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俺のしこ名は稀勢の山、でも多くのファンは「キセリン」と呼んでいる。現在の地位は大関で、毎場所12勝以上あげているのだが、まだ一度も優勝したことがない、だからいつまで経っても万年大関なんだ。実力的には大横綱の黒鵬にも決して引けを取らないし、彼の連勝を63で阻止したのも、何を隠そうこの俺様なのである。 ではなぜ優勝出来ないのか、というファンが多いのだが、それはどうも俺の気の弱さに起因しているのかもしれない。だからいつも肝心な勝負どころであっさり負けてしまうんだよな。 優しい俺のファンたちは、キセリンはあんな怖い顔をしているが、実はすごく心優しい男なのだと庇ってくれる。だけどいつまでも、そんな言葉に甘えてばかりはいられない。そう俺もいつの間にか30歳を迎え、自慢の体力にも翳りが見え始めてきたのである。 そろそろ優勝しなければ、これで俺の相撲人生は万年大関のままジ・エンドを迎えてしまうだろう。それに俺が優勝出来ないのは、単に心の弱さだけではなく、黒鵬を中心とした互助会に加入せず、ガチンコ勝負に徹していること、部屋に強力な稽古相手が不在なのに、全く出稽古に出ないこと、先代の親方が亡くなって、現在の親方では俺を十分に指導できていないこと。 それに最大の原因は、腰が高いことだ。俺は太っているけど、結構足が長いんだぜ。でも残念ながら、力士は短足でたれ尻のほうが都合がいいんだ。などなど俺が優勝出来ない問題点を挙げればきりがない。 でも今場所は絶対に優勝し、横綱に推挙されたいのだ!。実は・・・まだ誰にも話していないのだが、俺にも好きなひとが出来て、場所後に結婚しようと考えているからなのだ。 そんな経緯もあって、今場所は13日目まで全勝だったのだが、14日目に1敗の横綱・黒鵬に負けて同星に引きずり降ろされてしまった。やっぱり今場所も肝心な勝負に負けてガックリしてしまった。だがなんとか千秋楽は、必死で大関琴の川を撃破して1敗を守ることが出来た。 もし結びで黒鵬が負ければ俺の優勝が決まるのだが、黒鵬は互助会に守られたかのようにあっさり勝利し、俺との優勝決定戦に駒を進めている。さあいよいよ優勝決定戦だ。 ついに時間一杯となり、館内は割れんばかりの大声援。そのほとんどが日本人力士の俺に向けられている。だがもうドキドキしている余裕はない、死ぬ気になって戦うしかない。 立行司の掛け声と同時に、俺は猛然と突っ込んだ。勝つためには手段を選ばない大横綱で、立ち合いに変化することもあるのだが、この際そんなことは無視することにした。 だがさすがに大横綱である。俺のそんな気迫に応えたのか、もの凄い勢いで頭を突き出してきた。「ガチーン!!」凄い音が館内に響き渡り、俺は数歩後退してしまい、同時に土俵の砂に鮮血が飛び散った。俺の血なのか黒鵬の血なのかは分からないが、俺の身体も黒鵬の身体も真っ赤に染まっている。 一瞬めまいがして倒れそうになった俺に、これでもかと言わんばかりに黒鵬の張り手が飛んできた。もう駄目かと思ったが、死んでも倒れるものかと歯を食いしばり、無我夢中で俺も思い切り張り手を返した。 その瞬間、黒鵬が俺の前みつを探りながら猛ダッシュして来た。土俵際で俺は必死に堪えた。血だらけ汗だらけで堪えに堪えた。 だがさすがに俺の体力も限界に近付きつつあった。もうこの大横綱の渾身の寄りを跳ね返す力は残っていない。そのうち意識が朦朧となり、そのまま土俵下まで頭から転げ落ちてしまった。くそっ、またまた俺は大切な勝負に負けたのか。 あの大激闘から3時間も経ったらしい。俺は意識を失ったまま、救急車で病院に運ばれたらしい。気が付くと親方と女将さんがベット脇で心配そうに俺の顔を覗いていた。そして俺が目覚めたことに気付き「大丈夫か?」と確認した後「おめでとう、とうとう横綱だ」と大声で叫び俺の手を強く握りしめたのである。 あとで分かったのだが、黒鵬との勝負はなんと黒鵬の勇み足で、俺に軍配が上がったと言うのだ。だが俺が意識を失ったまま病院へ運ばれてしまったため、優勝の表彰式は親方が代理で受けるという、前代未聞の珍事をもって収拾させたらしい。 表彰式に出られなかったのは残念だが、どんな形にしろ優勝出来たことは嬉しかった。早速、来週にも横綱審議会が招集されると言う。これで俺もやっと横綱になれるかもしれない。そして晴れて彼女との結婚も公表出来るだろう。 何と言っても、今日の俺があるのは、いままで応援してくれたファンの方々のお蔭と、深く深く感謝している次第であります。・・・。(完)作:河村道玄※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2016.08.28
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さきちゃんが上目づかいで じっと見る赤ちゃんなのに 色っぽ過ぎる菜花の中にバギー止めさきちゃんの頬に花びら 舞い落ちる昼作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2016.08.27
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微笑んで おーいさきちゃんと 手を振れば幼き瞳が じっと見つめる手をたたきゃ 手足パタパタ 動き出すさきちゃん踊りの はじまりでちゅよおとなしい おりこうさんの さきちゃんがたまに大泣き おっぱい欲しい作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2016.08.24
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朝ドラはいつの間にやら 大人気若い人まで スマホで観てる腹が立つ皿を割るほど 腹が立つ今朝もお山は 何も言わない作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2016.08.20
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石かげの鈴蘭の花一輪を 病ひの叔父に香り送りしほの暗き朝もやうすれ城山に 詩吟の声す花冷えの日に鍬の音話す生徒の高らかに 畝も次第にたたみのごとく作:佐藤ふみ女※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2016.08.16
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ひろし君は子供の時からマンガが大好きだった。だが当時のマンガ雑誌は、現在のように週刊誌ではなく全て月刊誌であった。そしてまだマンガは市民権を獲得しておらず、マンガ=悪書とのレッテルが貼られていたのである。 だからひろし君の両親も、最初はマンガ雑誌は認めてくれなかった。しかし祖母と一緒に住んでいるときは、毎月『幼年ブック』という雑誌を買ってもらっていたと懸命に主張したため、さすがに両親も妥協して、月一冊だけなら買っても良いという約束をとりつけたのである。 だがもう小学生になったことだし、『幼年ブック』ではなくクラスメートの多くが読んでいる『少年』という雑誌を購読することにした。『少年』には手塚治虫の「鉄腕アトム」をはじめとして、横山光輝の「鉄人28号」が連載されており、別冊付録のほか50連発拳銃や少年探偵団手帳などのおもちゃ付録も充実していた。さらに正月号などでは、50大付録と名を打った大企画に胸をときめかされたものである。 ひろし君は一番人気だったSF系の「鉄腕アトム」よりも、現実味のある「鉄人28号」のほうが好きで、いつも鉄人28号の絵を描いていた。また『幼年ブック』時代から親しんでいた「ドロンちび丸」の影響もあってか、杉浦茂タッチの絵を真似たマンガ絵を描くのも好きだった。 はじめの頃はひろし君も、月一回発行されるだけの『少年』だけを心待ちにしていたのだが、たとえ付録が沢山付いていようが、とてもじゃないが1ヶ月に一冊だけの雑誌だけを待ってはいられない。当時月刊少年マンガ誌は『少年』のほかにも、『少年画報』、『冒険王』、『ぼくら』、『少年ブック』などが発行されていた。 ひろし君はこれらのマンガ雑誌の全てを読みたくてしょうがない。だからと言ってそれら全てを買う金はない。それで近所にある貸本屋で借りて読むことを決意したのだが、たとえ貸本であっても、両親は『少年』以外は読むことを許してくれない。 そこでひろし君が考えたのは、服の下に借りたマンガ本を隠し持って家に入り、急いで二階にある自分の部屋に駆け上って行くことだった。だがこの方法は薄着の季節には出来ないし、マンガ雑誌数冊と付録本数冊をまとめて運ぶのは困難なため、すぐに諦めて別の方法を考えるしかなかった。 そこで自宅の屋根を登って、二階の物干し台まで借りたマンガ雑誌を運び、そ知らぬ顔で帰宅して、二階の物干し台からその雑誌を回収するという方法に切り替えたのである。はじめはその方法で上手くいったのだが…。 ところがある日、古い屋根に登っているときにメリメリと音がし始め足場を失いかけた時、もしや泥棒かと勘違いした母のみつ子がいきなり飛び出してきたのだった。ひろし君は必死になって屋根にへばりついたままじっと身を伏せていた。みつ子はしばらく表の様子をみていたが、「ネズミかもしれないね」とブツブツ言いながら、やっと家の中に引き返した。だが、ひろし君は九死に一生を得た気分で、額は汗でびっしょりになっていた。 それ以来、屋根を登って本を運ぶ方法もやめることにした。今度は妹の知子に頼んで「紐で結んだダンボール箱に雑誌を入れ、それを二階の窓から引っ張ってもらう方法」に切り替えることにした。これが一番簡単で安全な方法だったのだが、口止め料として少女雑誌も一緒に借りてこなければならなかったのが悔しかった。 ただ少女雑誌の中にも、読んでいるうちにだんだん面白くなってきたマンガがあったことも否めない。そのマンガとは、手塚治虫の『リボンの騎士』と山田えいじの『ペスよおをふれ』だった。 そしてその数年後に、白土三平の忍者マンガ「サスケ」が『少年』に新連載となり、それに夢中になったひろし君は、白土三平風の忍者マンガを描きはじめ、それがクラス中で回し読みされるようになるのだが、その話については別稿に譲りたい。作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2016.08.11
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金よりも 愛と平和を選びたい黄昏たのか 世界の動き次々と破たん続きの家電界これからTVは どこで買おうか銀じゃダメ金でなければ 褒められぬくやし涙に 濡れる卓球作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2016.08.03
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