愛し愛されて生きるのさ。

愛し愛されて生きるのさ。

2004.03.30
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現在渋谷のシネクイントで上映中の日本映画。
田辺聖子の短編小説を『金髪の草原』の犬童一心が映画化。
主演は妻夫木聡と池脇千鶴。


乳母車に乗っていたのは、自らをジョゼと名乗る少女だった。
彼女もいるしセックスフレンドもいる恒夫だが、次第にジョゼに惹かれていく…。


ファンタジーのような非現実性を持ちながらも、登場人物の感情や息遣いが妙にリアルな映画である。

ジョゼは足が不自由で、限られた時間しか外の世界を見ることが出来ない。
恒夫はだらしないようで、でも優しいという良くも悪くもイマドキの男子である。
そんな2人の出会いも、ジョゼの存在感も実に寓話的である。

しかしこの映画で特筆すべきは、そんな寓話性を持ちながらも、2人のセックスをしっかりと描ききったところにある。
池脇千鶴は肢体を惜しげもなく晒しているし、妻夫木聡も今までのイメージを覆すような濃厚なキスシーンを見せる。


しかしこの映画ではセックスシーンが映画のイメージを崩してしまうことはない。むしろそれを描ききったことで、登場人物たちの切ない感情を浮き彫りにしている。
体を開いたジョゼを前に「やばい、俺泣きそうだ」と言う恒夫の心情が痛いほど伝わってくる。

もちろんこの映画はセックスシーンだけで語られるべきものではない。
新しい世界を目にしたジョゼの畏れや喜び、徐々に惹かれあっていく2人の淡い感情がストレートに伝わってくる。

この作品が初めての脚本となる渡辺あやの卓越したセンス、人生の中のキラキラした瞬間をそのまま切り取ったような犬童一心の演出、そして妻夫木聡と池脇千鶴の新鮮な演技。
脚本・監督・俳優の3者がそれぞれベストを出しつくしたような感動がここにはある。

この映画は予定調和のハッピーエンドには終わらない。
このラストが果たしてハッピーなのかそうではないのか、私には判断がつきかねる。
一見悲しい結末のようにも思えるラストだが、でもそこには悲壮感は感じられない。ジョゼと恒夫、それぞれが強くなっていくための1つのステップであったように感じさせられるラストだった。このラストも実にリアルな感情が息づいている。

でもやっぱり、切ない。
恋はしたいけどするのが怖い、そんな人間の感情の機微を見事に掬い取ったような恋愛映画である。






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最終更新日  2004.04.02 00:07:41
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