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私は森田理論を学習するにあたり最新の脳科学も付け加えるべきであるという考えです。意欲的な行動をしている時、また反対に不安やストレスで苦しんでいる時、脳はどのような活動を行っているのか。基本的なところを抑えておくと、森田理論学習に大いに役立ちます。脳には様々な神経系がありますが、精神活動に大きな影響を与えているのは3つあります。1、積極的、意欲的、活動的な気持ちにさせてくれる神経系があります。2、不安やストレスが襲ってきたとき、心身のダメージを防止している神経系があります。3、1と2が暴走したときに、中和してくれている神経系があります。森田理論に当てはめてみると、1は生の欲望に邁進している時に活動している神経系です。2は不安にとらわれて、神経症として固着する過程で活動する神経系です。3は潤滑油的な役割を果しています。バランスをとっている神経系があるのです。ではもう少し詳しく見てゆきましょう。辛抱してお付き合いいただければ幸いです。1、扁桃核で快、好きと選別された情動は「腹側被蓋野」に送られます。ここからドパミンという神経伝達物質を使ってA10神経系を駆け巡ります。A10神経系というのは、ドパミンを分泌する神経系はA8からA16までありますが、その10番目ということです。ドパミンが最も広く多く分布しているところです。ドパミンは心地よさや快楽をもたらすものです。A10神経の中に「側坐核」がありますが、さらにやる気を高めています。そして内側前頭前野(目の上の部分)に送られて、ますます活性化します。この回路は「快楽神経系、報酬神経系」と言われています。目標や課題もって一心不乱に努力している時はこの回路がフル回転しています。神経症に陥ると不安の対応に追われて、この神経系が停滞しています。2、扁桃核で不快、嫌いと選別された情動は「青斑核」に送られます。ここからノルアドレナリンという神経伝達物質を使ってA6神経系を駆け巡ります。A6神経系というのは、ノルアドレナリンを分泌する神経系はA1からA7までありますが、その6番目ということです。ノルアドレナリンが最も広く多く分布しているところです。ここから脳の中を駆け巡り、最後に「左右外側前頭前野」に到達します。専守防衛が基本ですから、「防衛神経系、回避神経系」と言われています。ノルアドレナリンは不安やストレスに対して防衛態勢を敷くように呼びかけます。ノルアドレナリンは危険やリスクを回避するように働くのです。行動は消極的、抑制的、逃避的、内省的に働きます。いくら自分を鼓舞しても、脳の機能が後ろ向きですから、意欲は湧いてきません。しかし防衛神経系は私たちの生活にとても役に立っている側面があります。不安やストレスに対しては神経を集中させて全力を挙げて問題解決に向かいます。神経症に陥った人は注意や意識を自分の気になる症状に一点集中しています。つまりこの回路は「集中力」を高めるという側面があるのです。仕事や車の運転などの時は注意力が散漫になると思わぬ事故を招きます。肝心な時には一心不乱になって集中して取り組むことが欠かせません。さて不安やストレスに対しては、これとは別の生体反応が起きています。まず「自律神経の交感神経」が興奮します。交感神経が活性化されると、主にアドレナリン放出され、身体を覚醒させます。アドレナリンは腎臓の上にある副腎の髄質から血液中に放出されます。たとえば、心臓に働きかけて血圧や心拍数を高めています。血糖値も高めます。さらにサイトカインが免疫細胞に緊急警報を発しています。これにより平時では休眠状態の免疫細胞が活性化するのです。サイトカインは炎症反応を起こします。それ以外に「CRH回路」と呼ばれている反応があります。ストレスホルモンの「コルチゾール」を出しているのです。視床下部は数秒以内にホルモン(CRH)を放出し、すぐ下にある下垂体を刺激します。刺激を受けた下垂体は別のホルモン(ACTH)を15秒以内に放出し、今度は副腎の皮質を刺激し、数分以内にコルチゾールを放出させます。コルチゾールは一時的に、血糖値を高め、炎症を抑え、気力を高める効果があります。コルチゾールは血流にのって全身を駆け巡り、「闘争」か「逃走」のためのエネルギーを供給する一方、炎症性サイトカインの放出を抑え、活性化した免疫反応を速やかに平常時に戻します。免疫反応が過剰になることによって、身体に悪影響が出ることを抑えるためです。コルチゾールは、最後に記憶中枢の「海馬」に到達します。海馬は視床下部に対してこれ以上のコルチゾールを出さないように指令を出します。この流れで、短期の不安やストレス反応を速やかに収束するように作用します。不安やストレスに対する脳の反応は、もともと短時間のうちに発生して、短時間のうちに収束するような仕組みになっています。不安を感じてストレス反応が起きる状態が、長時間に渡って続く場合は問題が起きます。現代人はさまざまな不安やストレスに長時間さらされています。これが心身に大きな負担をかけています。コルチゾールに長時間さらされると、海馬自体のニューロンがダメージを受けて機能不全に陥ってしまいます。その結果、コルチゾールは24時間放出され続けるようになるのです。海馬が萎縮してくるとうつ病を発症するリスクが高まります。コルチゾールが過剰に出続けると、炎症性サイトカインの抑制も効かなくなります。その結果、炎症性サイトカインが暴れまくり、全身の血管や臓器に慢性的な炎症が起こります。心臓病、脳卒中、糖尿病、胃潰瘍、ガンなどにかかりやすくなります。不安やストレスが短期間で収束する場合は大きな問題にはなりません。それが長期になると心身に大きな負担をかけることになります。3はセロトニン神経系の話になります。これは明日の投稿課題とさせていただきます。
2022.04.30
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今日から大型連休が始まります。この大型連休を森田実践の機会ととらえて取り組まれたらどうでしょうか。森田は最終的には「生の欲望の発揮」にたどり着きます。つまり、課題や目標を持って積極的な生活を続けることです。でも、いきなりエベレストを目指すというような目標は、絵に描いた餅になってしまいます。今日からの3連休、一日置いてまた次の3連休、そして最後に2連休があります。この機会をとらえて、小さな課題や目標を立てて有意義な生活を送るというのは如何でしょうか。ではどんなことに取り組んだらいいのか。参考のために、私の課題や目標をご紹介します。大目標1、夏野菜(トマト、ナス、シシトウ、ピーマン、カボチャなど)の植え付けタマネギの収穫、ジャガイモの土寄せ、畔の草刈り2、植物公園のバラ展に行く。3、友人が訪ねて来るので懇親会。4、ベランダの花の植え替え。5、冬夏服の入れ替え、本の整理整頓6、読書、FPの学習、仕事のマニュアル作成7、集談会の説明用の趣味や一人一芸、家庭菜園の写真集を作る。習慣化している日々の実践1、6時20分起床。2、毎日ブログの記事を1本作成する。3、しば天踊り、ドジョウ掬い、ストレッチ、メダカの餌やり、草花への水やり、サックスの練習、カラオケの練習、腹話術の口上の練習、30分のウォーキング、瞑想などに取り組む。以上を日付ごとに落とし込んで実践していく。
2022.04.29
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次の言葉は森田先生がよく使われている言葉です。夢の内の有無は有無ともに無なり、迷いの内の是非は是非ともに非なり初めて耳にされる人は、禅問答のようで全く意味不明と思われるのではないでしょうか。今日はこの言葉をとりあげてみたいと思います。神経症の治療でいえば、対症療法的な治療法では、少し良くなるように思えても、結局は治らないばかりか、ますます混迷の度を深めていく。骨折り損のくたぶれもうけとなることになる。「毫釐(ごうり)の誤り千里の差を生ず」という言葉も同じような意味です。目の前に2本の道があって、もしその選択を誤れば、目的地とはどんどん離れていく。その誤りに気付かなければ、引き返すこともできない。お金やエネルギーを消耗して取り返しがつかなくなる。ここで考えてみたいのは、「夢の内」「迷い」という言葉です。あやふやな考え、短絡的な考え、早合点、思い込み、安易な決めつけなどのことではないでしょうか。これらの反対言葉は、真実、真理、普遍的な考え、事実に裏打ちされた考え方のことではないかと思います。なかなか真実、真理、普遍的な考えが見つからないので、あやふやな考え、短絡的な考え、早合点、思い込み、安易な決めつけに走ってしまうのかもしれません。「幽霊の正体見たり枯尾花」という話があります。秋から初冬にかけて、月明りの夜道を心細く一人で歩いていると、突然ガサガサと音がする。すると、幽霊が出てきて自分を追いかけてくるような気持になる。居ても立ってもいられなくなって、町灯の方に向かって一目散に駆け出す。慌てふためくと石にけつまずいて、ひっくり返り大けがを負ってしまう。後日、昼間にそこを訪れてみると、ススキの穂が風に揺られて音を出していた。一旦幽霊だと思い込んでしまうと、大変な惨事が引き起こされる。この場合、冷静になって事実を見極めるという態度があれば、気が動転して慌てふためくことは避けることができます。このような「あやふやな考え、短絡的な考え、早合点、思い込み、安易な決めつけ」などが問題なのですよ。それを絶対に間違いないと信じて行動すれば、ほとんどが見込み違いとなります。野球でいうと、150キロを超えるストレートを予想して、バットを振ったら手元で大きく落下するフォークボールだった。あえなく三振。ワンバウンドになるような球になぜ手を出すのだといわれても、予想が外れれば、結果は自ずから分かるということです。神経症を治すということも同様です。薬物療法をはじめとした対症療法があります。不安を根こそぎ取り除いてしまおうという精神療法もあります。松葉づえ程度に活用するのはよいのですが、それらを神経症治療の第一選択肢とするのは如何なものか。もっと神経症の発生原因に目を向けたほうがよいのでありませんか。神経症的な不安は欲望の裏返しとして湧き上がるものだということが理解できればその後の展開は大きく違ってきます。不安の特徴や役割、不安と欲望の関係、観念優先で事実軽視の態度の弊害を理解して対策を立てることが肝心です。神経症治療は森田療法が一番だというつもりはありませんが、少なくとも森田療法はあらゆる治療法を消去法で取り除いた後に、最後まで生き残った治療法であるということに思いを馳せていただきたいと思います。だから森田療法は100年以上も生き残っているのです。森田理論の考え方は、今後の人類史を左右するような内容を持っているのです。現在は表面的には風前の灯火のような状態ですが、いずれ復活すると考えています。
2022.04.28
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私が尊敬している森田理論に詳しい生活の発見会の山中和己氏のお話です。神経質のとらわれは「あってはならないもの。努力と工夫さえすれば、なくすることができるもの」と、かつてのわたしは、単純にそう思い込んでいた。その意識が大きく変化した。たとえば、対人恐怖についていえば、「なおるとか・なおらないとか」いうことには、さほどつよい関心がなくなった。いわば対人恐怖の「ある・なし」が、いちおう問題外となっていたようである。たしかにふしぎな展開だ。いつのまにか、ものの見方・考え方の観点(座標軸)が、どこかちがっていた。(そのままのあなたですべてよし 山中和己 生活の発見会 202~203ページ)山中先生は啓心会の時から森田に関わり学習経験が長くて多い。その講話は明快で分かりやすい。歯切れがよく説得力がある。だから森田の勉強会では、各地の勉強会で引く手あまたである。その先生が、信じられないことだが、講話の素人だといわれている。講話は「やむをえず・しかたなく・おっくうのまま」行っている。心掛けておられることは次の2点だという。1、自分の感じたことを自由自在に遠慮なく話している。2、いちいち自分で自分を評価することはしていない。是非善悪の自己評価をしていない。自分の評価は他人が勝手にするもの。いいもわるいも最終判断は、人にまかせておけばよい。まかせるよりほかに方法がない。我々とは発想や着眼点が180度違うようである。対人恐怖の人は、相手が自分をどう取り扱ったかに意識や注意を集中している。無視、軽視、からかい、批判、否定されるようなことはあってはならないと思っている。つまり専守防衛にエネルギーの大半を投入している。少しでも相手に隙を見せると、そこに付け込まれて自分がボロボロになり生きていけなくなると思っている。山中先生の話では、そういう気持ちはほとんどないことが分かる。自分の経験や考え方や生活を優先されている。自分の感情、気持ち、欲求を大切にされている。それを前面に押し出して、のびのびと自由人として発言されているようです。これは、人の思惑が気にならないように人格改造を行うという気持ちが、いつの間にかどんどん縮小してきたということだと思う。対人恐怖症の人はこの態度を参考にしたいところです。つまり、自分の感情、気持ち、欲求を最優先する自分中心の態度のことです。人の思惑が気になるという性格傾向は変わっていないわけですが、自分を前面に打ち出すという行動をとることで、バランスのとれた人間に変身できるということではないでしょうか。森田理論で神経症が治るというのは、人の思惑が気になるという性格傾向がなくなることではありません。その傾向は命が尽きるまで続きます。それにかかわるよりは、他人の役に立つことを探して実行する。それを優先して、自分の症状のことはそれが終わった後で考えようという気持ちで、仕事や生活に取り組む。そういう気持ちで生活していると、側から見ると、とてもバランスのよい人間に生まれ変わったように見えてくる。自分としても、目の前のなすべきことに注意や意識を向けることが多くなり、対人緊張で振り回されることが格段に少なくなっていく。対人恐怖症が治るというのはこういうイメージになると思います。
2022.04.27
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岩井寛さんのお話です。(人はなぜ悩むのか 講談社 210ページ)大学の先生をされている女性が岩井先生のところに入院された。その方の主訴は、自分視線が他人に異常に映っているのではないか。学生と視線を合わせることに不安を感じて授業を続けることができなくなった。早く視線恐怖症を治して、教壇に立ちたいということでした。入院されましたが、その時のことです。岩井先生が彼女に朝の挨拶をしても、彼女の方から挨拶をすることはなかった。そこで岩井先生は、「あなたは挨拶をしない主義の人ですか」と聞いてみた。すると彼女曰く。『先生、私は挨拶ほど無駄なことはないと思っているのです。朝早いことが分かっているのに「おはようございます」とか、寒いと誰もが感じているのに「お寒うございます」とか・・・。そんなことは全く不合理なことで、非生産的で、しかも相手に対して良い子になろうとするへつらいの行為だと思うのです』岩井先生は、彼女の言い分は、まことに明快で理屈が通っていると言われる。でもなんだかちょっとおかしいでよね。自分の信念・信条を押し通すことで、人間関係がぎくしゃくしている。学生から反発されて、まともに授業ができない状況です。それなのに、自分の視線が鋭いために、相手に不快感を与えている。視線恐怖が治れば、教壇に立てるはずだと思っている。この方の考え方を敷衍すれば次のようになるだろう。無駄なことは一切しない。確実に成果が上がることだけをする。無駄を作り出すことは、時間の浪費につながる。無駄を省いて効率的な行動をしないと損失につながる。省エネで最大限の効果を上げることばかりを追求した方が得だ。合理的、効率的、絶対的なものだけを求め続けている。成功確率が100%見込まれるものだけに手を出す。それ以外のものは、見向きもしない。馬鹿にして排除しようとする。無駄といえば、不安やストレスに煩わされるのもそうだ。早く取り除くか、かかわりを持たないようにする。人間は誰でもいずれは死んでしまう。最後はみんな死んでしまうのに、懸命に努力するのは馬鹿げたことだ。本能的な欲望に身を委ねて、瞬間的、享楽的、快楽的に生きるほうが理にかなっている。私は以前飛び込み営業の仕事をしていました。ほとんど断られました。つまり営業のほとんどは無駄な行動なのです。なかには口汚くののしられることもありました。私は途中で転職したので大きなことは言えません。無駄なことはしないという主義の人は、飛び込み営業はできないと思います。飛び込み営業で成功を収めるためには、無駄な営業を数多く積み重ねることしかありません。飛び込み営業の支えになるのは「大数の法則」です。100件の飛び込み営業を続けると、確率的に1件か2件の成約があるという法則です。この確率は職種によって違うと思います。つまり98件から99件の断わり(無駄な営業行為)を積み重ねることで、最終的に予定していたノルマを果たすことができるという理論です。これを支えにして仕事を続けていたのです。これを続けていると、余禄としてしだいに営業スキルが上がるのです。また、断られることに慣れてしまって、自尊心がそんなに痛まなくなるのです。人間が生きるということは、無駄な行為の積み重ねではないでしょうか。ミスや失敗の連続ではないでしょうか。考えたことや、ノルマや目標が努力なしに簡単に達成されることはほとんどありません。無駄な努力に終わってしまうことが多いのが現実です。だから成功した時の喜びが大きいのかもしれません。無駄が多いからといって、行動しないでさぼってばかりいると、その人の人生そのものが無駄だったということになるのではなりませんか。森田理論は日々の生活に一心不乱になって取り組んでみましようという理論です。そこでの喜びは取るに足らないかもしれません。極めて小さいものです。でもそれが積み重なったら大きな成果となるのではありませんか。私は水谷啓二先生の次の言葉が好きです。我々神経質者は風雲に乗じて成功を遂げるタイプではない。平凡を軽視しないで毎日の仕事に精を出す。そういう生活が20年、30年と積み重ねられると非常に非凡な成果を生む。人生に無駄なことは一つもない。無駄になるかもしれないことに心を込めて生活することが生きるということになります。
2022.04.26
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今日は雑談の場で自分が触れてほしくない不祥事などを話題にして、みんなで楽しく会話されることを取り上げてみたいと思います。「他人の不幸は密より甘い」という言葉があります。他人の不祥事、劣等感で悩んでいる事、ビクビクオドオドした小心な性格、ミスや失敗などは格好のターゲットになります。「からかうこと」は、遊びの一環で楽しんでいるという人もいます。ても、当の本人は、さらし者にされた、恥をかかされた。心ない言葉で、深く傷つけられたと思っています。基本的には、本人を前にして楽しむというのは不謹慎だと思います。相手が傷つくことは、知っていても知らないふりをしてあげる。当の本人の前では話題にしないことが大切になると思います。しかし現実にはそんなことはお構いなしで盛り上がることが多い。話題にされる当の本人はどう対応しているでしょうか。いろんなタイプの人がいます。1、実はそうなんだよとあるがままに認めることができる人がいます。テストで極端に悪い点数でも、それをみんなに回して自らさらし者になれる人がいます。あるいは過去の不祥事を詳細に説明してその場をさらに盛り上げている。これは事実を何一つ隠すことなく、あるがままに認めているのです。むしろ、積極的に開示して親近感を演出している。こういう人には周りの人は安心して近づいてくる。これは、しでかした不祥事は仕方ない、自分はそんなことで勝負をしていない。自分には相手の追随を許さない聖域を持っている。そこで勝負を賭けているのだという信念を持っているような気がする。他に自分を肯定するところを持っている人である。欠点が大きければ、長所も大きくてバランスが取れていると思える人である。2、次に、カッとなってすぐに言い返す人がいます。あるいは暴力をふるう。からかった人はただでは済まさないぞという態度に出る人です。こんな人は以後危険人物として取り扱われることになる。和やかな人間関係を保つことができない。3、反発することを抑えて、へらへら笑っている人がいます。腹の中は怒りで一杯ですが、ここで怒りを爆発するのは大人げない。堪えて我慢するしかない。でもイライラする気持ちを抑えきれない。苦悩や葛藤を抱えて神経症まっしぐらといった人です。4、からかわれたことを問題視して対策をとる人がいます。たとえば、薄毛の人がウィングをつける。植毛して事実をごまかす。しかしうまくごまかしたように見えても、何かしら違和感がある。ごまかしたことがばれてしまうと、破れかぶれの行動にでる。神経症でいえば、不安を根こそぎ取り除こうとしている人です。不可能に挑戦しているようなもので、苦悩は深刻です。5、からかうような人を避けるような人がいます。雑談の場は極力近寄らないようにしている。白か黒の二分法的な人間関係になりやすい。学校や会社での人間関係がいびつになり、臨機応変な付き合いができなくなります。こうしてみると、事実をそのまま認めていくことが一番だと思います。それ以外は人間関係を良好に保つことが難しくなります。観念優先で事実、現実、現状を受け入れないという人は、人間関係が悪化して孤立するようになります。森田理論の事実本位の生き方を身に着けていきたいものです。そのノウハウはすべて森田理論が教えてくれています。
2022.04.25
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東北大学の川島隆太教授のよい習慣が作る脳の活性化についてご紹介します。参考図書は「読書がたくましい脳をつくる」(くもん出版)です。仙台の小中学校で詳細な調査を行われている。それによると、読書する習慣を持つ子供は平均点以上の成績をとっている。自宅で1時間以上勉強し、6時間以上睡眠をとっていることが条件です。読書をする習慣のない子供は、自宅で2時間以上勉強して、6時間以上睡眠をとることで平均点以上になっているといわれる。睡眠は疲れをとるだけでなく、レム睡眠(夢を見るような浅い睡眠)のときに、前日の学習や経験の内容を復習して記憶として収納している。レム睡眠は、睡眠時に4回から5回程度現れます。睡眠不足になるとエネルギーを作り出す回路がうまく作動しない。大半のエネルギーは細胞内のミトコンドリアが酸素とブドウ糖などを利用して作っている。その回路が停滞すると言われている。読書する習慣をすると脳のどの部分が活性化するか。各回・・・書かれた文字を理解する。側頭極(前頭前野にある)・・・覚えたものを思い出す時に働いている。ブローカ野(前頭前野にある)・・・言葉を作り出している。ウェルニッケ野(側頭葉にある)・・・誰かがしゃべっている言葉の意味を理解する。これらの部分が神経線維でつながっているのですが、その線維の軸索が太くなる。これは脳のミエリン化と言います。これにより国道が高速道路に格上げされた状態になる。高速で情報伝達するようになるので、優れた機能を発揮するようになる。パソコンやスマホに頼りすぎると、脳が廃用性萎縮現象を起こすようになる。どういうことかというと、本来人間がやるべきことを肩代わりしている。パソコンやスマホには学習機能があります。たとえば、「あ」と打つと「ありがとうございました」などと言う言葉が候補として出てくる。分からない漢字を調べたり、文章を作ったり、まとめたりする仕事を肩代わりしています。便利さと引き換えに脳の機能がだんだんと衰えてくるということです。私は本を読む時は、付箋をつけて読んでいます。あとでその部分を書き出すようにしています。そして自分の考えを付け加えて試行錯誤をくり返してまとめています。読みっぱなしというのはほとんど何も残りません。書き出して自分の考えをまとめ上げるという作業はとても大切になると思います。この作業を毎日繰り返していると認知症とは無縁ではないかと考えています。なお本は図書館を利用しています。市立と町営図書館です。それぞれ10冊まで借りることが出来ます。この中から2~5冊を精読しています。
2022.04.24
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予期していない出来事、想定していたこととは違う出来事、不都合な出来事が目の前に現れたとき、対象相手に腹を立てて激怒してしまうことがあります。勢いにまかせて、非難、否定、叱責、説教してしまうこともあります。暴言を吐き、暴力行為をとるとその後が大変です。森田理論では、腹を立て、激怒してしまう感情は初二念、二次感情だと言われています。事実のごまかし、捏造、言い訳、弁解などもそうです。森田では、最初の感情、直観、素直な感情、初一念、一次感情を大切にすることをお勧めしています。いわゆる「純な心」と言われる部分です。相手から馬鹿にされた、批判された、否定されたという場合の一次感情は何でしょうか。思いつくままにあげてみましょう。イライラした、気が動転した、おびえている、ビクビクしている、悲観的な気持ちになった、憂うつになった、みじめな気持ち、当惑している、傷ついた、つらい気持ち、見捨てられたような気持になった。この中でも、「おびえている」「傷ついている」という気持ちが強いのではないでしょうか。私は怒りの感情が湧き上がってきたとき、一次感情を意識するようにしています。一次感情は事前にまとめて一覧表にしています。それを鞄の中に入れて持ち歩いています。怒りの一次感情の内容は次のようなものです。イライラしている、気が動転している、苦々しく思っている、心配している、おびえている、ビクビクしている、ぞっとしている、当惑している、面食らっている、恥ずかしい、きまりが悪い、悲観している、嫉妬している、見捨てられたと思っている、愛されていないと思っている、悲しんでいる、憂うつになっている、傷ついている、みじめな気持ちになっている。怒りの感情が出てきたとき、「ちょっと待った」「一次感情を味わう過程が飛んでいるぞ」と自分に話しかけているのです。一覧表を見て、ぴったりの言葉を探します。先ほどの例では「おびえている」「傷ついている」がぴったりでした。ぴったりの感情が見つかったら、それを独り言で口にします。意識して味わうようにしているのです。一次感情に浸っていると、性急に怒りの感情をあらわにすることがなくなります。そして時間が経つと、怒りの感情が薄まっていきます。興味のある方は、ぜひご自分で確かめてみてください。これが難なくできるようになると、森田の「純な心」の世界に近づいていくことになります。
2022.04.23
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神経症の治療や森田理論の学習の中で、森田日記が導入されている。森田日記は自分が書いた日記を治療者や先輩会員に見てもらうことになります。そして生活指導、認知の誤りや行動上のアドバイスをいただきます。アドバイスの内容は赤字で書かれています。神経症の人にとって、普段の生活の相談に乗ってもらうことは心強いものです。また先輩の日常実践から大きな刺激を受けることになります。あんな先輩になりたいなと思えれば、森田日記に取り組んだかいがあります。このアドバイスを活かすことが出来れば、神経症が治るのだという希望も持てます。私が経験したのは、2週間分の日記を書いて郵送で先輩会員に送る。3週目、4週目の日記は、それとは別の大学ノートに書く。5週目、6週目は返却された大学ノートに書く。ですから2冊の日記が隔週で交換されることになります。それの繰り返しで3か月続きました。先生や先輩会員にコメントをいただくので、1行おきに書きました。それから、次の日の日記は余白を充分にとって書くか、次のページに書くようにしました。日記は毎日書くのですが、日付、曜日、起床時間、就寝時間は必須です。内容は日常生活の行動記録が中心になります。その結果どんな気持ちになったか。どんな感情が湧き起こってきたのか。行動した結果どんな風に状況が変わってきたのか。頭の中であれこれ考えたことは書きません。症状と格闘した経過についても書きません。森田日記は自分の神経症の悩みをくわしく書くものではありません。これは集談会でいえば体験交流の中で行うことです。ただし、これは心がけだけでよいと思います。どうしても出てくるものは仕方ありません。実践・行動した結果、気が付いたことや新たな発見があればそれを書きます。ポジティブな感情ばかりでなく、ネガティブな感情も出てきます。ポジティブな実践や行動は、赤字で高く評価されますので、自信になります。ネガティブな感情も無駄ではありません。本人は実践しようと思っていたのにどうしても体が動かないこともあります。これをもとにして、今後どのように対応していけばよいのか考えるきっかけになります。これを日記に書くことで、自分では気づくことが出来なかった認知の誤りを教えてもらうことが出来ます。井の中の蛙が外に出るようなものです。日記は長くても、大学ノート1枚に収まるのが限度です。あまりにも長いのは、読む人の負担になります。全く書いていない日があってもよいのですが、昼間は何らかの行動をとっているわけですから、日記の効果を上げるために真剣に取り組みましょう。日記の効用として、たとえ神経症で苦しくても、日記指導を受けている間は日常茶飯事に取り組むことが出来ます。今後の実践や行動のきっかけづくりになるのです。症状を持っていても、日常茶飯事はこなしていけることが分かれば十分ということになります。これが呼び水となって、神経症のことで頭の中がいっぱいだったものが、少しでも生活の方に注意が向いてくることが肝心です。
2022.04.22
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森田先生は18歳からずっと日記を書いておられました。日記の内容は簡単なものである。1行か2行である。感情的なことは書いていない。その日の出来事や行動記録である。私は森田先生の真似をすることを目標にしているのですぐに実践してみた。私は日記を書き始めて17年目に入っている。習慣になっているので、書かないと落ち着かない。最初の1年はスケジュール帳に書いていた。次の6年間は3年連用日記に書いた。そして次の10年は10年連用日記に書いている。10年連用日記は10年間の日記の内容がすぐに分かる。来年は新たな10年連用日記に切り替わる。その日の天候、夕食の内容、主な出来事、社会の出来事などである。次に行動記録である。実践したことを書いている。失敗談や成功談を書いている。不安などの感情については一切書いていない。私も森田先生と同じように簡単なものである。年が変わると、前年を振り返って、トピックスを書き出している。これが積み重なると懐かしく思い出す。時々自分史を書くという話を聞くが日記を書いているとすぐにできる。10年連用日記で役に立ったのは、自家用野菜の植え付けや手入れである。野菜は種まきや植え付け時期を間違えると、収穫に大きく影響する。それから、毎年の恒例行事が書いてある。車検や免許更新、家族の誕生日、命日、老人ホームの慰問活動、花見や紅葉狩り、それから加工食品作り、人との交流、お中元やお歳暮、風水害、地震、大きなイベントなどである。日記に触発されての恒例行動が多くなる。たとえば家族の命日にはお経をあげている。子どもや孫の誕生日には電話やメールをしている。日記からヒントを得て、毎年同じ時期に同じような行動をとっている。つまり1年の生活のリズムができてくるのがよい効果を生み出している。集談会の前には、直前の1ヶ月を振り返って印象的なものを書き出している。その中から自己紹介で1個ないし2個を取り上げて発表している。最近3行ポジティブ日記の効用について知った。これは寝る前15分以内に、今日の出来事で楽しかったことを3つだけ書く。これは「3行ポジティブ日記」というそうだ。誰でも毎日生活していると、楽しい出来事、苦しい出来事が次々と起きます。その中でポジティブな出来事を3つだけ拾い出して日記に書く。これを実践していると「幸せ収集能力」がついてくる。意識づけをしているとこれが夢に出てくるようになる。長く続けるためには、簡単に3分以内で書く。今後はこれを取り入れてみたいと思っている。(3つの幸福 樺沢紫苑 飛鳥新社 132ページ参照)
2022.04.21
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森田の特殊用語「純な心」の説明と活用方法についての投稿です。「純な心」は、素直な感情、直感、第一に湧きあがった感情と理解しても構わないと思います。森田ではこの感情を大切に取り扱いましょうといっているのです。どうしてこれらの感情を大切に取り扱うのか。それは観念主導で事実を否定することがなくなり、精神的な葛藤や苦しみが消えてなくなるからだと思います。ただし、言うは易く実行は難しいというのが実感です。なぜ身につけることがそんなに難しいのか。それは、何が素直な感情、直感、第一に湧きあがった感情なのかが分かりにくいことです。また、その感情はよほど意識していないと、すぐにかき消されてしまうということです。つまりすぐに「かくあるべし」を含んだ感情に置き換わってしまうのです。このあたりがきちんと理解できると、これからの人生に大いに活かすことが出来ます。たとえ話でご説明しましょう。会社で忙しく働いている管理職の男性です。今日は子供の誕生日です。奥さんからいつもお仕事で遅くなるけど、今日くらいは早く帰って来て子供の誕生日を祝ってあげてねとお願いされました。そうだな、せめて今日くらいは家庭サービスをしようと決めていました。定時で仕事を終わろうとしていたところ、部下が仕事で大きなミスをしてしまいました。当然上司としてその対応に当たらなければなりません。それを放置して帰宅してしまうと上司としての資質が疑われます。その板挟みの中で、感情が高ぶり部下をきびしく叱責してしまいました。このようなことはよく起こります。こんな時こそ「純な心」の活用のしどころです。この事例をもとにして「純な心」整理してみましょう。ここでは怒りの感情が湧き上がりました。この怒りの感情は一次的な感情でしょうか。ここが間違いやすいところです。一次的な感情とは違うと思います。では怒りの感情が湧き上がる前の本当の一次感情は何か。「ええ、嘘だろう。困ったな。どうしたらいいんだ」という気持ちでしょう。解決策が全く思い浮かばない。切羽詰まって追いつめられた感情のことです。この人は、この感情に身を委ねることが大切だったのです。この感情をしっかりと味わい尽くすということです。ところが実際には、この段階を無意識のうちにスキップしてしまったのです。一次感情をスキップすると、「かくあるべし」を含んだ二次感情がすぐに出てきます。二次感情は先入観や決めつけと親和性があります。是非善悪の価値批判をします。そして息をつくまもなく、間違いの多い対応策を選択してしまうのです。二次感情は、このままでは定時で帰ることはできない。妻や子供との家庭サービスの約束が守れない。下手をすると得意先を失うかもしれない。自分の上司から叱責されるようなことになるかもしれない。この原因を作った部下が憎い。腹が立って、勢いのままひどい言葉で罵声を浴びせてしまった。部下との信頼関係は一挙に崩れてしまいます。一呼吸おいて一次感情を大事に取り扱った場合は、その後の展開が全く違ってきます。「ええ、嘘だろう。困ったな。どうしたらいいんだ」という気持ちです。部下を叱りつける前に、部下が仕事で大きなミスをしたというけれどもいったいどんなミスだったの。ミスの内容を詳細に調べるだろうと思います。ミスの内容によっては、上司である自分が動かなければならない場合もあるでしょう。得意先に出向いて謝罪が必要なのか。電話で済むのか。製造部署に緊急対応を依頼することが必要な場合もあるでしょう。あるいは、部下に適切な指示をして事なきを得る場合もあるでしょう。または、他の人や他部署の人に処理を依頼する場合もあるでしょう。場合によっては、明日の対応になるかもしれません。最悪すぐには対応できない場合もあるでしょう。対応策をいろいろと検討して方針を決定することができます。場合によっては妻や子供に謝らないといけなくなるかもしれない。なんとか処理できれば、少し遅れるかもしれないが何とか間に合うかもしれない。少なくとも部下を罵倒することは避けられたはずです。一次感情を大切に取り扱うことが出来る人は、森田理論を学習してその意味がよく分かっている人だと思います。ただし、これを身につけることは容易ではありません。立ちはだかる障壁が大きいからです。これは仲間同士切磋琢磨して身に付けるものだと考えています。
2022.04.20
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アラビア半島に「ガリラヤ湖」と「死海」があります。この二つの湖はヨルダン川の水を蓄えています。最初は「ガリラヤ湖」に流れ込みます。そこからでた水が「死海」に流れ込んでいます。「死海」からは一滴の水も流れ出ることはありません。周囲の光景は対照的です。「死海」は魚が1匹も住んでいません。「ガリラヤ湖」の周りは緑も豊かで、たくさんの魚が泳いでいる。鳥たちも飛び回っています。この対照的な湖の違いは、流れ込んできた水が出て行くかどうかにあります。新しいものを取り入れたら、それに見合うものを外に吐き出して初めて命あふれる湖として機能するということではないでしょうか。テレビで時々ゴミ屋敷に住んでいる人が出てきます。近所から廃品を持ってきて家の周りに積み上げています。ネズミや虫が住み着いている。異臭がして、道路にもはみ出して、景観が悪い。近隣住民と絶えずいざこざを起こしています。先日マンションの引っ越しがありました。その方は、空き缶やペットボトル、食品の包装紙など可燃ごみとして出さずに、全部家の中にため込んでいる人でした。自分では処分できず、業者に頼みましたが、全部片付くのに二日かかりました。業者によると足の踏み場もないほどゴミであふれていたそうです。その人はうつ状態でほとんど家から出ることがない人でした。新しいものを買ったら古いものは処分する。捨てるだけではありません。欲しい人に差し上げて活用してもらう。本、家具、電化製品、衣類でもリサイクル業者がいます。買取価格はつきませんが処分するとすっきりします。誰でも引越ししたときは、スペースが十分ありますが、そのうちものであふれてくる。そして使わないもの、決して再び着ることのない服、使うことのない靴、鞄、小物、読むことのない本などで一杯になります。人間でいえば、血管の中にコレステロールなどの不要物が詰まり、血液の流れを悪くしているようなものです。脳血管障害、心臓病の原因になります。私たちが問題にしている不安や恐怖などの感情の取り扱いもそうだと思います。一つの不安にとらわれて、取り除こうとするやり方はまずいいと思います。行動することで事態の改善につながる不安は、すぐに手を付けて処理する。神経症的な不安はそのままにする。何しろ欲望の反面で湧き上がってきているものですから手を付けない方がよい。時間の経過にまかせて、次の不安に飛び乗っていく。谷を流れる水のように、勢いよく流していく。この方法が正解であると森田理論学習の中で理解しました。お城の堀の水のようにため込んでいると、藻が湧き、水が濁り、細菌が増殖します。このコツを会得するのが森田理論学習だと思います。
2022.04.19
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会社では、2割6割2割の法則があると言われます。上から2割の人は仕事に積極的に取り組み成果を上げている人。会社の利益はこの人たちからもたらされている。下から2割の人は、会社の足かせになっている。ほとんど役に立たないばかりか、扶養家族となっている。この人たちは、退職勧奨や出向や転籍の処遇を受ける。真ん中の6割の人は、指示されたことは何とかこなしている。人間関係に気を配りながら、最低限の義務は果たそうとしている。下から2割の人を追い出したら会社は安泰か。そうはいかない。しばらくするとまた2割6割2割の法則通りになるという。この法則は自分たちが属している組織の中で働いているように思う。それなら、この法則を所属している組織の中で活用していくことが得策である。自分と馬が合って楽しく会話ができる人は、2割くらいのものだと割り切るのである。そして反対に、自分と馬が合わなくていつもけんか腰で対応している人が2割くらいはいる。神経質性格の人は、完全欲が強い。理想主義である。全員と仲良くしないと、この会社での自分の居場所はないように考えがちである。この考えに固執すると窮屈になる。あと6割の人は、ことさら自分に好意的に接しているわけではない。また、あからさまに嫌悪感をむき出しにして接しているわけでもない。必要な時に、必要に応じて、必要なだけの付き合いをしている。好きでも嫌いでもない、特別あまり関心を持っているわけでもない。こういう人は日和見主義という。腸の中にいる細菌の多くはこの日和見細菌だというどちらにつく方がよいのか決めかねているような人だ。問題は、自分のことを快く思っていない人が、日和見主義の人を味方につけて自分を仲間内から追い出そうと企てた時である。こうなると8割の人との人間関係がぎくしゃくしてくる。これは何としても避けることだ。そのためには、嫌いな2割の人とあからさまに敵対してしまうのはまずい。挨拶はきちんとこなして、あとはつきず離れずで最低限の付き合いをこなしていくことだ。あまりにも露骨な言動を繰り返していると、悪い噂を流して6割の人を巻き込んで自分に歯向かってくるので要注意である。この法則は会社や学校だけではない。趣味の会、集談会、親戚、町内会、OB会など組織と名のつくところにはつきものである。ですから所属している組織が一つだけというのは、きわめて不安定である。そこで躓くと逃げようがなくなる。これを防ぐためには、日頃から付き合いの幅を広げておくことである。会社、学校、家族、親戚、趣味の会、勉強会、集談会、自治会など多くの組織に関わることである。それらすべての組織で、2割6割2割の法則が働いていると意識しておくことだ。2割の人と親しく会話できれば上等だと思っていると気持ちはすごく楽になるはずである。それをすべての人に求めると、身動きが取れなくなる。あと8割の人とは、あいさつ程度で、必要な時に、必要に応じて、必要なだけの人間関係を持つことが出来れば十分ではないでしょうか。
2022.04.18
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橋上秀樹氏の話です。野村監督はミーティングの場でしばしば次のように質問していた。2割5分でホームラン10本打てる選手と3割でホームラン0の選手がいたとすると、監督の立場だとどちらの選手が使いやすいか。橋上さんは、100打席で考えると、ヒットが25本と30本、たったの5本の違いである。だとすると、ホームラン10本打っている選手の方が断然よいだろう。シーズン10本のホームランを打っている選手はそんなに多くはない。しかし野村監督は「ホームラン0で打率3割の方が断然使いやすい」と言われた。その方がチームにとってはありがたい。その選手を厚遇すると言われた。たとえば、2000年に阪神に赤星憲広選手が入団してきた。脚は他の選手を圧倒していた。ところが打力はさっぱりだった。春季キャンプ当初の打撃では、打球が内野手の頭を越えないほど非力だった。野村監督は、赤星選手に次のようにアドバイスした。「お前さんは出塁率を上げることだけ考えろ。とにかくボールを転がせ。内角球に逃げるな。足が早いのだから、その足さえ活かすことが出来ればプロで十分やっていける」赤星選手は、野村監督の助言を素直に受けいれて、バットを短く持ってヒットを打つことを心掛けた。そのおかげで2001年5月にレギュラーに定着することができた。単打と盗塁を積み重ねて、その年の新人王と盗塁王のタイトルを獲得した。2009年に引退するまでに通算381個の盗塁を記録しただけではなく、打率3割を記録したシーズンが5回もあった。ヤクルトの橋上秀樹さんの場合はどうだったか。ヤクルトの外野手の層が厚くなかなかレギュラーとして使ってもらえない。それは他球団の一流の右投手のスライダーが全く打てなかったのだ。このままではいつ首になってもおかしくない立場だった。そこで思いついたのは、「左投手に絶対に強くなる」ということだった。そこにかけて練習に取り組むことにした。練習では左投手中心に投げてもらって、ヒットを打つための練習を重ねた。さらに足の速さや肩の強さについてはある程度自信があったので、この部分はさらに練習で鍛え上げた。そのおかげで過酷なプロ野球の世界で10年以上在籍することが出来た。これらの話は私たちにとってとても参考になります。他人や会社や社会に貢献できるものを作り上げれば自分の居場所ができる。欠点を修正することに全エネルギーを投入するよりも、人と比較して自分の得意なことや強みを見つけ出すことがはるかに大切である。欠点の修正はそこそこにして、それを徹底的に鍛えて伸ばしていくのである。強みや長所が分かっても、磨きをかけなければ宝の持ち腐れになります。原石を研磨して光り輝く宝石に仕上げていくことが大切になります。神経質者の場合は、感受性が豊かで細かいことによく気が付くという優れた特徴があります。この特徴を最大限に活かすことで、光輝く星になることが出来ます。以前の西川きよしさんの選挙の公約ではありませんが、「大きなことはできませんが、小さなことからコツコツと」という気持ちで取り組めば、家庭、会社、社会の中で居場所が確保できるのではないでしょうか。そのためには、その小さな気づきを宝物としてきちんとメモして取り逃さないことが大切になります。
2022.04.17
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黒川伊保子さんのお話です。女性の会話は、共感で始まり、共感で終わる。共感がなければ、どんなに長くしゃべっていても(うんちくや一般情報をプレゼントしても)、女性はそれを会話と言わない。男性は定年して家に入るにあたって、どうしても心得てもらわなければならないことがある。それは奥さんと会話する時に「共感」というクラッチペダルを踏むことだ。奥さんが「腰が痛い」言えば、「それは辛いだろう」といたわってあげる。「片付け物は俺がするから、座っていてもいいよ」という言葉が出てくれば二重丸だ。間違っても「痛いのならすぐに医者に診てもらえ」と言ってはいけない。奥さんが急に熱を出して寝込んだ時、「しんどそうだね。大丈夫かい。薬を買ってこようか。車で病院へ連れて行ってあげようか」という。間違っても「じゃ、俺は今日の夕飯は外で食べてくるから」と言ってはいけない。「私が苦しんでいるのに、旦那は何を考えているの。私のことはどうでもいいの」と思ってしまう。いっぺんに夫に愛想が尽きてしまう。姑や息子の嫁の愚痴をいう妻に、「自分のことは棚に上げて、なんていうことを言うのだ」と言ってはいけない。「お前にばかり負担をかけてすまないね」というべきだ。暑い日に台所に立っていたら「ソーメンは涼しいけど、ゆでる人は暑くて大変だね」といたわってあげる。夫であるあなたはリビングに寝そべっている。妻が買い物袋を両手に抱えて玄関のドアを開けた。あなたはすぐに駆け寄って、「重かっただろう」と荷物を持ってあげますか。それともスーパーから家まで500mの距離を歩いてきたのに、今さら台所までの3mを運ぶなんて意味ないだろうと思いますか。妻はこの3mで絶望するそうだ。500mは何も思っていなくても、最後の3mで「何のねぎらいの言葉もかけてこない夫」に絶望し、深いため息をつくのである。夫が妻に謝るときも、いたわりの気持ちを込めて話すことが大切になる。「あなたって、どうしてそうなの」と言われたら、「いやな思いをさせてごめんね」「どうして○○してくれないの」と言われたら、「気がつかなくてごめん」「早く帰るって言ったよね」には、「心細い思いをさせてごめんね」こう言われれば、妻は、添えられた言葉に共感とねぎらいの気持ちを感じて、ストレスを軽減させることが出来るのです。(定年夫婦のトリセツ 黒川伊保子 SB新書参照)まさに女性は共感に始まり、共感に終わるのですね。いつも自分の気持を前面に押し出していると、いずれ妻から引導を渡されてしまうかもしれませんね。森田理論学習では共感力が大切だと言われています。これは日頃から夫婦の日常会話で訓練しておくとよいかも知れません。全部できなくても10個のうち1つでもできればと思います。
2022.04.16
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人間は過去の自分の過ちや恥ずかしかった体験が夢の中に出てくる。そして、後悔の念で一杯になる。不快な悪夢はなんとかならないものでしょうか。本日はこの問題を取り上げてみました。まず夢を見るということはどういうことなのでしょうか。人間が眠るときは、レム睡眠とノンレム睡眠をくり返している。レム睡眠は浅い眠りです。ノンレム睡眠は深い眠りです。レム睡眠が約20分、ノンレム睡眠が90分くらい続くようです。これを1サイクルとして、一晩に3回から4回繰り返されている。ノンレム睡眠時には脳が完全に休んでいる。レム睡眠時は、脳波でいうと覚醒時と同じβ波がでてくる。覚醒時と違うのは、筋肉活動が抑制されているので、金縛り状態です。ただし脳は活動している。まぶたの裏で眼球が動いている。レム睡眠というのは、この急速眼球運動のことを言う。ノンレム睡眠時には、この急速眼球運動は起きない。レム睡眠時に、人によっては悪夢でうなされる。一晩のうちに3~4回は悪夢を見ているということです。覚醒時に体験した情動(不安、恐怖、喜び、驚きなど)は海馬などに一時記憶として残っています。レム睡眠時に、この一時記憶が扁桃体や帯状回を興奮させ、無意識下でも情動体験が誘発されるようになっています。夢の内容は、覚醒時の体験の中で、強い情動が誘発された海馬の一時記憶にあるのです。また海馬は強烈な一時記憶を、長期記憶として固定する役割を果している。過去の恥ずかしい体験や後悔の体験は長期記憶として収納されています。それらが連鎖的に取りだされて悪夢として再現されてしまうということになります。悪夢はアルコールや精神安定剤を使用しても消し去ることはできません。悪夢の再現はどうすることもできないと観念するしかない。ここで救いがあるのは、情動体験はネガティブなものだけではないということだ。ポジティブな情動体験もそれなりにあるのです。楽しい、うれしい、快適、好き、おいしかった、すがすがしい、すっきりした、安心、面白い、褒められた、評価された、尊敬されている、保護された、助かった、運がよかった、望みがある、満足だ、天にも昇るような気持になった、優越感で一杯になった、達成できた、成功した、目標がかなった、自分のミスや失敗をカバーしてくれた、仲間に信頼されている、元気いっぱいだ、意欲がある、やる気が出てきたなどというポジティブな情動も湧き上がってくるということだ。人間は誰でも、これらの体験が一つもないことはありえない。もし感じられないとすれば、それらを無視・軽視しているのかもしれない。あるいは不安、恐怖、違和感、不快感に敏感に反応する体質に変わっているのかもしれない。ネガティブな情動を取り除こうとしている時は、小さなことに喜びを感じることはできないことが多い。そういう時に見る夢は、ほとんど悪夢に片寄ることになる。反対に小さなことで感動し、それを増幅して大きな喜びに変えることが出来る人は、悪夢だけではなく楽しい夢の世界に遊ぶこともできるのです。(脳を活性化する 有田秀穂 日本武道館 79ページ~86ページを参照)
2022.04.15
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感動映画を見て涙を流すことは誰でも経験されていると思います。これはストレスを軽減させて、前頭前野の腹内側部を刺激する効果があります。これは1週間に1回くらいでよい影響があるそうです。今日は私が癒し効果があると思っている映画をとり上げてみました。母べえ・・・吉永小百合主演。1937年ある日の朝、「父べえ」は特高警察に逮捕され巣鴨刑務所に収監される。迫害視されている父を信じて母と娘二人が懸命に生きる姿を見ると、自然に感動の涙があふれ出てくる。その他、「東京家族」(小津安二郎作品と山田洋二作品がある)広島県に住む老夫婦が東京で生活している子供に会いに行く。子供たちはみんな忙しくて十分な世話ができない。期待していただけにつらい気持ちになる。どちらの作品も味わい深い。「幸せの黄色いハンカチ」・・・高倉健主演、北海道夕張を舞台にしている。奥さんが黄色いハンカチを庭一杯に吊るして主人を待っていたシーンが涙を誘う。「私は貝になりたい」・・・あるBC級戦犯の叫び。これほど悲しいことはない。アニメ「この世界の片隅に」・・・戦時中軍港広島県呉市に嫁いだ女性の物語。空襲で片手を失いながらも懸命に生きていた姿が瞼に残っている。「あん」・・・樹木希林主演 主人公は施設に入っている人ですが、絶品の「あんこ」を作る技術を持っている。テレビ番組を録画したものフルスィング・・・プロ野球コーチから高校教師に転身した高畠導宏氏の物語。「甲子園への遺言」(伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯)という本も感動する。高畠コーチは甲子園出場を目指していたが夢半ばでガンで亡くなられました。プロジェクトXから「瀬戸大橋現場監督・・・杉田秀夫」杉田秀夫さんは、奥さんをガンで亡くされ、5000人の部下を束ねながら3人の娘さんを立派に育て上げた。しかし瀬戸大橋開通記念式典の華々しい場所に杉田さんの姿はなかったという。「男が惚れる男の中の男」・・・それが杉田秀夫さんの語り草となっています。一仕事なし遂げて、これからというときに奥さんのもとに旅立たれました。クラッシックでいえば、神経症のどん底でよく聞いていたのは、マーラーの「巨人」でした。25分くらいのところに差し掛かると、つい涙ぐんでしまいました。これらの作品で感動させてもらった私は幸せ者でした。
2022.04.14
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4月号の生活の発見誌に次のような記事がありました。森田療法を学ぶ前は、森田療法で神経症を治すことが出来るという希望がありました。森田療法を学ぶにつれて単純に森田で治るとは考えられなくなりました。治りたいと思えば思うほど症状がきつくなる現実に打ちのめされました。これは深刻な問題です。私の場合で振り返ってみました。私の症状は対人恐怖症でした。人から非難、否定、からかわれる、無視されることが苦痛でした。苦痛をなくするというよりも、逃げ回ることばかり考えて生きてきました。生きることは苦しむことだと思っていました。森田理論学習の自助組織に参加して36年になります。今では森田に関わってきてよかったと思っています。森田に関わっていなかったら、のたうち回ってみじめな人生に甘んじていたと思います。では対人恐怖症が治ったのかと言われると、それもちょっと違うという気持ちです。治るとか、治らないとかという問題を議論する必要がないという心境です。では森田の学習で何を学び、どんな心境の変化が起きたのか。対人恐怖症を持ちながらでも、何とか楽しく生きていける。4月号の巻頭言に、「日常のささやかな幸せが人生の幸せ」という記事がありましたが、私もその様な心境です。「たかが人生、されど人生」という気持ちで、生活を精一杯楽しむことが出来るようになりました。森田理論で役に立ったのは、対人恐怖症の裏には人から評価されたい、一目置かれるような人間になりたいという大きな欲望があることが分かりました。対人恐怖症をなくすることよりも、他人から尊敬され、褒められるような人間になるように努力精進することが肝心であることが分かりました。「対人恐怖症という不安」と「一目置かれる人間になるという大きな欲望」を天秤に例えてみました。そしていかにしてそのバランスをとっていくかにエネルギーを投入した方がよいという結論に達しました。この考え方を持つようになってきてから、対人恐怖症で振り回されことは少なくなりました。「生の欲望の発揮」というのは、森田の最終目的地になると思っています。次に対人恐怖症には、「不即不離」の人間関係作りが有効だというのが分かりました。コップ一杯の親しい人間関係を5つくらいというのではなく、コップに少しだけの人間関係をたくさん作るという方法です。人間関係は、必要な時に、必要に応じて、必要なだけを心掛ける。これは画期的な考え方だと思います。これだけでも、森田を学習してよかったと思っています。そして高良武久先生から、対人関係で苦しんでいる人は、エキスパートを目指しなさいと教えてもらいました。一つのことを10年続けていけば、だいたいその道の専門家になれます。専門家になれば、対人関係で悩むことはなくなるはずだと言われたのです。このブログを始めてくしくも10年目になります。この考えは確かに間違いなかったと思っています。それから私は完全主義、理想主義の塊でした。言い換えれば、頭でっかちで、観念優先で現実、現状、事実を批判・否定ばかりしてきました。この態度が自分を苦しめていることが分かりました。森田理論学習で、事実に寄り添う態度を身につけることを学びました。これはまだ道半ばですが、方向性とやり方は森田理論学習で理解しました。事実本位になることが、生の欲望への登竜門だと考えています。今後はこの方法で進んでいくことにしています。神経症で苦しんでいた時は、100%症状のことで頭の中が一杯でしたが、生活が好循環してくるとともに、その比率が少しずつ下がり始めました。今現在は少なくとも50%程度には下がっていると思います。神経症から縁が切れたのかと言われると返答に苦しみます。でもこの程度の治り方で自分としては十分に満足しているのです。むしろ対人恐怖症が全部なくなると、自分の個性もなくなってしまうのではないかと考えています。個性のない人間にはなりたくありません。
2022.04.13
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不眠で悩む人に森田ではどんなアドバイスをしているのか。「眠り」を期待すればすぐに眠れなくなりますから、意識はただ「休養する」ことに専念することが肝心だといいます。特に「眠りやすい楽な態勢」探して、身体を左右に動かすことはよくない。人間は6時間程度身体を横にして休養すれば、意識的な眠・不眠に関係なく、疲れが取れて体力が回復し、起きて支障なく活動できるようになる。眠れなければそれでもかまわないという気持ちで眠りにつくことが肝心です。その方が自然に眠ることができるようになります。最近の脳科学では、眠くなるのは松果体で作られるメラトニンが関係している。このメラトニンは夜0時から2時の時間帯が最も盛んに分泌されている。ですから昼夜逆転の生活が習慣化している人は、メラトニンの分泌が少ない。メラトニンは、昼間はほとんど分泌されていません。昼間盛んに分泌されているのは、セロトニンです。実はメラトニンはセロトニンを原料として作られていることが分かっている。メラトニンは、睡眠導入剤としての役割と昼間にできた活性酸素を除去してくれる役割があります。活性酸素を除去しないと、老化や生活習慣病が促進されます。これらの脳科学から分かることは、夜寝ている時にメラトニンをたくさん分泌させること。メラトニンの原料であるセロトニンを昼間のうちにたくさん作りだしておくことが大切になるということです。そのためには①太陽が昇ってきたら朝日を体いっぱいに浴びる。②自分で決めたストレッチ体操をする。③毎日5000歩以上は歩く。④リズム運動を行う。ダンス、自転車こぎ、ガムを噛むなど。⑤家族や友人たちと会って楽しい会話を心掛ける。孤独は避けましょう。⑥昼間30分以上の昼寝はしない。⑦腹式呼吸を心掛ける。吸う息短く、吐く息長く、腹が膨らむ呼吸です。⑧寝る前に電磁波の出るパソコンやスマホを近くに置かない。操作をしない。⑨寝る前にコーヒーや紅茶などカフェインの多いものをとらない。⑩お風呂に入り、少なくとも12時には寝る習慣を作る。⑪セロトニンの原料となるトリプトファンを含む食品をとる。⑫セロトニンを合成するビタミンB6、炭水化物を摂取する。これらは意識しないとなかなか習慣化しません。最低でも3か月続けることが肝心です。最初はなかなか効果が実感できないそうですが、継続こそ力なりです。セロトニンは作り置きはできません。また、不安やストレスにさらされると減少してきます。このことを頭の中に入れておくことが肝心です。森田理論学習に取り組む準備段階として、ぜひ取り組んでみましょう。(参考文献 セロトニン睡眠法 有田秀穂 青春出版)
2022.04.12
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セロトニンの果たしている役割をまとめてみました。1、すっきりと爽快な意識を作り出す。大脳をすっきりと目覚めさせる。セロトニンが一定の濃度に保たれると、人間の脳にとって理想的な覚醒状態をもたらし、すっきり爽快になるのです。朝起きて太陽の光を浴びるようにするとさらに効果があります。2、平常心を維持する。私たちはつらいことや悲しいことがあると気分が落ち込みます。神経質者の場合は不安にとらわれて、精神交互作用により神経症になります。また、楽しいことやうれしいことがあると時間を無視してのめりこむこともあります。それが、依存症にまで発展することがあります。セロトニンは、そういう感情の振れ幅が極端にならないようにコントロールしているのです。神経症に陥る人や依存症を抱えている人は、セロトニンが不足している可能性が高いのです。森田理論学習に取り組むと同時に、セロトニンの活性化にも取り組んでいきましょう。3、自律神経のバランスをとって、よい状態にしています。私たちの体は、交感神経と副交感神経という「自律神経」の働きで支えられています。自律神経とは、生命活動である心臓の機能、呼吸、発汗、体温調整、消化などを維持する活動を支えている神経です。この自律神経には、「切り替える₌スイッチング」のポイントあります。セロトニン神経の規則的な刺激が、その2つの神経のスイッチングを促しています。スムーズにスイッチングが行われないと自律神経失調症になってしまうことがあります。4、セロトニンは脳の中で「痛みを軽減」しています。通常、人間は痛みを体ではなくて脳で感じています。セロトニン神経が活性化されると、痛みの伝わり方が抑制されて、それほどつらく感じなくなるのです。痛みの伝導が抑えられるために、痛みが軽減できて、ストレスに強い体質になるのです。5、アンチエイジングの役割を果しています。セロトニン神経は、抗重力筋につながる運動神経に直接刺激を与えています。抗重力筋とは、姿勢を維持するために重要な役割を果しています。首の筋肉、背骨周りを鍛える筋肉、まぶたや顔の筋肉、下肢の筋肉などです。歳をとると、背中が前かがみになり、顔の表情に締まりがなくなります。まぶたが落ちてきて、口に締まりがなくなります。これは地球の重力に筋肉が引っ張られているから起きているのです。参考文献を上げておきます。ストレスに強い脳、弱い脳 青春出版 43ページ脳からストレス消す技術 サンマーク出版 95ページ育脳の技術 主婦と生活社 60ページ著者はいづれも有田秀穂先生です。
2022.04.11
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今までの投稿でセロトニン系神経回路の活性化は、神経症の克服のカギを握っていることがお分かりいただけたと思います。本日は、セロトニンの特徴や仕組みを見ていきたいと思います。セロトニンは、作りおきができないという特徴があります。つまり毎日意識して作り出さないと不足してしまうことになります。1日のうちでも、夕方になれば朝よりも減っています。一旦セロトニン慢性的な不足状態に陥ると、元に戻すのに3か月くらいかかります。さらに習慣化して、セロトニンの流れが整うのに3年という学者の人もいます。それだけにセロトニン神経を活性化するためには、相当な自助努力が求められるということになります。セロトニンには自己受容体があります。セロトニンの軸索は何本にも枝分かれして、他の複数の神経細胞に接続しているのですが、その中の1本がぐるりと自分自身の神経細胞に戻っているのです。セロトニンが多くなると、量を調整するために、すぐに元の神経に収納されてしまうのです。そういう仕組みが出来上がっているのです。(ストレスに強い脳、弱い脳 有田秀穂 青春出版 47ページ)さらに、扁桃核が不安やストレスと判断すると、その情報は視床下部・室傍核に情報として伝えられます。ここから、副腎皮質に作用して、コルチゾールを分泌させて緊急事態に備えます。コルチゾールが長時間にわたり出続けると心身に悪影響をもたらします。そして不安やストレスが慢性化すると、セロトニンの分泌が止まってしまいます。それを補うために窮余の策としてSSRIが処方されるのです。これは新たにセロトニンを作り出しているのではなく、元の神経細胞に取り込まれないように阻害しているだけなのです。セロトニンは腸で作られた前駆体が脳に運ばれて、最終的には脳幹の「縫線核」という部位で合成されます。それが脳全体に運ばれているのです。ですから「縫線核」が正常に機能することが大切になります。この機能が棄損されてしまうと、十分なセロトニンが分泌されないということになります。その結果ドパミン主導の報酬系神経回路やノルアドレナリン主導の防衛系神経回路が暴走を始めます。その結果、さまざまな脳障害や依存症、神経症をおびき寄せてしまうことになります。からくりが分からないと、右往左往するばかりになります。(育脳の技術 有田秀穂 主婦と生活社 156ページ参照)セロトニンを作り出す生活習慣はすでによく知られています。これは何度も紹介していますが、大切なところですので再度投稿します。ごく簡単に紹介すれば、・太陽の光を毎日5分から30分浴びる。・ストレッチ、ウォーキング、丹田呼吸法などのリズム運動を行う。・絶えず家族や仲間とスキンシップを心掛ける。・大豆、バナナなどのトリプトファンを含む食品を毎日とる。セロトニンを作るときに必要なビタミンB6、炭水化物も欠かさないようにする。これらは森田理論学習に取り組む以前の問題としてとらえて、日々実行することが大切になります。そうしないと、せっかくの森田理論学習の効果が十分に得られないことになります。逆にいえば、セロトニン神経系を活性化することで、神経症的な不安やストレスにある程度対応できるようになると考えられます。
2022.04.10
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今日はお天気も良く気分転換で近くの森林公園に出かけました。桜と山つつじ、チュウリップが満開でした。桜とつり橋の写真を投稿します。テントを張ってバーベキューを楽しんでいる家族連れが何組もいました。子どもたちはとてもいい思い出になることでしょう。昆虫館や遊戯施設がいろいろとありました。私は会社でもめ事があり憂うつでしたが、散策中は忘れていました。この時期、お天気のよい日は外で過ごすのは本当に気持ちの良いものです。この次はさつきが満開のときに訪れたいです。そして緑化公園にも足を伸ばすつもりです。
2022.04.09
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1月号の生活の発見誌から、長谷川洋三氏の話です。浅香光代さんは、最近、浅草に自分で、70~80人の観客に見てもらえる小さな劇場を造ったそうです。下火になった浅草の人気の挽回に少しでも役に立ちたい、ファンと一緒になって大衆演劇を続けていきたい、という念願からだとのことですが、それを話しながら「私はいつも、つぎからつぎに、何か新しい目標を追っています」と言ったのです。なにげなく、出たことばでしたが、私は感じ入りました。新しい課題に挑戦するということは、単に神経質のとらわれから自分を解放するカギであるばかりではなく、人間の普遍的な生き方の根本的な条件なのですね。神経質症を契機に、森田理論を学習して、こうした生き方を体得すれば、そのまま、その後の人生を有意義に生きることができるのです。常に新しい課題に挑戦していくような生き方をすれば、神経質症のとらわれから自分を解放できるし、また、それを予防することもできるということですね。森田でいう「生の欲望の発揮」のことですね。古閑義之先生は、「生の欲望の提唱は、森田先生が晩年において強く主張された重大な事項で、この生の欲望の提唱こそ、森田の神経症解明の根本理論であるあると主張してやまない」と言われています。人間は問題点や課題に向かって、自分の能力を存分に発揮して生きることを宿命づけられた生き物だと思います。それを放り投げてしまうと、人間らしい生き方ができなくなり、惰性で生きていくようになってしまう。人間本来の生き方をするためには、一つ条件があるように思っています。「かくあるべし」という観念優先の態度を、事実本位の態度に転換することです。観念優先になると、事実を否定することに多くのエネルギーを使うことになります。それでは、「生の欲望の発揮」のスタートラインに立てることが難しくなります。生の欲望の出発点に立つということは、あるがままの事実を素直に受け入れることが必須になります。事実本位の立場に立つと、初めて生の欲望を目指す権利が付与されるのです。そのように意識して取り組まないと、すぐに楽な方向に流されてしまいます。今まで神経症で苦しんできた人も、事実本位の態度に転換することで、逆転人生への幕が切って降ろされるということになります。私は森田理論学習を続けて、神経症的な不安は欲望の裏返しとして湧き上がってくるということが分かりました。そして観念で現実や事実を否定すると、葛藤や苦悩でのたうち回ることも分かりました。さらに課題や目標から目を離さないで生活していくことが肝心であるということも理解できました。この3つは森田理論の核心部分のような気がしています。神経症に陥ったおかげで普遍的な真理に出会えたことは望外な喜びとなりました。
2022.04.09
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認知症には、記憶障害を引き起こす「中核症状」と、徘徊や抑うつ、妄想などを引き起こす「周辺症状」があります。中核症状は、神経伝達物質のアセチルコリンの生産が減ることで起こります。アセチルコリン系の神経は一度減ってしまうと回復しません。したがって、「中核症状」は改善することはありません。一方、周辺症状はドパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質の異変が主な原因です。こちらの方は、脳を活性化させることで、症状を軽減できます。ドパミン神経系の働きが過剰になると幻覚や妄想を引き起こします。アルコール依存、ギャンブル依存、ネットゲーム依存、買い物依存などにもかかわっています。ノルアドレナリン神経系が暴走すると、不安やストレスでイライラするようになります。そして徘徊や暴言、暴行を引き起こします。人様に迷惑行為を繰り返すようになります。その2つの神経系の暴走を抑制することが大切になります。ところがこれらの暴走を直接抑え込むことは大変難しいのです。この2つの神経系を上手に調整しているセロトニン神経系があります。セロトニンを増やし、正常に働くようになると、周辺症状は改善できます。セロトニン神経系をできるだけ活性化させることが、「周辺症状」を改善するポイントになります。・朝太陽が昇ってきたら、5分くらい朝日をいっぱいに浴びる。・毎日ストレッチ体操をする。・5分~30分以内のリズム運動を行う。ウォーキングなど。・10回くらい腹式呼吸を行う。・人との会話を心掛け、触れ合うことを意識する。・身だしなみをきちんと整える。・必須アミノ酸のトリプトファンを含む食事を心掛ける。・セロトニンを合成するビタミンB6と炭水化物をとる。・テレビ、パソコン、スマホとは適度に付き合う。これらを生活習慣にして、毎日実践する。自分でやりやすいバリエーションを工夫する。やりすぎはいけません。むしろセロトニンが減ってくるそうです。少しずつ長くを心掛ける。3ヶ月続けるとセロトニンが増えて安定するようになります。あとはどれだけ長く続けられるかです。その他、・感動の涙が出てくるような映画を用意しておく。これを週一回見る。以上は、「育脳の技術」(有田秀穂 主婦と生活社)に詳しく紹介してあります。
2022.04.08
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みなさんの周りにこんな人はいませんか。・平気で車から空き缶やゴミを道路に投げ捨てる。・行楽地で出したごみを持ち帰らない。・山や谷にテレビや冷蔵庫やクーラーを捨てる。・平気で飲酒運転をする。同じような交通違反を繰り返す。・仲間と徒党を組んで迷惑行為を繰り返す。・会社などで怒りを暴発させて暴言を吐く。暴行事件を起こす。・気分本位になって仕事をさぼる。他人との約束を破る。ドタキャンする。・アルコール依存症、薬物依存症、ギャンブル依存症、風俗依存症、ネットゲーム依存症、買い物依存症、スマホ依存症、タバコ依存症で苦しんでいる。これらは他人に迷惑をかけて、不愉快な気持ちにさせます。自分も後悔で苦しむことになります。誰でも、このような本能的な欲望が湧き上がってきます。それは自然現象ですから仕方ありません。問題は抑制力が働かない場合です。自動車でいえばブレーキが故障しているようなものです。ブレーキの壊れた車は極めて危険です。自分もみじめになるし、社会から制裁されることになります。このような本能的な欲望の暴発を抑制することはできないものでしょうか。最近の脳科学ではその役割を果たしている部所が解明されています。それは前頭前野にあります。こめかめの奥のあたりにあります。これは前頭前野腹外側部(ふくがいそくぶ)と呼ばれています。ちなみにその近くには、共感・直観を司る前頭前野内側部もあります。これらの部分が正常にその機能を発揮することが極めて大事になります。有田秀穂氏によると、前頭前野腹外側部を活性化するためには、セロトニンの分泌が必要だと言われています。不安や悲しいことが持続する場合や慢性的なストレスがあると、セロトニン欠乏脳になっているといわれる。セロトニン欠乏脳になると衝動的な欲望や腹立たしさが抑えられなくなります。例えば、セロトニン神経を壊したラットとマウスを一緒に入れる動物実験があります。ラットが大きくてマウスは小さいのですが、普通はラットがマウスにちょっかいをかける程度です。しかし、セロトニン神経系を壊されたラットは、恐ろしいことにマウスを攻撃して食べてしまうところまで行くのです。餌は十分に入れてあるので、食べる必要がないにもかかわらず、そこまで暴力的になってしまうのです。人間の場合も、セロトニン神経が弱まると、突然キレて歯止めがかからなくなってしまうのです。マナー違反を注意されたただけで、怒りの感情が暴走して暴力事件にまで発展してしまう例が増えています。本来は、そんなに暴力的な人ではないのに、セロトニン欠乏脳に陥るととんでもない事件へと発展することもあるのです。有田秀穂氏は、セロトニン神経を活性化する簡単な方法は、朝太陽を浴びながら、30分程度ウォーキングをすることを勧めておられます。これを3ヶ月続けると、少しずつ気分が切り替えられるような脳が出来上がるといわれる。その他にも、ストレッチ、丹田呼吸法、瞑想法、食事など取り組むことがいくつかあります。セロトニンを増やす方法はサプリメントやSSRIという薬に頼るよりも、普段の生活の中で無理なく作り出すことが大変重要であると言われています。これらは意識すれば生活習慣にすることができるものばかりですから、ぜひとも実践して身に着けたいものです。ドパミン主導の報酬系神経回路とノルアドレナリン主導の防衛系神経回路の暴走を制御しているのがセロトニン系神経回路と言われています。私は森田理論学習に最新の脳科学の知識を付け加えて学習することが重要なのではないかと考えています。(心も脳も元気になるストレス整理術 有田秀穂 ワック 48~61ページ参照)
2022.04.07
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野村克也氏の話です。「自分がどんなに苦労してきたか」「どれほど不遇な人生を送ってきたか」といったことを強調するばかりで、困難な状況から抜け出すための努力を怠っている人のことを、私たちは「苦労人」とは呼ばない。大切なのは「苦労すること」ではない。「苦労を経験したことをきっかけとして、そこから自分が何を感じ、どう考え、どんな行動を起こしたかが問われている」(凡人の強み 野村克也 KKベストセラーズ 42ページより引用)自分の不遇な境遇をことさら強調する人は周囲にいくらでもいます。自分の生まれた国、生まれた時代、生まれた環境、生まれた家、生んでくれた両親、配偶者、生まれてきた子ども、会社の人間関係、神経質性格など嘆き悲しみことはたくさんあります。森田理論学習で、グチは行動をにぶらせ、仲間を悩ませるだけであると学びました。グチは言っても仕方がないことを、くどくどと相手に訴えることです。グチは一時の気休めになっても、言えば言うほど自分がみじめになるだけです。特に症状についてのグチは、注意や意識を症状に集中することになるので、症状を強化することになってしまう。また、自分がみじめになるだけではなく、グチを聞かされる相手も、不快になり、やがて、それらの人から敬遠されてしまうことになる。(森田理論学習の実際 生活の発見会発行 40ページより引用)毎日グチをこぼしながら生活している人は、事実、現実、現状を非難、否定している人です。そこから生み出されるものは、恨みつらみ、嫌悪感だけです。「かくあるべし」という観念優先の世界に自分の居場所を置いている人です。NHKに「逆転人生」というテレビ番組があります。ここに出てくる人は、最悪の人生を味わった人です。本来なら人生をあきらめても仕方のないような人が多い。でもその人たちはその最悪の事実を受けいれている。最悪の状態を出発点にして、打開策を見つけて、這い上がろうとしている。それを神様がじっと見ているような感じがします。そしてその真摯な姿勢に対して復活の手助けをしているように見えます。「捨てる神あれば拾う神あり」という感じです。森田理論は人間に備わった観念や理性を否定しているわけではありません。問題のある事実・現実・現状を否定するために使ってはいけない。現実の問題もそうです。感情の事実もそうです。あくまでも事実・現実・現状を最優先に取り扱う必要がある。あるがままに受け入れる態度が肝心であるということです。その次に観念や理性を働かせて問題解決に向かうことです。神経症でのたうち回っている人は、優先順序が逆になっているのです。私は、苦しいときに現実に真摯に向き合っている人を目にすると涙が出てきます。感動の涙が自然に流れでます。そしてそれは私の生きる勇気に繋がります。私もそういう生き方をしたいと思っています。間違っても「かくあるべし」を持ち出して、自分や他人を非難・否定することだけはしないようにしたい気持ちでいっぱいです。それは自分にも縁のある人にも不幸の種を振りまくことになるように思います。現実には難しいことですが、その方向で生きていることが大切なのではないでしょうか。
2022.04.06
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2022年1月の生活の発見誌に慈恵医科大学の舘野歩先生のお話があった。若い精神科医には心理療法イコール認知行動療法という考えがあるようですが、心理療法にはほかにもいろいろあります。いろいろある中から患者さんに合った心理療法、選択肢を提供することが大事かなと思います。全くその通りだと思います。現在の神経症治療には、まず薬物療法があります。つぎにカウンセリングがあります。自助グループによる交流もあります。そして精神療法があります。森田療法、認知行動療法、認知療法、行動療法、精神分析、論理療法、交流分析、遊戯療法、家族療法、内観療法、箱庭療法、ピア・カウンセリング、臨床動作法、サイコドラマ、意味療法、ヘルスカウンセリングなどです。認知行動療法が有名ですが、これにも最近ではマインドフルネス認知行動療法、アプセスタンス・コミットメントセラピーなどがあります。神経症の改善につながればどれを選択してもよいと思います。自分に合ったものをネットで探していくことが大切です。あるいは、集談会の先輩会員でいろんな療法を受けている人がいらっしゃいますので、その人たちの話を聞いて参考にする。とにかく生活上の悪循環、観念上の悪循環を断ち切ることが先決です。アリ地獄から地上に這いだすことが肝心です。生活が曲がりなりにも前に進むようにならないと次の展開が見えてこない。問題はその後です。神経症に陥るような人は、ちょっとした不安にとらわれやすいという特徴があります。とらわれると、神経症の再発に結びつきます。さらに生きづらさを抱えたまま、これからの長い人生を生きていくことは耐えがたい苦しみがあります。これを解消しないと本当の意味での神経症からの解放はないと思われます。森田理論学習はここに焦点を当てています。森田先生は、「人生観が変わらないと、神経症からの真の解放はない」と言われています。神経質者として、どういう心構えで生活すればよいのか。それを明確に示しているのが森田理論です。神経質性格者にとって、森田理論の学習と生活への応用・活用なくして、決して人生が花開くことはないと考えます。自助グループに参加して、仲間に刺激されて、そのコツを掴むと、「たかが人生、されど人生」という心境に到達できると思います。「論より証拠」実際に取り組んでみることをお勧めいたします。
2022.04.05
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些細なことで、すぐに不安になる。不機嫌になる。腹が立ってしまうことはありませんか。たとえば、相手と話をしていた時、少し沈黙した時間が続いた。自分のことを面白みのない、付き合うに値しない人間だと思われてしまうのではないかと不安になる。相手にこれくらいのことは暗黙の了解で、自分の気持ちを察して欲しいのに、鈍感な態度で無視された。あるいは「こうしてほしい」と思っていることをいつも無視される。その結果、ふてくされて、つい不機嫌な言動をとってしまう。会社で朝の挨拶をしました。ある同僚は、みんなに笑顔で挨拶しているのに自分にはそっけない態度で挨拶してきたので、急にムカッとして腹が立ってきた。このような気に障ることは毎日次々に発生します。些細なことで、感情が高ぶり、不安、不機嫌、怒りで一杯になり反発する。特に自分より格下と思っている人にはその傾向が強くなる。この問題はどう取り扱ったらよいのでしょうか。・このような不快な感情は、他人からよく思われたいという欲望の裏返しとして湧き上がってくるものです。森田理論では神経症的な不安には手を付けないでそのままにしておく。そして、不安の裏返しである生の欲望に焦点を当てて行動することをお勧めしています。人から評価してもらえることを見つけて行動することです。・感情は一山駆け上れば、つぎに必ず下り坂に向かい鎮静化してきます。どんなには激しい感情でも、多少時間は長くかかりますが、しだいに収束してきます。冬の田んぼの畔の枯草を燃やす時、燃え尽きてしまえば自然に火は消えてしまいます。私たちは、ほかに燃え広がらないように注意して見守るだけでよいのです。・相手の言動にとらわれ、些細なことで、感情が高ぶり、不安、不機嫌、怒りで一杯になるという人は、注意や意識が他人が自分をどう取り扱ったかに向いています。本来、他人の気持ちを忖度する前に、自分の気持ちをはっきりさせる必要があります。自分は今何を感じているのか、どんな気持ちになっているのか、どうしたいのか、欲望や欲求などを明確にすることが肝心です。自分は人と仲良くしたいのか、人から高い評価を得たいと思っているのか。何を手に入れたいと思っているのか。興味や関心を持っていることは何か、目標や夢は何か。等々。自分の気持ちが、課題、目的、目標、夢、希望をしっかりとらえているときは、人の思惑に振り回されることが少なくなります。他人を思いやることはよいことですが、その前に自分を思いやるということが先にこないと、他人の思惑に振り回されてつらい人生を送ることになります。
2022.04.04
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バスケットボールに3点シュートというのがあります。これはゴールから6~7メートルの距離に、半円状に引かれた線があります。この線より遠くからシュートを成功させれば3点もらえます。この線より内側から成功した場合は2点です。遠くからの方が難しいので1点多くもらえるのです。アメリカのプロバスケット選手を対象にした調査・研究があります。3点シュートは一流選手でも難しく、3回に1回しか成功しません。2点シュートなら半分くらいの確率で成功します。シュートが失敗すると、相手にボールを取られて、形勢が悪くなることがあります。3点シュートを狙うかどうかの判断は重要です。調査・研究の結果、3点シュートを選ぶかどうかは、直前の3点シュートが成功したか失敗したかに大きくかかわっていることが分かりました。ある年に最も活躍した最優秀選手の1年間のプレーを詳しく調べてみると、3点シュートに成功した後に繰り返し3点シュートを選ぶ確率は53%でした。いっぽう、失敗した後は、なんと14%しか3点シュートに挑戦しませんでした。この調査・研究が何を意味しているのか。充分な技術や経験のある一流選手でさえ、直前の成功や失敗が次の行動の選択に大きく影響しているということです。(人生100年時代の脳科学 中村克樹 くもん出版 93ページ)これは自己肯定感の持てない人は大いに参考にしたいものです。日常生活の中で小さな成功体験を積み重ねていくことです。できた、やった、うまくいった、気持ちがよい、うれしい、楽しかったという快の感情が湧き上がってくるような体験を一日のうちにどれだけの数持つことができたのか。これらは日常茶飯事に丁寧に取り組んでいくと、積み重ねることができます。逆に言うと「凡事徹底」というスローガンを軽視している人は、ダメだ、悪すぎる、失敗だ、退屈だ、意味がない、イヤだ、憂うつだという気持ちに支配されるようになります。そして自己嫌悪、自己否定の悪循環が始まります。森田理論学習の要点の18ページには次のように書いてあります。理想は高く、実行はこきざみに、小さな成功体験を積み重ねること。小さな成功体験を積み重ねていくことによって、だんだんと目標に近づくことができ、同時に勇気や自信がついてきます。このような快の感情を日記に書き連ねていくようにしたらどうでしょうか。今日よかったと思うこと、楽しかったことを3つほど日記に書く習慣を作る。これに真摯に取り組むと「森田の達人レベル」に達することができるように思います。
2022.04.03
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2022.04.02
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仕事の取り組み方について考えてみた。いろんなタイプの人がおられるように思う。1、気がすすまない仕事はしない。生活に困らなければ仕事はしない。2、仕事をするのはおっくうだが生活の為、家族を支えるために我慢して仕事をしている。3、仕事をすることは苦にならない。主体的に取り組んでいる。4、仕事をすることが楽しい。ワクワクする。3は、自営業の人に多いように思う。自分はこの道で生きていくしかない。この仕事が自分に合うとか、合わないとかは考えたこともない。仕事に真摯に取り組んでいる人が多い。社会的に成功して、信頼感を獲得した人がおられる。2は会社員、公務員などに多い。仕事をすることはしんどい。でも生活のために、何とかがまんして仕事を続けている。親の遺産を相続したり、高額宝くじが当たればさっさと退職したい。心ここにあらずで、精神的にはかなりきつい。建前と本音が一致していない。私はこのタイプだった。4のタイプはどんな人だろう。2や3のタイプの人でも、課題や目標が明確になった時は、一心不乱に取り組む。そのときはハラハラするが、後で振り返ってみると、やりがいを感じていた。ただ、それは一過性のもので、すぐに元に戻ってしまう。残念ながら継続性がないのである。4のタイプの人は、絶えず目標を意識して、それに向かって努力精進している。課題や目標は、その日、1週間、1ヶ月、1年、3年、10年、生涯に渡るものと色々ある。短期、中期、長期の目標を明確にさせている。途中で投げ出すことはない。粘り強い人だ。失敗しても決してあきらめない人だ。それと、現実、現状をよく観察している。観念優先で事実を軽視することがない。そこから問題点、課題を見つけだす優れた能力を持っている。気づき、興味や関心、好奇心が旺盛で、発見、工夫、アイデア、新しい企画などがコンコンと湧き出てくる。ドパミン主導の報酬系神経回路が活性化している。最初は気がすすまない仕事でも、そのうちはずみがついて楽しい仕事になっているのである。4の心境になると、人生全体が活性化してくる。何しろ人生の3分の1は仕事と関わっているからだ。こういう方向で仕事に取り組みたいものです。森田理論を理解して実践していけば可能となります。
2022.04.02
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将棋界の革命児の藤井聡太さんが史上最年少で5冠を達成しました。報道陣から富士登山に例えるとどのあたりに到達したと思えるかという質問がありました。藤井さんは、草木が途切れる5合目あたりだと答えていました。私はこの発言を聞いて藤井さんの時代はまだまだ続く確信しました。5つのタイトルを獲得したことに満足していない。自分の追い求めているゴールはまだまだずっと先にある。現状への満足感よりも挑戦者としての気持が強いというのがその理由です。これはダニング・クルーガー効果と言われています。これは、1999年にこの効果を定義したコーネル大学のディヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーが提唱した認知バイアスのことです。この理論は、簡単にいえば「能力の高い人は、自分の能力を過少評価する。逆に能力が低い人は、自分の能力を過大評価しやすい」というものです。何のことかよく分かりませんね。説明してみましょう。たとえば、平均点50点のテストがあったとします。普通、平均点以上の人は、みんな自己評価が高いはずだと思います。特に高得点をとった人はうれしいはずです。反対に平均点以下の人は、意気消沈します。自己評価は当然低いはずだと考えやすい。この認識は逆だというのです。現実を見るとそれがよく分かるというのです。平均点以上の人は、「自分はまだまだだ。こんなものではない」と思ってさらに努力精進を重ねる。平均点以下の人は、「自分はこんなものだ。これが限界だ。これ以上は無理だ」と思ってそれ以上努力しなくなる。なるほどそう言われれば、そういう面があるかもしれない。これを脳の仕組みを使ってみてみましょう。平均点以上の人は、小さな成功体験で自信をつける。その自信がはずみとなって、もっと点数を伸ばしたくなる。次の新たな目標を再設定して、そこに到達しようと努力を開始する。決して最初の目標地点に到達したことに満足していない。つまり緊張の糸が途切れていない。緊張感が持続している。脳でいうと、もう一段階上の報酬系神経回路のスイッチがオンになっている。ドパミンやβエンドルフィンがA10神経系を走り回っているという状態です。平均点以下の人は、その結果に発奮して努力精進するというよりも、あきらめに近い心境になる。物足りない成績ですから、やらなくてはと思うが、どうもやる気が出てこない。このとき、大脳ではドパミン主導の報酬系神経回路の活動が停止されている。大脳の働きがノルアドレナリン主導の防衛系神経回路に切り替わっている。緊張感が弛緩状態に変わり、行動は抑制的に作用している。いくら自分を鼓舞して、「努力しなければ」と思っても、本音の部分が逃げ腰になっているのです。脳の回路は急には転換できないのです。それが「かくあるべし」となって、自分を否定しているわけですから、よい方向に向かうはずがないということです。森田理論の最終目標は、「生の欲望の発揮」だと思います。人それぞれの課題や目標が明確になっていて、それに向かって努力を続けているかどうか。その姿勢が問われているのだと思います。特に日常茶飯事に丁寧に取り組んでいるかどうか。一番は食べることです。そのほか掃除や洗濯。整理整頓。不具合箇所の修理。身近な人との付き合い。子育て。仕事や勉強。これらに全力投球しているかどうかです。ここがクリアーできていれば、森田の生の欲望の点数は高いと思います。これは命ある限り続きます。しんどいことはパスしたいといって妥協してしまうと、すぐに緊張の糸が切れて、味気ない人生に転落してしまうということを肝に銘じて生活したいものです。ここで基礎点を確保していれば、あとはいくらでも上積が狙えると思います。趣味や特技、夢や希望など自分やってみたいことに挑戦すれば、それがそのまま加点されます。それが人生の醍醐味と言うか、味わい深さを演出します。
2022.04.01
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