃による死者はコロナ前の19年と比べて35%増の20917人に上った。刑事司法に詳しいピッツバーグ大のデビッド・ハリス教授は「共和党などの保守派はこうした治安の悪化を利用して警察改革を攻撃し、不安を抱く人々の支持を求めた」と指摘する。 ハリス氏は連邦レベルの改革が進まない現状を受け、自身が政策提言したペンシルベニア州ピッツバーグ市が、同僚の違法行為を確認した警官に解決のための介入を義務付けた例などに言及。「今は地方の警察組織ごとに改革を進める必要がある」と訴えた。◆ジョージ・フロイドさん暴行死事件◆ 米中西部ミネソタ州ミネアポリスで2020年5月25日、偽札使用の通報を受けた白人警官(46)が、路上でフロイドさんの首を9分29秒間、膝で押さえつけ死亡させた。事件は人種的少数派に対する警官の過剰な暴力の象徴と見なされた。警官は免職後、第2級殺人罪などで有罪となり、禁鋼22年6月の判決を受けた。2022年5月22日 東京新聞朝刊 12版 4ページ 「根強い差別 改革進まず」から引用 世界で最も民主主義が進んだ国と言われるアメリカで、実はその警察組織には抜きがたい「人種差別」の体質が存在するとは驚いた話です。一応、建前上はリベラルを標榜する米民主党は、党是からいっても差別的な警察組織を改革して政権の「実績」としたいところなのに、共和党は治安の悪化を不安視する国民感情を逆手にとって「警察改革」に反対するという、これまた呆れた姿勢を示している。世界の最先端がこういう状況では、その恩恵がなかなか波及しない極東の日本では、好ましい影響が波及して来るのはまだまだ先のようです。
2022年06月08日
武力にものを言わせて隣国の領土を侵害しているロシアの蛮行が批判されるのは当然であるが、だからと言って被害国ウクライナのゼレンスキー大統領を無条件に英雄視していいのか、という「視点」から、毎日新聞・専門編集委員の伊藤智永氏は4日の同紙に、次のように書いている; 沖縄県の玉城デニー知事が、米軍基地問題の有識者会議を始める際に「セレンスキーです。よろしく」とウクライナ大統領をまねてあいさつし非難された。軽率だったにせよ、深刻な失言とも思えない。むしろ、他ならぬ沖縄の知事がそう発言した深層心理に深読みを誘われる。 その10日前、沖縄は日本復帰50年の記念日(5月15日)を迎えたが、国民は明らかに冷めていた。「冷淡というより歴史を知らないので沖縄が特別視されなくなっている」。那覇支局の同僚記者の分析だ。 朝日新聞などの世論調査によると、70%に上る在日米軍基地の沖縄集中について、県民は「今のままでよい」が19%、「全面撤去・減らすのがよい」は76%なのに対し、国民全体の41%は「今のままで」と答え、「撤去・減らす」は52%だった。 ロシアのウクライナ侵攻は、日本世論の中国脅威論を刺激した。基地を減らしたい沖縄の願望と逆に、米軍頼みの防衛力増強論が勢いづく。9月に改選を迎える玉城氏にとり、ウクライナ情勢は沖縄と地続きの身につまされる関心事に違いない。 政府は「力による現状変更は認められない」とロシアを非難するが、新基地建設が進む名護市辺野古の土砂投入について、玉城氏が同じせりふで非難しても、政府は聞く耳を持だない。ふとテレビに目をやると、今日もセレンスキー氏がさっそうと世界中に支援を訴えている……。 * * お笑い芸人から政治風刺テレビドラマの大ヒットを足場に3年前、大統領へ上り詰めたゼレンスキー氏。失政続きで、昨年秋の支持率は30%を割っていた。それが開戦後、持ち前の巧みなビデオ演説で人気急上昇。今や英雄視する評価もある。 侵略が起きてしまった今となっては、徹底抗戦を指揮する戦時指導者としては理想的なのかもしれない。しかし、「これは世界を独裁陣営と自由陣営に二分するあなたの国自身の戦いだ」「もっと武器を。弾、弾、弾が足りない」とあおる演説には、共感より違和感を禁じ得ない。 インターネット上ではウクライナ軍の戦争犯罪も確認されている。まして米国の異常な兵器の供給ぶりを見ると、ウクライナが米露代理戦争に命と国土を提供している実態は誰の目にも明らかではないか。 開戦3ヵ月で民間人死者4000人超、国外避難民600万人、暴行され強制移住させられた人多数・・・。非難されるべきはロシアであるにせよ、現時点でこれだけの被害を出した政治責任は重大である。 ウクライナが今日の侵略を招くまでには、20世紀末から10年ごとに繰り返された政変・革命による分断と非人道的暴力を放置してきた長い荒廃の道のりがあった。その責任も、政治指導者たちの過誤に帰する。 政治家の責任は、国民をいかに戦争へ引き込まないか、にかかっている。本物の知略と勇気と説得術を持っているのなら、平時の内政と外交に使わなければ。戦争になってから発揮されても遅い。 戦時指導者の人気はナショナリズムによるアドレナリンの作用であり、戦争が終われば消える。第二次大戦の勝利を指導したチャーチル元英首相も、湾岸戦争に勝って支持率89%を記録した父ブッシュ元大統領も、戦後の選挙であっけなく有権者に見放された。ゼレンスキー氏もプーチン露大統領も先の運命は大差ないかもしれない。政治指導者の人気は、かくも移ろいやすい。 * * ベストセラー「応仁の乱」の著者、呉座勇一氏の新著「戦国武将、虚像と実像」(角川新書)を読んだら、日本人が好む歴史上の英雄たちについても、ずいぶんいいかげんな説がまかり通っているらしい。 例えば織田信長。軍事の天才にして、楽市楽座で経済規制を撤廃し、天皇や将軍ら既成の権威を否定した革命児……というのは歴史小説の作り話で、学問的史実は異なるという。秀吉、家康らの「常識」もかなり怪しく、江戸、明治、大正、昭和といった時代の価値観が投影されて虚像も変貌してきたというのだ。 昔の英雄たちですら実像は定まりがたい。実績と人気は別ものという以外に、人気は物語や逸話の面白さに大きく左右されるからだ。 岸田文雄内閣の支持率上昇は、まだ何の実績もないので、これも一種の人気だろうか。不支持率が減っているから、「積極的に嫌ではない」消極的承認というべきか。だとすれば、本来の意味の「支持」「評価」とは反対に、「何でもいいから問題を起こさず適当にやっておいて」といった投げやりな気分、無責任な無関心の表れかもしれない。 今のところ民心は、岸田氏の政治姿勢と奇妙に共鳴している。岸田氏が池田勇人元首相の「所得倍増計画」や大平正芳元首相の「田園都市国家構想」といった派閥の大先輩たちが残した昔の看板を持ち出すのは、独自の物語を生み出す気概がハナから欠けているためだろう。だが政界も世論も、底流にはきっと飽きたらなさがくすぶっている。だからゼレンスキー氏に英雄の幻像を見たがるのだ。(専門編集委員)2022年6月4日 毎日新聞朝刊 13版 8ページ 「時の在りか-ゼレンスキー氏は英雄か」から引用 この記事の主張に、私は賛成です。一昔前の話なら、戦争で獲得した領土は自動的に戦勝国のものになるのが常識であったかも知れませんが、現代の世界は「戦争は犯罪」なのですから、違法な手段で獲得した領土はいずれ元の住民の手に戻されるべきであり、やがては双方の話し合いによって解決されるべきです。したがって、戦争が始まってから3か月以上も経過して、いまだ欧米に武器支援を要請するゼレンスキー氏の対応は、大いに疑問です。これ以上戦闘を継続して、無駄に死傷者を増やすようなことは止めて、取りあえずは「停戦」を実現し、一定の冷却期間をおいた後で、正常化のために話し合いを画策するべきだと思います。
2022年06月07日
ロシア軍のウクライナ侵攻に刺激された日本の世論の動向について、朝日新聞編集委員の高橋純子氏は5月18日の同紙に、次のように書いている; -戦争はなぜ起きるの? 「人間が愚かだからだよ」 -どうしたら愚かじゃなくなるの? 「ちゃんと考えることだよ」 そんな絵本を読んだ記憶がおぼろになるのもむべなるかな、この世に生まれてはや半世紀、鼻で笑われた経験は星の数ほどあるのだけれど、なかでも時折思い出してしまうのは外務省幹部によるものだ。 「『唯一の被爆国として』だなんて、世界で言ったら笑われますよ」 だって日本は米国の核の傘に入っているんですから――。なるほど、それが本音か。しかし人にも、国にも、立ち返るべき原点というものがあるはずだ。愚かな戦争に突き進んだ敗戦国であり、被爆国であること。そこから足を放して、どうやって日本外交なるものに背骨を通すのだろう? そんな問いを携えて当の官僚と食事を共にしたこともあるけれど、憲法9条は殴られている友人を助けられない、恥ずかしいという、いささか素朴な熱弁をふるわれたくらいで、深い話は聞き出せなかった。 一事が万事そんなふうで、外務省担当としてまるっきり使い物にならない私は省内をぶらぶら散歩して時間を潰し、時に、敷地内にある陸奥宗光の銅像と向き合った。 戦争がまだ「合法」だった時代を生きた陸奥は若かりし頃、しょっちゅう東京・浅草に出向き、雑踏を人の流れと逆に歩いたと伝えられる。やせっぽちで腕力がないから、けんかをすれば必ず負ける。雑踏に逆らって歩き、逃げる練習をしているんだ――それを実践したのが、伊藤博文内閣の外相として対応した日清戦争、三国干渉の受諾だったと哲学者の鶴見俊輔は言う(「言い残しておくこと」)。 陸奥の日記「蹇蹇(けんけん)録」を読むと、当時の日本社会の様子が垣間見える。以下大要。 「妥当中庸の説を唱えれば卑怯(ひきょう)未練、愛国心がない者と見られるので声をのんで蟄息(ちっそく)閉居するほかない」 「国民の熱情は主観的判断のみで客観的考察を入れず、内を主として外を顧みず、進むだけで止まることを知らない」 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、敵基地攻撃能力を持つのだ、核共有も議論しろ、防衛費を増大するぞ、憲法9条を改正すべきだなどと、勇ましい政治家がクイズ番組よろしく「早押しボタン」を連打していてやかましい。 核の脅威が高まっているこのときに、それこそ「唯一の戦争被爆国」としてやれること、やるべきことは多々あるはずだ。なのにただ他国の不幸に便乗してひとびとの不安感をあおり、進むだけで止まることを知らぬ粗雑な議論で性急に「答え」を出そうとする政治家を、私は信用しない。 彼らは往々にして、戦争はいけないが……、と前置きしてのち語り出す。しかし、「戦争はいけない」に「が」や「けれど」を接続させるから、つるり戦争の方へと滑ってしまう。「戦争はいけない。」。まずはそう言い切ること。小さな「。」の上にかじりついてでも考え抜くことができるか否か。そこがいま、問われていると思う。 歴史を振り返っても当世を見渡しても、この国のブレーキは大変に利きが悪い。答えを急がず、歴史を参照し、異なる意見を聞きながら迷ったり悩んだりする姿勢こそがブレーキの役割を果たす。大事が起きてもその姿勢を崩さぬ人はきっと、愚鈍な臆病者とそしりを受けるのだろう。結構毛だらけ、私はそんな臆病者として生きたい。たとえ誤りにみちていても、世界は正解でできているのでなく、競争でできているのでもなく、こころを持ちこたえさせてゆくものは、むしろ、躊躇(ちゅうちょ)や逡巡(しゅんじゅん)のなかにあるのでないか。何だって正しければ正しいのでない。 (長田弘「誰も気づかなかった」) 鼻で笑って頂けたら本望である。2022年5月18日 朝日新聞朝刊 13版S 13ページ 「他事奏論-戦争はいけない。臆病者で結構」から引用 先月末の28日の欄に引用した記事には、江戸時代末期に日本海の対馬の港にロシア艦隊が居座って問題になったが、当時の徳川幕府の外交官は武力を用いず、巧みな外交手腕を発揮してロシア艦隊を追い払ったエピソードが紹介されていたが、この記事には、明治維新後の日本政府にも、瞬間湯沸かしのような短絡的な発想をする一部の世論を冷静に見つめる眼をもった政治家がいたことが紹介されていて、好感がもてます。軍事予算などという無駄なものにはカネを使わず、平和外交で武力衝突を回避する道を追及していくべきと思います。
2022年06月06日

戦時中に朝鮮半島から徴用で日本に来て死亡した労働者の遺骨を祖国へ変換する、ということで日韓合意が成立したのは小泉内閣の時代の2004年であったが、その後は返還事業が進んでいないため、仏教関係の市民団体が岸田首相に申し入れをしたと、5月13日の「週刊金曜日」が報道している; 日本が植民地支配した朝鮮半島から徴用し、死亡した労働者らの遺骨の返還が進まないのに業を煮やした全国の僧侶らで結成する「遺骨奉還宗教者市民連絡会」の代表が4月26日、外務省と交渉を持ち、「韓国政府との協議を再開し、旧民間徴用者らの遺骨返還を早期に実現すること」を岸田文雄首相に求める要請書を提出した。 北海道深川市の浄土真宗本願寺派・一乗寺の住職、殿平善彦(とのひらよしひこ)さん(76歳)によると、旧日本軍の軍人・軍属だった朝鮮人犠牲者の遺骨の韓国への返還は一定程度進んでいるが、民間徴用工らの遺骨は一部が殿平さんら市民団体の手で韓国に返された以外は全く進展せず、両政府間の交渉も停滞している。「北朝鮮に返すべき遺骨についても改めて要望したい」という。 この問題は、2004年12月の日韓首脳会談で盧武鉉(ノムヒョン)大統領が日本側に要請し、小泉純一郎首相(いずれも当時)が「可能な限り対応する」ことを約束していた。 日本政府は翌年から、朝鮮人徴用工を雇用していた企業や地方自治体、全日本仏教会に全国の寺院などに分散して保管されている遺骨の調査を依頼。その結果、各地から計2799体の遺骨所在情報の提供があり、実地調査で1088体が確認された。殿平さんらは「遺族が判明し、返還可能な遺骨も多い。政府や企業からの謝罪など誠意ある対応も含めて一日も早い返還を」と要求。外務省の担当者は「政府間交渉の窓口は今も開かれている」と述べたという。 長崎県・壱岐島の曹洞宗・天徳寺にも、日本の敗戦直後に朝鮮への帰還船が台風で転覆し、同島に流れ着いた131体の遺骨が安置されている。 犠牲者が身に着けていた地下足袋や靴、衣服の一部など遺品13点を外務省に持ち込んで机上に広げた西谷徳道(にしたにとくどう)住職(73歳)は「理屈はいい。遺骨が泣いている。故郷に返してあげて」と訴えた。<本田雅和・編集部>2022年5月13日 「週刊金曜日」 1376号 8ページ 「きんようアンテナ-遺骨が泣いている」から引用 かつての日本が行なった侵略戦争を反省した戦後50年の村山談話や戦後60年の小泉談話は、国内外に好感をもって受け止められたと思いますが、戦後70年の安倍談話では「戦後生まれの日本人に戦争は関係ないから、そういう日本人に侵略戦争を謝罪する宿命を背負わせるべきではない」などと発言して、世の中は「えっ?」と思ったものでした。戦後生まれの日本人には関係ないなどと思っているから、戦後に残されている「問題」にも無関心で、国際間の約束もはたせずにダラダラと長期政権を続け、国会を開けば118回も虚偽の答弁を重ね、自分の支持者を東京に招待してはサントリーのただ酒を数年間も無償提供させるという違法行為をする始末で、岸田首相も今後自民党政権を続けたいと思うのなら、安倍政権時代の不始末を、きっちり片付ける必要があると思います。
2022年06月05日
沖縄が本土に復帰してから50年も経つのに、沖縄県の窮状は少しも改善されていない現状について、法政大学名誉教授・前総長の田中優子氏は、5月15日の東京新聞コラムに次のように書いている; 今日は沖縄の本土復帰50周年の日である。しかし、喜ぶ気持ちになれない。沖縄の人々の復帰にかけた願いと希望を、本土の人間として裏切り続けた気がするからである。 その希望とは、憲法9条の思想を共有し基地のない沖縄を実現していく、という望みである。日本政府はそれどころか、50年もの間基地を沖縄に置き続け、さらに新しい基地造りに邁進し、南西諸島には自衛隊の拠点を造っている。「私は一度もその党に投票したことはない」と言ったところでむなしい。なぜなら軍備を前提とし、差別を軍備に利用する価値観を持った国の中で、自分自身は安全に毎日を過ごしているからである。その同じ価値観と差別とが、ロシアのウクライナ侵略の根底にもある。沖縄の現状を座視してロシアを批判できるのか。自分自身に問うている。 問題は2つある。1つ目は沖縄県に対する差別的な対応である。2つ目は軍備、とりわけ核配備の方向に予算と努力が向き始めていることである。 ◇ ◆ ◇ 1つ目を乗り越えるには、米軍基地を沖縄県外に一定の割合移動させることをまずは決定することだ。どうすればできるのか、ではなく「決断」こそ事態を変える。その上で補助金の提示を含めた場所の選定に入る。日米安保が必須だというのであれば、沖縄県を除く46都道府県が自らのこととして考えねばならない。それは米国が決めることではなく日本が決めることだからだ。今まで沖縄に依存することで日米安保と日米地位協定、つまりは戦後の日本そのものに目を背けてきたのではないだろうか? これからも辺野古の脆弱な地盤に莫大な税金を投入しながら依存し続けるのか? それとも新たな方法を模索するのか? 2つ目の軍備増強だが、それ自体がすでに外交の失敗である。平和が日本の理想だというのであれば、現実の政策はそちらを向くべきだ。外交能力を育てる教育、思想的な切磋琢磨、世界とりわけアジア各国の人々と実際に交流することで、多様性の実感を知の中に組み込むこと。それらこそ、実現すべきことだ。軍事に基地が必要であるように、外交力とその基礎となる知的能力を鍛えるには、拠点が必要になる。 ◇ ◆ ◇ ハワイには留学生を支援する「東西センター」があって、支援を受けた学生や研究者が各国からハワイに集まり、生活をともにしながら学んでいる。そのようなアジア太平洋地域のセンターを沖縄にもつくろうと、設立構想委員会が有志によって結成されている。目的は、アジア諸国から沖縄に集まって各大学・大学院で学び共に暮らすことで地域的民族的な感情を乗り越え、人権・福祉・労働・ジェンダーに対する意識改革を成し遂げることだ。沖縄は14世紀からアジアで貿易を展開し中国にも毎年使節を送っていた。その沖縄の位置は軍備のためではなく、アジア諸国の交流と外交にこそふさわしい。主権とは何か、自治とは何か、外交とは何か。それを考える場所として、沖縄ほどふさわしい場所はない。 何よりも、本土の人々を含む多くの人が沖縄で長期間過ごし沖縄の実態を知ることが、日本とアジアの関係を熟知し、日米安保とは何かを実感するために、ぜひとも必要なのである。2022年5月15日 東京新聞朝刊 11版 5ページ 「時代を読む-沖縄本土復帰50年に思う」から引用 この記事は、世の中の真実をズバリ指摘しており読む者を勇気づける文章だと思います。やはり「日米安保が必須だ」というのであれば、沖縄県にばかり集中している基地の少なくとも半分は本土に移転するべきです。かつて民主党政権で鳩山首相が主張した「少なくとも県外」は、あの当時も今も「正論」だと思います。当時は悪徳官僚に騙されて鳩山氏が退陣する羽目になりましたが、昔、小泉内閣が「郵政民営化」を決断し実行したように、これからの内閣は米軍基地の沖縄県外移転を「決断」するべきです。しかし、より根源的な議論としては、「日米安保」が必要なのか、という議論もあり得ると思います。もともとは米ソの冷戦に対応するためにアメリカ帝国主義が設置した基地であり、冷戦が終わった今は、米軍がアフガンやイラクを侵略するための基地として利用されただけで、「日本を防衛」するなどというのは、単なる建て前に過ぎず、現実に沖縄の米軍に対し日本政府が国土防衛のために出動を要請するという事態は、この50年間、ただの一度もありませんでした。また、今後あり得る話としては「尖閣諸島が中国軍に占拠されそうになった場合」に米軍が防衛出動するのかというと、米軍の言分は「日本政府の施政権が及んでいる範囲は日米安保によって、米軍が防衛する義務を負うが、なんらかの理由で施政権が及ばなくなったと判断された場合は、その限りではない」ということですから、日本政府としては尖閣であれ竹島であれ、また北方領土も、従来通りの平和外交で話し合って解決していくのが「正論」というものであり、役に立つ見込みもない米軍は、そろそろ撤去を「決断」する時期に差し掛かっていると考えるべきです。
2022年06月04日
衆議院の憲法審査会で自民党議員が憲法改正の必要性を主張したことを、13日の朝日新聞は次のように報道している; 衆院憲法審査会は12日、自由討議を行った。自民党は今国会の憲法審で初めて、9条に自衛隊を明記する憲法改正の必要性を本格的に訴えた。日本維新の会は、9条を含む安全保障に関する議論を行うよう提案。立憲民主党は、自民の主張する9条改憲に異論を唱えた。 自民の新藤義孝氏は、憲法に自衛隊を明記し、国防規定を設けることは「緊急事態条項の整備とあわせ、最優先で取り組むべき課題」と言及。「国防に関する規定も無いことはおよそ不自然だ」と主張した。維新の小野泰輔氏は次回以降、9条を含む安全保障に関する議論を行うよう提案した。 これに対し、立憲民主の奥野総一郎氏は「自衛隊が違憲だという人はほとんどおらず、そのために憲法を改正するのは違う」と自民側の主張を疑問視。さらに「9条を使ってでもしっかり(日本を)守ることができる」と述べた。公明党の中野洋昌氏は「平和安全法制(安保法制)のもと、日米同盟の抑止力を発揮していけるよう取り組みを強化することが重要」と改憲論を牽制(けんせい)した。(中田絢子)2022年5月13日 朝日新聞朝刊 13版S 4ページ 「9条改正 自民が訴え」から引用 自民党が主張する改憲論は、憲法に既定がないから世の中に「自衛隊違憲論」というものが出てくる、これを防ぐためには憲法に「自衛隊の役割」を明記する必要がある、というもののようです。しかし、現実には自衛隊は「自衛隊法」という法律が根拠となって日本政府の行政機関の一部を構成しているのであって、自衛隊が違法な存在なのか適法な存在なのかを議論するには、憲法を持ち出すまでもなく、「自衛隊法」の合憲性(または違憲性)を議論すれば済む話である。そもそも、世の中に「自衛隊違憲論」が存在すること自体がけしからん、という「発想」が間違っていると思います。私たちの日本は、憲法によって「思想・信条の自由」が補償されているのですから、「自衛隊は武装組織だから、存在すること自体が憲法違反だ」とか「交戦権を否定するとは言っても、自衛権まで否定するものではないはずだ」とか、様々な意見を表明できるのが当たり前であり、特定の考えを「否定」するために憲法を変えようという発想は「邪念」以外の何ものでもありません。
2022年06月03日
映画「教育と愛国」を監督した毎日放送(MBS)ディレクターの斉加尚代(さいかひさよ)氏は、映画制作の経緯について、5月15日の「しんぶん赤旗」で次のように述べている; ここまできたのか、と驚きを禁じえません。教育への政治介入を、事実を積み上げて”可視化”したドキュメンタリー映画「教育と愛国」。監督した大阪・毎日放送(MBS)のディレクター・斉加尚代さんは「教育は誰のものか。映画を見て語り合ってほしい」と呼びかけます。(板倉三枝記者) 2017年にMBSで放送されたドキュメンタリー番組(ギャラクシー賞大賞を受賞)をペースに、日本学術会議任命拒否問題などを追加取材して完成させました。30年近く教育現場を取材してきた報道記者が、2000年代以降、教科書の記述が政治の力で変えられていく過程をつぶさに見つめた労作です。 冒頭、戦後73年ぶりに正式な教科となった小学校の道徳教科書で、物語に登場するパン屋が和菓子屋に差し替えられたことが紹介されます。検定で「国と郷土を愛する態度に照らして」「不適切」と意見がついたのが理由です。変更は「あんパンなら良かったのか」など、議論を呼び・・・。 「クスッと笑いたくなる出来事ですが、ここには沖縄戦の『集団自決』の記述を軍の命令や関与はなかった、と修正させたのと同じ深刻な問題が隠されている、と思いました」 検定の舞台裏を取材しようとしますが、厚い壁で阻まれます。 「教科書検定制度が圧力と忖度(そんたく)の舞台であることが、うかがえました。見えない圧力をどう観えるようにするか。悩みに悩みました」◆事実を丹念に たどりついた結論は「一つひとつの事実を先入観を持たずに丹念に伝えること」。「圧力で翻弄(ほんろう)された側の声、無自覚だけど圧力をかけている側の声、どちらも不可欠だと考えました」 その一人、慰安婦問題の記述が右派勢力の標的となり、倒産に至った日本書籍の元編集者の声は悲痛です。自社の倒産が「生きた教材」となって、教科書会社の自主規制が強まった、と語ります。 斉加さんは「表現の自由を保障したこの国で、検定制度が自己規制の装置になっています。圧力をなかったことにせず記録に残す。圧力があるからこそ発言する。それが不当な力をはねのける力になると思います」と。 「学び舎」の教科書を採用した国立・私立中学に大量の抗議はがきを送った当事者らにも取材。十数年ぶりに「日本軍」慰安婦を記述したことが抗議の理由でした。大半が匿名の中、実名で数十枚送った山口県防府市長(当時)の松浦正人氏は、教科書を読まずに抗議したと話します。 一方、「教育勅語」を肯定する育鵬社教科書の代表執筆者である歴史学者の伊藤隆氏は、斉加さんの「歴史から何を学ぶべきか」という問いに、「学ぶ必要はないんです」と断言。歴史研究を否定するかのような発言に言葉を失います。◆「日本すごい」 映画は地元・大阪に舞台を移し、維新の会が教育への政治介入の急先鋒(せんぽう)であることを描きます。吉村洋文大阪市長(当時)のツイッターを合図に、慰安婦を取り上げた女性教師に”集中砲火”を浴びせる維新の議員たち。 「1997年をピークに経済が落ち込む過程で、愛国とか『日本はすごい』という言説が広がっていきました。愛国が排外主義と結びつく危険性は戦前、日本がおびただしい数のアジアの人々を不幸に陥れた歴史が示しています。教育の本質は、人々が平和で幸せに暮らしていくための学びだと思うんです」 「教育と政治」の取材は、「メディアと政治」を再考する機会にもなりました。「在阪テレビは維新の政治家との距離が近すぎる、と問題視されています。権力にすりよる空気はメディア内部にも漂っています。権力が隠したい事実を国民の側に立って伝える。それはテレビジャーナリズムの基本です」 斉加さんとタッグを組む澤田隆三プロデューサーも話します。 「テレビも新聞もオールドメディアといわれて、経営がシビアになっています。その中で、放送の持つ公共性や社会的役割を自覚した人間が権力を監視し、視聴者・国民の負託にこたえていく。メディアで働く個人個人がその精神を持つことが大切だと思います」<さいか・ひさよ> 1987年、毎日放送入社。報道記者をへて2015年からドキュメンタリー担当ディレクター。近著に『何が記者を殺すのか 大阪発ドキュメンタリーの現場から』(集英社新書)2022年5月15日 「しんぶん赤旗」 日曜版 31ページ 「政治が介入し変えられた教科書記述」から引用 教育に対する政治権力の介入は、民主主義にとって致命的で深刻な問題であるにも関わらず、この記事もその問題の「深刻さ」を十分に表現していないように私には感じられて、残念に思います。この記事の後半に登場する東京大学名誉教授・伊藤隆氏は、東大在職中の研究実績が高く評価される学者ですが、斉加氏に質問されて「歴史に学ぶ必要はないんです」とか「軍隊が弱かったから、戦争に負けただけです」というような、自分の研究実績を否定するかのような発言をするのは、何故なのか。何かふてくされているような、滑稽な印象を受けます。同じく東大を退官した後に「つくる会教科書」の推進役を果たした藤岡信勝氏も、似たような変な発言をする人物だったことを思い合わせると、彼らをそのように行動させる何かが、あるのではないかという気がします。
2022年06月02日
昨日の欄に引用した「しんぶん赤旗」・寺島実郎氏の記事の続きは、今後の国際社会が進む方向性と日本が取るべき進路について、次のように説いています;◆制裁ジワジワと それなのにプーチン氏はウクライナ侵攻に踏み切り、国際社会から厳しい経済制裁が科されました。 プーチン氏は国家保安委員会(KGB)出身で力を信奉してきました。相互依存が深まったグローバル経済の過敏性に対する理解がない。そこに誤算がありました。経済制裁は今後、想像以上にボディーブローのように効いてくることは間違いありません。 中国は今回のロシアの姿を見ながら、愛国心を駆り立て、力まかせに台湾を併合することがどれほど巨大なリスクなのか、考え始めています。 「国連は無力だ」という議論があります。 たしかに国連常任理事国のロシアが拒否権を発動し、安全保障理事会が機能していない面もあります。一方、国連総会では141力国がロシアにノーを突きつけた。これこそ全員参加型秩序の前哨戦のようなものです。大国だけが特権を握るのではない全員参加型秩序に向けた国連改革が実態として動き始めている。少なくとも、予兆が見え始めています。 この新たな世界を引っ張る要素は、国際的な世論形成力です。インターネット交流サイト(SNS)などが大きな影響力を持つ世界で繰り広げられる世論をめぐる綱引きで、どう優位性を確保するのか、です。 今の世界は「米ロ」「米中」といった2極構造でも「多極」でもない。力こぶで軍事力を見せつければいいというものでもない。国の大小に関係なく、掲げている主張、価値、理念の高さ、正当性が問われる時代になっています。 それなのに日本では、政府や与党などから敵基地攻撃能力保有の検討や「核共有」の議論が持ち上がっています。想像力のあまりの貧困に失望してしまいます。 日本が「敵基地攻撃能力を保有するし、日本による敵基地攻撃は許される」などと堂々と表明することは、周辺国に日本を攻撃する根拠をわざわざ与えるようなものです。◆日ロ領土問題の解決でも世界に条理説くのが大事 指摘しておきたいのは、日本にはプーチン氏を増長させてきた面があることです。 安倍晋三氏は、首相在任中に27回もプーチン氏と会談したと胸を張りました。2014年のソチ五輪では欧米の主要国が欠席する中で開会式に参加しました。直後にロシアはウクライナのクリミアを併合し、各国は厳しい制裁を科しましたが、日本の対応は微温的でした。そこまでやったのに領土問題は目指していた「2島返還」すら進展しませんでした。 ロシアとの領土問題を考える上でも求められるのは、日本の主張を裏付ける正当性です。 第2次大戦末期、旧ソ連は連合国の一員として日本に参戦し、千島列島を占領しました。 しかし旧ソ連がコミット(約束)していた連合国の基本方針=大西洋憲章は「戦争による領土拡大は認めない」としていました。 日本とロシアは1875年に樺太・千島交換条約を平和裏に締結しています。日本が樺太の権利を放棄する代わりに千島列島を日本が領有することにしたものです。平和的に結んだ条約の線引きがあるのですから、それをしっかり言うべきです。 大切なことは世界に向けて条理を説くことです。日本の主張はなるほど筋が通っている」と思われる発信が必要なのです。◆核禁条約参加を 日本には戦後約80年にわたって歩んできたプロセスがあります。戦後民主主義であり、憲法に象徴される平和主義です。そういったものを踏み固めた国として、国際社会が抱く日本への期待がどこにあるのかに思いをめぐらすべきです。 日本が今なすべきは「核共有」ではないでしょう。唯一の戦争被爆国としての非核の理念を高く掲げ、核兵器禁止条約に参加することです。禁止条約のど真ん中で非核の先頭に立つ。これこそ日本が発信すべきことです。2022年5月15日 「しんぶん赤旗」 日曜版 1、4ページ 「『大国の横暴』時代は終わり」から後半を引用 寺島氏が語る現実認識と今後のあるべき姿については、疑問の余地もなく「正論」であると思います。しかし、この記事のような観点からの「語り口」では、政府与党の政治家や大手メディアの記者たちに理解が出来るのかどうか、甚だ疑問に思います。ロシアがあのような行動に出たのだから、中国だって何時台湾に襲いかかるか知れたものではないなどと言うレベルの低い「発想」から、防衛費の増額だの「核の共有」だのと騒ぎ立てる輩に対しては、彼らと同じレベルまで降りていって、同じ土俵で一つ一つの「愚論」の誤りを指摘してやらないと、何でもかんでも「数の力」で強行採決する危険性は否定できないと思います。
2022年06月01日
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