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たゆたう思いに身を委(ゆだ)ねていると、零れるばかりの緑色に染まった木漏れ日が降り注いできました。僕にはちらちらと差す光は余りにも眩しくて知らず知らずに瞼(まぶた)を細めたのです。でも僕は、やがてその光に瞳が慣れた頃、ゆっくりと上を向いたのです。そこには空がありました。青い青い空がありました。青い絵の具を一面に撒き散らした様な空がありました。そして青い空には青い風がそよそよと吹いていたのです。僕は青い空を眺めながら、あの青い風が僕に吹いてくれたなら、ふわりふわりと風に乗って青い空に舞い上がれるのになあ~と思いました。
2007年04月30日
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JR京都駅に降り立った邦彦は腕時計に目をやった。午前10:15。この春、五条大学に入学した息子と待ち合わせの12時までには暫らく時間が有るようであった。忙しなく蠢く人混みに揉まれながら邦彦は改めて構内を見回してみた。三十数年ぶりの駅内は何もかもすっかり新調されて様変わりしていた。そして息子が大学へ行く歳になったのだからほっと安堵を覚えると同時に今更ながら邦彦は歳月の流れを感じた。・・・達治がもう大学生か・・早いものだ・・達治は俺が若かった頃に過ごした楽しかった様な学生生活が始まろうとしている・・・・邦彦は郷愁にも似た思いに浸ると何処か遠くの方で列車の発車する車掌の呼び笛の音を胸の奥深くで聞いていた。・・・あれは 米原行きの発車する呼び笛・・トンネルを越えて数分走ると母校がある山科・・・行ってみよう・・・突如、邦彦は何者かに操られるかのように知らず知らずに足が動き発車間際の列車に飛び乗っていた。邦彦がよろめく如く駆け込むと列車の扉はJR京都駅の構内の風景を遮るように閉まった。そして幽かなGを身体に感じながら発車していく。駅を出ると列車は直ぐにトンネルの中へ吸い込まれるように入っていった。明るかった車窓は幕を切って落としたかの様に暗転した。車内が明るいだけに窓は鏡を張ったかの如く車内を写しだす。邦彦は窓に写る映像をぼんやりと視線を投げやって見つめていた。すると・・その映像の中に内海先輩が横切っていく。そして続いて軽音楽部の玲子が通り過ぎて行く。邦彦は似た人の見間違いかと思って振り返って見た。しかし車内はまだるい空気が流れていて先程車窓に写った人は居なかった。懐かしむ思いでの幻想を見たのだろうかと訝しく膚で感じた邦彦はその時点で何か奇異な事が起こりつつある事に気づくべきであったのだろう。トンネルをぬけると そこは・・・山科で あ っ た。一瞬、目を差す程の明るさに思考が朧に霞んだようになった。しかしそれも僅かな時を過ぎるとゆっくりと焦点が会ってきたのか確り思考の中に写る映像を捕らえだしてきていた。列車は山科駅の構内へ滑りこんで行く。慣性のGに身体を持って行かれそうになるのをあがらうように邦彦は足を踏みしめた。「やましな~やましな~・・・・」やがて列車は止まった。国鉄山科駅の改札口を出ると目に飛び込んでくる風景が何もかも懐かしい。まるで三十数年前が昨日の風景と同じように お な じ・・・・・いや全く同じ風景である。・・・・・不思議だなあ~聞いたところによると駅前は再開発されてデパートができたと新聞に載っていた気がしたのだが・・・・・「いよ~邦彦 京都駅に行っていたのか」突如、声をかけられた。邦彦がその声の方を振り向くと佐々木が笑っている。「いや なに ちょっとね」「さっき学校へ行ってきたら三時間目の授業 鈴木教授がお休みとかで休校らしいぜ」佐々木は涼しい顔で言って近づいてきた。邦彦も何ひとつ不審に思わずその言葉に喜んだ。佐々木は喫茶店にしけこむ様に誘ったが邦彦は迷わず悪友達の屯する雀荘グリーンへ直行していた。扉を開けると何時もの慣れ親しんだ牌の音が打ち寄せる波の囁きのように押し寄せてきた。「おい!邦 昨日はどうしていた幾ら待っても来なかったから先に始めていたんだぜ 憲の野郎がバカツキでよう手がつけらなくて参ったよ」邦彦は黙って春樹の席の後ろに座って春樹の配牌を覗きこんだ。何だか以前に見た事の有るような配牌だ。・・・・これは 七順目あたりに間六満を引いて 憲がふってくるんじゃないかな~・・・邦彦が思った通り憲は西を切って春樹にふりこんだ。こんな場面何処かで見た事があると邦彦は思った。暫らくすると邦彦は春樹が抜けたので席を代わって牌を握った。指触りが心地良い。つい軽口が飛び出してくる。「少年 老い安く 学成り難し さあ 真剣に人生のお勉強お勉強 オット そのチーピン ポンね」「オット その手は桑名の焼き蛤 こっちとらリーチとくらー」邦彦は酔う程に頭の天辺までどぷりと麻雀に浸かっていた。実に心地良い。ふっと我に返って気づくと場面は試験前 厚い教科書を数冊傍らに積んで目を血ばせらしていた。「やれば出来るじゃない なんだこれが拮抗するから この作用が抑えられるんだ・・・」試験用紙はどうにか黒く解答用紙を埋める事はできた。全く分からない問題は新しく自分自身で問題を作って解答しておいたし。それでも分からない所には笑い話をひとつ書き足しておいた。邦彦は勉強も少し面白くなってきていた。教授達の言っている言葉がじんわりと身に沁みてくる。そんなある日空手部の後輩と一緒に歩いていると前から歩いて来る女の子がニコリと微笑んだ。邦彦は咄嗟に後輩を見た。後輩の知り合いかと思ったからである。しかし後輩も怪訝な顔をしている。「おい!知り合いか?」「いえ 邦先輩の方に笑ったんじゃないですか」「バカ云え 俺が女なんか知っている訳ないだろ 雀荘とクラブとの往復で合間に授業を受けているだけだからなあ~まあ人違いだろ それより飯を食いにいこうか」と言いながら学校の近くの定食屋で二人で昼飯を食っていた時である。邦彦はふと箸を止め眉根を寄せて何かを思い出そうとしていた。そして自覚も無しに口が開いた。「さっきの女(こ)な・・・左藤芙美子と言うんだ」「なんだ やっぱり先輩知っているんじゃないですか そうならそうと端から言えば良いのに 左藤芙美子ですか 何クラブ所属です」「おい 今 何て言った?左藤芙美子って言ったか・・・・・」「先輩が言ったんじゃないですか 知っているんでしょ」邦彦はなおも何処か遠くを見るような目で何かを思い出そうとしている。しかしそれは漠として明瞭な輪郭を持ってこない。「不思議だな~俺は本当に名前なんて知らないんだ なのにそんな名前がふっと頭の中に浮かんで来て」そんな事があった明くる日、すっかり昨日の事は忘れていた。そして 邦彦は何時もの様にグリーンで悪友達と卓を囲んで宜しくやっていた。「春樹 悪いなそのサンピン ロン ザンクな・・・」「ささしょげないで 良い子だかね これからこれか」とその時であった。邦彦の手が不意に止まって立ち上がった。「あ!ごめん 俺 今から人に会いに行かなくちゃ」するとメンバーの三人は不平たらたら「それは ないじぇ 今始めたところじゃないか デートでもあるまいし邦彦に第一そんな相手が居るわけないじゃん」邦彦はそんなメンバーの不満を軽くいなしながら自信を持って答えた。しかしその答えがどうも要領を得ない。「それが デートなんだ でもなあ~ それが約束はしている気はするのだけれど ぼ~っとして何処だかはっきり思い浮かばないんだ おまけにいったい誰とだかも分からない」「ゲー!妄想かよ それで麻雀を途中で止めて行こうってか バカじゃないか」そこで邦彦は少し不安になったがどうしても胸の内に湧き起こった衝動を抑える事が出来なかった。「じゃあ~取り合えずは左藤芙美子って言う事で場所は京都駅。時間は・・・時間は・・PM1:00」「じゃあって なんだよ じゃあって おまけに左藤芙美子って女(こ)知ってるのか?」邦彦は又もや首を傾げながら「良く分からないけれど そんな名前がふと浮かんで来て 多分その女(こ)と遠い先に何か起こりそうな気がして・・・・処で今何時?・・・行かなくっちゃ」と言うが早いか国鉄山科駅へ駆けて行った。あまりに一生懸命駆けたので邦彦は息がすっかり上がって苦しい。でも運良く遣って来た列車に飛び乗った。・・・・ハア ハア ハア やけに息苦しい 会いに行かなくては 会いに・・・ハア ハア・・・・邦彦の耳奥深くで呼び笛の音が響いている。長く長く音を伸ばしてそしてそれはやがて深い闇の彼方へと消えて行った。kyoutoステイションに三十数年ぶりに降り立った達治は何もかもリニュウアルされた構内に目を見張った。それでこの春、東山大学に入学した娘の春香との待ち合わせのカフェAZが何処に在るか分からず迷いそうだ。達治は母芙美子に電通してPCにて検索してもらった。手元に送られてきた指示に従うと直ぐにカフェAZに行き着く事が出来た。コーヒーをひと口飲んだ達治はやっと落ち着いたのか手元の端末器に目を落とした。AM10:15。春香との待ち合わせまで1時間弱ある。持て余した時間が達治をふーっと遠い学生時代に誘っていく。悪友達の若かりし頃の顔が浮かんでは消え、消えては叉浮かんでいく。何処行きか知らないけれど列車の発車する呼び笛が遠くで鳴っている。
2007年04月22日
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それは、爽やかな春風のそよぐ午後の事でした。校門を潜っていくと・・・・数人の子供達が大きな画板の上に真っ白い画用紙を広げて写生をしておりました。ひとりの女の子がふっと眩しそうに顔をあげると「おじさん おじさん 白い服を着ているけれど 何をするの?」と訊きました。見ると、どの子の顔にも緑の木漏れ日が落ちてキラキラ輝いておりました。そこで「うん これからね 給食室の検査をしに行く所さ」とお返事をしたのです。それから、おじさんは給食室に入ってゆき食器庫の検査や塩素の検査やら細菌の検査をして叉同じ通路を帰って来たのです。すると先程まで居た子供達の姿は見当たりません。ただ、木漏れ日の差す通路には描きかけの画用紙が数枚広げられて有るだけです。不思議に思いキョロキョロ見回すと、ふ~と、おじさんの鼻にあま~い花の匂いが香ってきました。・・・・良い匂いだ・・なんの花の匂いだろう・・・・ チ チ チ チ チ チ チ チ チ チ ュ ュ ュ ュ ュ ュ ュ ュ ュ ュ | | | | | | | | | | リ リ リ リ リ リ リ リ リ リ ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ プ プ プ プ プ プ プ プ プ プそうです。赤い色のチューリップ、白い色のチューリップ、黄色いチューリップが皆並んで同じリズムで揺れていたのです。そこで、おじさんは思いました。・・・ははーん 子供達はみんなお絵描きに飽きて暫しチユーリップになって春風と遊んでいるんだな・・・花のあまい匂いの漂う中に子供達のお喋りに似た楽しそうな声を聞いた気がしました。
2007年04月20日
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「近年、諸君も先刻承知しているように旱魃(かんばつ)に加え地下水の枯渇を招き。結果、塩害ゆえに穀物、特にトウモロコシの収穫が著しく落ちている」「そうだ」「そうだ」「我々の主食とするトウモロコシが不足している」「もう我々がガソリンを食べて動く時代は終わったのだ 我々車はエタノールを主食としているのだ」会場は地球上から集まった車達の代表、ベンツ、クライスラー、トヨタ、ルノー、ホンダ達が騒然となっていた。「然るに(しかるに)前時代と言うべきヒューマン達は、その収穫高の半分をもよこせと言ってきている」「なんて無謀な要求だ」「彼らもトウモロコシから作りだしたエタノールを食べるのか」「いやヒューマン達はなんの加工もせずに食べるっていうぜ」「ほんとうか 野蛮なんだな~」「彼らは文化が未だ成熟していないんだ」「しかし 我々車族は その要求をおいそれとは受け入れる心算は無い なぜなら前時代ならいざ知らず。今日(こんにち)急速に進歩した車族の頭脳はこの地球のシステムを運営しているからだ」「最もだ」「ヒューマンなんてなんの役にたつのだ」「それにだ 諸君!ヒューマンは穀物を生産しているのか いやそうでは無い 事実穀物を生産しているのは我々同族のトラックター達だ。彼らも自ら生産したトウモロコシから取ったエタノールを食べて活動している」「そこでだ 我々はこの度ヒューマン達の要求に対してヒューマンが食べる穀物は己自身の身体と手で作り出した穀物のみ食べる事を提示しようと考えている」「当然だ」「主食のエタノールを守れ」「エタノールを守れ」画して世界各地から集まった車達は車社会を維持していく為にヒューマンに向かって立ち上がったのである。危うしヒューマン。
2007年04月18日
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それはうららかな昼下がり、背に羽を・・いやいやピンクや赤のランドセルを背負った天使達が訪れたのです。ピ~ン ポ~ン ♪ ピ~ン ポ~ン ♪「あの~ おじちゃん そこの自動販売機の所で この十円玉を拾ったの・・」ひとりの天使が可愛い手に銅貨を握って、それを差し出そうとするのです。傍らにもうひとりの天使も興味深げに瞳をキラキラ輝かして見つめています。おじさんは瞬時に色々な思考が頭の中で駆け巡りました。・・・この天使達は何処から遣って来たのだろう・・・・・・本当は天使に化けた悪魔の使い達ではないのだろうか 俺を試そうとして・・・・・・そうだ それならいっそ この銅貨はこの天使から預かるように装いポケットにないない・・・・・・「その銅貨はおじさんの落とした銅貨だ ありがとう そら表の所に10って書いてあるだろ やっぱりそうだ」・・・・・・それとも、この可愛い天使達に悪魔の囁きを吹きかけてみるのも・・・・・・「さあ この銅貨で うまか棒が購えるよ うまか棒はうまいぞ~」・・・・・・それにしても こんなあどけない天使達に罪を負わさすのも・・・いったいこの銅貨をどの様に処理したら良いのか、おじさんは悩みました。その時です。きらり きらり きらりんこ 豆腐の角に頭を打ちつけたおじさんは閃きました。「きっと この銅貨を落として困っている人が居るに違い無い おまわりさんに届けてその人を探してもらおう そらそこに、おまわりさんが居る交番所があるから持っていきなさい」可愛い天使達は黄色い声で「おじちゃん ありがとう」と叫びながらスキップを踏むように飛び出していきました。
2007年04月16日
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灯を落とした室内は春の闇に沈んでいた。静寂が辺り一面に覆いつくし立ち昇る白い煙草の煙が闇の彼方に消えていく。やがて短くなった煙草を灰皿に押し付けて消すと秀二は叉直ぐ新たに口に咥えた煙草に火をつけた。赤い火が闇にひとつ浮かび上がる。秀二は煙を深く胸に吸い込んだ。頭がグラリ揺らいだ感じがした。「・・・なにもかも落ち着いたら・・みんなに会いたいな~・・・」秀二の耳奥で木原の言った溜息ともつかぬ言葉が幾度も繰り返し押し寄せて来る。「・・・なにもかも落ち着いたら・・みんなに会いたいな~・・・」昨日、木原の奥さんから電話がかかってきて木原が体調を崩して入院したと聞いた。それも思ったより様態は悪く楽観を許さないとの事であった。・・・そう云えば・・以前電話で話した時に何か深い心配事を抱えているとか言っていた気がするが・・・秀二は木原がふと呟いた言葉を反芻していた。そしてゆっくりと胸の奥深くに仕舞われていた青春時代のアルバムを開いていた。ぎょろ目の木原、二枚目の鈴木、へらへらの左藤、そして俺秀二、笑いながら雀卓を囲み雀牌をかき回している。「は は は 俺らここまで麻雀にはまっていたら結婚して子供が生まれてきたらきっと生まれた子供は雀牌を握って生まれてくるんとちゃうか」「ぎょろの子は白牌」「え!なんでや」「 ふ ふ ふ」「それやったら鈴木は中牌やな~」「えっちやからな~」「そうかな~」「へらへらとこは満牌か」「きっとそうやで」「俺とこは七竹牌や こうちょっと斜めに曲がった指触りがたまらんしなあ~」みんな悪友達はそれぞれ納まる所に納まって結婚して子供が出来たけれど、それぞれの子供達は雀牌を持って生まれてきた事は無かった。そうだ無い金を出し合って揃って悪所通いをした事もあったかな・・・純情と云おうか真剣な顔をして赤や青のネオンの下を恐る恐る潜ったっけ。・・・木原とこの子は我々の中で一番小さく確か下の子はまだ今年中学に入学したばかりの筈だし心配だろうな~・・・・秀二は物思いに耽り、煙草を深く吸い込んだ。春闇にひとつ赤く火が灯った。秀二の胸の内に囁きが繰り返される。「・・・なにもかも落ち着いたら・・みんなに会いたいな~・・・」
2007年04月14日
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櫻美中学校に入学して張り詰めていた気が俄かに溶けていく。初日の授業が全て終わって帰宅時間のチャイムを聞いた時、初めてほっと息をついた佳苗は空を見上げた。空には低く灰色の雲が垂れ込めていた。しかし佳苗が黒革の真新しい制靴を履いた時に雲間を割って強い一条の春の光が差してきた。細い春雨がキラキラと輝いている。「あ!校舎の上に虹が・・架かっている」佳苗は陶然として呟やき七色に染まる虹を仰ぎ見た。するとそんな佳苗の目に思いもしない様な光景が飛び込んできた。七色の虹から降って来たのは青い色のドロップ、レモン色のドロップ、葡萄色のドロップ、苺色のドロップ。そして、それぞれのドロップは今帰ろうとしていた生徒達の口の中へ吸い込まれて行く。佳苗の口の中にも白いミントのドロップが飛び込んできた。ツーンと清涼感のある味が口の中に広がった。その瞬間、佳苗はポーンと背を叩かれた。「ヤアー! か な え ちゃん 私 美由紀。 あなたの後ろの席にいるの 佳苗ちゃんこれからよろしくね」「あ! うん こちらこそ 仲良くしようね」気がつけば あちらこちらで華やいだ黄色い声が弾けている。佳苗は夢見心地で・・みんな降ってきたドロップが口の中へ入ってはしゃいでいるのだろうか思った。佳苗はひと時の幻を見たのだろうか。ほっぺを指で抓って再び辺りを見回してみた。もうドロップは空からは降って来ていなかったけれど、それでもあちこちで楽しそうな声が弾けている。それで佳苗はふ~と長く吐息を吐いてみた。口の中はミントの香りが残っているような気がしている。佳苗は幽かに笑みを零し・・・沢山の新しい御友達ができる気がして学校に来るのが嬉しくなってきた。
2007年04月12日
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何気ない日々の営みの中で、やり過ごせば、それは見過ごしてしまう様な些細な出来事であったかもしれない。しかし、それは夜も静かに深かまった時の事であった。チラリと目に飛び込んできたにも関わらず、煌くばかりに輝いて目に写った。そしてその姿は心を捉えて離さない。「あ!UFO・・・発見」・・・・・・・ 思わず知らず、ゴクリと喉仏が上下した。驚きと言おうか不思議さと言おうかパブロフの犬の条件反射と言うものであろう。「発見 発見 UFOを発見」もう こうなったら動き始めた条件反射を止める術を知らない。身体に悪い事はじゅうじゅう承知の介、でもそれは抑える事は出来なかった。「御湯を沸かしてくれ~」「え!今から?」「身体に悪いわよ」「いい UFOを発見したからには 腹の虫が治まらない」画して湯を沸かして『焼そばUFO』に注ぎこんで出来上がったインスタント焼そばを口に運んだ時は満面の笑みを浮かべた。そして仄かに立ち昇る白い湯気に何時しか眼鏡も曇り、取り除いた丸い焼そばUFOの蓋が揺らいで映っていた。
2007年04月10日
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夜の闇の底にほの淡く浮かびあがる 櫻 櫻 櫻 ・・・・櫻 櫻・・櫻・「お父さん もう直ぐ 満開だね この日曜日には見頃だろうか」「そうだね 満開も良いけれど ちらほらと散る櫻も格別な風情があるしなあ~」誰も居ない公園は静寂に沈んでいました。そんな遅遅の夜の公園を覗く様に雲間から顔を出した赤い月。春の夜は ふわりと膨らんで更けてゆく。少し歩くとブランコがありました。小さなふたつのブランコに腰掛けて息子とふたりで漕いでいました。「お父さん・・日曜日の夜にお店が終わってからもう一度 櫻を見にこようか」「・・・・今年は○○が京都のおばあちゃん家(ち)へ行ったしちょっと寂しい櫻の野点になるなあ~」ふたつのブランコを ゆくり ゆっくり 漕ぎながら息子と花見の計画を話しておりました。「明日 雨にならなければ いいのに・・・・地面が濡れると野点できないね」 ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・・・・追伸 心配していた通り今日は雨になりました。 地面は濡れてしまったので明日の夜は例年の野点が出来ないかも・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・・・・追追伸 今朝目を醒ますと快晴でした。 地面は乾いてくるかも それで野点をする事にしたのですが テレビ番組を見ると『男たちの大和』の放映を知りました。ですからこれも観たいし NHKの大河ドラマも観たいし・・・・最初は大河ドラマを観終わってから公園へ行こうと考えていたのですが 『男たちの大和』を考慮するとPM11.40からかいやいやそれでは遅すぎます。大河ドラマは土曜日の再放送を観る事にして野点はPM8~9までに早々と終える事。それで例年なら誰かを招待するのですが そう言う分けで 今年の花見は臨機応変に動ける様に家族だけの野点をするようにしました。しかも今年は下の息子が居ないので3人の野点です。誰も居ない公園に3人とは小さい公園とは言え広い広い公園と感じられるでしょう。妖艶な櫻の精達が舞い降りて来てくれたら華やかな宴となるのになあ~。
2007年04月07日
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ただ ぼ~っと虚ろである。これと言って書く事も思い浮かばず、それならばいっそ書くのを止めようかと思ったりして・・・・・・・・しかし此処で書くのを休むと叉次回書く時に同じような虚ろに落ち込むと考え、さして面白くも無いであろう言葉を駄列して置く事にしよう。今夜は何をしようかなあ~ 未だ花見にも行っていないし 取りあえずは お茶でも一服立てて飲もうかなそうだ お茶菓子には おひがしが残っていただろうか?「お~~い 御湯を沸かしておいてくれるか~」
2007年04月05日
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「じゃあ 行ってくるわ」背に大きなリュックを、手には鞄を掲げ下の息子が旅立って行きました。行き先は京都のおばあちゃん家(ち)。五日には大学の入学式です。そしてず~っと持っていなかった携帯電話も今日初めて手にしたのです。説明書を読みながら設定をPi Pi Pi と軽快な音を響かせていました。「今まで 携帯を持っていなかったのは 同級生では僕ひとりだろうなあ~」自慢と言うかやせ我慢と言うか、それでも受験生にとってはあえて必要としなかったのでしょう。でもこれからはクラブに入部したら先輩達や同期生との連絡に必要となるので持つ事にしたようです。因みに入部は『将棋部』とか、女気無いなあ~・・古都京都には艶やかな華も咲いているだろうに。折りしも、ときは春。
2007年04月03日
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さて さて 今日は4月1日 エイプリルフール どんな事を言って家族をびっくりさしてやろう。朝、起きがけの一番に言うとすぐさま見破られるので時間を待ちに待って日付の変わる直前、まだ4月1日の内に言うつもりです。すると皆は既にエイプリルフールは終わってしまっていると思うから十分に引っかかるのではなにを う~ん なにを言ったら 上手く騙せるかな~・・・・考えて 考えて・・・笑い転げる様な話しをひとつ 今からひねり出さなくては・・
2007年04月01日
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